2012年11月06日

【IMF/世銀総会】IMF世界銀行による経済支配はもうたくさんだ!10・13デモ前のアピール

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稲垣 豊ATTAC Japan(首都圏)運営委員


◆ アラブの春から逃げ出したIMF世銀

昨日、IMF総会に集まったG8諸国、産油国があつまって「ドービル・パートナーシップ会合」なるものが開かれました。昨年来のアラブの春を支援する会議と言われています。この会合はアラブの春の地域に対して、「開かれた経済」「包摂的成長」などという経済政策を実施するために開かれています。それは私たちの言葉でいえば「新自由主義」に他なりません。ご存じのように本来はエジプトで開催の予定が、昨年2月のチュニジア・ベンアリ体制の打倒からエジプトのムバラク体制の打倒によって、IMF世銀総会が開けなくなり、急きょ日本での開催が決まったわけです。

「アラブの春」と呼ばれる民主主義革命の前に、IMF世銀は登場することができなかったということです。IMF世銀は、独裁と新自由主義にまみれた政権を打倒して民主主義の実現のために奮闘している人々のまえで、正々堂々と総会を開けばいいのではないでしょうか。しかしこの両機関は民主主義をもとめる人々の前から逃げ出したのです。このことがIMF世銀が民主主義とはほど遠い組織であるということを物語っているのではないでしょうか。

◆ 独裁体制を支えてきた世銀の「支援」

IMFや世銀は「緊急支援」「貧困削減」の国際組織だと自称しています。しかし実際には1945年に設立されてから現在まで、一貫して戦後資本主義システムを支える二大国際金融機関として運営されてきたのです。

たとえば、世界銀行が「支援」した国々を振り返ってみると、1953年にはイラン・シャー(国王)独裁体制、1957年にはグアテマラ軍事政権、ハイチのデュバリエ独裁政権、1961年には韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)政権、1964年にはブラジル軍事独裁政権、1965年にはコンゴのモブツ政権とインドネシアのスハルト政権、1966年にはタイの軍事政権、1971年にはウガンダ・アミン政権とボリビアのウゴ・バンセル将軍の軍事政権、1972年 フィリピンのフェルディナンド・マルコス政権、1973年チリのアウグスト・ピノチェトとルワンダのハビャリマナ政権、1976年 アルゼンチンの軍事政権、1978年にはケニアのアラップ・モイ政権とパキスタンの独裁政権、1979年にクーデターを行ったサダム・フセイン政権、1980年トルコの軍事独裁政権などなど、自由と民主主義と経済的平等を求める人々を抑圧、弾圧しつづけた軍事独裁政権の「開発」を一貫して支援してきたのです。ニカラグアのソモサ政権、ルーマニアのチャウシェスク政権、中国の一党独裁体制、チャドのデビ政権、チュニジアのベン・アリ、エジプトのムバラク、パキスタンのムシャラフ、スペインのフランコ将軍、ポルトガルのサラザール将軍などなど、世銀の「支援」の歴史は、欧米資本主義体制を支えてきた各国の独裁政権によって苦しめられてきた民衆の血の絨毯によっておおわれています。

一方、欧米資本主義体制と距離を保つ、あるいは敵対的だった政権には世銀は融資を停止するなどの敵対行為を取ってきました。グアテマラのアルベンス政権、ニカラグアのサンディニスタ政権、チリのアジェンデ政権などです。
世銀の融資は、アメリカを中心とする戦後資本主義体制への極端な偏重があります。

◆ 日米安保・原発を推進した自民党政権も支援

このような歴史をもつ世界銀行が「貧困削減」などと言っても、さんざん苦しめられてきたラテンアメリカやアフリカの人々にとっては冗談も休み休み言え、ということだと思います。東京総会をまえに世銀や日本政府は盛んに、「世銀は、新幹線や高速道路の建設など日本の高度成長寄与した」と宣伝しています。わたしは前述の独裁政権に、日米安保や原発などを推進してきた歴代の自民党政権も付け加えるべきだと思います。

さて、その日本政府ですが、現在は民主党政権ですが、総会では財務大臣がホストになるわけですが、昨日、城島こうりき財務大臣が開会の演説で三つの約束をしました。

◆ 日本や世銀のミャンマー「支援」は金もうけのため

一つ目の約束は、ビルマ/ミャンマーに対する新たな支援を本格化するということです。ビルマは日本が最大の「支援国」。これはアメリカが「ミャンマーでは民主化が進められてい」という判断を下して経済制裁を解除するという決定を受けたものです。多国籍企業、日本政府、世界銀行などがこれからどんどんビルマに進出していくことになるでしょう。ビルマでは数日前に「第二回アジア商業的農業会議」という国際会議が開かれています。人口の7割が農業人口のビルマで、企業が農業にどんどん進出できるようにすることを目的とした国際会議です。この会議の会場の前では商業的農業や企業による農地収奪に反対するビルマ農民たちが座り込みの抗議を行っています。このような状況のさなかに日本政府はビルマへの「支援」を国際的に約束したのです。「支援」を通じて私たちの税金がビルマの農民の人々を苦しめることにつながりはしないかという懸念があります。これにSTOPをかけるのは私たち日本の運動の役割です。

◆ 「防災」能力を奪ってきた国際金融機関の債務

日本政府の二つ目の約束は「防災」です。これも非常にふざけた話です。2004年末インドネシア・スマトラ沖地震による津波、2010年ハイチ大地震、パキスタン・インダス川洪水、そして東日本大震災大津波など、巨大な自然災害が続いています。自然災害が貧困削減の効果を台無しにするから防災が重要だ、という論理です。しかし、そもそもインドネシアやハイチ、パキスタンなどが防災計画を実施するための力を失ってきた理由の一つが、他でもない世界銀行やIMF、アジア開発銀行、G8諸国などへの借金返済によるものなのです。公共サービスをはじめ人々の生活にとって欠かすことのできない各種インフラを民営化し、人々のアクセス権を実質的に奪い、貧困を拡大してきたIMF世銀、そしてそれを支配するアメリカ、日本、イギリス、フランス、ドイツなど資本主義大国は、今度は「防災」で金儲けを企んでいるのです。

◆ アフリカ:IMF世銀の優等生はクーデータ独裁者

三つ目の約束は「アフリカ支援」です。五年に一度、日本政府は「アフリカ開発会議」を開催し、アフリカ各国の首脳を招いています。来年が5回目の開催の年に当たります。アフリカも資本主義諸国がおしつける貧困や債務に苦しめられてきた地域です。1986年、「もうたくさんだ!こんな債務は払わない!」と主張したブルキナファソの若き大統領がいました。トーマス・サンカラという人です。彼はその時まだ36歳でした。彼はアフリカ統一機構でこう演説しています。

「債務を支払うことはできない。まず、もし私たちが支払わなくても、金貸したちは決してそのせいで死ぬことはない。しかし一方、もし支払えば、ほとんど確実に私たちは死ぬのだ。(中略)私たちを債務漬けにした連中は、まるでカジノにでもいるように賭けをしたのだ。彼らが勝っている間は何の問題もない。いまや彼らはギャンブルに負けたので、私たちに返済を要求している。そして危機のうわさが出始める。彼らは賭けをし、負けて損をした。それがゲームのルールだ。もし、ブルキナファソが債務支払を拒否する唯一の国だったら、私は次の会議の時にはいないだろう。」

翌87年、サンカラはフランスをはじめ多国籍金融機関に支援された軍人コンパオレに暗殺されてしまいます。そのコンパオレは、それから現在までずっとブルキナファソの大統領の座にあります。2008年のアフリカ開発会議にも参加しました。2010年に大統領に再々当選したので、来年も来るでしょう。

このコンパオレが支配するブルキナファソについて、日本の外務省のウェブサイトではこう評価しています。

「2000年にはサブサハラで2番目にPRSP(貧困削減戦略文書)を策定。ブルキナファソによる経済改革、民主化努力は、世銀、IMF等を含む諸パートナーからも高く評価されている」

ひどい!としか言いようがありません。日本政府の三つの約束だけを見てもこうです。総会で議論されることはもっとひどいでしょう。今日は怒りを込めて、そして世界の人々とのグローバルにつながりながら、総会会場周辺を元気にデモをしたいと思います。

◆ WSF2013(チュニジア)参加を!

最後に、そのアフリカでも「債務は払わない!」という運動がふたたびはじまっています。冒頭に紹介したアラブの春がはじまったチュニジア、エジプトは、独裁政権の時代は「IMF世銀の優等生」と言われてきたとおり、多額の債務があります。独裁政権が打倒されましたが債務は残っています。しかし独裁者と多国籍金融機関が作り出した債務を民衆が返す必要はない、という運動が始まっています。

南米のエクアドルではコレア大統領のもとで、歴代の腐敗政権がつくりだした「不当な債務」に対する市民監査を実施し、この債務は返済する必要がないと断定し、2008年に一部債務の支払いを拒否しました。チュニジアの不当債務監査の運動に対して、エクアドル政府が協力を申し出ています。そしてエジプトの隣国、チュニジアでは2013年3月に世界社会フォーラムが予定されています。日本政府、IMF・世銀、G7諸国など、金貸し諸国のいう「支援」ではなく、貧困も搾取も戦争もないもう一つの世界を求める人々と、本当のパートナーシップをつくるために、日本の社会運動、市民運動、労働運動が、チュニジアで行われるWSFにも参加を呼び掛けたいと思います。

posted by attaction at 15:56 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする