2007年06月08日

オルタナティブサミットとサミット包囲行動--6月6日の反G8アクション

20070606heiligendamm.jpg

WSF連絡会の大屋です。

 テレビでは、7日夕方現在も「ハイリンゲンダムの抗議はさらに進んでいる」との見出しで、報道が続いています。生中継中に、警察による放水排除の映像が流れるなど、事態は緊迫したままです。しかし、ハイリンゲンダムの人たちはがんぱっています。(その横で、ヘルメットをかぶった日本と思しきアジア系のテレビレポーターが、ヘルメットをかぶってレポートしている姿もうつっていました。警察の裏にいるから警察に殴られるわけでもないと思うのですが・・・。日本のマスコミには、放水をもろに受けているTシャツ姿の抗議者たちが、暴力集団にでも見えるのでしょうか?)
 取り急ぎ。

---

 G8サミットが開幕した6日、会場の町ハイリンゲンダムを一万人が包囲し、サミットの無策とその民主主義的非正当性に抗議の意を示した。二日目を迎えたオルタナティブ・サミットでは、「もうひとつの世界」に向けた各種のワークショップが開かれると同時に、ハイリンゲンダムでの包囲に連帯を示す発言が相次いだ。
●オルタナティブ・サミットでの議論

 今回のG8対抗行動は、2日のデモのスローガンが「もうひとつの世界は可能だ」であったことからも分かるように、世界社会フォーラムに集った運動と大きく重なっている。オルタナティブ・サミットの参加団体もパネリストも、その海外ゲストの多くは世界社会フォーラムではなじみの顔ぶれとなっている。

 G8に対する抗議の根拠も、気候変動に対する無策に対してばかりでない。第一に、今G8の宣言草稿がアフリカの貧困削減を焦点にしつつも、その対策としてはアフリカにおける投資の自由化を呼びかけているように、G8共通の方向性が、自由化・民営化を促進する「新自由主義」のグローバリゼーションであることに非難が集中した。第二に、G8各国が展開する軍事行動については、何の反省も見られないとする批判があった。第三に、いかに選挙で選ばれた政府であろうとG8という先進国が勝手に行っている会議が、世界的に影響を与えるのは、世界的な民主主義という観点から正当化されうるのか、という根本的疑問があげられた。

 その上で、いくつか興味深い企画があったので、報告者が参加した範囲でここにその概要を書いておこう。

 ドイツの運動体による、「G8でロビー活動すべきか、その正当性を否認するのか」と題されたワークショップがあった。ドイツのNGOがG8の政策を批判しつつも彼らへのロビー活動は継続すべしとしたのに対して、BUKOやローザ・ルクセンブルク財団はG8の正当性そのものを否定すべきではないかとの論陣を張った。ATTACドイツはその仲手役的見解にたった。これらの団体は、いずれも今回のG8対抗行動ネットワークに何らかの形で関与しており、このネットワークの微妙なあり方をしめした。しかし、ロビー活動で提示する政策も、G8そのものを疑問にふそうと、どちらも大衆的な参加行動がなければ実現しない。その点では、一致していたように思われる。

「開かれた空間(Open Space)」というワークショップでは、世界社会フォーラムの存在意義について討議した。社会フォーラムが、あらゆる格差・差別・差異を超えてすべての人をオルタナティブの討議に引き入れる「開かれた空間」であるとすれば、それ自体いかにして実現すべきか、「開かれた空間」を求めること自体がひとつの運動・闘争になるのではないのか、という観点からさまざまな議論が交わされた。特にG8が金網で囲まれた「閉じられた空間」である以上、社会フォーラムという「開かれた空間」の意義は大きい、という指摘は印象的であった。

 ドイツの参加者は、2日のデモでの「暴力」に言及し、G8対抗行動が「開かれた空間」だとすれば、そこでの「暴力」は許容されうるのか、と問題提起した。これには、たとえ「暴力」という手法を批判したとしても、その手法を使った活動家が権力関係における弱者であるならば、彼らとの対話の回路を一方的に断つべきではないとの意見が出た。

 主要パネルディスカッションでは「グローバル・ジャスティスへの運動―その評価と展望」に参加した。スーザン・ジョージ、イザベル・ラウベル、アレックス・カリニコス、ジョン・ホロウェイの各氏が参加した。焦点は、いかにして脱集権的・水平的・平等主義的な人間関係がつくりだせるのか、そのために運動側は何をなすべきか、という問題にあった。

 また、日本からの参加企画もあり、たとえば、反基地運動のワークショップで平和委員会が沖縄の基地問題と米軍再編問題について報告していたり、TICADがアフリカの開発問題について企画を開催したりしたことを、記しておこう。

●ハイリンゲンダムでの一万人抗議行動

 他方、同じ対抗行動ネットワークの一角をなす「Block! G8」は、この日G8サミット会場となるロストック郊外の町ハイリンゲンダムで抗議行動を開始した。警察が指定した立ち入り制限区域に突入し、NATOが設置した金網のゲート前で、サミット・スタッフの出入りを阻止しようというのである。(この行動の趣旨)。

 午前中、ロストック市内やハイリゲンダム近辺から出発した抗議団は各所の検問を突破した。その数は一万人の規模となり、ハイリンゲンダムの町を囲む警察の設置した金網にまで到達した。ドイツ警察は、これに対して放水車でデモ隊を排除しようとした。同日午後には、行動に参加していたATTACドイツのSven Giegoldが「平和的デモに対して警察は不当な暴力を加えている」と非難した。これを受けてか、7日夕方以降、金網近辺から機動隊は撤退し、抗議団が金網前で座り込みを継続している模様である。

 ベルリンとロストックを結ぶ高速道路では、一部活動家がメルケル首相の自動車での移動を阻止しようと、封鎖を試みた模様である。現地の報道によれば、こちらは警察と軍によって排除され、80人が拘束されたとの情報がある。また、ロストック・キャンプ場には、同日夕方警察による大規模な捜索があったが、これは現地にいた法律問題スタッフの説得によって撤退した。

 しかし、この日の抗議行動は、ドイツのメディアを含め大きな反響を与えた。非暴力的な不服従行動が決行され、もはや2日のような「暴動」は見られなかった。マスコミによるネガティブ・キャンペーンが展開される中、一万人が集まった会場を包囲した事実は大きい。現地の活動家からの報告によれば、警察内部でも動揺が起きており、民衆の平和的抗議活動に心打たれてか、一部の検問は抗議団のために道をあけ、ハイリンゲンダム周辺の町では市民も連帯を示すため、抗議団に水などをさしいれたとのことである。

 オルタナティブ・サミットの各ワークショップ・パネルでは、以上のような報告が逐次伝えられた。オルタナティブ・サミットの企画者・参加者を問わず、会場の人々は「Block! G8」に加わっている知り合いと連絡を取り合い、何か新たな情報があると即座に報告した。ロストックの地で「もうひとつの世界」について討議している2000人の多くが、「Block! G8」の非暴力的行動に心から連帯しており、その情報が会場に入るたびに万雷の拍手が鳴った。スーザン・ジョージ氏は、パネル討論会の席上、「2003年のイラク反戦世界同時行動以来の感動を覚え、私は喜びのあまり、涙しています。自分はもう老齢のため、そこに行けないが、オルタナティブ・サミットにいる人も、ハイリンゲンダムを封鎖している人と同じ気持ちでつながっているのです。」と述べ、聴衆の惜しみない拍手を受けた。 

●7日のデモ禁止令に抗して

 7日には、オルタナティブ・サミットも閉幕し、ハイリゲンダム周辺の町四箇所から「Star March」と名づけられた抗議デモが行われる予定である。ドイツの憲法裁判所はこの日のデモ禁止令を「合憲」との判断を下しており、ドイツ警察はこのデモに強硬姿勢を示す可能性がある。だが、ドイツの運動体も抗議デモの決行を撤回していない。情勢は緊迫している。

 しかし、6日の行動を見る限り、G8対抗行動は、ドイツ世論に対して決定的な問いかけを果たした可能性がある。この一万人の包囲は、「もうひとつの世界は可能だ」というスローガンのもと、新自由主義的グローバリゼーションと戦争の進行に改めて異議をつきつけた。
posted by attaction at 14:44 | G8/G20 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする