2006年12月28日

リカービ裁判勝訴!

04730.jpeg2006年12月27日、東京地裁で、リカービさんの損害賠償請求訴訟の判決がだされました。原告リカービさんの主張が100%認容され、事実上勝訴しました。以下、判決の概要をお知らせします。(画像は04年7月のもの。左がアブドゥルアミール・リカービ氏)

 この判決でATTACとして注目すべきところがあります。

(1) リカービさんが2003年12月日本政府の招待で来日してリカービさんの報道がされたとき、ATTACジャパンは、リカービさんが、彼の政治性とは全く異なる形で(自衛隊のイラク派遣を支持する立場)報道されたことを知って、リカービさんが宿泊していた赤坂プリンスホテルに駆けつけて、「あなたの政治的立場とは違った形で報道されている。あなたは日本政府に利用されている」ことを伝えたところ、翌日、彼は、報道に対する異議を述べるために記者会見を開きました。このことが、彼の政治的立場を証明する決定的証拠の一つになっています。

(2) リカービさんを「イラク民主化運動を進めるイラク民主的国民潮流のスポークスマンとしてイラク反戦運動にも関与し、平成15年11月にパリで開催された欧州社会フォーラムにおいては、イラク再建のためにイラク憲法制定国民会議準備委員会の創設を提案」したと認定したこと、

(3) 「欧州社会フォーラム」、「イラク民主的国民潮流」、「イラク憲法制定国民会議準備委員会の創設」が明記されていること

上記のことが判決文の中にしっかりと書かれており、欧州社会フォーラム(世界社会フォーラムと同旨と見てよいと思います)や「イラク憲法制定国民会議準備委員会の創設」が司法の場に登場したなんて、すばらしい!! 今まで私たちATTACがやってきたことが報われたように思います。

それに、弁護士の海渡さん、日隅さんの周到な資料収集のおかげです。ありがとうございました。
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[主文]
1. 被告(小学館)は原告(リカービさん)に対し、440万(および利息)を支払え。
2. 被告が管理するウェブサイトに掲載された記事を削除せよ。

[事実の経過]
 フランス在住のイラク人でイラク民主化運動の活動家であり、政治グループ「イラク民主的国民潮流」のスポークスマンである原告は、被告が、被告が発行した週刊誌及び被告が管理するウェブサイトに、原告が平成15年12月3日、首相官邸において、小泉純一郎首相(当時)と会談したことに関して掲載した記事により、原告の名誉が毀損された(本件各記事の報道の結果、原告がイラクの売国奴、あるいはリカーブ族の裏切り者だという評価を受け、政治的活動家としての信頼を失い、原告及び親族に脅迫の電話や手紙が来るようになったこと、さらには、イラク内務省スポークスマンが、原告が日本政府から1億ドルを受賞したとしてイラク民主的国民潮流を非難したことなど)として、被告に対し、(1)不法行為に基づく損害賠償、(2)同ウェブサイト上に掲載された記事の削除、(3)同週刊誌及び同ウェブサイトへの和文及び英文での謝罪広告の掲載を求めた。

[判旨]

争点1:本件各記事の読み方及び名誉毀損性の有無

@本件各記事の読み方について:
一般の読者なら、それをどのように読み取るかという観点から判断して、被告が主張するようには読めず、「本件雑誌記事は、一般の読者をして、小泉首相と原告が、会談において、サマワに派遣される自衛隊の安全をサマワの部族が確保することの対価として、日本政府が100億円相当の金員を、原告ら部族長に対し拠出する旨の密約がされたとの印象を抱かせるものと認められる」とした。
A本件雑誌記事の名誉毀損性について:
 「本件雑誌記事について一般の読者が前記のような読み方をすることを前提として、それが原告の名誉を毀損するものかどうかを検討するに、法的に保護される『名誉』とは、人がその品性、徳行、名声、嗜好等の人格的価値について社会から受ける客観的評価すなわち社会的名誉を指すから、名誉毀損の成否は、名誉毀損とされる当該行為がされた当時において、その者が社会的にどのような地位ないし状況にあったかを考慮して判断すべきである」として、原告の事情を検討した。
 そのうえで「原告は、昭和40年代前半ことから政治活動を開始し、現在はイラク民主化運動を進めるイラク民主的国民潮流のスポークスマンとしてイラク反戦運動にも関与し、平成15年11月にパリで開催された欧州社会フォーラムにおいては、イラク再建のためにイラク憲法制定国民会議準備委員会の創設を提案するなど、従前からイラク民主化に向けた政治活動を行っており、・・・前記原告の政治的思想等は、イラクに関心を寄せる国際社会においてはもとより、日本国内の新聞報道により、本件雑誌記事掲載当時の日本国内においても少なからず認知されていたと認められる。」とした。
 さらに「イラクの民主化のために政治的活動を行い、自衛隊のイラク派遣に反対する立場をとっていた原告について、同人が、小泉首相との間で、サマワに派遣される自衛隊の安全確保の対価として、日本政府から100億円相当の金員を原告ら部族長が受け取る旨の密約をしたと記載した本件雑誌記事の内容により、原告の日本国内及び国際社会での社会的評価が相当程度低下せしめられたことは明らかである。」として、「よって、本件雑誌記事は、原告の名誉を毀損するものであると認められる」とした。
B本件ウェブ記事、および本件英文記事について
 @及びAに同旨。

争点2:本件各記事の内容の真実性又は被告において真実であると信じたことの相当性

@本件各記事の内容の真実性について
 本件各記事は小泉内閣の自衛隊のイラク派遣政策を検証する目的で掲載され、公共の利害に関する事実を専ら公益を図る目的で報じたものであるとし、その真実性の証明については、一般の読者の通常の読み方を基準に判断される当該記事の主要部分についてされれば足りるとして、本件各記事の通常の読み方は、「小泉首相と原告が、会談において、サマワに派遣される自衛隊の安全をサマワの部族が確保することの対価として、日本政府が100億円相当の金員を原告ら部族長に拠出することを約束した」ものであると認められるが、それが真実であることを認めるに足りる的確な証拠はなく、さらに、「原告と小泉首相との会談後、同会談について『自衛隊のイラク派遣に向けた地ならし』と報道されたことに対して異議を唱え、平成15年12月8日に開かれた記者会見において、現状での自衛隊のイラク派遣に反対する立場を強調し、自衛隊の派遣前に、日本はメソポタミア湿原の復元計画を実施すべきであるとの意見を述べていること・・・」、ならびに平成16年1月26日にカタール国営通信社がアラビア語で、原告は日本滞在時に小泉首相と約束を交わした(原告が自衛隊の保護を約束することの見返りとして日本政府は莫大な金額を支払う)という約束を交わしたという記事を発表したことに対し、原告が、「この記事が事実に反するとして、小泉首相に対して、抗議の趣旨の書簡を送付し、その中で、原告は、日本の自衛隊を守ることを一切約束しておらず、またお金の話は一切していない旨記載していること、これに対し、外務省中東アフリカ局長が『・・・レポートは完全に誤報であり、事実に反している。』と原告に対し返信したことがそれぞれ認められる。」と認定した。

A被告において真実であると信じたことの相当性
 「本件雑誌記事作成当時、A(週刊ポスト編集部担当編集者)は、原告が小泉首相との会談に関する各新聞報道に対して異議を唱えて平成15年12月8日に記者会見を開き反論したことを知っており、また同各新聞記事は、同記者会見に関する新聞記事も読んでいたことが認められ、・・・これらの事実関係の下においては、Aは、原告と小泉首相との会談内容について、原告の認識と新聞報道に食い違いがあったことを認識し、また原告が米軍によるイラク占領及び自衛隊派遣に対し、反対の立場であるということも認識していたと認められる。また・・・原告は自らイラク民主化活動を行うと共に、政治活動団体のスポークスマンであり、前記のように記者会見を開いて自らの意思等を積極的に述べていたのであって、本件雑誌記事の作成当時、被告又はその依頼を受けた者が、原告に会うか又は電話やメール等の方法により原告に連絡を取り原告を取材することが十分に可能であったと認められる。」
 「そうすると、被告が・・・官邸筋の情報等に漫然と頼るのではなく、原告ないし原告関係者に取材を行い、原告と小泉首相との間で行われた会談時のやりとりやその際にされた両者の約束の具体的内容、さらには、イラクへの自衛隊派遣に対する原告の考え方の詳細などを確認していれば、本件主要部分のような記事は作成されなかったと考えられるから・・・被告に、本件主要部分において真実であると信じるにつき相当な理由があるということはできない。」

3. 争点3:本件各記事の掲載により原告に生じた損害の有無及び損害額について 

「本件各記事は、前記のとおり、原告と小泉首相との間で、サマワに派遣される自衛隊の安全をサマワの部族が確保することの対価として、日本政府が100億円相当の金員を、原告ら部族長に対し拠出することを約束したと報じたものであって、イラク戦争及び占領に反対してイラク民主化に向けた政治活動を行っていた原告らの名誉を毀損するものである。」
posted by attaction at 09:11 | 反戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする