2017年08月16日

中国の一帯一路がグローバル化2.0なのか? それは自然環境にどのような影響をあたえるのか

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中国の一帯一路がグローバル化2.0なのか? 
それは自然環境にどのような影響をあたえるのか


ロビン・リー
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 中国が2013年末に初めて「一帯一路」発展戦略を提起して以来、より多くの国際的注目を受け、ますます多くの国々が中国とのあいだで関連する連携協定を締結している(原注1)。「グローバリゼーション2.0」と称されるこの提起の趣旨は「シルクロード経済ベルト」(一帯)と「海のシルクロード」(一路)の建設を通じて、アジア、アフリカ、ヨーロッパのあいだで連携、貿易、インフラ建設のネットワークを発展させるというものである。これによって世界経済に大きな影響を及ぼすとともに、中国の国際的な政治と経済の利益をさらに拡大するものになるだろう。多くの政府と企業がこの政策を歓迎しているようにみうけられる。というのも彼ら自身にもチャンスをもたらすと考えられているからだ。彼らは、政治エリートと資本が最大限の利益を獲得できように、それに対応する戦略を策定した。だがこの政策が民衆と我々の生活世界に対して与える影響については、より厳しい分析と判断が必要である。なかでも中国が「一帯一路」を通じて推進するグローバリゼーションが自然環境にとってどのような意味を持つのかは、極めて注目すべき分野の一つである。

「一帯一路」に関する政府文書や声明は、いずれも気候変動対策と環境保護の必要性が指摘されており、この戦略を実施する際にはエコ建築と投資が環境の及ぼす影響に配慮することを約束している。さらに中国は「一帯一路」を通じて、他の途上国の持続可能な発展の実施能力の向上支援も可能になると論じる評論家もいる。いずれにしても、政府の声明において、いかに環境の持続性を確保しながら投資プロジェクトを実施するのかという明確な政策指導は基本的には示されていない。実際には、現有のプロジェクトの実施状況および今後発生する可能性のある影響を詳細に分析すれば、「一帯一路」が自然環境に対して深刻な影響を構成し、自然環境の後退、汚染、自然資源の枯渇をもたらす可能性があり、さらには「一帯一路」の沿線諸国の人口構成に不利な影響を与えることになるかもしれない。

中国国家発展・改革委員会が2015年に公表した「シルクロード経済ベルトと21世紀の海のシルクロードの共同建設の展望と行動を推進する」のなかで、風力エネルギーと太陽光エネルギーなどのクリーンで再生可能なエネルギーへの投資と協力を推進することを約束しているが、同時に「石炭、石油、天然ガス、金属鉱物、その他の従来のエネルギー資源の調査と開発」の協力についても強化する、とされている(原注2)。

石炭投資についていえば、中国はすでに多くの海外投資プロジェクトに参加している。地球環境研究所(Global Environment Institute)の統計によると、2001年から2016年までに、中国は「一帯一路」諸国域内の240の石炭火力発電プロジェクトに参加しており、そのうちインド、インドネシア、モンゴル、ベトナム、トルコの五カ国のプロジェクトへの参加が最も多くなっている(原注3)。パキスタンの石炭火力発電への投資はさらに注目するに値する別のケースである。それは中国−パキスタン経済回廊の一部であり、中国はこの投資に数十億ドルを投じており、そのうちガシム港電力発電所は中国が海外で行う石炭火力発電投資のうちでも最大の投資額である。つまり、世界中が気候災害に直面し、炭素密集型エネルギーの使用をただちに減少させなければならないにもかかわらず、「一帯一路」は海外での化石燃料の使用を引き続き拡大させるのである。それゆえこの戦略は環境の持続可能な発展という約束と相反することになる。

また、中国のクリーンエネルギーと再生可能エネルギーにかんする約束も、いま以上に原子力発電――このエネルギーは環境と人類の安全にとってのリスクとなっている――を使用することを含んだものである。原子力発電を拡大させている中国は、安全基準の低さに批判が集まっている。中国の水力発電投資においても環境リスクをもたらす。大規模ダムは自然環境を破壊し、生物多様性に大きな影響を及ぼす。また巨大ダム建設によってその地を追われる住民への社会的影響については言うに及ばずである。中国は国内外ですでに多くのダムプロジェクトに参加している。2010年までに49カ国の200余りのプロジェクトにかかわっており、その多くが世界でも最大規模の水力発電所である(原注4)。そのうちのいくつかのプロジェクトについては、多くの懸念が示されている。三峡ダムプロジェクトを例にとれば、このプロジェクトでは2300万人の住民が移転し、環境や住民の生活用水にも悪影響を与えた。国外では、カンボジアのメコン流域の大型ダムプロジェクトにおいても、人類と自然環境にとって脅威を与えており、十分な環境評価が行われることなく、プロジェクトが開始された(原注5)。

新シルクロード経済帯と海のシルクロードが通過する地域の多くは、自然環境が脆弱であり、資源も非常に希少であることから、気候変動と人類の活動にとってもさらに悪化が懸念される。一部の地域では住民の移転が問題になっているが、新しいプロジェクトによって沿線の多くの地区に人口が集中することで、さらなる自然環境の破壊が懸念されている。このような脆弱性は、一帯一路戦略がもたらす懸念の一因となっており、環境の持続可能性にもとづいて「一帯一路」投資を行うのであれば、この種の脆弱性にたいする厳しい分析と評価が必要となろう(原注6)。たとえばタンザニアのバガモヨでは、アフリカ最大の港湾建設の計画があるが、周辺地域では絶滅に瀕するマングローブと地元住民の漁場があり、住民の生計への影響や敏感な環境条件が存在している(原注7)。またロシアでは、環境団体が中国資本によるザバイカエリでの潜在的な影響を指摘している。この投資プロジェクトはアマジャル林−パルプ一体化プロジェクト(原注8)とポクロフカ−ログノフ港湾プロジェクトと関連しており、どちらも黒竜江省の「一帯一路」の重要な構成部分とされている。正確な環境影響評価を欠いたまま、プロジェクトに関連して伐採とダム建設が始まっているが、これは資源の枯渇と現地の豊富な生物多様性を破壊する可能性がある(原注9)。

実際、環境の汚染と破壊の問題は中国資本による海外投資プロジェクトに対する信頼を喪失させているのかもしれない。中国が「世界の工場」となるにつれて、アフリカは自然資源の原産地として中国にとってますます重要になっている。というのも中国国内だけでは石油、天然ガス、鉱物、木材などの資源を十分に提供することができないからである。中国企業はときには現地の腐敗役人と結託し、環境破壊を行い、現地の環境法に違反しているという指摘もなされている。たとえば中国石油化工工業が2005年にガボンで石油埋蔵調査をした際にガボンの国定自然公園と熱帯雨林を広範囲に汚染した事件は、多くの非難を巻き起こした(原注10)。

注目すべきは、中国政府は中国海外企業が海外投資プロジェクトの多くで真剣な環境影響評価を行っておらず不評であることを受けて対策に乗り出したことである。しかし中国商務部と環境保護部が2013年に共同で公表した「対外投資協力における環境保護ガイダンス」は法的強制力がなく、海外経営をおこなう中国企業に対する拘束力に乏しい。これは投資受け入れ国側に環境基準を制定させて(多くの諸国で環境基準は緩い)、企業それぞれに各自の企業の社会的責任(CSR)、もしくはアジア開発銀行などの融資機関(原注11)の基準を順守させることを期待している、ということを意味する(しかしこれらの基準では環境は守れないだろう)。

さらに注目すべきは、「一帯一路」の目標のひとつ、鉄鋼やセメントなど、中国の高汚染産業の過剰生産能力を国外に吸収させるという目標である。しかしこれは国内の過剰生産力をさらに激化させることになるかもしれない。なぜなら海外市場の開拓によって、これらの業界では生産量を削減しなくなるかもしれないからだ。中国の地方政府も、国内の汚染を減少させる代わりに地方政府の収入も減少することになるので、生産を減少させたくないと考えている。中国は国内の過剰生産能力を吸収するために、海外で鳴り物入りの箱物インフラ・プロジェクトへの投資をおこなうことで、さらなる環境リスクを作り出すかもしれない。中国国家発展銀行と中国の商業銀行は、すでに「一帯一路」関連諸国のプロジェクトに対して数十億ドルの融資を行っている。しかしこれらの銀行は資源配分の効率化と過剰投資に関する記録においては不評を重ねている。中国国家発展・改革委員会の研究レポートによると、1997年以来、これらの金融機関の非効率投資の累計は66.9兆人民元に達しており、計画に従って実現した投資プロジェクトは60%に満たないという(原注12)。それゆえ、もしこの状況が進展すれば、「一帯一路」の投資プロジェクトの一部では、投資プロジェクトは不必要あるいは十分に活用されない可能性があり、それは世界の資源とエネルギーを浪費することになるだろう。

中国は過去において海外での環境保護にかんして不名誉な実績を記録してきたが、「一帯一路」においても明確な約束と執行メカニズムを欠いており、加えて投資と発展戦略の一部において本質的に環境に対して有害なものもある。それゆえ「一帯一路」が環境に及ぼす影響に懸念を表明することには十分な理由があるのである。中国は環境保護ではなく経済成長を優先して考慮してきたことから、自らも深刻な環境的後退に直面している。そして今また、途上国を利用して自然資源に対するみずからの需要を満たしはじめつつあるが、実際のところそれは自国の問題と環境コストの一部を他国に移転することに他ならない。このような発展経路を歩んだのは中国が最初ではないが(北米と欧州はこの歩みの長い歴史を持っている)、いかなる国家にあってもこの種の搾取的な方法を継続する理由も口実もない。我々の世界は気候の危機に直面しており、人類のある種の活動はすでに地球環境に破壊的な影響を与えており、それは人類の未来にとっても脅威となっている。われわれは公然たる透明性の努力を通じて、生態系を修復・保護し、未来の世代に居住可能な地球を残さなければならない。これは世界各国の政府と民衆が早急に取り組まなければならないことである。だが「一帯一路」はこの取り組みと相反する戦略なのである。


原注1 2017年5月現在、68の国と国際機関が関連する協定を締結している。

原注2 《願景与行動》http://www.ndrc.gov.cn/gzdt/201503/t20150328_669091.html

原注3 China’s Belt and Road Initiative Still Pushing Coal, Feng Hao, 12th May 2017, https://www.chinadialogue.net/article/show/single/en/9785-China-s-Belt-and-Road-Initiative-still-pushing-coal.

原注4 Hydropower: Environmental Disaster or Climate Saver? China Water Risk, 6th July 2010, http://chinawaterrisk.org/resources/analysis-reviews/hydropower-environmental-disaster-or-climate-saver/.

原注5 China Dams the World: The Environmental and Social Impact of Chinese Dams, Frauke Urban and Johan Nordensvard. 30th January 2014. E-International Relations.

原注6 一部の研究者は、プロジェクト実施前であっても、ベースラインを測定し、モニタリングを行う必要があるとしている。詳細はBuilding a new and sustainable ‘Silk Road Economic Belt’, Li, Qian, Howard and Wu. 2015.
を参照。

原注7 http://thediplomat.com/2015/12/the-port-of-bagamoyo-a-test-for-chinas-new-maritime-silk-road-in-africa/.

原注8 このプロジェクトの中国語資料はこちら。
https://www.banktrack.org/download/summary_chinese_and_english_of_the_dodgy_deal_information/170428_amazar_chineseenglish_summary.pdf。(中国語訳者注)

原注9 Environmentalists warn Shenzhen stock exchange about risks of Amazar “Belt and Road” project in Russia. 12th May 2017, http://www.transrivers.org/2017/1922/

原注10 China’s environmental footprint in Africa, Ian Taylor, February 2007, China Dialogue, https://www.chinadialogue.net/article/show/single/en/741-China-s-environmental-footprint-in-Africa

原注11 《商務部環境保護部関於印発“対外投資合作環境保護指南”的通知》。 2013年2月28日,中華人民共和国商務部。

原注12 ‘One Belt’ infrastructure investments seen as helping to use up some industrial over-capacity, Eric Ng, 2nd November 2015, South China Morning Post. http://www.scmp.com/business/article/1874895/one-belt-infrastructure-investments-seen-helping-use-some-industrial-over

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2017年04月26日

アジア民衆の訴え:アジア開発銀行(ADB)の免責に異議あり

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アジア民衆の訴え:アジア開発銀行(ADB)の免責に異議あり
ASIAN PEOPLES CALL: CHALLENGING ADBS IMMUNITY

原文(英語):https://www.forum-adb.org/registration

2017年4月20日

はじめに

アジア開発銀行(ADB)は1966年の設立以来、この地域から貧困をなくすために貢献する機関であるという幻想を流布してきた。同行は半世紀にわたるアジア太平洋地域における活動の中で、インフラ、研究、技術移転のために2500億ドル以上の融資を行ってきたと言っている。 ADBは恥知らずにも、その加盟国に不当な債務を押し付け続けている - 融資したプロジェクトや政策が破滅的な結果をもたらした場合でもである。ADBの50年にわたる活動は、人々を居住地から追い出し、貧困と栄養不良と空腹に追いやった実績を残してきた。森林、川、海、耕作地など環境のあらゆる面に破壊的な影響を及ぼし、そこを生息地とする多くの動物種や植物種の生存を脅かし、絶滅の危機に追いやってきた。ADBはまた、環境を汚染するエネルギー・プロジェクトに融資することを通じて地球温暖化に寄与したという点でも有罪である。

2017年4月19-20日にフィリピン大学SOLAIR(労働・労働関係学部)に集まった地域コミュニティー、青年組織、学生、市民団体の代表は、以下のことを宣言する。

●ADBは搾取的な開発モデルである – ADB のビジネス・モデルは国家を経済成長の基本的な推進機関とみなす偏狭な開発観である。ADBはこの考え方に基づいて、国別戦略的パートナーシップ戦略(CPS)や改革政策(構造調整計画、政策・金融・統治改革に関する技術支援)を通じて搾取するべき部門や資源を選び出し、民間部門の輸出指向型の利益追求に供してきた。ADBは貸し手の力を悪用して政府に対して慣習法に基づいて管理されている自然資源を取得するよう強制し、政府はADBに依存しているという虚偽の物語を作ってきた。それらはすべて融資を押し付け、民間部門の事業機会を開放することを目的としている。

●ADBは圧政を支持している - ADBは良い統治と民主主義について語っている。しかし独裁的で抑圧的な政権や、不安定な紛争地域 - ミャンマー、サモア、パプアニューギニア、インド北東部、アフガニスタン、パキスタンなどの - への融資を続けている。ADBはそのような融資を通して圧政を支援し、国家機関を利用して資源を強奪し、人権を抑圧し、市民社会やすべての反対意見を圧殺することを助長している。

●ADBは偽りの解決策を提供している – 思い上がったADBは、自らをアジアにおける知識供給者であるとみなしており、この十年間はいわゆるクリーン・エネルギー投資と社会投資(保健、教育、農業)の組み合わせを通じて偽りの解決策を提供してきた。これらの投資はすべて民間資本に社会開発部門を開放するものであり、利用者にとっては料金の値上げ、格差と債務の拡大をもたらすものである。ADBはアジア・インフラ投資銀行(AIIB)との競争に脅威を感じ、国境を越えたインフラ・プロジェクトへのより無謀な融資に突き進んでおり、地球温暖化の真っ只中で環境を汚染する化石燃料への投資を続けている。ADBは人権問題への冷淡な姿勢を維持し、一貫して人権問題を否認しており、どの事業方針やガイドラインにも人権という用語を使用していない。ADBは設立50周年を迎えるが、いまだにアジア全域におけるどのプロジェクトや事業にも、中核的な労働基準を適用することを頑強に拒んでいる。われわれは長年にわたってADBの内部統治メカニズムに批判的に関与し、その中で、ADBがその方針や手続きを遵守しているか否かの最終判断がすべてADB理事会に委ねられていることを現認してきた。つまりADBは自身の行為についての調査官、裁判官、陪審員を兼任しているのであり、外部に向けた、あるいは公的な説明責任に関するいかなる義務も負っていない。ADBの免責は、国際機関としてのADBに奔放な自由を許容しているが、50年にわたって破壊的な事業実績が継続していることを考えれば、この免責に異議を唱えることが決定的に重要である。

われわれはADBの免責が各分野に及ぼしている破壊的な影響を検討した結果、次の結論に達した。

1) ダム建設への融資、住民の追い出し、環境破壊

●ADBのダム建設への融資は、現地の地域社会に多くの災禍をもたらしてきた。バングラデシュ、ネパール、キルギス共和国、カンボジア、ラオスで共通に見られることは、ADBの約束と、地上で起こった現実の差である。ラオス、バングラデシュ、キルギスタンではADBのプロジェクトは環境の破壊をもたらし、住民の生活に影響を及ぼした。

●特に、ラオスのセバンファイ川下流では、水質の劣化のために流域のコミュニティーの住民が皮膚病に罹った。環境破壊の問題だけではなく、コミュニティーの住民への補償が支払われなかったか、遅延したか、あるいは住民の苦境に対応していなかった。ADBによる地域コミュニティーとの協議は行われなかった。これらの地域におけるADBのプロジェクトは、コミュニティの利益を増進する政策を実施するのではなく、環境の悪化、生計の喪失、病気、非自発的移転をもたらした。このことはさらに、人権侵害をもたらしている。

●ラオスの事例にみられるように、影響を受けた人々は、政治的および社会的な状況のために、説明責任を求める手段にアクセスできなかった。バングラデシュとカンボジアでは苦情申し立てが行われたが、ADBの苦情処理メカニズムが迅速でないため、いまだに問題への対処は行われていない。経済成長が環境や人々の生命、生活に優先すると考えられていることは明らかだった。

2)不平等、負債、民間部門への富の移転

●ADBが融資したプロジェクトは社会・環境への負の影響に責任を負っている一方で、民間部門債務の救済や人権侵害にも責任を負っている。それは公的債務の増加、プロジェクトの遅延、目標の未達成、企業の不当なやり方からの当事者の保護の欠落、環境および健康の保全の欠落をもたらす。退去を強制された家族の移転が生活条件の回復をもたらすことはなかった。それは開発の恩恵よりも大きな被害をもたらした果たされない約束を物語っている。

●債務監査を通じてADBの免責に異議を申し立てるべきである。不当な債務を宣言する際の原則は、現在では国際的な原則とみなされている。したがって、われわれは債務返済の停止を要求し、最終的にはすべての不当な債務の帳消しを要求する。

3)気候変動と、設立50年にあたってのADBの脱炭素化

●ADBが継続的に石炭部門を支援していることは、アジアの人々を気候変動や健康および環境への危害に対してますます脆弱な立場に追いやっている。それは人々を居住地から追い出し、気候に起因する移民/気候難民になることを強制する。これは人権 - 健康的で清浄な環境への権利を含む – への重大な違反である。

●したがって、われわれはADBに対して、石炭部門への融資を中止し、アジアの脱炭素化を開始することを要求する。われわれはまた、ADBが地域社会に根ざした持続可能なエネルギーのためのプロジェクトを優先することを要求する。さらに、ADBが気候変動および気候に起因する移民/難民の対策に貢献することに全責任を負うことを求める。

4)透明性の欠如、抑圧、市民社会団体のためのスペースの縮小

●ADBは融資条件(コンディショナリティー)を課すことによって免責と不処罰の機構を拡大してきた。融資条件には民間部門との利益分配を可能にするための法律改正が含まれる。ADBは自らの政策や、国内法・政策の遵守すら保証していない。われわれはすべての政府が、企業に便益を図り、民間部門の利益に叶うために法律を改定する権限を行使するのをやめるよう求める

●ADBは人権に関わる法律や原則に違反するプロジェクトを支援するべきではない。ADBは政府と結託して軍事化と腐敗を伴うプロジェクトを推進するべきではない。ADBはそのような体制を容認、支持、支援するのではなく、抑圧的な体制による人権侵害や強制的行方不明などの重要な問題について発言するべきである。

●ADBの免責は不処罰につながり、プロジェクト開発者や国家が人々の権利を無視すること、また、企業が国内法に違反して環境を破壊することを許容することになる。ADBはそのような違反に無関係を装い、免責の背後に隠れることはできない。

5) ADBによる労働の搾取

●われわれはADBがプロジェクトの全期間を通じて労働基準違反を許容しているために民間企業が労働者の権利を尊重していないことを目撃してきた。これは特にフィリピンの例に見られる。そこでは地区の水道管理機関が、当該地区の職員や組合労働者や住民との協議なしに民営化または閉鎖された。そのため、われわれはADBが公共サービスを公共部門に戻し、公共財や公共施設の提供において公共機関間、または公共機関・住民間のパートナーシップのための、より革新的な措置を導入するよう要求する。

●ADBはいまだに中核的労働基準を導入しておらず、それが基本的な権利侵害につながっている。ADBの免責のために、これらの違反行為を現地の裁判制度の下で告発できない。したがってわれわれはADBに対して、すべての事業においてILOの中核的労働基準を尊重すること、また、労働権の侵害に対する告発から逃れるために免責を利用するのをやめることを要求する。

6) 社会的包摂と、脆弱な立場のグループに対するADBの影響

●ADBの事業には脆弱な立場のコミュニティの真の参画がない。ADBは協議に女性、障害者、先住民族などの脆弱な立場の人々を含めるための真剣な努力を払っていない。特に、障害者について、ADBはエンパワメントとアクセス可能性を強化するメカニズムをほとんど導入していない。

●移住を伴うプロジェクトのために、女性は一層貧困に陥りやすい状況にある。先住民族も、特に先祖伝来の土地において福祉の向上よりも権利の侵害を経験している。特に懸念されるのは、地域コミュニティーとの協議が強制(軍事化)を伴っているケースがあることである。いくつかの事例においては市民社会団体に対して共産主義者、テロリスト、過激派という決めつけが行われ、批判的主張をターゲットとすることで民主主義的スペースを縮小させている。

●したがって、われわれはこの問題をADBの「2030年までの道筋」戦略の検討の中で取り上げ、全範囲にわたる人権を追求することと、対話のための民主主義的スペースを広げることにより強い強調を置くことを要求する。

アジア民衆はADBの免責に異議を唱えることを呼びかける

われわれはまた、これまで述べてきた闘争および証拠は、ADBがアジアの人々に対する責任を全く果たしておらず、免責を主張し続ける根拠がないことを証明していると宣言する。今やアジアのあらゆる地域でADBの偽りの免責の主張に異議を唱える時である。ADBは借り入れ国およびその国民の開発パートナーとしての信頼を裏切っており、自らのすべての行動と影響に対して完全な責任を負うべきである。

したがって、われわれアジア民衆はわれわれの政府と国民の代表に対して、ADBの免責を剥奪し、ADBにわれわれの尊厳、権利、主権、そしてマザーアース(母なる大地)に対して行ってきたすべての行為の責任を負わせることを要求する。

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2017年04月24日

アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム

アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム

 アジア開発銀行(ADB)は「貧困のないアジア」を目指すとして、主に「開発途上国」における開発プロジェクトへの融資や技術支援等を行ってきました。しかし、「支援を受ける側」の諸国の多くの住民団体やNGO、社会運動団体は、開発プロジェクトがもたらす住民立ち退き、環境破壊、債務の拡大などの問題を告発し、もっと現地の声を聞くよう訴え続けてきました。

 5月4日から横浜で第50回アジア開発銀行(ADB)年次総会が開催されます。また、TPPの頓挫の後、注目が集まっているRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の会合が3月神戸に続き、5月上旬にフィリピン・マニラで開催されます。

 この機会に、これまでのアジアにおける「開発援助」のあり方や金融機関の活動、通商協定のあり方がアジアにおける人々の生活、人権、環境に何をもたらしてきたのかを国際シンポジウムで検証します。また、ジャスティス(社会的公正)という観点から、これからのアジア、人々の間の関係をどのように構想するのか、そしてADBや日本政府の支援のあるべき姿をアジア各国のNGOや活動家、日本の皆さんと共に考えます。5月2日には全体会を、5月3日には分科会を行い、水や食べ物の問題から気候変動、債務、労働の問題などの分野に分かれ、議論をおこないます。

 ADB総会が始まる5月4日には、各国の活動家といっしょに、会場近くでのアクションを予定しています。

<1日目>
5月2日(火)18:30-21:00(18:00開場)
[場所] 文京シビック4Fホール
[内容]
−「アジアの公正な貿易を目指して-RCEPを中心に」アフサール・ジャファリ(Focus
on the Global Southインド)
−「気候変動とクライメート・ジャスティス」ヘマンサ・ウィサネージ(FOEスリランカ)
−「壊れる村と人−グローバリゼーション下の日本の村から」大野和興(TPP
に反対する人々の運動)
−「ADBと食料主権」アルゼ・グリポ(Asia-Pacific Network for Food Sovereignty
(APNFS)、フィリピン)
[参加費] 1,000円(事前申込不要)、英日通訳付き
[定員]100人

<2日目>
5月3日(水・祝)15:00-21:00 ワークショップ(WSによって時間帯が異なります)
[場所] 文京シビック3F会議室A、B
[スケジュール]
A: 気候変動と石炭発電(ヘマンサ・ウィサネージ、CEEバンクウォッチ他)
B: 開発金融・債務(CADTMインド、PSI-APRO他)
C: 食料主権(アルゼ・グリポ他)
D: 貿易(アフサール・ジャフリ他)
[参加費] 500円(1日通しです)
[定員] 各30人
*詳細および更新情報は、以下のブログでお知らせします。
http://int.attac.jp/2017_01_01_archive.html

[主催]「アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム」実行委員会
(参加・協力団体: ATTAC Japan国際ネットワーク委員会、Focus on the Global South、Asia-Pacific Network for Food Sovereignty (APNFS)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、FoEジャパン、国際公務労連アジア太平洋地域事務所(PSI-APRO)、TPPに反対する人々の運動)
[連絡先]:peopleadb50@gmail.com(担当:秋本090-9824-9081)
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2016年10月14日

企業をコントロールする−−多国籍企業と人権に関する国連条約を支持する理由

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企業をコントロールする
多国籍企業と人権に関する国連条約を支持する理由

原題“Controlling Corporations - The case for a UN Treaty on Transnational Corporations and Human Rights”
http://www.globaljustice.org.uk/sites/default/files/files/resources/controlling_corporations_briefing.pdf

2016年9月

[以下は英国の「グローバル・ジャスティス・ナウ」(ATTAC UK)のウェブに掲載されているレポートの全訳である(原注は割愛)。TPPを始めとする国際通商協定で企業が国家を訴えるISDS条項が大きな焦点となっているが、これに対抗して、人々が企業を訴える国際的な仕組みを作ろうという動きが広がっている。このレポートで紹介されているように、石油大手のシェブロン(旧称テキサコ)による環境破壊への賠償を求め、シェブロン側の悪辣な逆訴訟と闘っているエクアドル政府や、ISDSによって巨額の賠償金を請求されてきた「南」の諸国を中心に、ISDS条項の廃止、企業による人権侵害の訴追、タックスヘイブンの廃止等のための国連条約の制定に向けた動きが始まっており、それと連動しながらグローバルな社会運動の側でも、「企業の権力を解体するためのキャンペーン」、「条約連合」、「民衆法廷」などの運動が展開されている。注目を!]

企業の権力という問題

世界には40,000以上の多国籍企業(TNC)が存在する。この数十年の間にこれらのTNCはあまりにも大きく成長し、今では国家よりも金持ちになっている。現在、国と企業を金持ちの順に並べると、上位100のうち69が企業であり、国は31である。

これらの企業は経済のさまざまなセクターに関わっており、その活動や報告の方法はさまざまであるが、1つだけ共通する点がある。つまり、利益をすべてに優先するという責務である。

企業の権力はわれわれの政治経済の中であまりにも巨大であるため、民主主義制度や公共セクターを掘り崩す力を保持してきた。企業の投資を誘致することが政府の最優先の仕事となった。「企業の投資が失われる」あるいは「大企業がどこかへ移転する」という脅しが、増税や労働者保護の充実あるいは金融規制を導入しようとする政府の手を縛ってきた。

実際、グローバル経済は企業の利益を中心として設計されてきた – 金がいつでも、どこへでも自由に移動でき、政府が公共の利益に反する投資を規制できないようにする。WTOやIMFなどの国際経済を統括する機関はこのような企業の関心によって深く影響され、これらの機関の政策や活動は人々の権利、ニーズや環境よりも大企業の「権利」に大きな配慮を示してきた。企業は、社会を組織するためには別の方法があるという考え方そのものを無力化してきた。

企業が何をしても責任を問われないという問題は、多国籍企業が国境を超えて活動している一方で法律およびその執行が依然として基本的には国家をベースにしているという事実によって増幅される。企業は「投資裁判所」のようないかなる民主主義的責任も負わない機関による特別の「正義」を享受できるが、企業の横暴の犠牲となった人々のためには救済のための国際的なメカニズムは存在しない。国際的なレベルで企業の責任を追及する試みの大部分は、市民による自発的な活動であり、したがって現実には強制力を伴わない。

企業の権力に対して何ができるのか

企業の権力を押し返すことは容易ではない。それは長期にわたる運動である。しかし、それはわれわれが現在直面している問題を解決しようとするならば、避けられない課題である。それは不可避的に、企業がそのような権力を保持することを可能にしている構造を変革することと、既存のシステムの中で企業による権力の乱用と免責を是正することの両方を含む。

この作業の1つは、われわれが必要とする物やサービスを生産・分配するための代替の方法を開発すること、つまり大企業だけが経済を「まわす」ことができるという考え方を掘り崩すことである。食料主権とエネルギー民主主義は企業抜きで経済を確立できることの2つの例である。しかし、同時に、企業がわれわれの経済の中で一定の役割を果たす限りにおいて、われわれは企業の活動をコントロールし、企業の横暴を防止する方法を見つける必要がある。この点において国際法は非常に重要な役割を果たすことができるだろう。

企業の権力のコントロールの長い歴史

企業の権力を規制するための闘争は長期にわたる闘争であり、その途上でいくつかの重要な成果を実現してきた。

世界史上の最大の多国籍企業の1つであった東インド会社は、18世紀に英国政府の代理人としてインドを搾取し、支配したが、大衆的な非難の高まりの中でその活動を禁止された。

20世紀には、米国における独占禁止法や銀行分割から、ラテンアメリカにおける民主的に管理された産業や協同組合の形成、インドにおける難病治療のためのジェネリック医薬品の生産まで、企業の行動を規制するいくつかの成功した試みがあった。

1970年代以降には、非同盟運動に参加した「第三世界」諸国からの圧力によって国際的レベルで企業を規制するための国連条約を起草する試みがあった。そのような試みは米国やヨーロッパ諸国の政府と手を組んだ企業グループによって撃退された。彼らは拘束力のある条約や法律を避けるため、「国連・ビジネスと人権に関する指導原則」のような自主的メカニズムを提案した。

多国籍企業に関する国連条約

しかし、2013年にわれわれは新たなチャンスを与えられた。エクアドルが、85の加盟国(大部分が「南」の諸国)を代表して、国連に多国籍企業の活動を規制するための国際法の制定を求める声明を提出した。そのような国際法は、多国籍企業による人権侵害の犠牲にされようとする人々を保護し、すべての政府がそれぞれの国の企業に人々や地球環境への影響に責任を負わせるよう義務付けるだろう。

2014年6月に国連人権理事会(UNHRC)が採択した決議26/092は、「国際人権法の下で、多国籍企業およびその他の企業の活動を規制する国際的な、法的拘束力を有する法律文書」が必要であることを明記している 。そのような法律文書(国際法または条約)の概要を検討する作業グループが設立された。この作業グループは、エクアドルが主宰し、1915年7月に第1回会合を開き、2016年10月に第2回会合が開かれる。このような国連条約は企業に対する実質的かつ拘束力のあるコントロールを確立するための稀なチャンスとなるだろう。

誰が国連条約を支持しているのか

この国連人権理事会の決議は、20カ国(主に「南」の諸国)の賛成によって採択された。アフリカのアルジェリア、ブルキナファソ、アジアのパキスタン、インドネシア、南米のキューバ、ベネズエラなどである。さらに、5つの主要な「新興国」のうち4つ –ロシア、インド、中国、南アフリカ-も賛成した。残念なことに、反対した国は米国、英国、ヨーロッパの大半の国など、世界の多国籍企業の多くが本社を置いている国である。特に米国と英国は大企業をコントロールすることを目的とする国際法の制定に一貫して反対し、拒否してきた。われわれはこの立場に異議を唱える運動を緊急に起こす必要がある。

また、広範なグローバルな市民社会団体から成る条約連合(Treaty Alliance)は国連条約の制定を支持し、条約の内容が有益かつ有効なものになることを目指している。

国連条約による企業のコントロール

国連条約は大きな可能性がある。なぜなら、それは企業がこの数十年間に手に入れてきた特権を取り消し、彼らに国際人権法、国際労働法、国際環境基準の遵守を強制できるからである。国際条約は各国政府が企業の権力の問題を真剣に取り上げ、彼らが行使している権力に関わる責任を問うことを義務付けることができる。それは各国政府が多国籍企業に対処する方法の基準を確立し、多国籍企業が各国を相互に対立させて底辺に向けての競走を強いることを許さず、最小限の基準を課すことを可能にするだろう。

これは非常にラディカルな変革を意味するだろうし、人々の生活に有益な影響をもたらすだろう。条約の範囲には、市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利など広範な権利を含めることができる。条約は企業の以下のような有害な活動を効果的に中止させることができる。

・ 鉱山開発を通じて地域社会に退去を強制したり、地域の環境を荒廃させる。
・ 水道事業を私営化し、水道料金を最も貧しい人々の支払い能力を上回るように引き上げることによって人々の水へのアクセスを制限する。
・ 労働者を健康に有害な環境で働かせ、尊厳のある生活ができないような低賃金で働かせる。
・ 国家と結託してインターネットを検閲し、抵抗運動を弾圧し、言論の自由やプライバシーの基準を侵すような治安的手法を導入する。
・ 知的財産権を利用して命を守る医薬品を一般の人々の手に届かない価格に維持する。

国連条約はどんな内容を含むのか

条約というものは本当に意欲的である場合にだけその目標を実現できる。だからグローバル・ジャスティス・ナウは、政府が画期的な条約を締結するように圧力をかけようとする国際的な運動の連合に参加している。合意される条約は以下の内容を含むべきである。

a) 条約は企業(とその出資者)とその子会社、請負業者、供給チェーンに人権侵害に関する責任を負わせる実効性のある法律を導入しなければならない。

b) 条約は各国が多国籍企業を規制し、自国で活動しているまたは自国に本社を置いている多国籍企業が国際人権法、労働法、環境基準をはじめとするすべての人権基準を遵守していることを保証するよう求めなければならない。

c) 条約は人権が通商協定や投資条約よりも優先されることを再確認しなければならない。それは通商および投資協定が拘束力を持つ人権優先条項を含まなければならないことを意味する。

d) 条約は多国籍企業の法的責任を規定しなければならず、それには企業の経営者、執行役員、取締役の個人的責任も含まなければならない。

e) 条約は企業による条約の遵守を監視し、企業による不正行為に関する調査を実施するための国際機関を設立しなければならない。また、多国籍企業によって人権を侵害された市民やコミュニティーが参加できる国際裁判所を設立する必要がある。人権を侵害した企業の本社が外国にあるという理由で公正な裁判に訴える権利を妨げられることがないようにするためである。

f) 条約は各国が人権擁護に関わっている人々や不正を告発した人々の活動を尊重し、保護し、奨励するよう求める規定を含まなければならない。

g) 条約に関する交渉は企業の影響から隔離されていなければならず、多国籍企業が自分たちに有利なルールを作ることは許されない。

h) 条約は企業に対して賠償を求めようとする個人が、自分が居住する国だけでなく、当該企業に対して司法管轄権限を持ついかなる国においてでも裁判に訴えることを可能にしなければならない。

民衆法廷の運動

多国籍企業に責任を負わせる国際的な法的機構が存在しないため、いくつかの象徴的な「民衆法廷」が開催されてきた。市民社会の諸団体がここに結集して、企業に責任を負わせるための実現可能な方法を示してきた。

1つの例として、ローマに本部を置く常設民衆法廷(Permanent People’s Tribunal、PPT)は、企業によって権利を侵害されたが、国内の法制度を通じて救済を求めることができない人々からの訴えを審理している。PPTは70年代以来、約40件のケースを扱い、法律専門家が既存の国際法に基づいて審理を行っている。もちろん判決は拘束力がなく、基本的には象徴的なものであるが、証人が証言できる重要な機会となっている。

たとえば、2010年5月にはマドリードでヨーロッパの多国籍企業のラテンアメリカにおける犯罪に関する審理が行われた。 この民衆法廷はヨーロッパの多国籍企業のこの地域における活動の非常に典型的な例として27のケースを取り上げている。それにはブラジル・アマゾンの人々がサンタンデール[スペインの銀行]およびGDFスエズ[フランスの電力・水道企業]による水力発電所の建設が環境被害と水汚染をもたらしたことに対する提訴が含まれる。この事業はデング熱、黄熱病、マラリアの感染拡大などの健康への影響をもたらした。

2016年10月にはモンサントに対して同様の民衆法廷が開かれる。全世界から収集された証拠は、モンサントによる環境破壊の犯罪や、モンサントの製品や生産方法が農民に及ぼしてきた影響に焦点を当てている。裁判官は法的枠組みとして 「国連・ビジネスと人権に関する指導原則」を適用してそれらの証拠を検討する。

★関連情報(英語)
The campaign to dismantle corporate power (企業の権力を解体するためのキャンペーン): www.stopcorporateimpunity.org
The treaty alliance (条約連合): www.treatymovement.com

企業による犯罪のケース・スタディー
世界では多国籍企業による人権侵害が告発されているケースが何千件にも及んでいる。国連条約の下で審理が可能になる典型的なケースの例を以下に示す。
[以下はいずれも英国に本社を置く多国籍企業が関係するケースである]

1)トラフィグラ社がコートジボワールでの有害廃棄物の不法投棄に関与(2006年)
トラフィグラ社は英国に本社を置く多国籍の石油販売企業である。同社は2006年にコートジボワールで有害廃棄物の不法投棄に関与した。これは地域コミュニティーに甚大な影響をもたらした。少なくとも15人が死亡し、10万人が治療を必要とした。10年にわたってトラフィグラ社に対する訴訟が追求された。アムネスティー・インターナショナルは5000ページに及ぶ証拠を収集し、英国の当局に対してトラフィグラ社がこの不法投棄の中で果たした役割を立証した。10年間にわたって、国内の裁判所への提訴の試みが繰り返されたが、犠牲者に対するいかなる公正な補償も行われていない。

2)ボーダフォン・グループがエジプトの反独裁運動に対して通信サービスを拒否(2011年)
通信企業ボーダフォン・グループはエジプト民衆の表現の自由・集会の権利を阻害したことで告発されている。2011年のムバラク独裁政権に対する民衆蜂起の中で、多くのデモ参加者たちはソーシャル・メディアを使って人々を組織したが、ボーダフォンは政権と協力して通信サービスを停止し、人々がモバイル通信を利用できないようにした。その結果、政治的な組織化が制限されただけでなく、救急治療へのアクセスも妨げられた。エジプト住居権センターは通信の停止による損害の賠償を求める訴訟を起こしたが成功しなかった。

3)BHPビリトン社のボルネオでの石炭開発に関連する土地強奪と水危機
英国・オーストラリア資本の鉱業企業BHPビリトン社が出資するインドネシア・ボルネオのインドメット・コール・プロジェクトは、10年間にわたる土地強奪のプロセスの中心となった。この採掘プロジェクトを進めるために地元住民の土地が強奪され、また、多くの住民がこのプロジェクトによって水の供給に重大な影響がもたらされ、十分な水を得られなくなったと訴えている。住民たちは現在、自分たちの土地所有権の法律上の承認を求めている。

4)GCMリソーシズ社のバングラデシュでの石炭開発に反対する住民が殺害される(2006年)
英国の鉱業企業GCMリソーシズ社は、バングラデシュのフルバリ石炭開発プロジェクトの調査と採掘のために設立された。2006年に鉱山開発に反対する平和的デモに民間警備隊が発砲し、3人が死亡、多数が負傷した。住民たちは計画されていた50平方キロの露天掘りの炭鉱が数千人の立ち退きと、バングラデシュで最も肥沃な農地の1つであるこの地域の農地の破壊をもたらすことを懸念していた。国連の7人の人権専門家によると、このプロジェクトはこの地域の住民の水、食料、適切な住宅へのアクセスの権利など多くの権利を脅かすものだった。2012年に2つのNGOがこの問題について、企業の不法行為に関する英国代表部に提訴した。英国NCP(連絡窓口)は2年間の調査の結果、GCMリソーシズ社に企業行動基準に対する部分的な違反があったことを認めたが、プロジェクトが将来にもたらす可能性がある影響については無視した。

5)多国籍民間警備会社G4Sがイスラエルの占領政策に協力
多国籍民間警備会社G4Sはイスラエルの子会社を通じてパレスチナの占領地におけるチェックポイント(尋問所)や監獄に警備サービスおよび警備用の機器を供給しており、パレスチナ人の人権を侵害しているとして告発されている。パレスチナ人の人権を擁護する弁護士の会(LPHR)による苦情申し立ては、同社がパレスチナの子どものイスラエルの監獄への収監を助長するなどの人権侵害に関与していると主張している。


タグ:多国籍企業
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2016年06月02日

EWGならびにユーログループに対してギリシャ債務帳消しを求める書簡 EWGならびにユーログループへ、ギリシャ債務帳消しを求める書簡

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市民社会グループからEWGならびにユーログループへ、ギリシャ債務帳消しを求める書簡
2016年5月19日


原文

ユーログループ[EU財務大臣グループ]ならびにユーログループワーキンググループ[同副大臣グループ]参加者各位

昨秋、我々のうちのいくつかの組織が、ヨーロッパ15カ国53団体ならびに10万の個人署名を集め、ギリシャ債務帳消しを求める請願を提出いたしました。その請願ではさらに、強制的緊縮政策の撤廃と、債務危機を早急、公正かつ人権を尊重した形で解決する新たな制度の、世界規模での導入も要請しています。

ゆえに我々は、ギリシャ債務問題がようやくユーログループ会合の議案に含まれたことを喜ばしく思います。が、同時に、直近(5月9日)の会合で提出された草案には、深い懸念を抱いています。

提案されている債務のリプロファイリング(リスケ対象期間内に決済期日の到来する債権のみをリスケの対象とする:訳注)では、ギリシャ債務問題を迅速かつ維持可能な形で解決するには不十分です。いわゆる“コンティンジェンシー・メカニズム(緊急時対応メカニズム。経済目標が達成できないという確証が得られ次第、議会審議を経ずに即座に開始される:訳注)”は、、民主的な決定手続きを無視しており、また、ギリシャが何らかの経済ショックに見舞われた場合、同国をどん底の状況に引き落とす危険性があります。

さらに、三方面から考案された様々なリプロファイング提案(支払期日延期を含む)は、ギリシャ債務危機の真の解決をはるか遠い未来に引き延ばすものです。解決の遅れは、この問題に関与する誰の利益にもならないとわれわれは信じます。それどころか、政治的配慮から解決がぐずぐずと引き延ばされ、挙句に「あまりに少なく、あまりに遅い」債務再編しかなされなかった、という事態が再び繰り返されることになりかねません。このような政治的配慮による対策の遅れは、すでにギリシャで、そして世界中の他の債務危機において、多大の損害を引き起こしてきました。

1980年代の途上国債務危機は、加重債務にリプロファイリングで対処する政策が、債務国を維持不能な債務の重圧の下に押し込め続け、何十年も開発の機会を失わせることを立証しています。加重債務の解決と経済成長の再開をもたらすのは、現実に債務削減しかありませんでした。これは現在のギリシャにも十分当てはまります。われわれは再び声を大にして、ギリシャ債務の大幅な削減を要求します。

しかし、債務問題解決の負担を欧州の納税者が負わねばらないないとすると、それは大変遺憾なことです。これは明らかに、元々は商業(私的)債務であったものを、公的資金で銀行を救済することによって、公的支出にすり替えた結果、生じたものです。いくつかの研究(最新のものはベルリンのthe European School of Management and Technologyによる)は、トロイカの貸付の95%が、欧州内外の古い債務の返済と銀行救済に使われたことを示しています。このように使われた費用の返済責任をギリシャ市民に要求することは不当です。

しかし同時にわれわれは、ギリシャ債務危機の解決は、欧州の納税者と公的予算への負担を最小にする形で行われるべきだという数カ国の財務大臣と同意見でもあります。よってわれわれは、欧州各金融機関への弁済ならびに債務帳消しにかかる費用は、救済融資の恩恵を被った銀行に負担させるべきだという主張を再度、強力に訴えたいと思います。

EWG(ヨーロッパワーキンググループ)は、この措置のための法的技術的提案の策定を即座に開始すべきです。
われわれは、民主主義の尊重、一致と団結、そしてすべての人の人権の尊重というEUの基本的理念を反映したギリシャ債務危機解決策を、EWGが策定し、ユーログループが承認するであろうことを深く信頼しています。


敬具

Attac Finland
Attac Ireland
Both Ends
Bretton Woods Project
CADTM - Committee for the Abolition of illegitimate Debts
Centre national de coopération au développement CNCD-11.11.11
Debt and Development Coalition Ireland
Ecologistas en Acción
Ekumenická Akademie
Enabanda, Erlassjahr.de – Entwicklung braucht Entschuldung
Eurodad - European Network on Debt and Development
European Information Human Rights Centre
Jubilee Debt Campaign UK
Společenství Práce a Solidarity
War on Want
Zukunftskonvent
 
 
posted by attaction at 16:20 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月03日

ギリシャ債務真実委員会のレポート翻訳に向けて

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ギリシャ債務問題について、会員の皆さんにも協力してもらおうという話になりました。翻訳など、ご協力よろしくお願いします。

 + + + + +

ギリシャ、スペインの問題を皮切りにして、

(1)スペイン・ギリシャの広場占拠から続く「もうひとつの道」(8月5日、海老原さん)
(2)ギリシャ債務真実委員会の予備レポート
(3)フランスの反資本主義新党の公的債務レポート

という三回連続の学習会(トロイカ)をやりましょうか、ということになりました。ただし(2)は、レポートがギリシャ語、英語、仏語しかなく、ありません。

ギリシャ語英語仏語 

レポートは全部で9章60頁ほどあり、

 第1章 トロイカ以前の債務
 第2章 2010〜2015年のギリシャ公的債務の展開
 第3章 2015年のギリシャ公的債務
 第4章 ギリシャにおける債務システム機構
 第5章 持続可能性に反する賦課条件
 第6章 「財政支援計画」が人権に及ぼす影響
 第7章 メモランダム(覚え書き)と貸し付け協定に関する法的諸問題
 第8章 正統性の欠如、悪質性、不法性、持続不可能性に関する債務評価
 第9章 ギリシャの公的債務の清算と一時棚上げに向けた法的基礎

という構成です。

運営委員会では、英語とフランス語なので、会員の方にお願いして読み込んでもらい報告してもらってはどうか、ということになりました。一人よりも数名で分担してもらった方が、負担も軽減されるのではないかと思っています。

国会が落ち着いた9月後半と10月に、上記の(2)と(3)の学習会を行えば三回連続の学習会になります。どちらが先になるかはちょっとまだ決めていませんが、みなさんの協力と都合次第で決めたいと思います。

具体的には、一つあるいはいくつかの章を読んでいただき、それをレジメにまとめる、という作業です。もちろん全編を通して読んでいただいた方がより理解は深まると思います。時空的に可能であれば上記の学習会に参加していただき報告もしてもらえると嬉しいです。

ということで、ギリシャ債務真実委員会のレポートに挑戦してみよう、という方がおられましたらぜひご一報ください。8月5日のイベントの時には、(2)と(3)の企画を発表したいと思っていますので、ぜひご協力を。

こちらのattacフランスのサイトに、ギリシャ債務についてメディアで言われていることに対する反論「ギリシャ債務8つの誤解」というQ&Aと、それをもとにして(?)つくったアニメ・ビデオ・クリップ「ギリシャ危機の三つの神話」が公開されています。けっこうわかりやすそう。


 
posted by attaction at 09:39 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月06日

ギリシャ:反対票のみごとな勝利

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反対票のみごとな勝利

エリック・トゥサン

ギリシャ公的債務真実委員会の科学コーディネーター
CADTM[第三世界債務帳消し委員会]国際ネットワーク代表世話人

 「反対」票のすばらしい歴史的な勝利は、ギリシャの市民が債権者からの恐喝を受け入れるのを再び拒否したことを示すものだ。ギリシャ議会が創設した公的債務真実委員会の予備的報告が示したように、不法であくどく正統性のない債務に対し、国家が一方的に支払いを猶予したり、拒絶したりすることを認める法的論拠が存在している。

 ギリシャのケースでは、こうした一方的行為は以下のような論拠に基づいている。

●国内法や、人権に関する国際的義務を違反するようギリシャに強制した債権者側の背信
●前政権が債権者やトロイカ(EU、欧州中央銀行、IMF)との間で調印したしたような協定に対する人権の優越
●その抑圧性
●ギリシャの主権や憲法を無法にも侵害する不公正な用語
●そして最後に、故意に財政的主権に損害を与え、あくどく不法で正当性のない債務を引き受けさせ、経済的自己決定権と基本的人権を侵害する債権者の不法行為に対して国家が対抗措置を取る、国際法で認められた権利

返済不可能な債務について言えば、すべての国家は例外的な状況において、重大で差し迫った危機に脅かされる基本的利害を守るために必要な措置に訴える権限を、法的に有しているのである。

こうした状況の中で、国家は未払い債務契約のような危険を増大させる国際的義務の履行を免除されうる。最後に諸国家は、不正な行為に関与せず、したがって責任を負わない場合には、自らの債務の支払いが持続不可能な時に一方的に破産を宣告する権利を持つのだ。

CADTM@facebook

その他、日本語の資料としてはalterglobe.netのギリシャ関連情報など参照
 
▼左からチプラス首相、エリック・トゥーサン、ゾーイ議会議長
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posted by attaction at 10:16 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月03日

ネパールの債務の全面的で無条件の帳消しを! ジュビリーサウスからの呼びかけ

ネパールの債務の全面的で無条件の帳消しを!

5月22日

債務と開発に関するアジア民衆運動/ジュビリーサウス


原文(英語)
http://cadtm.org/Total-and-Unconditional-Debt

債務と開発に関するアジア民衆運動(APMDD)とその加盟団体、ジュビリーサウス・ネットワークの仲間たち、そして国際社会の中のパートナーたちは、4月25日と5月12日の地震のあと、生存のために苦闘し、想像を絶する荒廃と苦難と損失に立ち向かっているネパールの人々と共にあります。

またもや、巨大な災害によって、貧困と剥奪の下で生きている人々が直面しているひどい脆弱性に注目が集まり、世界がそれを思い知らされることになりました。最初の地震だけで8000人近くの人が死亡し、さらに多くの人々が行方不明、負傷、飢え、ホームレスの状態に置かれました。

ネパールは後発発展途上国(LDC)の1つであり、国連の人間開発指数の底辺に近く、187カ国中145 番目です。 2014年からのわずかな改善も地震によってほぼ一掃されてしまいました。アジアでは10億人以上の人々が極端な貧困レベルを辛うじて上回る1日1.25ドルから2.50ドルの所得で生活しており、ネパールはアジアの多くの貧困国の1つです。すでに何重もの社会経済的剥奪の下に置かれてきた彼ら・彼女らは、大災害や危機に直面して、以前よりも一層深刻な貧困に陥る大きな危険にさらされています。

ネパールは38億ドルの対外債務の返済のために、2013年だけで2.13億ドルを債権者に支払わなければなりませんでした。この債務はネパールの人々を貧困から脱出させるためにはほとんど役に立っていないにもかかわらずです。債権者の中には世界銀行とアジア開発銀行が含まれます。これらの銀行の融資は、地域共同体を追い出し、環境を破壊し、民間セクターの社会サービスへの投資を優遇するようなプロジェクトにのみ使われ、ネパールの人々を借款と援助への経済的依存の状態に縛りつけてきました。たとえばアジア開発銀行の水プロジェクトへの「譲許的融資」は、中央政府から地方政府にわたるまでにいくつかの段階を通り、そのたびに金利が高くなっています。

ネパールの災害はIMFの災害抑制救援基金(CCR基金)の適用を受けると考えられます。これがネパールの人々の苦難を軽減するかも知れないことは認めるとしても、困窮している人々の救済に条件を付けるような邪悪な行為について指摘しておかなければなりません。救援が実質を伴うためには、IMFはネパールの、2015年が支払期限となる1000万ドルをはじめすべての債務をただちに、無条件で帳消しにするべきです。

IMFはその顧客である国家を通じて強制される財政上の条件をますます厳しくすることによってアジア地域全体に荒廃をもたらしつつある。それは貧困層に不当な負担を強いる消費税の導入から、公共支出の削減、公共セクターのレイオフ、社会サービスの民営化やその他の形での経済の再編まで広範囲にわたっています。その悲劇的な結果として、貧困と不平等の一層の深刻化、今日における広範な人権侵害がもたらされており、それらはすべて「南」の人々にとってあまりにも明白な現実となっています。

私たちはネパールのすべての債務(多国間、二国間および民間)について、国際金融機関、政府および政府の開発融資機関、民間・商業銀行および投資家を含むすべての債権者がただちに、完全かつ無条件に取り消すことを求めます。

私たちはこの重要な時にあたって、ネパールの人々に連帯し、民衆組織/社会運動として、緊急の援助を呼びかけ、公平で、人間的で、持続可能な社会の建設に向けての闘いを進めるために断固とした集団的な努力を払うことを約束します。


第一次賛同団体:

地域および国際的ネットワーク
Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (of the Jubilee South network)
LDC [Least Developed Countries] Watch
Migrant Forum in Asia
South Asia Alliance for Poverty Eradication (SAAPE)
CADTM International

バングラデシュ
Bangladesh Krishok Federation [Bangladesh Peasant Federation]
Coastal Association for Social Transformation Trust (COAST)–Bangladesh
Equity Equity The capital put into an enterprise by the shareholders. Not to be confused with ’hard capital’ or ’unsecured debt’. and Justice Working Group (EquityBD)–Bangladesh
​Sushasoner Jonny Procharavizan (SUPRO) Bangladesh
Community Development Library–Bangladesh
Jatiyo Sramik Jote–Bangladesh
Society of Development and Education for Small Households (SoDESH)–Satkhira, Bangladesh
Voices for Interactive Choice and Empowerment (VOICE)–Bangladesh

インド
Environics Trust
Indian Social Action Forum (INSAF)
Nadi Ghati Morcha–India

インドネシア
Aksi! – For Gender, Social and Ecological Justice
Koalisi Rakyat untuk Hak Atas Air (KRuHA) [People’s Coalition for the Right to Water]–Indonesia
debtWATCH Indonesia
Solidaritas Perempuan [Women’s Solidarity]–Indonesia

マレーシア
Monitoring Sustainability of Globalization–Malaysia

パキスタン
Pakistan Kissan Rabita Committee [Pakistan Peasants’ Coordination Committee]
Pakistan Fisherfolk Forum

フィリピン
Aniban ng Manggagawa sa Agrikultura [Alliance of Agricultural Workers]–Philippines
Freedom from Debt Coalition–Philippines
KATARUNGAN–Philippines
Philippine Movement for Climate Justice
RightsNet–Philippines
Sanlakas Pilipinas
Koalisyong Pabahay ng Pilipinas

ネパール
All Nepal Women’s Alliance
Campaign for Climate Justice–Nepal
Jagaran Nepal
Right to Food Network–Nepal
Rural Reconstruction Nepal

スリランカ
Centre for Environmental Justice/Friends of the Earth Sri Lanka
 
 
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2015年05月13日

ギリシャの抵抗する人々と公的債務真実委員会を支持するアピール

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第三世界債務帳消し運動(CADTM)パキスタンのサイード・アブドル・ハリク(Syed Abdul Khaliq)さんからの要請です。原文(英語)、世界各国の賛同者のリスト、署名フォーマットは

http://cadtm.org/Appeal-to-support-the-Resisting

拡散に協力をお願いします。

喜多幡




署名を!
ギリシャの抵抗する人々と公的債務真実委員会を支持するアピール


CADTM(第三世界債務帳消し国際運動)のアブドル・ハリクさんより

全ヨーロッパと全世界の人々へ

緊縮政策に反対し、不当な公的債務 – 私たちの知らない所で、私たちの利益に反して合意され、私たちを窒息させようとしている – の返済を拒否するすべてのみなさん。

このアピールに署名する私たちは、2015年1月25日の選挙での投票を通じて、北半球で初めて緊縮政策の政治 – 人々の知らない所で、人々の利益に反して、トップの地位にある人たちによって取り決められたいわゆる「公的債務」を返済させるために押し付けられた – を拒否した最初の国民となったギリシャの人々を支持します。同時に私たちは、ギリシャ国会議長の提案によってギリシャ公的債務真実委員会が設立されたことを、ギリシャの人々だけでなくヨーロッパおよび全世界の人々にとって非常に重要な歴史的出来事であると考えます。

実際、ギリシャ国会の真実委員会 – 全世界のボランティアの市民によって構成されている - は他の国でもモデルとされるでしょう。なぜなら、第一に債務問題はヨーロッパと全世界の大半を苦しめている災禍であり、第二に何百万人もの人々が的確にこの債務について基本的、根本的な疑問を提起しているからです。

「この融資は何に使われたのか? 融資にはどんな条件が付いていたのか? 利子がどれだけ払われたのか、どんな利率か? 元金はどれだけ返済されたのか? 元金はどんな方法で返済されたのか? 人々の何の利益ものたらさない債務がどうやって累積したのか? 元金はどこへ行ったのか? どれだけが不正利用されたか、それは誰によってか、どういう方法でか?

さらに、誰が、誰の名義で融資を受け取ったのか? 誰が、どういう立場で融資を認めたのか? それに国家はどのように関わったのか? どのような決定によってか、また、どのような承認手続きによってか? 私的な債務がどうやって公的債務になったのか? 誰がそんな不適切な仕組みを作ったのか、誰がそれを後押ししたのか、誰がそこから利益を得たのか? その資金でどんな違法行為や犯罪が行われたか? なぜ、その民事、刑事、行政責任が問われてこなかったのか?」

これらの疑問はすべて、委員会 - 「公的債務の出現と不釣り合いな増大に関連するすべての情報を収集する」権限を公式に与えられている – によって徹底的に分析され、科学的な精査が行われ、それによって債務に関する覚書の対象期間 (2010年5月から2015年1月)、および先行する期間における債務のどれだけの部分が不正または違法、不当、もしくは持続不能であるかが判断されます。委員会は正確な情報を公表しなければならず、それはすべての市民に公開され、債務帳消しの正式の宣言を支持する根拠を示し、ギリシャの人々、国際社会、国際世論の中での理解を増進し、最終的に論点と要求を書き上げなければなりません。

私たちは、これらの疑問に対する明確で正確な回答を要求することがすべての市民の最も基本的な権利であると考えます。私たちはまた、この疑問への回答を拒否することは、「債務システム」 - 金持ちを一層金持ちに、貧しい人々を一層貧しくするためのシステム – を考案し、利用している最高責任者における民主主義と透明性の否定を示すものと考えます。さらに悪いことには、この最高責任者たちは、社会の運命を自分たちの手に独占しつづけることに汲々として、圧倒的多数の市民の決定権だけでなく、自分たちの運命と人類の運命を自分たちの手に取り戻す権利を奪っている。

だから私たちは、このかつてなく非民主主義的で、非人道的な新自由主義のヨーロッパを拒否するすべての市民、社会運動、エコロジーやフェミニストのネットワークと運動、労働組合、政治団体に、以下の緊急のアピールを発しています:

ギリシャの公的債務真実委員会とその活動 – ギリシャの公的債務の内、違法、不当、不正、持続不可能な債務を明確人する – を支持することによってギリシャの人々の抵抗運動に連帯を示そう。

公的債務真実委員会とその活動を、ギリシャ国内および全世界の、「債務システム」に関する真実を隠蔽しようとしているすべての勢力からの激しい攻撃から守ろう。

ヨーロッパや世界各地で取り組まれている市民の債務監査に積極的に参加しよう。

あなた方の支持、連帯をあなた方の社会的ネットワークで共有しよう。なぜなら、この支持と国際連帯こそが、私たちの共通の敵、緊縮政策と私たちを絞め殺そうとしている債務に対して闘っているギリシャの人々に対する支配権力の攻撃を止める唯一の手段だからです。

私たちの敵は、経験豊富で、団結していて、見事に連携していて、強力な権力を持っており、私たち – 私たちの社会の圧倒的多数を占める人々 - に対する攻撃を最後までやり遂げることを固く決意しています。私たちはバラバラになって、それぞれが自分の領域だけで闘っているという余裕はありません。だから、ギリシャの抵抗闘争との連帯、ギリシャ国会の真実委員会への支持、そしてそのような債務監査委員会を可能なあらゆる所へ広げるための巨大な運動へと私たちの力を統一しようではありませんか。なぜならギリシャ人民の闘争とその勝利は私たちの闘争であり、私たちの勝利であるからです。団結こそが私たちの唯一の力です。団結すれば私たちは抵抗でき、分裂すれば倒れる。

サイード・アブドル・ハリク
(Syed Abdul Khaliq)

Executive Director,
Institute for Social & Economic Justice (ISEJ)
Focal Person, (CADTM) Pakistan




参考:反新自由主義の改革に着手するギリシャ新政権
「労働情報」誌5月1/15日合併号より)


トロイカの圧力に抗し、圧倒的支持を背景に緊縮政策の撤回へ

シリザ政権は4月1日、EU・欧州銀行・IMF(トロイカ)が緊急融資の期限である4月末以降の融資継続の条件として提出を求めていた財政改革計画を提出した。

トロイカ側は前政権の下で進められてきた緊縮政策・新自由主義的な「改革」の継続を強く要求しているが、シリザ政権が示した計画は課税の強化・脱税の防止などにより税収を確保しつつ、前政権による「改革」や緊縮政策については撤回する方向を示している。

課税の強化については、海外への送金・税回避に対する監査の実施、石油・タバコ・酒類の不正な輸入の取り締まり、多国籍企業に対する「OECD移転価格ガイドライン」の厳格な適用、付加価値税の徴収強化のため領収書発行の奨励(受け取った領収書を提示した消費者に対して宝くじを発行する)、テレビ広告税・富裕税などの新税やテレビの周波数割当料の導入等の措置が、その効果額と共に示されている。

民営化については、前政権の下で行われた民営化が失敗していることを指摘し、今後はケース・バイ・ケースで進めていくとしている。

労働市場改革をめぐっては、中小企業等で就労に関して届出が行われていないケースがこの4年間に急増していること、団体交渉の規制が悪影響をもたらしていること[最低賃金以下でのアウトソーシング(外注)など]を指摘し、団体交渉権の確立、企業の法令順守の監視、最低賃金の段階的引き上げ、労働法制の整備等の計画を示している(英国の「フィナンシャル・タイムズ」紙が電子版4月5日付で公表)。

欧米のメディアは、EUがこの計画を受け入れず、シリザ政権は窮地に立たされるという観測を流し、交渉の決裂、シリザ政権による解散・再選挙あるいはEU離脱の可能性について書きたてている。ギリシャからの資本の流出も続いている。

しかし、世論調査によるとギリシャ国内で新政権の支持率は75-80%に達しており、現時点で再選挙が実施された場合に前政権の与党の壊滅的な敗北が確実である。また、EU離脱については反対が圧倒的に多数であり、シリザもEUとの協調を強く意識している。

一方、IMFのラガルド総裁自身が、13年6月に「IMFは緊縮政策がギリシャにもたらす損害について認識していなかった」と認めており(英国「ガーディアン」同年6月5日付)、EU内のイタリア、フランスなどの有力国も緊縮政策の軌道修正を求めている。

シリザ政権はすでに、「一方的措置を認めない」というトロイカの圧力をはねのけて、緊縮政策からの転換の第一歩を踏み出している。最初の法案として、3月18日に最貧層へのフードスタンプ支給、電力料金無償化などの支援に関する法案が可決された。この措置には総額約2億ユーロが割り当てられる。この法案はギリシャがこの5年間で初めて、トロイカの指図を受けずに制定した法律だと言われている。こうしてギリシャの人々は尊厳と主権の回復を実感しはじめている。

不正な債務の監査がスタート、返済拒否を射程に

3月17日、国会議長が記者会見で、債務監査委員会の設立を発表した。これは財政危機の深刻化の中で市民グループが提唱してきたものである。

ギリシャの公的債務の多くの部分は国際的な金融機関(主にドイツの銀行)が仕組んだものであり、法外な金利や、金利支払いのための新たな借款という循環の中で膨れ上がったものである。また、国の規模や周辺国との関係と不釣り合いな巨額の兵器輸入(主にドイツ、フランスから)のための借款など、ギリシャ経済や国民に何の利益ももたらしていない借款が大部分である。

同委員会には、ソフィア・サコラファ欧州議員、ゲオルゲス・カトロウガロス機構改革相のほか、CADTM(第三世界債務帳消し委員会)のエリック・トゥーサン氏など市民グループの活動家も参加する。4月4日に最初の会合が開かれ、6月に債務返済の要求に対するギリシャの立場を明確にした予備的レポートが発表される。全体の監査は12月までに完了する。政府は、監査の結果に基づいて、不当な債務の返済を拒否することを射程に入れている。

エリック・トゥーサン氏によると、これまでにも債務の帳消しは多くの事例があり、多くの場合、その後の経済復興あるいは経済発展の出発点となっている。最近では、トゥーサン氏自身も関わったエクアドルの例がある(CADTMのウェブ等より)。

シリザ政権はまた、ドイツ政府に対して第二次世界大戦に関連する賠償に言及することによって、執拗に債務返済を迫るメルケル首相を牽制している。

4月8日にはチプラス首相がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。シリザ政権はEUの対ロシア制裁に反対し、ロシアとの貿易の再開を目指している。イタリアのレンティ首相も同様の動きを行っている。

対決の第2ラウンドへ


2月のトロイカとの融資継続に関する交渉では、トロイカ側の強硬な姿勢を前に、新政権側は債務返済の確約と前政権による約束の尊重の代償として4月までの融資延長を確保するのが精一杯だった。政権内外で新政権の「現実路線」への批判あるいは危惧が語られはじめた。

シリザの外交・防衛委員会の書記のアントニス・マルコポウロス氏はベネズエラの国際放送「テレスール」とのインタビューで次にように述べている(3月22日付)。

「現在、政府にとっての最優先課題は選挙公約を果たすことであり、2年をかけてそれを実現したい。可能であれば最初の4カ月間に、その主要な部分について実現したい。目的はもちろん、ギリシャのすべての人々の生活水準を高めることだが、国全体を変革すること、特に選挙で最も大きな期待が寄せられた部分について変革することが必要だ。それらの部分については保守的な人々からも支持が集まっている。彼らは私たちの約束の10%でも実現してくれたらうれしいと言っている」。

「最初の4カ月間に実施する政策のリストは、3月18日に議会で可決された。これは人道的危機に対応する政策を含んでいる。ギリシャの人々が、過大な負担なしに国家に税金を払えるようにするためのいくつかの措置も含まれる。また、社会権、労働権についてヨーロッパの法律やILOの基準に一致させるための措置も含まれる。・・・最初の4カ月の後は、最低賃金を引き上げていく。最初に若者の賃金、その後、徐々に全体の賃金を引き上げていく」。

こうして新政権は攻勢的にトロイカとの攻防の第2ラウンドに入りつつある。
posted by attaction at 08:32 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月21日

DebtBye!(でっとばい) 第7号 発行

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もくじ

◎ トロイカ・ウォッチ(ニュースレターNO.1)
◎ アイルランド復興は欧州流のたわ言
◎ アイルランド“救済”675億ユーロの救済融資、895億ユーロが銀行へ

2014年5月発行


web版、ダウンロードはブログDebtBye!からどうぞ。
 
posted by attaction at 10:21 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月28日

台湾の青年学生のサービス貿易協定反対運動を支持します!

台湾の青年学生のサービス貿易協定反対運動を支持します!
日本人民支持台灣青年學生佔院反服貿!


サービス貿易協定に反対し、民主主義を取り戻す行動に立ち上がった台湾の青年学生のみなさん。
為反服貿爭民主站起來的台灣青年學生的朋友們。

私たちは、サービス貿易協定に反対し、民主主義を取り戻すという、みなさんの行動と立場に日本から熱烈な声援を送ります。
我們向你們為反服貿、爭民主的行動和立場,致上熱烈的聲援。

台湾と中国のサービス貿易協定は、WTO協定のなかのGATS(サービスの貿易に関する一般協定)を手本にしています。
兩岸服務貿易協議是以世貿(WTO)的服務貿易總協定(GATS)為標本的。

WTOは自由貿易主義を標榜していますが、その「自由」は大企業の自由、ごく少数者の自由に過ぎません。
WTO標榜為自由貿易主義,可是其“自由W是大企業的自由、極少數人的自由而已。

これまで世界中で反民主的な自由貿易協定反対の行動が続いてきました。
直到現在,對於反民主的自由貿易協議的全球範圍反對運動從來沒有停息過。

自由貿易協定反対の運動は民主的で公正なもうひとつのグローバル化を目指す運動です。
反自由貿易協議運動是爭取民主的、公平的另類全球化的運動。

台湾の青年学生のみなさんの今回の行動は、そのような行動の見事な手本となりました。
台灣青年學生們的這次行動成為其最好的榜樣。

日本政府はサービス貿易の自由化を含むTPP交渉に参加しています。それによって農民、労働者、市民、学生の未来に大きな影が差しこんでいます。日本でもTPPに反対する運動がつづいています。
日本政府參加的跨太平洋戰略經濟夥伴關係協議(TPP)的談判,是包括服務貿易自由化的協議。因此不祥的影子籠罩著日本農民、勞動人民、市民以及青年學生們上。

自由貿易体制に苦しんでいるのは台湾や日本だけではありません。サービス貿易協定の締結相手である中国での労働者農民たちも自由貿易体制、新自由主義の苦しみを受けています。
呻吟自由貿易體制的,不僅在日本和台灣的人民。還有兩岸服貿協議對方的中國工農人民都嘗到自由貿易體制的辛酸的。

グローバルな自由貿易体制、グローバルな反民主主義には、グローバルな連帯、グローバルな民主主義で対抗する必要があります。
對於全球自由貿易體制和全球反民主體制,應當提出全球的團結和全球民主來抵制的。

台湾政府の暴力的弾圧糾弾!
譴責台灣政府暴力鎮壓!

台湾の青年学生のサービス貿易協定反対運動支持!
支持台灣青年學生的反服貿運動!

台湾の青年学生の立法院奪還行動支持!
支持台灣青年學生的奪回立院行動!

台湾の青年学生の民主主義防衛運動支持!
支持支持台灣青年學生的捍衛民主運動!

サービス貿易協定に反対する台湾・中国の団結支持!
支持反服貿運動的兩岸團結!

アジア人民は団結してサービス貿易に反対しよう!
亞洲人民團結反對服貿協議!

世界の人民は団結して民主的で平等な社会経済体制をつくろう!
全球人民團結實現民主公平的政經社會體制!

署名団体
ATTAC Japan(首都圏)
posted by attaction at 14:51 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月22日

12月WTO閣僚会議(同3-6日、インドネシア・バリ)に向けてWTO/TPP/FTAに反対するアジアと全世界の運動と連帯しよう

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12月WTO閣僚会議(同3-6日、インドネシア・バリ)に向けて
WTO/TPP/FTAに反対するアジアと全世界の運動と連帯しよう


2013年11月
ATTAC Japan全国ネットワーク


12月3−6日、インドネシア・バリでWTO第9回閣僚会議が開催されます。この会議の後、TPP交渉の年内大枠合意に向けた関係国会議も予定されています。

米国のフロマン通商代表部(USTR)代表は9月11日にジュネーブでの記者会見で、米国が進める環太平洋連携協定(TPP)交渉と、欧州連合(EU)との貿易投資連携協定(TTIP)交渉に関連して、「WTO交渉を先取りする形でTPPなどの自由貿易協定(FTA)交渉が妥結できれば、合意した項目が事実上のグローバル・スタンダードになる」と発言しています(「日本農業新聞」9月13日付より)。

WTO交渉は、貿易の自由化を掲げながら、現実には欧米や日本の多国籍企業にとって不都合な規制を撤廃し、人間の営みにとって不可欠のすべての公共財やサービスを金儲けの手段にすることを目指してきました。これに対して全世界の市民運動や社会運動の側からの批判が高まり、1999年のシアトル、2003年のカンクン、2005年の香港での閣僚会議は、関係国間の利害対立もあいまって失敗し、世界的な貿易のルールを確立するという試みは事実上頓挫しました。

その後各国は、二カ国間あるいは多国間の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)に重点を移してきました。その中で、米国のオバマ政権の下でTPPが「21世紀の通商協定」として位置づけられ、徹底的な秘密主義の下で、貿易だけではなく、知的財産権、政府調達、金融・保険、食品の表示にいたるまで、私たちの生活のあらゆるレベルに影響を及ぼすルールが検討されています。

2008年の世界金融危機以降、新自由主義がもたらした危機、世界的な環境の破壊と貧困、格差の拡大は一層耐えがたくなり、世界各地で大きな抵抗の運動が広がっています。しかし、この危機を引き起こした金融機関や多国籍企業は、この危機に便乗して各国政府の政策への介入を強め、また、世界各地で資源や土地の強奪、環境破壊を進めています。

従来、欧米諸国や多国籍企業のこのような横暴に批判的な立場を示し、「南」の諸国の人々を部分的に代弁するような役割を果たしてきたBRICS諸国が、欧米諸国の危機の中で、新自由主義的グローバル化を積極的に推進する立場を明確にしてきていることも軽視できません。私たちはWTOがTPPやFTAによってパワーアップされ、BRICSを取り込む形で再発進することに反対します。

私たちはまた、TPPがアジアや南アメリカを分断する形で、日米同盟の一環として推進されていることにも反対してきました。アジアと南アメリカ地域はそれぞれ、長年にわたる「北」の諸国による支配を克服しながら、それぞれの地域的な経済協力を発展させてきました。TPPがこれらの地域に勝手なルールを持ち込もうとしていること、また、加盟各国の主権を著しく侵害する内容が完全な秘密の下で進められていることに強く反対します。

現在、TPP交渉と並行して日米二国間交渉が重ねられており、米国の対日要求を先取りする形で、あるいは米国の対日要求に便乗する形で、農業の切り捨てや、金融・保険の市場開放、さまざまな特区構想が打ち出されています。これらの動きはTPP交渉の帰趨にかかわりなくすでに着手されつつあります。

ATTAC Japanはアジアの社会運動団体の「12月WTO閣僚会議に向けた行動の呼びかけ」に賛同し、グローバル・ジャスティス(公正な世界)を目指す全世界の人々とともに、WTOにもTPP/FTAにも反対して、12月1−6日にインドネシア・バリで開催される「WTOを終わりにしよう」アクション・ウィークへの連帯と12・3グローバル・アクションデーの行動を呼びかけます。
タグ:WTO TPP
posted by attaction at 09:57 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

12月WTO閣僚会議に向けた行動の呼びかけ(Gerak-Lawan)

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「フォーカスオンザグローバルサウス」のウェブに掲載されている呼びかけです。

インドネシアはTPP交渉の1つの焦点となっているAPEC会合の開催地ともなっており、TPP加盟国/非加盟国の分断を超えて、新自由主義的な貿易交渉に反対するアジア各国の運動と連帯する上で、インドネシアの運動団体の取り組みに注目したいと思います。

Gerak-Lawanの構成団体と、この呼びかけに賛同する各国の団体のリストは省略しましたが、原文のリンクには掲載されています。ビアカンペシナが中心となっていることを反映して、農民団体が並んでいます。フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスや、トランスナショナル・インスティテュートなどのおなじみの団体も名を連ねています。 ATTAC Japanも賛同しました。

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インドネシアの社会運動団体から
12月WTO閣僚会議(12月3-6日、インドネシア、バリ)に向けた行動の呼びかけ

Gerak-Lawan
(新植民地主義と帝国主義に反対する人民運動)


原文(英語)

資本主義システムは深刻な危機にある。システムが破綻に瀕した2008年の金融危機以降、完全な回復には至っていない。それどころか危機は広がり、食料、経済、エネルギー、気候の危機が深まっている。深く全面的な危機は、新自由主義体制を終わらせなければならないことの全く明白な証拠である。しかし、G20に率いられた各国政府は、99%の人々に耳を傾けるのではなく、緊縮政策を押し付け、社会サービスを切り捨て、人々に銀行や企業の救済のための金を出させ、危機をもたらす上で主要な役割を果たした投機人たちを抑制するためには何もしていない。

より悪いことに、これらの政府は国際通貨基金(IMF)や世界銀行、世界貿易機関(WTO)のような、とっくの昔に正統性をなくしてしまった国際機関を復活させようとしてきた。これらの機関と共に、現在では自由貿易の一層の自由化のための新しい動きがある。TPP、米国・EU間のFTA、EUとアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国の間のFTA、二国間投資協定、APECなどの自由貿易協定の新しい波と、「グリーン経済」と呼ばれる資本主義による自然の搾取の新しいモデルである。

アジアはこの危機の局外者ではない

アジアの国々を打ち砕いた1997年の金融危機は深い傷跡を残した。瞬く間に通貨はその価値の70%までを失い、国内企業は突然、返済不可能な債務を抱え、何百万人もの人々が貧困線以下へ、そして失業へと陥った。インドネシアだけでも、1998年1月にその通貨価値の75%を失った。

破滅から数年を経た後では、ほとんどのアナリストは、アジアにおける経済の自由化、とりわけ金融の自由化こそが、投機人たちの出入りと、何十億ドルもの資金の持ち出しを許し、破滅した経済を残して立ち去ることを許したということを認めるようになった。また、長年にわたって国際金融機関によって押し付けられてきた構造調整プログラムこそが、アジアを輸出指向と換金作物栽培の経済に変え、国際市場に完全に依存するようにした。さらに、危機のどさくさに IMFが押し付けてきた緊縮政策は、経済に一層の害を及ぼし、経済を一層脆弱にした。これらはG20の政府が現在、自国の国民に押し付けているものと全く同じ緊縮政策である。

インドネシアの依存性の深まり

多くの年を経た後でも、アジア経済はいまだに国際市場に従属している。インドネシアでは、市場の自由化は種々の商品の輸入依存度の上昇をもたらした。インドネシアは2012年だけで約125兆ルピー(約1.28兆円)の食品を輸入した。特に、牛肉、小麦、米、大豆、魚、塩、ジャガイモが大きな割合を占めている。

食糧の輸入依存度が上昇した結果、特に漁業部門で労働力が減少した。さらに、輸入の増加は国内セクターを一層弱体化させ、特に女性たちが農業における重要な役割と貢献が衰退することにより影響を受けるだろう。

事態を悪化させるもう一つの要因は、外国人投資家への保護の拡大である。2012年のジャカルタ証券取引所のデータだけでも、インドネシアへの外国からの投資額は436兆ルピア(4.46兆円)であり、株式取引の合計金額の70%を占めている。2012年には、第1次産業(食糧用作物、プランテーション、鉱山)への外国直接投資額は480万ドルだった。この第1次産業への投資の増加傾向は、農地をめぐる紛争や企業・投資家による土地・天然資源の強奪の拡大につながっている。

また、外国投資の金額はインドネシアの労働者の福祉の増進と相関しない。労働力の吸収は減少している。たとえば農業分野では、この数年間に45万人の労働者が吸収されず、失業者数の増加をもたらしている。これらの事実は、国内セクター、特に小規模な経済主体がどれほど外国企業による打撃を受けているかを示している。そしてインドネシア政府は、国民よりも外国人投資家に、より多くの保証を与えてきた。

しかし、このような国際市場への従属や、国民よりも外国人投資家や多国籍企業を保護するという物語は、インドネシアだけでなく、この地域全体で見ることができる。韓国では、貿易自由化のために借金を重ね、貧困に陥った国内の農民が自死するに至っている。フィリピンでは、漁業人口の貧困率は今では国民の平均(30%)を上回る53%になっている。インドでは、福祉事業の労働者が経済特区で非常に低い賃金で働いている。これはインドが署名した自由貿易協定の投資に関する取り決めに従って投資家に提供されている特権の一部である。タイでは、「貿易関連の知的財産権」のために無数のHIVおよびHIV / AIDS患者たちが、生きるために必要な抗レトロウイルス薬を買えないた め(特許のために高価に維持されている)死んでいる。

私たちはシステムを変える必要がある

私たちが資本主義によって舗装されたこの道をこのまま進むなら、人類と自然には未来がないだろう。過剰生産、過剰消費、そして自然の過剰な収奪から成るこのシステムは終わりにしなければならない。無限の成長という資本主義の原理は私たちの地球を限界まで押し込んでしまい、人々は自分たちの生命によってその代償を支払ってきた。異常気象、洪水、干ばつ、台風 - そのすべてが何百万 人もの人々に移住を余儀なくさせ、生活手段の喪失をもたらし、死をもたらしている。フィリピンだけでも、最近の台風ボパによる破壊は、その爪後に千人以上の死者を残した。

WTO、FTAやさまざまな投資協定は多国籍企業と、危機で儲けた「1%」の人たちの利益を保護することだけを追求している。私たちは、新自由主義の支配を終わらせ、WTOと、世界を席巻しようとしているFTAの新たな波にとどめを刺す必要がある。

今こそ公正な経済のために

私たちは、WTOがなければ無秩序になるという神話を暴く必要がある。私たちは自由貿易体制に終止符を打つことを要求し、WTOのない世界を目指して闘う必要がある。自由貿易や国際市場への従属に対するオルタナティブ(対案)はある。貿易が人々に奉仕するべきであり、その逆ではない。私たちが要求し、提案しているのは公正な経済である - 富が再分配され、私たちの経済の 重要な部門がエリートにではなく人々によりよく奉仕するように、人々によるコントロールが回復されるようなシステムである。金融セクターと銀行は、人類の未来を投機の対象としたギャンブルに興じるべきではない。採掘産業、工業、アグリビジネス(農業関連企業)、サービス産業は私たちのマザーアース(「母なる大地」)を過剰に搾取し、人間を奴隷として扱うべきではない。

WTOバリ会議までのロードマップ

この観点からインドネシアGerak-Lawan(新植民地主義と帝国主義に反対する人民運動)は、アジアおよび全世界のさまざまな運動と協力して、2013年12月3-6日にバリで開催されるWTO閣僚会議を通じてWTOを復活させようとする動きを解体するために活動する。

この機会に私たちは、以下の提案を掲げて、インドネシアにおける私たちの闘争をアジア地域および全世界のさまざまな運動と結合し、強化したい。

1 WTOは違法であると宣言する - WTOは、国家の主権や、人と自然のための国家的政策を発展させる権利を制約するために法律の仕組みを悪用している。これを終わらせる必要がある。

2 私たちはWTOがない世界を望む - WTOをどのように改革したり、その協定をどのように改善しようとしても、WTOが公正で公平なものになることはない。なぜなら、WTOは自由貿易、無限の成長、そして人と自然の資本主義的搾取の原則に基づいて設立されているからである。WTOのリーダーシップが変わったとしても同じことである。新しい事務局長が選出されたとしても、WTOは決して人々の福祉に配慮することはないだろう。

3 すべてのFTAや投資協定を廃棄し、私たちの政府がこれ以上FTAやBIT(二国間投資協定)を締結しないことを要求する - 一層の貿易自由化への動きを直ちに止める必要がある。人々と 自然は、これ以上耐えることはできない。

4 「公正な経済」の原理に基づいて、オルタナティブ(代替的)な国際貿易のモデルを形成する - 社会運動、農民、漁民、先住民族、女性、若者、労働者、移民、環境およ び貿易における公正を求める活動家や団体は、すべて、公正に基づくオルタナティブの提案を持っている。多くの運動は、実際に、エコロジー的農業や、食料主権やそのほかのオルタナティブを実践しており、それらのすべてが、異なる方法での発展と自然との共存が可能であることを証明してきた。私たちは公正な経済を促進し、相互補完性と協力と連帯に基づいた国際貿易システムについて再考するために結集することができる。

私たちは、バリでの閣僚会議中の行動に向けて一連の活動を計画しており、すべての人々に対して、新自由主義に決定的な打撃を与え、私たちのオルタナティブを前進させるために共に闘うことを呼びかける。

私たちはすべての社会運動、大衆組織、労働組合、女性、移民、若者、環境および貿易における公正を求める活動家、オキュパイ運動や「怒れる者たち」の運動の活動家に、12月3-6日にインドネシア、バリに総結集し、力を合わせてWTOとFTAを頓挫させ、公正な経済を要求することを呼びかける。私たちが2005年の香港でのWTO閣僚会議に対する街頭の行動の中で示した闘争精神をもう一度発揮しよう。力を合わせれば、私たちは体制を打ち負かし、もう1つの世界を可能にすることができる。

Gerak-Lawan
(Gerakan Rakyat Lawan Neokolonialisme & Imperialisme、新植民地主義と帝国主義に反対する人民運動)

構成団体(インドネシア国内)
(略)
賛同団体
(略)
タグ:WTO Gerak-Lawan
posted by attaction at 09:47 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月30日

6・1アフリカ開発会議(TICAD)カウンターシンポ&デモ

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6・1(土)シンポ&デモ!
誰のためのTICAD(アフリカ開発会議)か?
グローバリゼーションのなかで搾取と排除に抵抗するアフリカとアジアの人々

English info

【ゲスト】
 チャイナ・ングバネさん
  南アフリカ共和国:クワズールー・ナタール大学市民社会センター
  デニス・ブルータス・コミュニティー奨学金プログラムのコーディネーター
【シンポジスト】
・日本のアフリカ外交の問題点
 小倉利丸さん(横浜でTICADを考える会)
・ヨコハマ・コトブキの地域活動から
 近藤昇さん(寿日雇労働者組合)
・ジブラルタルや喜望峰を越えてくる人びとと
 稲葉奈々子さん(NO-VOX「持たざる者」の国際連帯行動)
※会場では英語→日本語の逐次通訳はあります。

日 時:2013年6月1日(土)
    シンポジウム 13:30〜16:30
    横浜市内デモ 17:00〜
場 所:横浜市従会館 4階ホール
    神奈川県横浜市西区宮崎町25
交 通:JR桜木町駅、京浜急行「日ノ出町」駅10分
地 図:http://www.siju.or.jp/hall_info
参加費:500円(申し込み不要)
主 催:横浜でTICADを考える6・1国際シンポジウム実行委員会

★チャイナ・ングバネさん★
1974年、ジンバブエに生まれる。現在は南アフリカ・ダーバンに在住し、クワズル・ナタール大学の市民社会センターで、デニス・ブルータス・コミュニティー奨学金プログラムのコーディネーターを務める。国境なき市民、人道的活動家。ジンバブエなど周辺国から迫害を逃れて、あるいは生活のために南アに移り住む人々が、南アの住民から迫害される「外国人排除」との闘いに尽力。地域コミュニティにおける社会的抵抗と共存に尽力。国境なき開かれたアフリカを夢見ながら、地域の社会正義実現のための運動を組織。2013年3月にダーバンで行われたBRICsサミットに対抗して開かれたカウンター民衆サミット「Brics-from-below civil society summit」でも活躍した。

+ + + + +

 6月1日から3日まで、横浜で行われるアフリカ開発会議(TICAD)にあわせて、シンポジウムとデモをやります!TICADは日本政府の対アフリカ外交が目的の政府間会議です。外務省が作成したTICADのパンフレットのタイトルは「躍動のアフリカと手を携えて」。躍動するアフリカ市場へ日本企業が進出することが大きな目的の一つとなっています。

 そのために「平和・安定」と呼ばれる自衛隊や海上保安官の派遣、「援助」と呼ばれる企業支援、「友好」と呼ばれる非民主的政権との外交が日本政府の対アフリカ外交の基調になっています。

 私たちはTICAD開催を契機に、大企業や軍隊による「成長」や「安定」とは違う関係を考える取組みをおこないます。シンポジウムでは、アフリカ一の「先進国」となった南アフリカにおけるグローバル化と社会的亀裂、そしてそれに直面する社会運動のいまを南アフリカからのゲストに語ってもらいます。

 TICADの会場、みなとみらい地区のパシフィコ横浜は、横浜を象徴する華やかなビジネス・観光地帯の象徴ですが、そのすぐそばには港湾都市ヨコハマの発展を底辺で支えてきた労働者のまち、寿町があります。アフリカだけでなく日本でも貧困や人権の問題は深刻化しています。「躍動のアフリカ」のもうひとつの現実を知り、日本社会の問題をグローバルに理解する一助になることを願っています。

 シンポジウム後には、TICAD会場となっているみなとみらい地区周辺をデモします。TICADで来日しているアフリカの友人たちに、TICADでは聞けないもうひとつの声があることを街頭で訴えます。ぜひ参加を!

横浜でTICADを考える6・1国際シンポジウム実行委員会

※6・1シンポジウムでは賛同金を集めています。
個人1000円、団体3000円です。こちらにもぜひご協力ください!
郵便振替口座:00230−1−37721
加入者名:人権を考える会(通信欄に「TICAD賛同」と明記ください)

その他の情報は、横浜でTICADを考える会のブログへアクセスを
http://ticakov.hatenablog.com/
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世界社会フォーラム債務問題総会宣言文

世界社会フォーラム債務問題総会宣言文
(2013年29日、チュニス)


債務は、15世紀以降歴史的に、略奪、征服、支配そしてそこに住む人々と伝統を貶め破壊する植民地支配の主要な手段であった。

グローバル・サウスが負う債務の数倍もの額がすでに支払われてきた。この債務支払いを通して、 南に北においても、資本が享受する富、資本が利用する資源と労働力が生み出されてきた。

債務は、債務国のエリートとの共謀の元に、海外からの介入、特に財政政策への介入の口実として利用されている。これによって債務国の主権は侵害され、またその民衆は貧窮化し、彼らの経済的・社会的権利が耐え難いレベルにまで奪われている。

多国籍企業と工業先進国の活動により、気候と生態系のバランスに取り返しのつかない変化が起こっている。これは多国籍企業・工業先進国が負う環境債務である。この環境の激変で人類全体が蒙る被害に対し、これらの国々は賠償義務を負う。

債務漬けに陥らせるメカニズムは、世界中どこにおいても、特に女性の生活状況の更なる悪化を招いている。債務は女性たちの経済的自立を損なわせ、彼女たちの社会的・政治的解放を阻害する主要因となっている。

以上、すべてを踏まえ

私たち、闘士トーマス・サンカラに学び、奴隷制と債務のくびきから人々を解放するために闘う団体、社会運動はここに高らかに宣言する。

アラブ圏ならびにマグレブ圏の民衆の、自分たちの運命を自分たちの手に取り戻し、自分たちの希望をそれぞれの状況に応じて、自由に、かつ尊厳ある形で解き放つための闘いの再燃を支持する。

我々は、世界のいたるところで進んでいる債務のくびきから人々を解放するすべての闘いを強力かつ断固として支持する。

世界中で進んでいる緊縮財政政策を拒絶する。

不公正債務を洗い出し、無条件に帳消しをするための、すべての市民主導の債務監査を支持する。

女性が「債権者」たる社会的債務を考慮に入れた、フェミニスト主導の監査を呼びかける。

すべての債務スワップ、債務転換策を拒絶する。それは不公正債務をロンダリングする手立てであると考える。

我々は、チュニジア、ならびに世界中での債務監査の結果を政策に反映させることに対するすべての圧力、妨害を強く非難する。

借りなどない!支払わない!


宣言文 呼びかけ団体(アルファベット順)
ACET (Auditons les Créances Européennes envers la Tunisie)
CADTM International (Comité pour l’Annulation de la dette du tiers monde)
JUBILE SUD AMERIQUES
LATINDADD
Plataforma Ciudadana por la Auditoría de la Deuda (PACD), Estado español
Popular Campaign to Drop Egypt’s Debt
SUD BPCE

原文
http://cadtm.org/Declaration-of-the-Assembly-on

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2013年03月10日

米国の400団体の連邦議会への書簡

米国の市民団体パブリック・シティズンや、多くの労働組合、環境団体が現在のTPP交渉を批判し、市民のための貿易・通商政策と民主主義的な交渉プロセスを要求する書簡を連邦議会の各議員に送りました。

米国でも広範な批判の声が上がっていること、TPPが関税の問題ではなく民主主義そのものの問題であることを多くの人に知ってもらうために、各方面に転送していただければうれしいです。

原文(英語)http://www.citizenstrade.org/ctc/wp-content/uploads/2013/03/CivilSocietyLetteronFastTrackandTPP_030413.pdf

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米国の400団体の連邦議会への書簡
2013年3月4日


連邦議員各位

米国の通商交渉担当者が今年10月までにアジア太平洋地域の新しい、高水準の貿易投資協定を締結しようとしており、また、EUとの同様の協定を検討しているとき、われわれは、合計1500万人余の会員・組合員および支持者を代表して、21世紀の通商協定についての、そして過去における米国の貿易政策を公正で持続可能なグローバル経済の建設を促進する手段へと転換させるために必要な議会の監視的役割についてのわれわれの期待を伝えたい。

われわれは、TPPが3月にシンガポールで第16次の交渉に入るにもかかわらず、米国の交渉担当者がいまだに、彼らが米国市民の名において提案している内容を米国市民に知らせるのを拒否しているということに困惑している。交渉が妥結し、協定が締結された後まで、提案だけでなく合意されたテキストまで非公開とすることは民主主義の原則に反している。この点で、TPPはこれまでのいくつかの通商交渉と比べても、より不透明である。たとえば、2001年に米国は他の33の国と共に米州自由貿易地域(FTAA)協定の草案を公表したし、WTOの草案のテキストもしばしば公表されている。

TPPやEU・米国間の協定、あるいは他の貿易協定が実際に米国市民と全世界の人々の生活を改善できるためには、下記の問題に対処しなければならない。

・ 人権と労働権を優先すること。これまでの通商政策のあまりに多くのものが投資家の権利の保護に偏っており、強制労働や児童労働、スウェットショップ(搾取工場)的な労働条件、政治的暴力、環境汚染、先住民族の主権の侵害、政府による言論、集会、移動の自由や独立的労働組合を結成する権利、団体交渉の権利への抑圧などの問題を無視するか、覆い隠してきた。いかなる通商協定においても、それが労働条件の「底辺に向けた競走」や環境破壊の流れを反転させるのに寄与することを意図しているのであれば、人権と労働権を正面の中央に据えなければならない。

・ 各国の発展目標と、その実現のための調達政策を尊重すること。通商協定は各国政府が各国の発展や環境上および社会的な目標を優先して歳出を決定することを妨げてはならない。貿易協定の調達に関する条項は、従来の「国産品優先」策と、原産国における賃金、環境、スウェットショップの利用、人権、永年にわたる不平等の克服に向けた政策に対する考慮を維持しなければならない。

. 企業を政府と同等の地位に引き上げる。通商協定は個別の企業や投資家に、国内司法制度に拘束されない紛争解決機関を通じて国内の法律や規則、裁判所の決定に異議を唱えることによって協定の条件を執行させる特別の権限を付与するべきでない。3人の民間セクターの弁護士から成る紛争処理パネルに、企業がある国の法律が彼らの期待する将来の利益を脅かすと訴えた場合に、国家財政からの無制限の賠償を命じる権限を与えるような投資家・国家間紛争処理メカニズムは排除しなければならない。政府が公共の利益に適う規制を実施できることを保証するために、国際投資に関するルールを改定して、投資、収用、待遇の最低基準などの用語をより厳格に定義するべきである。

Citizens Trade Campaign(市民の貿易キャンペーン)は、通商政策における社会的および環境をめぐる公正を追求する目的で結集した労働、環境、宗教、家族農業、消費者の諸団体の連合であり、以下のことを要求する。

・ 食糧主権を守ること。貿易協定は、政府が農民や他の食品労働者が公正な報酬を受け取り、消費者が安全で低価格の食品にアクセスできることを保証する政策を導入する権限を尊重しなければならない。同様に、諸国民はダンピングやその他の、農民を土地から引き離すような不公正な貿易慣行から事項を守ることができなければならない。

・ 低価格の医薬品にアクセスできること。低価格のジェネリック医薬品へのアクセスを維持することは、米国における医療コストを引き下げるため、また、世界中の人命を救うために決定的に重要である。通商協定は医薬品特許の期間を延長する手段ではない。米国の政策は医薬品へのアクセスに関してドーハで設定された基準を明確に支持するべきである。

・ 為替操作を阻止すること。通商協定は米国および他の政府が通商を歪める為替操作を規制するための措置を取ることができるようにする規定を含むべきである。通商協定はまた、ルールを遵守する国が協定の恩恵を得られるようにするために、厳格な原産国ルールを含むべきである。

・ 強力な金融規制と公共サービスを可能にすること。通商協定は銀行、保険会社、ヘッジファンドおよびその他の金融機関の規制においては、制限を引き上げるのではなく引き下げるべきである。通商協定のサービス条項は、それらの協定のいかなる条項も民間および公共のサービスの規制緩和や民営化を要求しているものと解釈してはならないことを明確かつ具体的に記述した文言を含むべきである。

・ 消費者保護および環境基準を改善すること。同様に、通商協定は環境、食品、製品の安全、消費者の知る権利に関する措置においては、制限を引き上げるのではなく引き下げるべきである。

われわれは、TPPや他の通商協定がこれらの高い基準を実現しようとするのであれば、公衆や議会によるより広範な監視が必要であると考える。オバマ政権に通商上の政策決定に関する何らかの特別の権限を付与する前に、政府に対してTPPのテキストを公開することを要求されたい。

われわれは、議会が憲法によって委嘱されている対外通商を監督する権限を、ファーストトラック(大統領貿易促進権限)のような時代遅れで異常な手続きを通じて行政機関に委任するのではなく、米国の通商協定に関わる交渉と承認のプロセスに次のような新しいやり方を導入することを要求する。

・ 米国通商代表部が、すべての関心を有する利害関係者と協議し、通商協定の影響を受ける事項についての管轄権限を持つすべての委員会の公聴会に出席し、想定されている各相手国が提供する具体的な雇用創出や輸出拡大の機会と、協定が人権・労働権、環境、食糧主権、医薬品へのアクセス、為替操作、関係国間の貿易収支に及ぼす影響についての広範かつ公開のアセスメント(評価)を提供するよう求める。

・ このような拡張された参加プロセスをTPP交渉において可能な限り速やかに開始する。

・ 議会において設定された交渉目標が最終的な合意において実際に達成されていることを確認するための客観的なプロセスを確立する。

・ 政府が協定に署名し、米国がその条件に拘束されるようになる前に、議会の過半数による議決によって、その協定が公衆の利益に適うものであり、議会が設定した交渉目標が達成されていることが承認されなければならないようにすること。

・ このような強力な監視と大衆の参加を通じてのみ、われわれはすべての人々のためになる通商政策についての新しい国内的および国際的なコンセンサス(合意)を形成することができる。

敬具

市民の貿易キャンペーン

賛同団体
(略)
タグ:TPP
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2012年12月07日

第9回アジア・ヨーロッパ民衆フォーラム(AEPF9:ラオス・ビエンチャン)

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10月16日から19日にラオス・ビエンチャン、第9回アジア・ヨーロッパ民衆フォーラム(AEPF9)が開催されました。アジア・ヨーロッパ民衆フォーラムは毎年、ASEMの開催地で、ASEMの開催時期に合わせて開催されています。今年はラオスでの開催で、アジアとヨーロッパから1000人の市民が集まったようです。以下のプレスリリースと最終宣言を読むと、アジアとヨーロッパの社会運動団体が現在取り組んでいる課題や、活動家の問題意識がよくわかります。

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プレスリリース
アジア・ヨーロッパ民衆フォーラム国際組織委員会
2012年10月、ビエンチャン(ラオス)

原文(英語) http://www.aepf9.info/index.php/en/

10月16日から19日にラオス・ビエンチャンで開催された第9回アジア・ヨーロッパ民衆フォーラム(AEPF9)には、アジアとヨーロッパから1000人の市民が集まった。このフォーラムは「市場の規制緩和や多国籍企業の力の増大を中心にしたシステムではなく、人々の利益を中心とする世界を要求する」ことを目指して開催された。第9回アジア・ヨーロッパ民衆フォーラムは、11月にラオスで開催される第9回ASEM(アジア・ヨーロッパ会合)に参加する政府に対する要求と、われわれの発展戦略に焦点を当てた。

AEPF9は以下の4つの主要なテーマを取り上げた。

+ 普遍的な社会的保護と基本的サービスへのアクセス
+ 食糧主権と持続可能な土地と自然資源の管理
+ 持続可能なエネルギーの生産と利用
+ 公正な労働と持続可能な生活条件

AEPF9に先立って、私たちは南アジアと東南アジアで3回にわたって準備のためのワークショップを開催してきた。ラオスでは16の県でコンサルテーション(諮問会合)を行った。それによってラオスの広範な市民社会組織を代表する人々からの意見、希望、構想が集められた。

AEPFはアジアとヨーロッパで人々が経験している著しい不平等、不公正と貧困に鋭い焦点を当てた。しばしば「金融危機」として語られているものは、実際には一連の相互に結合している危機- 食糧、エネルギー、気候、人間の安全、環境の劣化 - の一部であり、それらはすでに生活を壊滅させ、アジア全域で数百万人の人々が日常的に経験し、ヨーロッパにおいても拡大している貧困と社会的排除を結合させている。AEPF9に集まったアジアとヨーロッパの市民の間では、過去数十年にわたって採用されてきた支配的なアプローチ - 市場の規制緩和と、多国籍企業や無責任な国際機関の力の増大と、貿易自由化を基礎としている - がすべての市民のニーズと権利を実現するという点で失敗だったということが共通認識となっている。私たちは少数の金融機関や大企業の利益となる短期的な政策のみを追求する分析や対応を超えて進む必要がある。変革と、新しい、人々の利益を中心とする政策とその実施に対する心の底からのニーズと要求が感じられる。

10月19日に開催された記者会見で、次の発言が行われた。

アンディ・ラザフォード(AEPF国際組織委員会メンバー、英国):「私たちは、根本的な変革のためにビエンチャンに集まった。規制のない市場、不公正な貿易、公共サービスの民営化の強制を特徴とする現在のシステムは大多数の人々に何の恩恵ももたらさず、金融危機や気候変動を引き起こし、複合的な危機をもたらした。貧富の差が拡大し、資源や生活手段や基本的なサービスへのアクセスは依然として著しく不平等である。AEPFは重要な成果と成功を収めた。市民団体、NGO、社会運動を代表する1000人余の人々が参加した。これは、フォーラムに参加した組織の将来の活動に、大きなインスピレーションとなるだろう。フォーラムの最終宣言は本日、ラオス政府に手渡され、第9回ASEM首脳会合(ASEM9)において各国首脳に配布されることが確約された。ASEM9はASEM参加国の政府が、ここに示されている問題に対応するために必要とされている迅速かつ断固たる行動を取るための歴史的機会である」。

メアリー・アン・マナハン(フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス、フィリピン):「私たちは世界的な水の危機に直面している。水資源に対する圧力や水不足がこれほど深刻になったことはない。 AEPFは、国際金融機関がどのようにして水の危機を利用して、水の略奪を助長し、企業がどのようにして水資源や水道サービスを強奪してきたを明らかにしてきた。一方、タイやメコン川流域諸国における大規模灌漑事業や水力発電は、米作や川での漁業を基盤とした食料安全保障に悪影響を及ぼしてきた。岩盤を水圧で破砕して地中の天然ガスを抽出する新しい技法は、水質汚染のリスクが高い。AEPFは、企業による水資源の略奪に抵抗するために、市民社会が連合を形成することを呼びかける。私たちはアジアとEUの政府に対して、水の問題、特に水の割り当て、分配、管理について人権の観点からのアプローチを支持することを要求する。私たちはまた、人々の利益を中心とする公正で生態学的に持続可能な代替策を促進し、支持するよう要求する。そのような代替策の感動的な例として、タイにおいて、公共の電力および水道サービスが私企業の支配に挑戦し、地域社会、特に先住民や農民の間での伝統的な水管理の方法を奨励している」。

マリアナ・モルタグア(債務監査運動、ポルトガル):「AEPFに集まった社会運動、組織、市民は、現在ヨーロッパで行われている緊縮財政政策、自由化、そして労働者と社会的権利への攻撃が一層の貧困と経済的災禍をもたらすだけであると考える。それは1990年代の危機に見舞われ、構造調整プログラムと、失業、緊縮財政政策、最も貧しい層への増税、不当な債務の負担、民営化、金融規制緩和を強制されたアジア諸国における経験を繰り返すことである。AEPFは各国政府に対して、緊縮財政プログラムを中止し、銀行や市場への債務の支払いを停止し、貿易や金融の自由化と民営化をやめて元に戻すよう要求する。私たちはEU各国の政府がトロイカ(IMF、欧州中央銀行、欧州委員会)との間で交わした覚書や財政条約、および不公正な財政政策を破棄することを供給する。私たちは公共のための予算の資金を調達するために、金融市場によらない新しい方法を必要としている。私たちは雇用を創出し、不安定雇用化を反転させるために公的資金を投資するような公共政策を必要としている。私たちは労働者階級の尊厳を取り戻す」。

バイシャリ・パティル(ジャイタプール反核運動、インド):「AEFPの中で、私たちは『原発と核兵器に反対するアジア・ヨーロッパ・イニシアティブ』を発足させた。福島の事故が起こってしまった後では、原子力プロジェクトが人類と地球に及ぼす危険を誰も否定できない。私たちはアジアとヨーロッパの政府に対して、ドイツ政府がやったように、すべての原子力発電を段階的に廃止するよう訴える。私たちはまた、あらゆる核兵器の廃止を要求する。経済危機が続き、何百万もの人々が依然として貧困と飢餓に苦しみ、生存のために苦闘しているとき、原子力エネルギーと兵器産業のために公的資金を投資しつづけることは絶対に受け入れられない。太陽光や風力のような再生可能エネルギーは、化石燃料や原子力より低コストで、安全で、しかも効率的であることが証明されている。このアジア・ヨーロッパ・イニシアティブは、最初のアクションとして、インド政府が非暴力的な方法で原発建設に抗議している運動と数千人の住民に対して行っている弾圧を非難し、インド政府に圧力をかけることを計画している。私たちはインドへ国会議員の使節団を送り、インドの反核運動や、現在世界最大の原子力発電所の1つが建設中であるジャイタプールなどの現地を訪問することを計画している。私たちはもう1つの福島が起こるのを防ぎたい」。

ソンバト・ソンフォン(国内組織委員会、ラオス):「すぐに行動を起こす必要があり、教育が主要な課題である。私たちの社会、特に金持ちの国は、質素に生き、消費を減らすことを学ばなければならない。私たちは炭素排出量を削減しなければならない。私たちは、民間セクターが自分たちの利潤を増やすことだけを望んでいることを見てきた。私たちは、本当の幸せを得るために、そして私たちの社会が現在のシステムを再生産するだけのために大部分の時間を費やさなくてもよいように、問題の根本原因を解決しなければならない」。

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第9回アジア・ヨーロッパ民衆フォーラム
2012年10月、ビエンチャン(ラオス)
最終宣言


原文(英語)
http://www.aepf.info/aepf9/94-final-declaration-9th-asia-europe-people-s-forum-vientiane-laos

(要約)

2012年10月16-19日、ラオス・ビエンチャンで開催された第9回アジア・ヨーロッパ民衆フォーラム(AEPF9)にアジアとヨーロッパの民衆組織・市民を代表する1000人余の人々が集まった。このフォーラムは「貧困と闘い、持続可能な発展を求める民衆の連帯 - 不公正で不平等な発展に反対し、市民のための市民の国家を建設する」というタイトルの下で開催され、以下の4つの主要なテーマを取り上げた。

+ 普遍的な社会的保護と基本的サービスへのアクセス
+ 食糧主権と持続可能な土地と自然資源の管理
+ 持続可能なエネルギーの生産と利用
+ 公正な労働と持続可能な生活条件

AEPF9において私たちは、活動的な市民として、私たちの国の政府と私たち自身に対して提唱する戦略と勧告を作り上げることに焦点を当てた。AEPFはアジアとヨーロッパの全域で人々が著しい不平等、不公正と貧困を経験している歴史的に重要な時期に開催された。しばしば「金融危機」として語られているものは、実際には一連の相互に結合している危機- 食糧、エネルギー、気候、人間の安全、環境の劣化 - の一部であり、それらはすでに生活を壊滅させ、アジア全域で数百万人の人々が日常的に経験し、ヨーロッパにおいても拡大している貧困と社会的排除を結合させている。貧富の格差は拡大しており、資源、生活手段、基本的サービスへのアクセスは依然として著しく不平等である。ASEM9は、ASEM各国政府がこの問題に対処するために必要な迅速かつ断固とした行動を起こす歴史的な機会である。

AEPF9に集まったアジアとヨーロッパの市民の間では、過去数十年にわたって採用されてきた支配的なアプローチ - 市場の規制緩和と、多国籍企業や無責任な国際機関の力の増大と、貿易自由化を基礎としている - がすべての市民のニーズと権利を実現するという点で失敗だったということが共通認識となっている。私たちは少数の金融機関や大企業の利益となる短期的な政策のみを追求する分析や対応を超えて進む必要がある。変革と、新しい、人々の利益を中心とする政策とその実施に対する心の底からのニーズと要求が感じられる。

貿易の自由化、市場の規制緩和、民営化という政策の失敗にもかかわらず、私たちの政府は依然として、根本的な政策転換を求める多くの人々の共通の意思を無視している。人々のニーズを満たし、地域経済を再活性化するのではなく、数千億ユーロもの資金を銀行や金融機関の救済のために投入した。私たちの政府は、既存の法律、規制、基準、メカニズムに反して、人権、環境、労働者の権利を優先せず、企業の利益を優先してきた。このような企業による支配がもたらした結果は、アジアとヨーロッパの全域で、何百万人もの女性、男性、子供たちの生活に影響をもたらしてきた。エリートたちが貧困、不平等、環境破壊と社会不安の増大のための条件を生み出すような政策を、市民がほとんど、あるいは全くチェックできないところで立案し、実施する中で、民主主義的な責任が空洞化されてきた。

私たちは、ASEM参加国の政府に対して、現在の危機を解決するための、人々の利益を中心とする効果的で責任のある政策を実施するよう要求する。最も優先されなければならないのは、貧しい人々や排除され、周辺化された人々のニーズであり、政府は市民と協力して公正で持続可能な世界につながる政策や、人々に対して責任を負う民主的な機構 - ジェンダーの平等、環境と基本的人権の尊重を基礎とする - を発展させ、実現しなければならない。

AEPFは、貧困と不平等に対して闘い、社会的公正を目指して活動しているアジアとヨーロッパの社会運動の戦略的な市民社会的集まりである。AEPFは、アジアとヨーロッパの全域における民衆の組織や社会的公正のためのネットワークの中での、対話と連帯と行動のための新しい結集場所を設けるという共通の希望に根ざしている。以下の行動の呼びかけは、4日間にわたって開催された多くの活気に満ちたエキサイティングなイベントからの提言を基にしている。

行動の呼びかけ

AEPF9は、ASEMとその参加国政府が、以下の問題や優先的課題を認識し、私たちの提言を進める要求する。

A. 普遍的な社会的保護と基本的サービスへのアクセス

世界的に見ると、社会的保護を利用できるのはわずか20%の人々であり、アジアのほぼすべての国で、この割合はさらに低い。ヨーロッパでは福祉国家と社会契約は各国政府およびEUの諸機関によって系統的に浸食されてきた。社会的保護と基本的サービスへのアクセスは、仕事、十分な食糧、必要不可欠のサービス、社会保障を含む基本的な権利である。国家はこれらの権利を積極的に増進し、保護し、実現する義務がある。

革新的で普遍的な社会的保護のシステムと、オルタナティブ(代替的)な国家的発展戦略を合わせて導入する必要があり、それは自由化、規制緩和、民営化の新自由主義的政策を逆転させ、公正で、民主主義的で、持続可能な、人々の利益を中心とした発展を目指して、国家の主権を回復するような戦略でなければならない。

主要な提言
私たちは、私たちの政府に以下のことを要求する。

1. 社会的保護のシステムのための法律を制定し、予算を確保すること。働く権利(ILOの中核的条約に規定されている)、食糧、基本的サービス、医療、教育、水と衛生、エネルギー、適切な公営住宅へのアクセス、社会保障(高齢者、障がい者の年金、児童手当)、公正な生活賃金。
2. 普遍的な社会的保護のための十分な税収の確保のために、多国籍企業や富裕層、大地主への効果的課税(付加価値税のような逆進税ではなく)、金融取引税の導入、タックスヘイブンの銀行の機密の廃止、不正な債務の帳消しを行うこと。
3. ASEANにおいて、普遍的な社会的保護、すべての基本的な財やサービスの非商品化を含む「社会的アジェンダ」を採択すること。社会的保護は国家の下に置かれ、すべての人々が無償で利用できること。
4. 生活に不可欠な資源、財、サービスの共有制を確立する「国連・人類の共有財憲章」の制定と合意に参加すること。
5. すべての多国間/二国間貿易協定から「TRIPSプラス」条項(特に、公衆の健康と医薬品へのアクセスに直接的な影響を及ぼすデータ独占権と特許権の拡大)を除外すること。
6. 国連・障がい者の権利条約の批准と完全実施。障がい者および障がい者団体の、生活のあらゆる領域への平等な参加と完全なインクルージョン(包摂)。
7. すべての市民が自分たちの意見を述べ、尊重され、重要な決定に参加できるように保証すること。子どもの権利条約などの国際的な法的文書の基本的な順守。
8. すべての人々に良質な基本的教育を保証すること。マージナライズ(周辺化)された人々の子どもや若者への優先措置。
9. 識字と、生涯学習の基盤としての地域の知恵の尊重。
10. 「持続可能な発展のための教育」(ESD)の枠組みの中での良質の、参加型のカリキュラムを保証すること。
11. 持続可能な発展に向けた市民社会団体、政府、民間部門の間の積極的な協力を強化すること。
12. 全国的な開発計画の起草と検討へのすべての市民の参加をサポートすること。
13. 先住民族のための適切な社会的保護メカニズムを促進し、基本的サービスへのアクセスを保証すること。
14. 「企業の社会的責任」から「企業の社会的義務」への転換。「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(CEDAW)に基づいて、あらゆる人権侵害に対する予防、保護、訴追、賠償に誠実に取り組むこと。
15. 地域社会、特にマージナライズされているグループ(女性、マイノリティーなど)の身体的健康と社会的福祉のために政策と責任の強化。地域社会が、弾力性のある、公平な、インクルーシブな低炭素社会に向けて発展するために、政府、企業、国際金融機関に責任を負わせることを保証する。
16. 移住者が自分たちのアイデンティティと文化に応じて子どもを育て、地域社会に全面的に参加する権利。
17. すべての国が子供の親権に関するハーグ条約を承認すること。

B.食糧主権と持続可能な土地と自然資源の管理

アジアでは、「開発」の名の下に土地と資源の強奪が加速している。農業や採掘産業における大規模な投資が農村社会や生態系、人権、地域における食糧の安定的確保と食糧主権に多くの悪影響を及ぼしている。

ヨーロッパでは、アグリビジネスの国際競争力のための共通農業政策(CAP)によって、多くの農家が離農を迫られている。EUのバイオエネルギー政策、特に「再生可能エネルギーに関する指令」(RED)は、食糧生産に利用されるべき土地を大規模なモノカルチャー、燃料用作物の生産のための転用している。

銀行、ヘッジファンド、年金基金は金融市場において食品価格を投機の対象としており、その結果、小麦、トウモロコシ、大豆などの主食の激しい価格変動を引き起こしている。

私たちは世界的な水危機に直面している。多くの国では、水危機は国際金融機関(世界銀行、アジア開発銀行)によって利用され、企業や民間企業による水資源やサービスの買収をもたらしてきた。

社会運動の中では、食料主権が工業的農業モデルへの対案として掲げられてきた。食糧主権は、自分たちの食べ物、農業、畜産、漁業のシステムについて、国際市場の力に従属することなく決定する権利を基礎としている。それは全世界の農民、漁民、先住民族、女性、農村の青年、およびその同盟者によって提唱されている。

主要な提言
私たちは、私たちの政府に以下のことを要求する。

1. 土地や資源の強奪に反対し、食糧に対する人権を支持すること。「土地、漁業、森林に関わる所有権・管理権に関する責任ある統治のための自主的ガイドライン」(英国の社会運動団体が2011年10月に国連の「世界の食料安全保障に関する委員会」に提出した公開状)を実施すること。
2. 農民の権利に関する国連での継続的な取り組みを支持すること。
3. 貿易、農業、エネルギー、開発、環境、土地、水に関連する政策において人権を尊重すること。EUは「武器を除くすべて」協定(2001年に採択され、後発開発途上国からの輸入への規制を撤廃した)等の貿易政策がもたらした影響(いくつかの国では何千人もの人々が土地を追われている)について調査するべきである。
4. 「再生可能エネルギーに関する指令」におけるバイオ燃料の目標を削除すること。
5. アジアとヨーロッパにおける食糧主権を支持すること(EUの共通農業政策の改革のプロセス等を通じて)。
6. 小規模な生産者、農村女性、先住民のニーズに焦点を当てた進歩的、公的な農村開発戦略に投資すること。この戦略では人々の土地、水へのアクセスと、生物多様性を保護し、尊重すること。
7. 先住民族の集団的な生存と発展のための物質的、経済的、社会的、文化的基盤として、先住民族の土地、居住地域、資源に対する権利を尊重すること。これは開発プロジェクトに関わる意思決定における先住民族の完全かつ実効的な参加を含む。先住民族の、質素で炭素排出量が少ないライフスタイル、伝統的知識、伝来の技術、革新的な生産方法を通じた持続可能発展への貢献について理解すること。
8. 緊急の課題として、銀行や金融市場のトレーダーによる食糧投機を規制すること。すべての先物取引が規制された方法で決済されることを保証する法律を制定すること。銀行や大手業者による取引量に制限を設けること。

C 持続可能なエネルギーの生産と利用

過剰生産と消費を特徴とする現在の開発パラダイムは、経済と地球を救うために必要な長期的な解決策と相容れない。政府は気候の危機を低炭素社会への移行を始める機会として認識するべきである。

エネルギーへのアクセスは特権ではなく、基本的権利である。人々はエネルギー政策に対して発言権を持っている必要がある。水力発電ダムをめぐる多くの事例は、エネルギー問題の原因と解決策に関する合意の欠如を示している。

グリーン経済の下で、環境資源 - 共有財産 - 市場システムに組み込む新しい開発アプローチが提唱されている。しかし、そのようなアプローチは、真に持続可能な生活スタイルへの移行や、小規模農家、森林コミュニティの自立を妨げ、また、工業国における低炭素社会への移行を遅らせるだろう。また、グリーン経済の下で提案されている新しい技術(特に、遺伝子組み換え作物、ナノテクノロジー、バイオ燃料、ジオエンジニアリングなど)は安全が証明されておらず、主要に大企業に利益をもたらす。

特に、国際的な気候変動対策として確立された「排出権」市場は、環境上および社会的な利益がない、あるいは地域社会に有害であるようなプロジェクトの促進につながっている。また、国際的な気候変動対策は、多くの偽りの解決策をもたらしている。

国連は「先住民族の権利に関する国連宣言」(UNDRIPS)を採択しているが、「森林減少および森林劣化からの排出量の削減(REDD)に関する国連共同プログラム」はUNDRIPSに準拠するべきである。REDDプロジェクトには多くの未解決の問題があるだけでなく、プロジェクト実施地域における軍事化の傾向が見られる。多くの先住民族はREDDを拒否している。REDDはまた、気候変動への対策として効果がない。

廃棄物の生成は個人や企業による不適切な資源利用や廃棄の結果であるだけでなく、政府の政策の不適切さの結果でもある。再利用、リサイクルできない汚染物の生産や販売を禁止する必要がある。

主要な提言
私たちは、私たちの政府に以下のことを要求する。

1. EUは気候変動を緩和する責任を果たすために、貧困国にエコロジカル債務を支払い、発展のスペースの公平な配分を実現するべきである。そのために再生可能エネルギーを基礎とする持続可能なエネルギー・システムへの大規模な移行を実現する必要がある。
2. 継続的な拡大と自然の収奪を指向する生産と消費のシステムから、より持続可能で環境と親和的なシステムへ移行すること。
3. 代替的なエネルギー政策について人々が参加し、議論できる政治的環境を保証すること。影響を受ける地域社会の懸念やニーズを反映したエネルギー開発・生産のための参加型プロセスを作り出すこと。
4. 再生可能エネルギーを促進するための効果的で、社会的に公平かつ公正な政策を作成し、実施すること。特に、分散型のシステム、十分なエネルギーにアクセスできない地域の解消、エネルギー効率の改善。
5. 緊急に、原子力から解放された世界に向かって進むことを確約すること。既存の原子力発電所の廃炉、計画中の原子力発電所の開発中止、代替的エネルギーの利用の促進。
6. 小規模な発電設備を奨励し、コミュニティ・ベースのエネルギー・システムを強化するための野心的で真剣な案を検討すること。
7. 自然の共有財産の管理に対する人権の観点からのアプローチを支持すること。特に、水は人権であり、私有財産や商品や取引可能な経済財や単なる生産要素ではないことを明記した国連決議を支持すること。
8. 廃棄物を減らし、非生分解性プラスチックを段階的になくし、廃棄物を削減、再利用、再循環させるためのインフラや仕組みを確立するための全国的計画を立案し、実施すること。効果的で持続可能な廃棄物処理政策に違反する企業等に罰則を適用すること。
9. 森林地域の人々および地域社会が持続可能な方法で森林資源を使用し、管理する権利を承認すること。これはグローバルな森林/二酸化炭素削減スキームにもとづくいかなる開発または保全計画の検討にも優先されなければならない。

D.公正な労働と持続可能な生活条件

アジアとヨーロッパの両方で、労働と雇用の形態をめぐる劇的な変化が起こっている。地域による違いはあるが、多くの共通の特徴もある。アジアでもヨーロッパでも国境を越えた移動が増加している(人身売買の危険を伴っている)。雇用と安定した所得と持続可能な生活という希望は実現されていない。労働組合と団体交渉の権利が侵食されている。FTA(自由貿易協定)は労働者の権利と社会的保護の一層の解体につながっている。

アジアで支配的であったインフォーマル・セクターや臨時雇用、契約労働がヨーロッパにも広がっている。底辺に向けた競争が加速化している。多くの国の公共部門におけるコスト削減は雇用と基本的な社会サービスの低下につながっている。同時に賃金、所得、福祉の不平等と格差が拡大している。

労働における公正の概念を拡大し、すべての労働を含める必要があり、女性と男性、ケア労働と産業労働の間の不平等を是正し、地域コミュニティーや移住者の権利を保護する必要がある。連帯の経済、社会的、ジェンダー的、環境的に公正で持続可能な生活を実現するために、新しい組織形態と、異なる経済的な方向を探求する必要がある。

少数の多国籍企業が世界経済の40%を支配している。二国間投資協定や自由貿易協定における投資条項は多国籍企業の自由な行動を保証する機構の一部を成しており、先進工業国と発展途上国の両方において主権と民主的統治と人々の利益を脅かしている。

観光は巨大産業であり、グローバリゼーションの重要な牽引力である。観光産業の成長に伴い、地域社会の社会的、経済的、政治的、文化的権利がしばしば(特に貧困層や社会的弱者のコミュニティにおいて)の無視され、侵害されている。

労働組合、コミュニティー組織、社会運動、NGOは新しい連合を発展させることができ、種々の問題に関与し、異なる国や異なるセクターを結びつけることができる。社会運動と労働者の組織は、公正な労働条件と持続可能な生活と普遍的な社会的保護の実現を可能にするASEAN社会憲章を確立するために政府に働きかける必要がある。

主要な提言
私たちは、私たちの政府に以下のことを要求する。

1. ILOの家事労働者、移民労働者に関する条約や、団体交渉、コア労働基準(CLS)に関する条約を批准し(未批准の場合)、それに対応する国内法を制定し、実施すること。
2. 国籍や法的地位に関わりなく、すべての労働者が労働基本権、団結権、団体交渉権を保証されるようにすること。
3. 2006年9月にポツダムで開催されたASEM労働相会合で合意された約束、とくに一部の国における労働者の権利、団結権、団体交渉権、労働組合権の浸食との関連での約束を完全に実施すること。
4. アジアとヨーロッパのすべての国において、最低賃金や累進課税などの所得再分配政策を実施すること。
5. 生産と社会的再生産の間の不均衡に対処すること。ジェンダー平等のための政策は、労働市場と、無給のケア労働の両方をカバーする必要がある。社会的サービスの民営化をやめ、逆転させること。有給および無給のケア労働と社会的再生産の労働を、生産的で価値のある労働として認識すること。
6. 人々の利益を企業の利潤や強欲よりも優先させること。新しい投資協定の交渉を中止し、既存の協定を廃棄すること。少なくとも投資家・国家間紛争条項を再交渉し、削除すること。
7. 社会運動団体や労働者の組織と協力して、公正な労働条件と持続可能な生活と普遍的な社会的保護の実現を可能にするASEAN社会憲章を確立すること。
8. ツーリズムや商業、工業に関連する人権侵害について認識し、影響を受けている地域コミュニティーとの連帯を強化する。いかなる開発も人々の強制退去や自然破壊、人権侵害をもたらしてはならない。
9. 移住労働者の権利とディーセント・ワークと福祉を保護するための最低限の条件として、「移住労働者とその家族の権利と福祉のための国連条約」および関連する条約を批准すること。家族や他の関連条約の移住労働者とメンバーの権利の保護と福祉に関する国連条約を批准。市民社会および労働組合との協議に基づいて移住家事労働者の権利を保護すること。
10. 地域における種々の機関において、移住労働者の人権について、国連条約やILO条約、「女性に対するあらゆる形態の差別をなくすための条約」に準拠した基準を設けること。
11. 移住者と移住労働者、特に女性の性と生殖に関わる健康と権利についての進歩的政策を確立すること。
12. 移住者の結婚、国籍、家族、文化、政治参加に関わる権利を保証すること。これは(同化ではなく)自分のアイデンティティと文化に基づいて子どもを育てる権利を含む。
13. デイアスポラ(離散民)のコミュニティーを承認し、尊重し、保護し、そのための予算を伴う政策およびプログラムを実施すること。
14. 移民と難民の犯罪扱いをやめること。
15. アジア・ヨーロッパ規模における移住労働者の問題や他の労働関連の問題に関する法律文書や政策を確立するためのアジア・ヨーロッパ規模の三者(政・労・使)協議の機構を確立すること。
16. 短期または有期の雇用契約の廃止。例外的に必要とされる場合でも、その使用を制限するべきである。
17. 労働力のアウトソーシング(外注化)とあらゆる形態の間接雇用契約を廃止する。
18. CSR(企業の社会的責任)や多国籍企業の行動を監視しているグループなどの人権擁護活動家が、権利を要求している労働者について、アラート(緊急の支援要請)を発行し、企業や政府機関に対して働きかけ、一般大衆の関心を高め、労働者を支援することの重要性を認識すること。
19. 労働組合と人権活動家が貿易協定に労働条件および労働者の権利の保証を含めるように政府に働きかけることの重要性を認識すること。すべてのセクターと関係者の協力のメカニズムを発展させること。
20. 政府およびASEANが投資家と協議し、契約を交わす際には、労働組合が常にその過程に参加できるようにすること。

AEPF9の参加者はまた、平和、安全、人々の連帯が貧困削減と持続可能な発展のための前提条件であることに注意を喚起した。

主要な提言
私たちは、私たちの政府に以下のことを要求する。

1. 暴力的紛争の根本原因(たとえば、マイノリティーを尊重しないこと)に対処することによって平和を促進するための長期的な解決策 - 非暴力的な手段、民衆間の相互交流、国際法や地域内協力による紛争解決を優先する - を発展させること。
2. 安全への脅威に対する国連を通じた多角的、多面的な対処と国際法の原則の遵守。
3. 主権と人権の尊重に基づいて、外交政策や安全保障に関する共通の構想を発展させるために、地域間の紛争解決メカニズムを確立すること。
4. 女性が紛争によって特に被害を受けることと、平和と復興を和解に中心的な役割を果たすことを認識した国連安保理決議第1325号を履行すること。
5. 過激な宗教グループに対処する上で、教育の役割と、あらゆるレベルにおける宗教間の対話を重視すること。
6. 防衛予算、武器輸出、安全保障予算についての情報開示を保証するための国内法を制定すること。
7. 健康や教育のための予算を犠牲にしている軍事支出を削減すること。
8. 核不拡散条約(NPT)を地域間協力の基礎として活用し、核兵器のない世界を目指すとともに、ヨーロッパとアジアの非核化のための措置を講じること。
9. 武器の貿易や拡散を抑制するために責任を負うこと。武器の輸出入を制御するために国連の監視の下の透明かつ拘束力のあるメカニズムを確立し、合意すること。
10. クラスター爆弾禁止条約を支持すること。
11. (EU加盟国は)法的拘束力のある「武器輸出に関するヨーロッパ行動基準」を確立すること、(アジア諸国は)行動規準のための交渉を開始すること。
12. 大量破壊兵器からの生存者を支援し、保護すること。大量破壊兵器や化学兵器を製造する企業に、被害者への補償の責任を負わせること。
13. 紛争終結後の復興の一環として、トラウマの治癒と社会的和解のためのメカニズムを確立し、支援すること。

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2012年11月06日

【IMF/世銀総会】10・14 持たざる者の国際連帯行動〜IMF世銀対抗フォーラムでの発言

novox.png稲垣 豊 ATTAC Japan(首都圏)運営委員

IMFのラガルド専務理事は、10月12日に東京で開催されたのIMF世銀総会の演説で次のように語った。

「危機を抜け成長を取り戻す事、なかでも失業率問題という厳しい問題を解決する事が最優先課題であることは明らかです。・・・成長なしでは、世界経済の未来は危ういのです。おそらくこれまでに蓄積された多額の公的債務が、最大の障害となるでしょう。先進国・地域の公的債務は、現在平均してGDPの約110%と、第二次世界大戦以来、最高の水準にあります。・・・・・・成長なしでは、公的債務の削減は一段と困難になるということです。そして多額の債務により成長を達成することが困難となります。」

欧州危機の真っ只中の2007年から2011年にはフランス金融資本の代弁者である財務省大臣として、そして2011年7月からは南の諸国やギリシャやポルトガルなどの南欧諸国に対して新自由主義政策を押し付けながら滞りなく債務を取り立てる国際金融機関IMFのトップである専務理事に就任している。

危機の直前の2008年時点で、PIIGSと呼ばれるポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインの銀行などが抱える民間債務の四分の一近くがラガルドを代弁者とするフランス金融機関の貸付である。それらの民間債務の多くはソブリン危機の混乱のさなかに公的債務に転換された。まるで人ごとのように「第二次世界大戦以来、最高の水準にあります」などとうそぶくラガルドの発言のなんと無責任なことか。

この公的債務については、マルクスは『フランスにおける階級闘争』(1850年)のなかで次のように述べている。

「議会をつうじて支配し、立法していたブルジョアジーの分派にとっては、国家が負債に陥ることは、むしろ直接の利益になった。国庫の赤字、これこそまさに彼らの投機の本来の対象であって、彼らの致富の主源泉であった。毎年度末の新しい赤字、四年か五年たつごとに新しい借款、そうして新しい借款のたびごとに、人工的に破産のせとぎわにおかれた国家から、金融貴族が詐取する新しい機会があたえられた。・・・・・・このようにして国家の手を通じて流れでた巨額の金は、詐欺的な納品契約や賄賂や公金私消やあらゆる種類の詐欺行為の機会をあたえた。国債をつうじて大規模に行われた国家からの詐取は、いろいろな国営事業で小規模にくりかえされた。議会と政府とのあいだの関係は、そのまま個々の官庁と個々の企業化の関係として、いく層倍の数にもなってあらわれたのである。」

マルクスの時代と比較にならないほどグローバルに金融化が進んだ現代資本主義は「あらゆる種類の詐欺行為」によって維持されているといっても過言ではない。

ラガルドはおなじ演説の中でこのようにも述べている。

「今重要なのは、熟慮ではなく必要とわかっている政策を実行へ移すこと、そしてあらゆる面で連携することです。プレーヤーは様々ですが、これは一つのゲームであり、ますます複雑化しているものの、それぞれのポジティブな努力を集積し得るゲームです。」

1986年、フランスをはじめとする帝国主義金融資本によって徹底的に貧困化・暴力化されたアフリカ・ブルキナファソの若き大統領、トーマス・サンカラは、1986年にエチオピアのアジス・アベバで開かれたアフリカ統一機構で次のように演説をしている。

「債務を支払うことはできない。まず、もし私たちが支払わなくても、金貸したちは決してそのせいで死ぬことはない。しかし一方、もし支払えば、ほとんど確実に私たちは死ぬ。(中略)私たちを債務漬けにした連中は、まるでカジノにでもいるように賭けをしたのだ。彼らが勝っている間は何の問題もない。いまや彼らはギャンブルに負けたので、私たちに返済を要求している。彼らは賭けをし、負けて損をした。それがゲームのルールだ。(中略)もし、ブルキナファソが債務支払を拒否する唯一の国だったら、私は次の会議の時にはいないだろう。」(『世界の貧困をなくすための50の質問』エリック・トゥーサン、ダミアン・ミレー著/大倉純子 訳/つげ書房新社161〜162ページより)。

ラガルドがサンカラのこの演説を念頭においていたとは思えないが、サンカラの思想はラガルドが代表するフランスをはじめとする国際金融資本の思想と真正面から対立している。

「私は次の会議の時にはいないだろう」というサンカラの不吉な予言は現実のものとなってしまう。翌1987年10月15日、サンカラはフランスに支援された軍人コンパオレのクーデターによって37歳の若さで殺害される。コンパオレはその後現在に至るまで国家元首として同国に君臨している。2008年6月に横浜で開催されたアフリカ支援会議(TICAD4)にも大統領として参加しており、2010年には再々当選を果たしていることから、来年開催予定のTICAD5にも参加するだろう。

外務省の説明によると、「1987年の軍事クーデター以降、世銀・IMF等からの支援も開始され、1991年に最初の構造調整計画が開始。以降、政府は財政不均衡や国際収支の是正、民間部門の強化等各種政策を実施。・・・・・・2000年にはサブサハラで2番目にPRSP(貧困削減戦略文書)を策定。ブルキナファソによる経済改革、民主化努力は、世銀、IMF等を含む諸パートナーからも高く評価されている」とある。

ブルキナファソは90年から綿花部門、通信部門の民営化とリストラ、電気・石油部門の民間開放、水道事業や交通網の整備などを通じてフランスをはじめとする多国籍資本やIMF・世銀の政策を忠実に実施してきたことから「高く評価されている」のだ。

2002年4月ブルキナファソは、G7諸国がつくった債務帳消しスキームである重債務貧困国(HIPC)イニチアチブの完了点に到達して債務削減を受けている。だが完了点に達するには債務を作り出してきた構造調整政策を実施しなければならない。そもそも債務のなかで返せるあてのないものだけを「削減対象」として削減するのがこのHIPCイニシアチブである。貸した側の都合だけで削減対象とそのための条件が決められるという貧困削減とは何の関係もないマヤカシの債務削減にすぎない。

世銀のレポートでも「ブルキナが教育に関するミレニアム開発目標を達成できる可能性は低いでしょう。」「2004年には約2万2000人の生徒が中等学校への進学を望んでいましたが、全員を受け入れることはできませんでした。」「子供の5人に2人は栄養不良で、学校教育を受けていません。この国の社会福祉指標は依然としてサブサハラ・アフリカの平均を下回り、人間開発指標では、最下位近くに位置しています。」

「債務を払うことはできない!」と喝破し、「公共部門の拡大、公共支出・投資の拡大など」(日本外務省)を実施してきたサンカラをクーデターによって殺害し、フランスや多国籍企業、IMF・世銀をはじめとする多国籍資本のための国づくり20年以上も進めてきた政治経済体制の現実がこれだ。

最後に、今日の議論が今後の反グローバリゼーション運動の発展ということにひきつけて、先ほど紹介したマルクスは『フランスにおける階級闘争』の一節の紹介で締めたい。

「公的信用も私的信用も、当然動揺していた。……私的信用は麻痺し、流通ははばまれ、生産は停止していた。革命的危機は商業恐慌をたかめた。……プロレタリアートの反乱、それはブルジョア的信用の廃止である。なぜなら、それはブルジョア的生産とその生産の秩序の廃止だからだ。公的信用と私的信用とは、革命の強度を測定しうる経済上の寒暖計である。信用の目もりが下がるにつれて、それと同じ割合で革命と創造力はたかまる。」

金融危機と公的/私的信用の空前の動揺のなかで開かれたIMF・世銀総会だが、それに代わりうる対抗勢力の衰退のおかげで、現在の秩序は維持されている。しかしマルクスがいうところの変革の「創造力」の復活に、困難な中でも地道に取り組んでいくことが、今後の反グローバリゼーション運動、オルタグローバリゼーション運動の課題の一つだといえる。

posted by attaction at 16:36 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【IMF/世銀総会】10・13 No!No!No!No! IMF Partyでの発言

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稲垣 豊 ATTAC Japan(首都圏)運営委員
10/13 カフェ・ラバンデリア:No! No! No! No! IMF Partyでの発言

◎ 戦後資本主義を支えてきた2大国際金融機関

IMF/世銀は1945年に設立されたことでわかるように、金融危機やファシズムという資本主義自らが生み出した大混乱の極限であった第二次世界大戦が終わった資本主義体制を支えるために設立されたものと考えるべきです。「金融危機におけるIMF政策の失敗」とか「貧困削減プログラムにおける世銀の失敗」という考え方は、では「IMF/世銀に対して、正しいあるいは成功する政策をせよ」ということにしかなりません。国際規模で活動する資本主義が必然的にもたらす歪みや危機を先延ばしし、それでも危機が発生した場合は、いかに資本主義大国の利害に沿った解決を図るのか、ということがIMF/世銀の役目なのです。事実、世界銀行の融資は、冷戦の時代には親米反ソというイデオロギーが支配しており、反共・反ソ・反社会主義であればどんな独裁政権でも支援してきたのです。

そう考えると、独裁者への融資や、途上国に金を貸して危機になったらすぐに資金を回収するために押し付けてきた構造調整政策が「失敗」などではなく、IMF/世銀を支配するアメリカ、イギリス、日本、ドイツ、フランスという資本主義大国の利害をなによりも反映した政策だといえるでしょう。グローバル資本主義の変化(戦後復興、高度成長、国際化、途上国債務危機、ソ連東欧崩壊、経済の金融化、先進国バブルとその崩壊…)に伴ってIMF/世銀の役割も変化してきたといえます。

◎ 誰が誰に借りがあるのか?

「世界経済の安定化のため」や「貧困削減のため」などと言っても、これまでIMF/世銀体制の犠牲になってきたラテンアメリカやアフリカの人々は、「そんなことは大ウソでしょ」ということはわかっています。これは数字でも明らかにされています。1970年代に700億ドルだった第三世界の債務残高は2007年には3兆3600億ドルになり、1980年代から2007年まで第三世界諸国は70年代の102倍に当たる7兆1500億ドルを返済したにもかかわらず債務は48倍になっています。

1980年代に途上国の債務危機が表面化してきましたが、1985年から2007年までの期間、先進国から途上国に流れた資金よりも、途上国から先進国に流れた資金の方が7590億ドルも多いのです。世銀は戦後の欧州経済復興を目的に設立されましたが、それとほぼ同時にアメリカが行った欧州復興支援の「マーシャルプラン」は総額1000億ドルでした。その7倍以上もの金が、1985年から2007年の間に途上国から先進国に流れたのです。

途上国では借りた金はもうとっくに返済しているにもかかわらず、一向に債務は減らず、経済状況や人々の生活だけが苦しくなっているのです。これまで、このような状況は「途上国債務」の問題として語られてきましたが、いまや危機は欧州にまで拡大しているのです。

◎ ニジェールの貧困が解決しない理由はラガルド、お前だ!

いま資本主義の危機が一番目立っているのは外でもないIMFのラガルド専務理事のお膝元の欧州ですね。2010年のギリシャ危機から始まった欧州経済危機はいまだに収束の気配を見せていません。世界の金融屋は、ギリシャやスペインでのデフォルトの噂などに一喜一憂しつつ、「ちゃんと借金を払え!」と緊縮財政を押し付けています。しかしギリシャ、スペイン、ポルトガルなどの人々は「これは金融危機ではなく金融詐欺だ、私たちの危機ではなく資本主義の危機だ」と主張し、押し付けられる緊縮財政や債務の支払いに対して強い批判を持っています。

さて、そのラガルドですが、ギリシャの人々から緊縮政策への批判が出ているがどう思うかと新聞のインタビューで聞かれてこう答えています。「三人で一つのイスを分かち合い、教育を得ようと切実に熱望しつつも、日に一時間しか教育を受けていないニジェールの小さな村の子どもたちのことの方をもっと考えています」。ニジェールはウランを産出しており、フランス企業も現地で活動しています。原発大国フランスとフランスの原子力産業にとってニジェールは重要だということは置くとしても、IMFトップのラガルドがニジェールの貧困を持ち出したことには改めて怒りを覚えます。

ニジェールは、1996年7月からIMFの構造調整政策を実施している国で、いまだに40歳以下でなくなる人が25%もいる最貧国のひとつです。つまり、20年近くもIMFの構造調整政策を実施してきたにもかかわらず、貧困は一向になくならず、「三人で一つのイスを分かち合い、教育を得ようと切実に熱望しつつも、日に一時間しか教育を受けていないニジェールの小さな村の子どもたち」がいるのです。子どもたちのイスと教育の機会を奪ったのは、他でもないIMFの構造調整政策ではないですか。

※参考:年内に出版予定の『世界銀行:終わりなきクーデータ』(仮題/エリック・トゥーサン著)の第21章「構造調整とワシントン・コンセンサス−これらはすでに過去のものか?」に構造調整を実施したニジェールにおける抵抗闘争が記されているので紹介しておきます。
「2004年12月のママドゥ・タンジャ大統領再選直後から、待ったなしでIMF指導による法改正が行われ、05年1月には基本的物資・サービス(小麦、砂糖、ミルク、水、電気)の消費税が19%へと引き上げられ、大規模な抵抗運動が起こった。3月には、すでに何年にもわたる不作(旱魃と砂漠イナゴの害)や構造調整政策(民営化、社会支出予算削減、公務員のレイ・オフや賃金凍結などな)で貧窮していた人々が街頭で不満を爆発させた。三つの消費者団体が、29の組織と4つの労働組合連合をまとめ上げ、『生活費高騰反対同盟』という巨大な統一戦線を作り上げるのに成功した。数日にわたる『死の町』抗議行動と無差別逮捕の後、政府の政策を撤回させるのに成功した。19%の消費税はミルクと小麦粉には適用されず、水と電気に関しては大口利用の場合にのみ適用されることになった。砂糖に対する消費税だけは、IMFに対する民衆の激しい闘争にも関わらず、ニジェール当局によって忠実に実施された。」


◎ ギリシャ危機に責任があるのはラガルド、お前だ!

同じ新聞のインタビューでラガルドはこうも答えています。「アテネ(ギリシャ)に関する限り、終始税金を逃れようとする人々すべてについて考えている」と。また失業者が増えているという事態に対しては、ちゃんと税金を払って、それで雇用対策を考えるべきだという旨の発言をしています。ギリシャで一番の税金逃れはギリシャ正教会や国際海運会社(ギリシャでは国際海運税制に優遇措置がある)などです。それに引き替え普通の人々は所得税や消費税など税逃れが難しいわけです。

それだけではありません。ギリシャ危機の直前の2008年時点で、ギリシャをはじめ、PIIGSと呼ばれる国々(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)に貸し付けられた資金の四分の一近くがフランスの金融機関からの貸付でした。オリンピックなどでバブルが続いていたギリシャは儲かる、とおもって貸し付けたんですね。しかしバブルは国の粉飾財政がばれて、あえなく破綻します。

ラガルドは、2007年から2011年には、フランス金融資本の代弁者である財務省大臣を務めてきました。そして2011年7月にはIMFの専務理事に就任しています。つまり、ラガルドは、ギリシャ危機の原因でもある多額の貸付を行ってきたフランス金融機関をつかさどる金融行政のトップとして危機の直前に財務大臣に就任し、危機ぼっ発後すぐにIMF専務理事に就任して、借金の回収に乗り出したというわけです。

◎ 税金を払っていないのはラガルド、おまえだ!

「目玉でも肝臓でも売って金をつくってこい!」とやくざの借金取り立て屋は言いますが、ラガルドも同じようなことをギリシャの人々に言っているのです。IMFやEUなどによる緊急融資の条件としてギリシャに押し付けられた緊縮策は公共サービス補助金削減、2015年までに15万人の公務員解雇、最低賃金22%引き下げ、労働法制改悪、空港・港湾・鉄道、エネルギー事業、観光業の民営化等々です。そのどれもが人々の労働者の権利や生活レベルを大幅に引き下げる政策です。

ラガルドはギリシャ人に対して「税金を払ってない」と批判します。しかしみなさん、ご存じでしょうか。ラガルドは、IMF専務理事という国際公務員であり、所得税や関税がかかりません。彼女の年収ですが、給与が32万ユーロ、特別手当5万7千ユーロで、日本円にして合計約3800万円の年収に所得税はかからないのです。

昨日(10月12日)、EUにノーベル平和賞を授与するという報道がありました。これには怒りを通り越してあきれるばかりです。EUは、IMFやECB(欧州中央銀行)とともに緊縮財政を押し付ける「トロイカ」としてギリシャの人々から強く批判されています。attacフランスはEUへのノーベル平和賞授与に対して、「ギリシア、スペイン、ポルトガルにおいて数百万の民衆が2年間にわたって、社会的権利の破壊に抗議しつづけている。EU、IMF、ECBのトロイカに反対してきた」とし、EUと緊縮財政の新自由主義政策に抗議した人々への警察による弾圧を非難しています。

◎ 世界で見捨てられてきたすべての人々のために

今日、世界中で呼びかけられたグローバルノイズは、「危機は詐欺だ!借金は返さない!」というスローガンでデモを呼びかけています。これまで途上国債務問題に取り組み、先進国の押し付ける債務は不当であり支払う義務はないという主張をしてきた社会運動が、いまギリシャやスペインをはじめ、金融危機と緊縮財政に怒る人々とともに運動をはじめています。この運動は欧州だけでなく、債務帳消しを実施したラテンアメリカのエクアドル、あるいはアラブの春の発端となったベンアリ独裁体制を打倒したチュニジアの民衆たちとのネットワークのなかで広がりつつあります。これまで、国際政治からは無視され見捨てられてきた人々の声がいま世界中に響きわたろうとしています。

水谷橋公園からのデモの説明の際に、発言の中でトーマス・サンカラという、債務支払い拒否を主張したことで暗殺されたブルキナファソ大統領のことを紹介しました。時間がなくて紹介できませんでしたので、ここで彼の演説の一部を紹介して僕からの発言を終わりたいと思います。

「わたしは、世界の片隅で、もがき苦しんでいる、すべての人々を代表して語りたい。」
「男性によって作り上げられた、システムによって苦しんでいる、すべての女性を代表して、わたしは語りたい。」
「マラリヤや下痢といった簡単に救う方法があるにもかかわらず、貧しさや、知識の不足から、子どもたちが死んでいくのを目の当たりにしている、すべての母親たちのために、わたしは語りたい。」
「お金持ちの人々のショールームの武装された警備で守られている厚いガラス窓を、いつも、お腹を空かせて見ている貧しい子どもたちのために、わたしは語りたい。」
「死の商人たちが独占している最新の科学技術、それをじっと見つめる不安げな病人たちに代わって、わたしは打ち震えるのだ。」
「そしてわたしは、自然破壊の犠牲となったすべての人々、飢餓という恐ろしい武器によって死に至っている年間3000万人の人々に思いを馳せている。」
「世界中の国際会議で発言しようとしているすべての人々、彼らの声が届くように、そして真剣に問題を取り組むために、わたしはここに立ち上がる。」
「建前上はみな平等の権利をもって会議に臨んでいるとしても、実際の決定権を握っているのはごく少数の人々だけである。」
「だからこそわたしは、世界中の国際会議で発言しようとしているすべての人々の声が届くように、代弁者となろう。」
「そう、わたしは世界で見捨てられているすべての人々のために語りたい。」
「なぜなら、わたしは人間であり、人間である限り、わたしと無関係ではないのだから」

(トーマス・サンカラ:1984年10月にニューヨークで行われた第39回国連総会での演説)

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【IMF/世銀総会】IMF世界銀行による経済支配はもうたくさんだ!10・13デモ前のアピール

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稲垣 豊ATTAC Japan(首都圏)運営委員


◆ アラブの春から逃げ出したIMF世銀

昨日、IMF総会に集まったG8諸国、産油国があつまって「ドービル・パートナーシップ会合」なるものが開かれました。昨年来のアラブの春を支援する会議と言われています。この会合はアラブの春の地域に対して、「開かれた経済」「包摂的成長」などという経済政策を実施するために開かれています。それは私たちの言葉でいえば「新自由主義」に他なりません。ご存じのように本来はエジプトで開催の予定が、昨年2月のチュニジア・ベンアリ体制の打倒からエジプトのムバラク体制の打倒によって、IMF世銀総会が開けなくなり、急きょ日本での開催が決まったわけです。

「アラブの春」と呼ばれる民主主義革命の前に、IMF世銀は登場することができなかったということです。IMF世銀は、独裁と新自由主義にまみれた政権を打倒して民主主義の実現のために奮闘している人々のまえで、正々堂々と総会を開けばいいのではないでしょうか。しかしこの両機関は民主主義をもとめる人々の前から逃げ出したのです。このことがIMF世銀が民主主義とはほど遠い組織であるということを物語っているのではないでしょうか。

◆ 独裁体制を支えてきた世銀の「支援」

IMFや世銀は「緊急支援」「貧困削減」の国際組織だと自称しています。しかし実際には1945年に設立されてから現在まで、一貫して戦後資本主義システムを支える二大国際金融機関として運営されてきたのです。

たとえば、世界銀行が「支援」した国々を振り返ってみると、1953年にはイラン・シャー(国王)独裁体制、1957年にはグアテマラ軍事政権、ハイチのデュバリエ独裁政権、1961年には韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)政権、1964年にはブラジル軍事独裁政権、1965年にはコンゴのモブツ政権とインドネシアのスハルト政権、1966年にはタイの軍事政権、1971年にはウガンダ・アミン政権とボリビアのウゴ・バンセル将軍の軍事政権、1972年 フィリピンのフェルディナンド・マルコス政権、1973年チリのアウグスト・ピノチェトとルワンダのハビャリマナ政権、1976年 アルゼンチンの軍事政権、1978年にはケニアのアラップ・モイ政権とパキスタンの独裁政権、1979年にクーデターを行ったサダム・フセイン政権、1980年トルコの軍事独裁政権などなど、自由と民主主義と経済的平等を求める人々を抑圧、弾圧しつづけた軍事独裁政権の「開発」を一貫して支援してきたのです。ニカラグアのソモサ政権、ルーマニアのチャウシェスク政権、中国の一党独裁体制、チャドのデビ政権、チュニジアのベン・アリ、エジプトのムバラク、パキスタンのムシャラフ、スペインのフランコ将軍、ポルトガルのサラザール将軍などなど、世銀の「支援」の歴史は、欧米資本主義体制を支えてきた各国の独裁政権によって苦しめられてきた民衆の血の絨毯によっておおわれています。

一方、欧米資本主義体制と距離を保つ、あるいは敵対的だった政権には世銀は融資を停止するなどの敵対行為を取ってきました。グアテマラのアルベンス政権、ニカラグアのサンディニスタ政権、チリのアジェンデ政権などです。
世銀の融資は、アメリカを中心とする戦後資本主義体制への極端な偏重があります。

◆ 日米安保・原発を推進した自民党政権も支援

このような歴史をもつ世界銀行が「貧困削減」などと言っても、さんざん苦しめられてきたラテンアメリカやアフリカの人々にとっては冗談も休み休み言え、ということだと思います。東京総会をまえに世銀や日本政府は盛んに、「世銀は、新幹線や高速道路の建設など日本の高度成長寄与した」と宣伝しています。わたしは前述の独裁政権に、日米安保や原発などを推進してきた歴代の自民党政権も付け加えるべきだと思います。

さて、その日本政府ですが、現在は民主党政権ですが、総会では財務大臣がホストになるわけですが、昨日、城島こうりき財務大臣が開会の演説で三つの約束をしました。

◆ 日本や世銀のミャンマー「支援」は金もうけのため

一つ目の約束は、ビルマ/ミャンマーに対する新たな支援を本格化するということです。ビルマは日本が最大の「支援国」。これはアメリカが「ミャンマーでは民主化が進められてい」という判断を下して経済制裁を解除するという決定を受けたものです。多国籍企業、日本政府、世界銀行などがこれからどんどんビルマに進出していくことになるでしょう。ビルマでは数日前に「第二回アジア商業的農業会議」という国際会議が開かれています。人口の7割が農業人口のビルマで、企業が農業にどんどん進出できるようにすることを目的とした国際会議です。この会議の会場の前では商業的農業や企業による農地収奪に反対するビルマ農民たちが座り込みの抗議を行っています。このような状況のさなかに日本政府はビルマへの「支援」を国際的に約束したのです。「支援」を通じて私たちの税金がビルマの農民の人々を苦しめることにつながりはしないかという懸念があります。これにSTOPをかけるのは私たち日本の運動の役割です。

◆ 「防災」能力を奪ってきた国際金融機関の債務

日本政府の二つ目の約束は「防災」です。これも非常にふざけた話です。2004年末インドネシア・スマトラ沖地震による津波、2010年ハイチ大地震、パキスタン・インダス川洪水、そして東日本大震災大津波など、巨大な自然災害が続いています。自然災害が貧困削減の効果を台無しにするから防災が重要だ、という論理です。しかし、そもそもインドネシアやハイチ、パキスタンなどが防災計画を実施するための力を失ってきた理由の一つが、他でもない世界銀行やIMF、アジア開発銀行、G8諸国などへの借金返済によるものなのです。公共サービスをはじめ人々の生活にとって欠かすことのできない各種インフラを民営化し、人々のアクセス権を実質的に奪い、貧困を拡大してきたIMF世銀、そしてそれを支配するアメリカ、日本、イギリス、フランス、ドイツなど資本主義大国は、今度は「防災」で金儲けを企んでいるのです。

◆ アフリカ:IMF世銀の優等生はクーデータ独裁者

三つ目の約束は「アフリカ支援」です。五年に一度、日本政府は「アフリカ開発会議」を開催し、アフリカ各国の首脳を招いています。来年が5回目の開催の年に当たります。アフリカも資本主義諸国がおしつける貧困や債務に苦しめられてきた地域です。1986年、「もうたくさんだ!こんな債務は払わない!」と主張したブルキナファソの若き大統領がいました。トーマス・サンカラという人です。彼はその時まだ36歳でした。彼はアフリカ統一機構でこう演説しています。

「債務を支払うことはできない。まず、もし私たちが支払わなくても、金貸したちは決してそのせいで死ぬことはない。しかし一方、もし支払えば、ほとんど確実に私たちは死ぬのだ。(中略)私たちを債務漬けにした連中は、まるでカジノにでもいるように賭けをしたのだ。彼らが勝っている間は何の問題もない。いまや彼らはギャンブルに負けたので、私たちに返済を要求している。そして危機のうわさが出始める。彼らは賭けをし、負けて損をした。それがゲームのルールだ。もし、ブルキナファソが債務支払を拒否する唯一の国だったら、私は次の会議の時にはいないだろう。」

翌87年、サンカラはフランスをはじめ多国籍金融機関に支援された軍人コンパオレに暗殺されてしまいます。そのコンパオレは、それから現在までずっとブルキナファソの大統領の座にあります。2008年のアフリカ開発会議にも参加しました。2010年に大統領に再々当選したので、来年も来るでしょう。

このコンパオレが支配するブルキナファソについて、日本の外務省のウェブサイトではこう評価しています。

「2000年にはサブサハラで2番目にPRSP(貧困削減戦略文書)を策定。ブルキナファソによる経済改革、民主化努力は、世銀、IMF等を含む諸パートナーからも高く評価されている」

ひどい!としか言いようがありません。日本政府の三つの約束だけを見てもこうです。総会で議論されることはもっとひどいでしょう。今日は怒りを込めて、そして世界の人々とのグローバルにつながりながら、総会会場周辺を元気にデモをしたいと思います。

◆ WSF2013(チュニジア)参加を!

最後に、そのアフリカでも「債務は払わない!」という運動がふたたびはじまっています。冒頭に紹介したアラブの春がはじまったチュニジア、エジプトは、独裁政権の時代は「IMF世銀の優等生」と言われてきたとおり、多額の債務があります。独裁政権が打倒されましたが債務は残っています。しかし独裁者と多国籍金融機関が作り出した債務を民衆が返す必要はない、という運動が始まっています。

南米のエクアドルではコレア大統領のもとで、歴代の腐敗政権がつくりだした「不当な債務」に対する市民監査を実施し、この債務は返済する必要がないと断定し、2008年に一部債務の支払いを拒否しました。チュニジアの不当債務監査の運動に対して、エクアドル政府が協力を申し出ています。そしてエジプトの隣国、チュニジアでは2013年3月に世界社会フォーラムが予定されています。日本政府、IMF・世銀、G7諸国など、金貸し諸国のいう「支援」ではなく、貧困も搾取も戦争もないもう一つの世界を求める人々と、本当のパートナーシップをつくるために、日本の社会運動、市民運動、労働運動が、チュニジアで行われるWSFにも参加を呼び掛けたいと思います。

posted by attaction at 15:56 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする