2003年06月24日

Q10:金融取引税にはどんな反対論があるのですか?

多くの反対論は、金融市場こそが需要と供給の均衡を実現すると頭から信じています。いわく:

・今日の金融市場の取引額が巨大化しているのは、大きな流動性が必要であるからだ。資産価格を 均衡点に収斂させる(価格の発見)ためには値動きの幅が必要だということだ。

・短期取引の大部分はヘッジ取引で、リスク配分を改善する。例えば、3カ月後に100万ドルの支払を控えたフランスのコーヒー輸入業者が、ドル高ヘッジのためにドルを先物で買っておく(3カ月後に支払うドル建ての代金を今から決めておく)。そうすることで、ユーロでの支払額が確定し、為替リスクを負わずに済むようになる。

・投機は価格の発見やリスクの配分に至るために不可欠だ。迅速かつ円滑に資産価格をその均衡点へと収斂させることから、主に市場を安定化させる働きをするものだ。

・金融取引税等によって取引コストが増大すれば、流動性が低下してしまうため、資産価格の短期的なボラティリティが起こりやすくなってしまう。

・トレーダーや投機ファンドや銀行は、銀行手数料を上げて顧客に、そして賃金削減と雇用削減の圧力をさらにかけて賃金労働者全般に、税負担を転嫁するだろう。

・金融取引税の導入はとりわけ国際取引を対象とする場合は難しい。それに関係者たちは必ず、この税を回避する手段を見つけることだろう。


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Q11:これらの反対論に信憑性はあるのでしょうか?

「真の」価格の発見?

現実に起きていることを検討すれば、金融市場が「真の」資産価格へと収斂していくわけではなく、全般的な上昇局面(バブル)と下方調整局面(暴落)が相互に起きていることがわかります。というのも金融市場には、「実体経済における」財やサービスを取引する他の市場とは異なる特徴があるからです。金融市場では需要と供給の法則が逆向きになっているのです。

通常は、財の価格が上がれば需要は減ります。つまり潜在的な買い手は、他の〔もっと安い〕ものを買おうとします。金融資産の場合は逆に、価格が上がれば需要が増えます。価格上昇で利益を得ようとして、買いに回る投機家が増えるからです。それゆえ、金融市場は根本的に不安定なのです。投機家はこぞって奈落へと向かう羊の群れのような決定を行っています。

「リスクヘッジ」は経済的に有用?

(先の輸入業者のように)デリバティブによって安心を得ることのできる市場参加者もありますが、彼らの金融取引は(コーヒーの輸入のように)現実の財やサービスの取引と結びついているため、それほど頻繁ではなく、税を課してもほとんど負担とならないことになります。

金融取引税は相場のボラティリティを促進させる? [1]

金融取引税の導入が市場のボラティリティを促進すると結論付ける研究に説得力はありませんし、そこで導き出されている結論は一様ではありません。金融取引税の想定する税率はいずれも低率ですし、情報技術の進展によって取引に要するコストは過去30年間で大きく下がりました。金融取引税の導入によって取引コストが上がるとしても、ほとんどの市場で20年前に見られた程度の水準に戻るだけです。取引コストの上昇によって実際にボラティリティが促進されたとしても、1980年代の水準になるだけでしょう。そしてそれは今日よりもずっと低い水準でした。

金融取引税は市場の流動性を低下させる?

反対論は、金融取引税が金融市場の流動性を低下させ、投資家による株の売却を困難にすると主張します。確かに金融取引税は取引コストを増加させ、それによって取引量を減少させるでしょう。市場の流動性はやや低下するわけですが、取引コストは1980年代の水準に戻るだけですから、好況期の1980年代よりも流動性が下がるとは考えられません。経済が発展すれば、産業はより効率的になると考えられますが、金融はといえば複雑化して不透明になり、それにつれて社会的有用性を失うことがすでに実証されています。

取引地の移転が起こる?

金融取引税が世界のあらゆる取引と金融商品を対象とするのでない場合には、税金逃れをするために扱う金融商品を変更したり、取引の場所を変えようとする動きが起こるでしょうが、それによる税収への影響は極めて限定的でしかないでしょう。主要金融センターの関係者たちは地の利(大口取引先の有無、インフラストラクチャーなど)を受けています。税コストが移転コストよりも低ければ、金融機関は移転よりも納税を選ぶでしょう。

たとえば現在でも取引コストは国によって大きく違いますが、費用がもっとも低い場所に取引地を移転するようなことは起きていません。金融機関は、アメリカ合衆国、イギリス、大陸ヨーロッパ、日本という主要証券取引市場の安全性や、取引コストを補うだけのネットワークの効果を考慮するでしょう。イギリスでは0.5%という比較的高率の「印紙税」が課されていますが、ロンドン証券取引所の魅力を変えはしませんでした[2]。

租税回避行動が起こる?

新税が導入されれば租税回避が発生します。監督制度 を整備するかどうか、またタックス・ヘイブンを禁止するかどうかは、政治的な意志の問題です。

消費者と賃金労働者へ負担が転嫁されることになる?

新税が導入されれば、その負担を経済の川下の担い手に転嫁しようとする企てが必ず起こるものです。銀行手数料の引き上げを防ぐのは公権力と消費者団体の役割です。賃金と雇用がさらに圧迫されることを阻止するのは労働組合の役割です。売上高の減少により極度に弱体化する金融業界は、生産部門への圧力を維持するのさえ一苦労でしょうから、それ以上の圧力を行使できる可能性は低いでしょう。

[1] 以下の3つの反論はDean Baker,≪ Réponses aux critiques sur les taxes sur la spéculation financière ≫
CEPR, January 2010からの引用。
[2] Dean Baker, CEPR January 2010


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posted by attaction at 14:29 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Q12:このような低率の税では投機を阻止できないのでは?

・阻止できるとは誰も言っていません。金融取引税は魔法の武器ではありません。金融取引税は解決策のひとつにすぎず、唯一絶対の解決策というわけではありません。

・ですから金融取引税の導入は、監視を免れている場外取引などの金融商品の規制や、他の一連の対策(タックス・ヘイブン禁止、累進所得税など)と並行して行わなくてはなりません。


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Q13:金融取引税は投資意欲を削ぎ、実体経済を阻害するのでは?

 中・長期の投資家が取引をやめることはないでしょう。生産的経済活動を支えるために金融市場を利用する人々にとっては、取引コストのわずかな増加は許容範囲内でしょう。この税によって社会的に有用な金融サービスが阻害されることはないでしょう。


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posted by attaction at 14:26 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Q14:失業が増加している現在、この税は企業の障害になりませんか?

課税対象は金融取引であって、生産的事業ではありません。ねらいは実体経済よりも、株式市場および金融商品の短期取引にあります。デリバティブには課税されず、車の購入には付加価値税が課されるなどというのは理屈に合いません[1]。

[1] Paul Taylor. ≪ Enthusiasm Builds for Financial Tax Idea ≫. September 21, 2009.
http://www.nytimes.com/2009/09/22/business/global/22inside.html?_r=1&scp=1&sq=tobin%20tax&st=Sear


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posted by attaction at 14:26 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Q15:金融取引税は国際公共財の基盤となると考えられる産業部門〔金融部門〕の負担にはならないでしょうか?

・金融取引税を導入すれば、課税の対象となる金融取引量は縮小するでしょうし、税率がある程度を超えると税収が減ることになるのも事実です。

・しかし金融取引は、流通する実体的な富をなすものではありません。ありとあらゆる金融資産が所有権の移転をほぼ際限なく繰り返しているだけで、それらの資産価値は極めてギャンブル的です。そこには社会的有用性は殆どありません。したがって、長期的にみて、金融取引は国際公共財を構築するための堅固な基盤とはなりえません。ATTACが金融取引税を推進するのはこの理由からです。グローバルな税制に向けた一歩として、温室効果ガスの排出、多国籍企業の収益、国際物流などに金融取引税を課すとともに、非常に累進性の高い所得税制を整備することを主張しています。


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Q16:でも、これは増税につながります。私たちはもう充分払っているのでは?

・実際はまったく逆です。金融取引税を課されるのは小口預金者ではなく、短期的な投機を行う金融機関です。

・中産階級の投資家の大部分は、自分のポートフォリオ〔金融資産の構成〕をあまり変えません。年金のような非常に明確な目的のために貯蓄しているのであって、資産を絶えず売り買いすることで収入を得ようとは思っていないからです。ですから金融取引税による税コストは苦になるほどではありません[1]。いずれにせよ、私的な預金を促進するよりも、公的な年金制度を広げるべきです。

・投機をする銀行家がその代価を払わないのに、違う銀行のATMからお金を引き出す一般市民が手数料を払わなければならない、などということがあってよいでしょうか。

・現在の財政赤字からすると、政府は歳出を大幅に削減する(社会が大きな代償を払わされる)か、新たな税収を探すしかありません。後者を選択した場合、庶民にばかり過大な負担を押し付け、消費の縮小や失業の悪化を招かないためにも、所得税の累進性を増大させ、金融投機に課税すべきです。

[1] Dean Baker, CEPR January 2010


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posted by attaction at 14:23 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Q17:では、どのように徴収していくのですか?

・あらゆる金融市場で用いられ、(場外取引も含めた)あらゆる金融取引に用いられているはずの、集中化された清算・決済システムを通して、容易に(そして低コストで)徴収できます。高額取引は取引・清算・決済という三段階方式で行われます[1]。情報端末から注文を出すだけで、税額が税当局に自動的に転送されることになるでしょう。

・株式と一部のデリバティブは、証券取引所で取引されます。上記の三段階はここで実施されますから、徴税は技術的に容易です。

・清算と決済はかなり定型化されており、世界的に集中化されています。ですから、場外取引の場合も、清算・決済時点で徴税できるでしょう。世界のどこで取引が行われようと、税は取引者に課せられることになるでしょう。[2]

・金融取引税の導入は、とりわけデリバティブ市場の規制の動きを促進するでしょう。ギリシャとユーロに対する投機に見られたように、デリバティブ市場は今日、危険なまでに監督と公的規制を免れてしまっています。

・世界的に集中化された少数のシステムを使って大量の取引を行う少数の対象を監督するだけで、金融取引税は効果的に実施できるのです。

・実務的には金融取引税の導入は、証券取引所を起点に徐々に進められることでしょう。

[1] Rodney Schmidt, Jan 2010, p.2 「すべての高額取引は、取引、清算そして決済という3ステップで行われます。まずディーラーは取引に合意し、金融商品、取引総額、相場価格を調整します。これは直接ディーラー間で、あるいはブローカーを介して、電話でも電子取引プラットフォームを通じてでも可能です。次にディーラーの金融機関は、相互の金融取引商品の交換の取引条件を確認します。これは中央清算システムで電子的に行われます。そして、その二つの金融取引商品は支払いを承認するとともに転送されます。これは自動的かつ電子的に中央集中決済システムで行われます。」
[2] 同上


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posted by attaction at 14:22 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Q18:金融取引税がうまく機能するには、世界中で実施することが必要でしょうか?

・それに越したことはありませんが、すでに多くの国々に似たような税があります。 英国では、株式取引に0.5%の「印紙税」を課しています。それでも英国の証券取引所は世界で最大のうちの一つです。また、オーストリア・ギリシア・ルクセンブルク・ポーランド・ポルトガル・スペイン・スイス・香港・中国・米国・シンガポールには独自の金融取引税があります。

・英国・ドイツ・フランスだけで導入した場合でも、欧州地域の大部分の取引が課税されることになります。

・金融取引税を真に成功させるためには、米国やEUのような経済大国の参加が必要です。とはいえ、EUが一方的な措置を取れないわけではないはずです。EUが金融取引税を独自に実施しても、他の国々の市場への移転は起こりません。同じ時間帯に開いている大きな金融市場は他にないからです。


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posted by attaction at 14:20 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Q19:米国の参加なしにうまくいくでしょうか?

・米国という大きなパートナーを入れることは明らかに重要ですが、EUが金融取引税を先行導入しない理由にはなりません。

・米国が断固拒絶した場合も、ユーロやドルの取引を含めた為替取引に対する課税を開始するのは容易です。自国の通貨が対象とされているのに、自分のところへの税収の配分なしで実施されている税に関して、米国がずっと傍観することはないでしょう。


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Q20:銀行を対象としたオバマ税によって、金融取引税の可能性がつぶされたということはないでしょうか?

・7000億ドルにのぼる救済措置である2008年の「不良資産救済プログラム」(TARP)には、返済が完全ではない場合には政府の「投資」を金融業界から回収するという条項が含まれています。

・ 2010年1月にオバマ大統領によって発表されたこの銀行税は、銀行資産のうちリスクの高い部分を対象としており、銀行のリスク志向を抑えようとしています。

・この税は、TARPで実行される公的支出の一部(10年間で900億ドル)の回収に寄与することになるでしょう。

・オバマ税は、国際レベルでIMFが推奨しており、ドイツは導入を決定、EUも導入の流れです。

・金融取引税に反対する者は、オバマ税で銀行に課税しているのだと世論に示すことで、金融取引税を葬り去ることを期待しています。


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2003年06月23日

Q21:〔オバマの〕銀行税は取引税の代わりになりうるでしょうか?

・銀行税によって回収できる金額は、救済につぎ込まれた資金額(4000 億ドルを超すと推定されるファニー・メイとフレディ・マックの救済を含む)から程遠いものでしかありません。しかも、TARPでつぎ込まれた資金は、今までに貪欲な銀行のせいで米国が被った損失全体のごく一部しかないのです。米国の損失総額は、景気後退によって4 兆ドルに達し、今後10 年間の銀行税による税収見込みの40 倍以上に達するのですから。

・銀行のやり方が、銀行税によって変わることはないでしょう。銀行税で回収が見込まれる年間90 億
ドルという金額は、銀行の毎年の収益とボーナスの5%でしかありません。この程度の金額で銀行のやり方が目に見えて変わるほどのインパクトをもたらすとはあまり考えられません。銀行は相変わらず超短期的な利益の追求を続けるでしょうから、そうしたふるまいを変えさせるために金融取引税が不可欠であることに変わりはありません[1] 。

・リスクを基準とした銀行税が効果を上げるかどうかは、銀行がリスクを取ろうとするのを監督当局がどれほど抑えられるかにかかることになります。複雑な組み合わせで構成されたデリバティブは未だに規制されず、相変わらず不透明ですから、リスク評価は依然として困難です。

・ですから銀行税だけでは銀行および他の投機家が大きく行動様式を変えることはなく、金融の不安定性は持続するでしょう。つまり金融取引税の議論を今後も続ける意義は大いにあるということです。

[1] Dean Baker, Making the Banks Pay, The Guardian Unlimited, January 18, 2010.
Q21:〔オバマの〕銀行税は取引税の代わりになりうるでしょうか?

・銀行税によって回収できる金額は、救済につぎ込まれた資金額(4000億ドルを超すと推定されるファニー・メイとフレディ・マックの救済を含む)から程遠いものでしかありません。しかも、TARPでつぎ込まれた資金は、今までに貪欲な銀行のせいで米国が被った損失全体のごく一部しかないのです。米国の損失総額は、景気後退によって4兆ドルに達し、今後10年間の銀行税による税収見込みの40倍以上に達するのですから。

・銀行のやり方が、銀行税によって変わることはないでしょう。銀行税で回収が見込まれる年間90億ドルという金額は、銀行の毎年の収益とボーナスの5%でしかありません 。この程度の金額で銀行のやり方が目に見えて変わるほどのインパクトをもたらすとはあまり考えられません。銀行は相変わらず超短期的な利益の追求を続けるでしょうから、そうしたふるまいを変えさせるために金融取引税が不可欠であることに変わりはありません[1] 。

・リスクを基準とした銀行税が効果を上げるかどうかは、銀行がリスクを取ろうとするのを監督当局がどれほど抑えられるかにかかることになります。複雑な組み合わせで構成されたデリバティブは未だに規制されず、相変わらず不透明ですから、リスク評価は依然として困難です。

・ですから銀行税だけでは銀行および他の投機家が大きく行動様式を変えることはなく、金融の不安定性は持続するでしょう。つまり金融取引税の議論を今後も続ける意義は大いにあるということです。

[1] Dean Baker, Making the Banks Pay, The Guardian Unlimited, January 18, 2010.


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Q22:保険基金は金融取引税よりも優れているのでしょうか?

・銀行税によって回収した資金は、国家予算に入れるのではなく、保険基金に積み立てるというのが、IMF の考えです。この基金は、次の金融危機の際に銀行を救済するのに用いられます。

・しかし、保険制度の場合にはリスクは共同負担とされ、民間部門から公的部門に移転されます。つまりリスクは縮小しません。

・保険制度を実施するにはリスクの価格設定をしなければなりませんが、そのためには、保険契約者(銀行)のリスクを合理的な費用で正しく評価するために必要なすべての情報を、保険会社や規制当局が持っている必要があります。しかしG20 諸国の規制機関には、とてもそれほどの力はありません[1]。

・収入の面について言えば、保険というものは資金があらかじめ準備されていることを必要とします。保険料は、国際公共財に用いられるかわりに、金融市場に投資されます。

・保険は受け身の手段です。この方式では、市場の急激な動きを防ぐことはできず、その繰り返しを助長するだけです。保険制度には、モラル・ハザードの面があるからです。将来の暴落に対する保険
があるという考えから、銀行はさらにリスクを取るようになるかもしれません。規制当局は、次の投
機バブルが弾けるまで手をこまねいて、バブルが弾けてはじめて火消しに努めることになるでしょう。

[1] FSB & IMF, ≪ The Financial Crisis and Information Gaps ≫, 2009
Q21:〔オバマの〕銀行税は取引税の代わりになりうるでしょうか?

・銀行税によって回収できる金額は、救済につぎ込まれた資金額(4000億ドルを超すと推定されるファニー・メイとフレディ・マックの救済を含む)から程遠いものでしかありません。しかも、TARPでつぎ込まれた資金は、今までに貪欲な銀行のせいで米国が被った損失全体のごく一部しかないのです。米国の損失総額は、景気後退によって4兆ドルに達し、今後10年間の銀行税による税収見込みの40倍以上に達するのですから。

・銀行のやり方が、銀行税によって変わることはないでしょう。銀行税で回収が見込まれる年間90億ドルという金額は、銀行の毎年の収益とボーナスの5%でしかありません 。この程度の金額で銀行のやり方が目に見えて変わるほどのインパクトをもたらすとはあまり考えられません。銀行は相変わらず超短期的な利益の追求を続けるでしょうから、そうしたふるまいを変えさせるために金融取引税が不可欠であることに変わりはありません[1] 。

・リスクを基準とした銀行税が効果を上げるかどうかは、銀行がリスクを取ろうとするのを監督当局がどれほど抑えられるかにかかることになります。複雑な組み合わせで構成されたデリバティブは未だに規制されず、相変わらず不透明ですから、リスク評価は依然として困難です。

・ですから銀行税だけでは銀行および他の投機家が大きく行動様式を変えることはなく、金融の不安定性は持続するでしょう。つまり金融取引税の議論を今後も続ける意義は大いにあるということです。

[1] Dean Baker, Making the Banks Pay, The Guardian Unlimited, January 18, 2010.


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2003年06月17日

Q23:税収の使途と管理の方法は?

・税収は責任ある方法で民主的に管理すべきです。税収は共同の財産であり、決定の透明性と責任を確保するために、税収の管理と配分に関する決定は、参加者が平等な議決権を持つ多国籍の枠組みで行うとともに、広範な関係者の参加を得るべきです。

・ATTACなどの多くの市民団体の見解では、世界的な目的のために用いられる基金を管理する正統性を備えた機関は国連しかありません。

・『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』に任せてみるのもいいのではないかと唱えるNGOもあります。その場合、各国の提案するプロジェクトに応える形で基金が割り当てられることになるでしょう。つまり各国政府が(ミレニアム開発目標や温暖化対策などに関連して)市民団体と共同で作成したプランに沿った自国案を提出し、必要の妥当性が査定された結果、配分が行われることになるでしょう。
Q21:〔オバマの〕銀行税は取引税の代わりになりうるでしょうか?

・銀行税によって回収できる金額は、救済につぎ込まれた資金額(4000億ドルを超すと推定されるファニー・メイとフレディ・マックの救済を含む)から程遠いものでしかありません。しかも、TARPでつぎ込まれた資金は、今までに貪欲な銀行のせいで米国が被った損失全体のごく一部しかないのです。米国の損失総額は、景気後退によって4兆ドルに達し、今後10年間の銀行税による税収見込みの40倍以上に達するのですから。

・銀行のやり方が、銀行税によって変わることはないでしょう。銀行税で回収が見込まれる年間90億ドルという金額は、銀行の毎年の収益とボーナスの5%でしかありません 。この程度の金額で銀行のやり方が目に見えて変わるほどのインパクトをもたらすとはあまり考えられません。銀行は相変わらず超短期的な利益の追求を続けるでしょうから、そうしたふるまいを変えさせるために金融取引税が不可欠であることに変わりはありません[1] 。

・リスクを基準とした銀行税が効果を上げるかどうかは、銀行がリスクを取ろうとするのを監督当局がどれほど抑えられるかにかかることになります。複雑な組み合わせで構成されたデリバティブは未だに規制されず、相変わらず不透明ですから、リスク評価は依然として困難です。

・ですから銀行税だけでは銀行および他の投機家が大きく行動様式を変えることはなく、金融の不安定性は持続するでしょう。つまり金融取引税の議論を今後も続ける意義は大いにあるということです。

[1] Dean Baker, Making the Banks Pay, The Guardian Unlimited, January 18, 2010.


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Q24:資金はどのように、誰によって使われるのでしょうか?

・大部分は世界の主要金融センター(英・米・日・シンガポール・スイス・仏・独)で徴収されることになります。するとこれらの国々は、自国の財政赤字削減のために少なくとも一部を使って良いと言われなければ、おそらく金融取引税を支持しないでしょう。北側の労働組合や賃金労働者にとっては、社会福祉費の削減を避けられることになります。

・しかし、金融取引税による税収のほとんどが富裕国の財政補填に使われるとしたらは公正とは言えないでしょう。まずは地球的規模での貧困対策に役立て、南側諸国に対して環境債務を負っていることを認める必要があります。このグローバル課税は国際公共財を構築するのに使われるべきであって、自国の都合や景気対策に大半が費やされてしまってはなりません。

・イギリスの「ロビン・フッド税」導入キャンペーンでは、集まった資金の50%は税を徴収した国の赤字削減と債務返済に充当し、そして残りの50%は、ミレニアム開発目標の達成のための途上国援助と、南側諸国の温暖化への適応策・緩和対策とに均等に配分してはどうかとしています。

・これらの点については社会運動の側でも今後の国際交渉に影響力を及ぼすために検討を重ねていくべきでしょう。
Q21:〔オバマの〕銀行税は取引税の代わりになりうるでしょうか?

・銀行税によって回収できる金額は、救済につぎ込まれた資金額(4000億ドルを超すと推定されるファニー・メイとフレディ・マックの救済を含む)から程遠いものでしかありません。しかも、TARPでつぎ込まれた資金は、今までに貪欲な銀行のせいで米国が被った損失全体のごく一部しかないのです。米国の損失総額は、景気後退によって4兆ドルに達し、今後10年間の銀行税による税収見込みの40倍以上に達するのですから。

・銀行のやり方が、銀行税によって変わることはないでしょう。銀行税で回収が見込まれる年間90億ドルという金額は、銀行の毎年の収益とボーナスの5%でしかありません 。この程度の金額で銀行のやり方が目に見えて変わるほどのインパクトをもたらすとはあまり考えられません。銀行は相変わらず超短期的な利益の追求を続けるでしょうから、そうしたふるまいを変えさせるために金融取引税が不可欠であることに変わりはありません[1] 。

・リスクを基準とした銀行税が効果を上げるかどうかは、銀行がリスクを取ろうとするのを監督当局がどれほど抑えられるかにかかることになります。複雑な組み合わせで構成されたデリバティブは未だに規制されず、相変わらず不透明ですから、リスク評価は依然として困難です。

・ですから銀行税だけでは銀行および他の投機家が大きく行動様式を変えることはなく、金融の不安定性は持続するでしょう。つまり金融取引税の議論を今後も続ける意義は大いにあるということです。

[1] Dean Baker, Making the Banks Pay, The Guardian Unlimited, January 18, 2010.


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Q25:金融取引税を実現させるためには今、何をしたらいいのでしょう?

・金融業界とそれを代弁する政治家やメディアは、自分たちの社会的権力を脅かすこのような政策の実行を阻むためにあらゆる抵抗をします。金融取引税を導入し、国際金融に強力な規制をかけるための手段は、たった一つしかありません。それは市民が自国で、ヨーロッパで、世界で、そのための行動を大勢で繰り広げることです。

世界中のATTACはその実現に向けて全力を尽くします。私たちの出番です!

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