2017年09月06日

一帯一路&BRICSに関するピープルズフォーラム 閉会のあいさつ

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「一帯一路&BRICSに関するピープルズフォーラム」閉会のあいさつ

李美笑(食物環境衛生署職工権益工会副主席)


2日間にわたる「一帯一路&BRICSに関するピープルズフォーラム」はこれをもって円満に終了します。わたしはこの会議を代表して参加されたゲスト、スタッフ、そして参加者の皆さんに感謝を述べたいと思います。

グローバル化の第二波

講演者と参加者の発言によって、一帯一路についての共通認識がふかまりました。わたしは2005年に韓国で行われたWTOとグローバル化に反対するシンポジウムを思い出しました。そこでは多くのワークショップが開催され、影響を受ける各国から市民団体の代表が集まり、経済的グローバリゼーションのもとで大国が小国に対して、環境、労働、医療、教育、文化、芸術など各方面におよぼす負の影響について報告がされました。一帯一路も同じような影響を及ぼしているようです。違うのは、そのけん引役が「欧米」から「中国」に代わり、中央アジアからアフリカにかけて影響が及ぶということです。これはグローバル化による経済侵略の第二波とみることができるでしょう。

経済発展

「一帯一路」(BRICSサミット)のロゴは帆船をかたどっており、これは中国がブラジル、ロシア、インド、南アフリカのBRICS諸国をナビゲートすることをほのめかしています。この5か国は急速な経済成長が見込まれています(原注)。多くの人が「一帯一路」によってBRICSから利益が見込まれると考えるさなか、IMFのエコノミストStephen L.Jenは次のように述べています。「GDPと人口統計のデータにのみ依拠して投資を行えば間違いを犯す」。「汚職と政府のガバナンスなどの問題は一貫して無視されてきた。政治と経済の権力エリートから利益をうける都市部において過度な融資が行われていることは言うにおよばずである」。エコノミストらは、このような現象がみられるブラジル、インド、南アフリカ、トルコ、インドネシアをFragile Five(脆弱な5か国)と呼び、これにロシアを加えた6か国をSorry Six(お気の毒な6か国)と呼んでいるのです。

弱肉強食

中国で長年続いてきた改革開放政策は、国有資産を私有私産に転換したことで、一部の人が豊かになったことは確かです。しかしその一部の人々の富は海外に流出していき、国内の民衆に流れることはありませんでした。中国が進めてきた経済発展は、必ずしも安定的でも長期的でもなく、そして草の根の民衆に恩恵を及ぼすものでもないのです。それは政治と経済の権力エリートらに新たなビジネスチャンスをもたらしただけでした。かれらは環境を破壊する多くの鳴り物入りのプロジェクト契約を締結してきましたが、その建設にかかる費用の借り入れは、民衆が一生、あるいは次の世代以降にまでかけて返済を迫られることになるのです。

香港は、このような経済発展戦略における融資プラットフォームと位置付けられており、金融、物流、電子ビジネスの発展においてチャンスがあると言われています。しかし中国における投資の経験から、小資本の投資は成功よりも失敗のほうが多く、大規模な国有あるいは民間企業のみが利益をえることになるだろうと予測されます。クジラが小魚を飲み込むような事態になってしまうでしょう。

環境破壞

中国では経済開発のために、多くの高速道路、高速鉄道、ダムが建設されてきました。道路沿いの農村は天をひっくり返したような変化にみまわれ、田畑は収用され、家屋は取り壊され、伝統的建築や祠が破壊されて工場が建設されました。多くの出稼ぎ労働者が汗、ときにはその命とひきかえに生活の糧を得ました。しかし環境保護と労働安全衛生はまったく軽視されました。経済発展は自然環境と資源から限界以上の搾取を行い、多くの河川と農地は不可逆的な損害を被りました。このような環境の破壊と労働者に対する搾取、そして文化の喪失という特性は、今後の一帯一路によって他の国々にも拡大することが予見されます。

グローバル資本の魔の手に対抗するには、まず自身の立ち位置を固めることです。労働者教育とサービスのネットワークを確立し、地域労働者とつながり、労働組合の聯盟をつくり、アジア全体の研究をおこない、ボーダレスな社会運動にとりくみ、グローバルなモニタリングで、正義と平和の精神をすべての場所に送り届けることで、労働者の権利を保障し、わたしたちの住むこの地球を守ることができるのです[訳注]。

最後に、8カ国地域から参加していただいた18名のゲスト、通訳を担っていただいた友人の皆さん、すべてのボランティアスタッフと参加者の皆さん、もちろん7つの主催団体と実行委員会のみなさんに、あらためて感謝します。今日の集まりをスタートとして、今後も引き続き協力していきましょう。団結こそ力です。謝謝!謝謝!


(原注) 
BRICS5か国が全世界に占める割合は人口45%、貿易額17%、GDP25%になる。2020年にはブラジル、中国、インドの経済的生産高の合計は、イギリス、アメリカ、カナダ、ドイツ、イタリアの合計を超えると予測されている。

[訳注] 
「労働者教育とサービスのネットワークを確立し……正義と平和の精神」は、主催7団体の名称を組み込んだ内容になっている。主催はアジア・モニタリング・リソース・センター(AMRC)、香港天主教正義和平委員会、無國界社運、香港職工会聯盟(HKCTU)、労働者教育サービスネットワーク、全球化監察、街坊工友服務處の7団体。

タグ:一帯一路
posted by attaction at 15:22 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする