2012年02月06日

内容は貧弱〜サルコジの金融取引税に関するATTACオーストリアのコメント

2012年1月30日:サルコジの金融取引税
象徴としては妥当――内容は貧弱
金融取引税は課税対象や税率に抜け穴があってはならない


原文はこちら 

 「金融取引税のフランスへの導入計画は金融市場安定化のための小さな――ただし象徴性のまさった――第一歩である」とattacオーストリアのダーフィト・ヴァルヒは、フラン大統領ニコラス・サルコジの金融取引税に関する予告を論評する。「フランスが金融取引税で先駆けの役割を果たそうとしていること、またそれによってユーロ圏導入への政治的圧力が高まることは是とされる。とはいえ、具体的な提案を見ると、興ざめにしかならない――かなり隙間だらけのできそこないでしかないからだ」

 フランスの金融取引税は、株の取引に対してのみ、ただしクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引にも、0.1パーセントの税をかけるというものである。それに対して、債権や外貨やデリバティブの取引は完全に課税対象からはずされるという。したがって予想される税収はおよそ10億ユーロと非常にわずかなものにとどまる。ヴァルヒによれば、「サルコジ案は、欧州委員会のどのみち不完全な提案(※1)にもはるかに及ばない。今後明白な修正がなされるように、政治的圧力をかけ続ける必要がある」

 サルコジの予告の背後には選挙対策も隠れている。「サルコジはこのできそこないの金融取引税によって、とりわけ働く人びとの負担になる消費税の大幅な引き上げと130億ユーロ規模の雇用者側の負担軽減(※2)から注意をそらしたいと思っている」とヴァルヒは解説する。また、この金融取引税が、attacのような多くのNGOが何年も前から要求しているように、世界の貧困や気候変動の問題を解決するためにも使われるというようなことについては、残念ながら何一つ言及されていないのである。

 attacは、第一歩として、ユーロ圏における実効性のある金融取引税を要求する。この金融取引税は、課税対象に抜け穴があったり、税率がまちまちであったりしてはならない。そのような取引税であって初めて、当該金融分野を縮小させ、金融産業に危機克服のための本質的な貢献をなさしめることができるのだ。しかし、金融取引税は、金融市場を有効に規制するために必要な手段ではあるが、そのための十分な手段からはほど遠いものである。システム上重要な金融機関(SIFIs)(※3)の分割やタックスヘイブンの実質的閉鎖やあらゆる金融商品、とりわけデリバティブへの許可制の導入が不可欠なのだ。


※1 こちらを参照

※2 サルコジ大統領は、付加価値税の税率を10月から、現行の19.6%から21.2%に引き上げることにより増加が見込まれる130億ユーロの財源を、仏企業の社会保障負担を軽減のために支出することで国際競争力の強化と雇用促進が可能であると主張する。とんでもない企業優遇税だ。

※3 金融安定理事会(FSB)が2011年11月4日に公表した国際金融システム上重要な金融機関(G-SIFIs)は29行(こちら)。
バンク・オブ・アメリカ、中国銀行、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、バンク・ポピュラーレ、バークレイズ、BNPパリバ、シティグループ、コメルツ銀行、クレディ・スイス、ドイツ銀行、デクシア、ゴールドマン・サックス、クレディ・アグリコル、HSBC、ING銀行、JPモルガン・チェース、ロイズ・バンキング・グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、モルガン・スタンレー、ノルデア、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、サンタンデール銀行、ソシエテ・ジェネラル、ステート・ストリート、三井住友フィナンシャルグループ、UBS、ウニクレディト・グループ、ウェルズ・ファーゴ。
このリストは毎年11月に見直しが行われる。G-SIFIsに該当する金融機関は、バーゼル銀行監督委員会が新銀行規制「バーゼル3」で求められる自己資本比率に対し、保有するリスクに応じ、1.0〜2.5%の自己資本比率を上乗せして確保するよう求められる。attacは自己資本比率規制ではなく、規模そのものの縮小や民主的な公的管理を主張している。

posted by attaction at 11:43 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする