ジョゼ・ボヴェの大統領選出馬表明をちょっと長いですが、以下荒訳しました。その内容は、移民の多いフランスの社会事情を当然反映したものです、しかし、多くの基本的な点は、私たち日本のオルタナティヴ運動にとっても、目指すべき方向を示しています。
彼の出馬は、新しいオルタナティヴを構築しようとする幅広い市民的潮流に支えられています。(現時点で35330名の署名者が2週間で集まる)左翼の中からの立候補者が多数となり、乱戦の心配もなきにしもあらずですが、ボヴェによって、ひとつの受け皿ができたことは、いいことかもしれません。
彼は、GMトウモロコシを引き抜いたかどで、2月7日判決が出され、それが確定すると4ヶ月の禁固刑となり、牢獄からの選挙運動となります。
これはひょっとすると逆に有利な一条件になりうるかもしれません。
転載可
_________________________
ジョゼ・ボヴェの大統領選立候補宣言
フランスはかつてこれほど不平等だったことはありません。
大会社の社長はSMIC(1)受給者の300倍も稼いでいます。道路に10万人の人が寝ているとき、もっとも裕福な人たちは、税務上の義務を放棄しています。ストック・オプションは株式市場への投資の落ち込みの肩代わりをしているのです。
サラリーマンの大多数を雇用不安定と社会的不安へと押しやるようなひとつの制度を今や、終わりにすべきときです。今や経済自由主義に対して、投票による蜂起を宣言すべきときです。
数万人の人々が、私に大統領選に出馬するよう要請しました。私は、投票用紙で、私の名が、右翼と極右翼を打ち負かし、左派によるひとつのオルタナティヴへの希望を再度与えることを具現することを引き受けることにしました。私は社会的、連帯的、エコロジー的、反人種差別的、フェミニスト的変革の左派のすべての力を結集させる闘いが継続するために、受け入れることにしました。私たちは、これらの力の現在の分散によって、あきらめることはできません。私たちは、暮らしがほんとうに変わることを願うすべての女性と男性たちの架け橋になりたいとのです。
私は、ある政党の候補ではありません。私は政治のプロではありません。私の立候補は、この左派の統一を願う社会運動、組合運動、政治潮流、移民のNPOなどからなる市民的な力の結集による立候補なのです。この立候補は、無数の声によって支えられた集団的な立候補です。
私は、今日、共産党、エコロジスト、反自由主義的な社会党の議員の皆さんに呼び掛けます。皆さんの推薦(2)によって、私たちが、公式のキャンペーンに参加できるようにお願いします。
私たちは、社会的不安定と差別せいで苦しんでいる数百万人の声なき声を代弁する声になりたいのです。私たちは、棄権やル・ペンへの投票が、ニコラ・サルコジへの当選へまっしぐらに行くことになるのだと、彼らに伝えたいのです。
サルコジ氏は、私たちの国にとって危険な人物です。複数の公約のもと、彼のプロジェクト(政策)は、弱者により不利益を与え、強いものをますます強くする経済的ロジックで、どんどん進もうとするものです。彼はMEDEF(3)の候補者で、彼は不安定雇用を一般化した契約制度を行ない、労働法と公共サーヴィスを少しずつ解体し、大資産家への課税を取りやめ、庶民街に住む若者を侮辱し、公共サーヴィスの職員を軽蔑している候補です。この福祉国家の廃止を望み、国家を警察・刑罰国家に変えようとしている男です。ブレアとブッシュのこの友人は、私たちに、共同体的でNATO政策支持(大西洋主義)の国家を準備しているのです。
私たちも、暮らしがほんとうに変わることを望む人たちすべてのための解決法とひとつのプロジェクト(政策)を擁護したいと思います。伝統的な左派をこれ以上信じることができず、庶民街で反抗し、CPEを拒否しつつ、大挙して欧州憲法条約にノンを突きつけた女性、男性たちに、オルタナティヴは可能なのだということを申し上げたいのです。
ロワイヤル女史は、断念した左派を象徴しています。2002年に左派を、選挙の惨憺たる敗北に追い込んだ社会自由主義を前にして、自由主義経済の論理から決別することを拒否して自閉症になった社会党のプロジェクト(政策)を前にして、私たちは、社会的、民主主義的変革の左派、反人種差別的、フェミニスト的、エコロジー的左派を対抗させたいと思います。本当の左派です。
私たちのプロジェクト(政策)は活動家と社会変革のアクターたちによって行なわれた省察と経験のたま物です。これは、反自由主義左派のあらゆる構成者たちが集まった例のない集団的な仕事の帰結なのです。
それは、昨年、9月10日と10月15日に採択されたテキストをもとにしています。これは、利益に関する厳しい法と少しの正しい規律を混ぜ合わせにした官僚的なアプローチの結果ではありません。私たちは、すべての市民が、社会変革をおこない、監視するように招かれるべきだと思います。私たちの政策提言は、権力を司ることを再度、自分のものとするするために、すべての選挙民に提供されたひとつの道具なのです。
第一に、私たちは、社会的緊急対策を深化させたいと思います。失業と雇用不安の大きな削減は優先課題であり、それは、役に立つ活動の開発であり、雇用の創造的開発であり、解雇に対する厳密な規制の適用、そして生涯全体にわたって職業的な保証ができる制度を設置することです。最小限の社会福祉と低賃金の再評価は、収入の並外れた不平等に限界を設けるために、高給に向かってはっきりと漸進的に課税されるような財務制度が伴わなければなりません。これは私たちが掲げたい労働における新しい関係、新しい社会的諸権利の要求です。
財政的なスペキュレーションと株投資に対して闘う必然性があるからです。
第二に、私たちは、開発の新しいモデルを確立したいと思います。これは取り組まねばならない成長と生産、交換と消費の形態を再定義することです。多国籍企業と財政市場の全パワーに挑まねばなりません。というのも、彼らの利潤に対する欲望と人間性に対する蔑視は、私たちの惑星を破滅させるからです。GMO問題とならんで、核問題は、行なわれるべき市民的な議論の場に引き出され、すべての透明性のもとに、民主的に決議さるべきでしょう。
第三に、私たちは、その出身や宗教がなんであろうが、郊外のシテや庶民街に住む数百万の住民たちが、自分たちの国であるこの国で、市民以下の存在であるとこれ以上みなされることがないようになってほしいのです。彼らは、公正と平等と尊厳への権利を持っています。彼らの、健康や、教育や、雇用や住居にたいする基本的な諸権利が狭められていることは受け入れがたいことです。こうしたことに対する唯一の解決法が、警察による保安上の弾圧であり、それがしばしば、まったく罰せられることもなく、酷い暴力となり、死までもたらしていることを、受け入れることはできません。
第四に、私たちは、すべての人間、つまり、ひとりの人間はその人間性において認知されねばならないことを再確認します。一人の人間から、その尊厳を奪い取り、証明書を取り上げ続けることを拒否します。
第五に、私たちは、民主主義的、社会的な変革は、第五共和制制度を終わりにすることを要求しています。活性化されねばならないのは、民主主義全体です。私たちは、今あるありのままの社会に開かれた、世界に開かれた非宗教の新しい共和制、社会的諸権利から始まる基本的諸権利を拡大する政治的、社会的、市民的民主主義を求めます。
第六に、私たちは、2007年になるや、2005年5月29日に出したノンの意思の整合性において、フランスがヨーロッパ建設の再構築を民主的、社会的基礎の上に提案することを要求します。現存している諸条約を破棄し、私たちは、ヨーロッパ創設のための新しい文章を提案します。私たちは、私たち人民によって選択されるだろう新しい政策がヨーロッパの決定によって禁止されることは、受け入れられません。EUのフランスの議長役が2008年の二学期目にやってきますが、このような変更をより広く要求する機会となるでしょう。
第七に、私たちは、地方と海外県を公正に扱い、彼らの自主決定の選択に委ねることを約束します。
第八に、私たちは、苦しんでいるあらゆる人民とともに、経済戦争を促進させ、競争を過剰にし、民営化と規制緩和を有利にする自由化の政策と闘い、それを後退させたいのです。南側の国とともに、不平等を拡大し、戦争の元になる苦しみを起こす公的機関(世界銀行、国際通貨基金、世界貿易機関)の弊害を起こす能力をストップさせたい。私たちは、食糧主権と、水など人類の共有財産である資源への、すべての人々のアクセスする権利を擁護したいのです。
結局、女性たちは、仕事場で、家庭で、子供たちを前にして、依存している近親者たちへ、数多くの責任を果たしており、失業者、不安定の立場の人たち、低賃金の人たちのなかでも彼女たちこそが多数者なので、多くの公共サーヴィスの改良の最初の恩恵を被る人たち、また幼児を対象にした公共サーヴィスや失業、雇用不安定にたいする処置の優先権を得る最初の人たちであってほしいのです。女性と男性の平等の目標は、私たちたちの諸決定に続くものであるべきです。それらを新しい現実とすべき大事なときなのです。
私たちが期待するものは可能です。いま、ここで、自由主義的経済のド
グマを終わりにするなら。
私たちが期待するものは可能です。いま、ここで、真実の社会変革を私
たちが責任持って果たすなら。
私たちが期待するものは可能です。いま、ここで、私たちが、オルタナ
ティヴであり、エコロジストであり、反人種差別的でフェミニストであ
り、そして連帯的な左派を、統一的なものとして結集できるなら。
註:
(1):最低賃金法で、現在時給8,27ユーロ
(2):大統領選に出馬するためには、代議員の推薦が500
点必要。ボヴェは現在200点あまり獲得した。
(3):MEDEF=フランスの経団連