2006年09月14日

国際金融機関に反対するグローバルな行動の呼びかけ

wuerker72.jpg9月15日から三日間、インドネシアのバタム島で、国際通貨基金(IMF)・世界銀行秋季総会に抗議する民衆フォーラムが開かれます。IMF・世銀は、もう何十年にも渡って、南の諸国に融資する代わりに、新自由主義政策(基礎サービスの有料化、日常必需品への補助金の打ち切り、緊縮財政、外資誘致、輸出志向経済など)を課して、大企業と大国の利益に奉仕してきました。途上国は、巨額の債務を返済し続け、その過程で人びとの生活が破壊されてきました。この民衆フォーラムは、IMF・世銀が債務を介して世界の民衆を支配することに抗議し、IMF・世銀なきグローバリゼーションを構想するために開かれます。

近年、IMF・世銀は、上記の批判を受けて、市民社会からの参加を打ち出し、総会会場にNGOを招待し、討論の場を設けるようになりました。しかし、先にMLで報告されたように、総会の会場となるシンガポールの政府は、入国拒否者28人のブラックリストを作成し、すでにリスト外の3人の参加者を入管で強制送還、ないしは拘束しました。このことは、「市民社会の参加」という甘い顔の裏面で、IMF・世銀が参加できる市民社会の厳しい選別基準を設けていることを示しています。

ATTAC Japanは、ジュビリー九州のみなさんと、民衆フォーラムに参加する予定です。フォーラムに関しては、10月14日のアタックカフェで報告させていただくことになっています。これに加えて、9月17日には、白山の事務所で債務についての学習会を開きます。この学習会は、民衆フォーラムの主催団体の一つであるジュビリーサウスからの「国際金融機関に反対するグローバルな行動の呼びかけ」に応じて企画されました(「呼びかけ」については、以下に訳を添付)。再度、案内があると思いますが、グローバル行動ウィークの学習会に参加いただけるようお願いします。


********

国際金融機関に反対するグローバルな行動の呼びかけ

 60年以上にわたって、国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、そのパートナーである地域の開発銀行と輸出信用機関とともに、国際金融資本を使って、グローバルな民間企業の利害と、これらの諸機関を支配する少数の大国の経済的、地政学的な検討課題に沿うように、南の社会をコントロールし、再構築してきました。南の民衆生活や共同体、環境、政治構造に及ぼしてきた影響は、深刻であり、何年もの間、これらの諸機関に反対する抵抗闘争を生み出してきました。
 IMFと世銀の政策と運営によって引き起こされた破壊、強制追放、所有権剥奪に関しては、十分な証拠と無数の証言があります。しかしながら、これらの諸機関は、自らの役割の正当性を執拗に主張しています。最近、彼らは、自らが「貧困削減」と「よき統治(グッド・ガバナンス)」のチャンピオンであると宣言しました。
 この2006年に、私たちは、これらの諸機関に反対する闘争を強め、国際的な協同と行動の団結の水準を上げていくことを宣言します。特に、私たちは、2006年9月14-20日のIMFと世銀の年次総会の週に、地球上の多くの国で、様々な形の動員と直接行動を組織するでしょう。
 私たちは、あらゆる民衆組織、社会運動、労働運動、女性運動、農民グループ、先住民、宗教・文化グループ、共同体組織、NGO、政治勢力、そして世界中のすべての団結した市民に、私たちと一緒に活力あふれる行動に加わってくださるよう、呼びかけをしたいと思います。IMFと世銀の年次総会、地域の開発銀行、輸出信用機関、彼らが押しつける新自由主義のグローバルなシステムによって引き起こされる破壊と人権侵害に世界中の注目を集めましょう。
 私たちの行動は、これらの諸機関の各国に対する影響を反映した論点を確認し、要求を明らかにし、以下のグローバルな要求のもとに団結します。


一 南から要求されている債務完全帳消しの一部として、いかなる条件を課すことなく、今すぐ、100%の多国間債務帳消しをせよ。

 国際金融機関は、自分たちが「貧困削減」「開発のための金融」に精を出していると主張しています。しかし、債務支配の非人間的で破壊的な結果は、これらの諸機関の主張がまったくの嘘っぱちであることを証明しています。

 国際金融機関の債務救済イニシアティブは、南から求められている債務のほんのわずかな部分に他ならないのです。さらに悪いことに、これらのイニシアティブは、条件を課すことで、民衆が自ら開発の道筋を決める権利を攻撃し、その生活と環境に害を及ぼし、南の経済をグローバルな民間企業の利害に結びつけます。

 債務のわずかな部分の帳消しは、資金を基礎的なサービスに使うことを可能にしますが、債務の束縛から南を解放することはありません。債務帳消しは、100%でなくてはならないのです。

 緊急行動として、私たちは、アフリカ、ハイチ、ネパール、津波被害国、最近の自然災害によって破壊されたその他の例、戦争でボロボロになった国々、エイズにうちのめされた社会、深刻な社会・財政・経済危機を経験しているその他の諸国など、特別に緊急のケースに光をあてています。

 私たちは、国際金融機関の「債務の持続(debt sustainability)」枠組みを拒否します。南の民衆、経済、資源に対する支配と搾取の上に立てられたグローバル経済システムの中に、「持続可能な」債務のレベルなどないのです。この枠組みは、国際金融機関が南の諸国の「債務」の維持を正当化する手段なのです。

 「債務持続枠組み」の主張は、債務がいかに不当であるかという、南から出された、より根本的な問題を提起することも拒みます。南の民衆は、不当な債務にお金を払うことを強いられるべきではありません。民衆は債務から何の利益を得ることはありません。それは、共同体の土地からの強制退去と環境への被害を引き起こすプロジェクトに資金供給してできた債務です。政治腐敗とプロジェクトの失敗によって無駄遣いされた債務です。非民主的かつ詐欺的な手段で契約された債務です。きわめて不公平で有害な条件の債務です。独裁政権が請け負った忌むべき債務です。搾取的な国際経済関係の文脈で契約された債務です。南の民衆が何度も支払ってきた債務です。

 南が主張する債務は膨大な額(合計で2.3兆USドル以上)ですが、北は南の民衆にもっと巨額な債務を支払う義務があります。北が支払うべきは、南のエリートと連携した北からの幾年にもわたる略奪や搾取で積み重なった、歴史的、経済的、社会的、環境的な債務です。

 IMFと世銀は、世銀の貸付損失準備金(2005年6月30日で30億USドル)、内部留保(2005年6月30日で270億USドル)、IMFの金保有高を使って、南の負っている債務を帳消しにするコストを生み出すべきです。1オンス=600USドルを超える金の市場価格の場合には、IMFの1億34オンスの金は、IMFの本に記録されている90億USドルではなく、600億USドル以上の価値になります。


二 世銀とIMFを始めとする国際金融機構の融資活動と関連する政策に対して、開かれた、透明で、参加型の外部監査を設置せよ。

 債務キャンペーン、運動、民衆組織、NGOは、南の諸国からの主張と南の政府からの要求を受けて、現在、一国レベルの独立した債務の市民監査を準備、実践し、債務の開かれた、参加型の政府監査(たとえば議会)を行おうとしています。これらの監査は、債務問題の起源と原因を考察し、結果と影響を調査し、債務の疑わしい、不当な性格に光をあて、説明責任を認識し、国家の債務政策と関連する論点を緊急に変更させる基盤を確立し、強化します。

 私たちは、融資、融資政策、その過程や活動、これらの融資に伴う条件に関して、国際金融機関を同じように独立した監査機関の管理下に置き、その効果と影響を調査することに挑戦します。その監査は、これらの国際金融機関の過失と説明責任を探査し、どれだけの賠償がなされなくてはならないかを算定します。

 国際金融機関は、近年、政治腐敗と戦う努力と戦略を宣伝し、自らをよき統治のチャンピオンとして描き出そうとしています。私たちは、こうした諸機関に挑戦し、まずそれらがいかにして政治腐敗を生み出し、悪化させてきたのかを示します。融資、融資活動、諸条件(コンディショナリティ)に関する外部からの、独立した監査には、この問題が盛り込まれるでしょう。加えて、腐敗は、民間部門、特に超国家企業を含んだシステムの問題であるとみなされるに違いありません。


三 条件を課すことと、新自由主義的な政策とプロジェクトを促進することをやめよ。

 その融資とプログラムに伴う諸条件を通じて、IMFと世銀は、グローバル経済を再構築することに成功してきました。1980年代の初頭から、巨額の債務と貧困と金融問題を抱える諸国に対して「構造調整プログラム」を広く使用することで、大部分の南の諸国の経済政策を、いかにその政策がこれらの国の開発のニーズに不適当であろうとも、先進国のそれに真似させてきました。信用貸しを何よりも要する諸国に新自由主義政策を課したので、南の民衆は今、次のような問題に直面しています。現地市場に供給せずに輸出生産志向になっている経済、製造業部門の壊滅、経済の外資支配、貴重な公有資産の民営化、何十年も資金供与を停止しているために活力を失った健康とその他の社会サービス部門、過剰搾取による環境資源の壊滅、小農場と小企業に対する信用貸しと補助金の拒絶、大量の失業。
 私たちの債務支配に反対するたたかいは、主として、負債を抱える政府が受け入れを強いられている諸条件からの解放を勝ち取るために行われています。

a 国際金融企業の50周年記念に、国際金融機構は、公的サービスの民営化を促進することと、企業利潤を支援するのに公的資源を使用することをやめよ。

 IMFと、とりわけ世銀は、基礎的なサービスの民営化をグローバルに展開させようとしています。それらの機関は、地域の開発銀行や輸出信用機関のような、他の金融諸機関と結びついています。

 国際金融機関は、政策への条件付与と政策アドバイスを通じて、公共サービスの民営化を促進し、民営化への道を開くプロジェクトに資金供給しています。さらに、企業化調査(feasibility studies)の準備と実行の過程に技術支援をし、公共施設を譲り受ける民間企業に直接支援までも行っています。国際金融企業は、この民間企業にリスク保証のみならず株式支援(equity assistance)までも提供し、民営化した公共施設が困窮した場合には、政府緊急援助を与える役割を果たしています。

 水の供給のような基本サービスの民営化を強調し(ただしいかなる企業も公共施設を購入し、賃貸契約とサービス契約の手はずを整えることに関心をもっていません)、食品保存会社のような救命企業の「商品化」をも強調し続けています。これは、たとえかなり辻褄の合わない証拠が出ていようとも、経済を有機的にまとめ上げる唯一の原則として、国際金融機関が市場に執着していることを反映しています。南で水の民営化が失敗を重ねようとも、国際金融機関は公的所有から資産を奪い取るという使命を思いとどまろうとはしません。

 国際金融機関と多国間のパートナーに対する私たちのメッセージは、はっきりしています。もう民間企業の利益を支えるために、公的資源を使わないで、というのがメッセージです。

b 国際金融機構の融資と、巨大ダム、石油、ガス、鉱山を始めとする環境破壊的なプロジェクトへの関与をやめ、採取産業査察(the Extractive Industries Review)の主なアドバイスを実行せよ。

 国際金融機関は、自分が気候変動と環境破壊とのたたかいの主導者であると主張しています。しかしながら、いかに狡猾なレトリックを用いて、より強い約束と新しい戦略を打ち出したとしても、国際金融機関によってデザインされ、推進され、支持された多くのプロジェクトが、すでに骨抜きにされた基準やこれら諸機関が明言した保護措置を侵反し、大規模の環境、社会問題を引き起こしている事実は、隠すことができません。

 世銀は、主たるエコロジー債務者です。水力発電ダムや鉱山、パイプライン、石油開発のような主要なプロジェクト、人口を追放し、大きな環境被害をもたらした開発プロジェクトに融資してきました。世銀は、採取産業査察の主たるアドバイスの受け入れを拒否してきました。そのアドバイスには、1)資源採取プロジェクトに直面した共同体に、独立した、事前のインフォームド・コンセントがされなくてはならないという原則、2)炭化水素採取プロジェクトの段階的廃止、が盛り込まれています。

 世銀は、カーボン・クレジット・トレードを持ち出して、気候変動の問題にリーダーシップを取って行動していると主張します。これは、市場原理主義のもう一つの悲劇的な例です。世界の気候のおぼつかない未来を世銀の狡猾な市場的解決法にゆだねるというのは、地球とそこで生活するすべての人びとの運命を脅かす過剰消費から、主たる関係者の目をそらさせることなのです。他方で、代替エネルギーの開発をリードすると主張する世銀グループは、より大きな資源を伝統的なエネルギー資源の開発に注いでいます。実際のところ、世銀は、温室ガスの生産プロジェクトの主たる融資者です。

c エイズのような健康危機を悪化させる条件を課すのを今すぐやめ、公教育や健康サービスに対する使用料の請求のような過去の行いから生まれた損害を賠償せよ。

 国際金融機関の政策は、様々な形で、エイズのような健康危機を悪化させています。緊縮政策は、健康予算を制限しています。公的部門の被用者に使う支出を制限することを理由に、絶対に不可欠な教師と健康サービス労働者の雇用が妨げられています。使用料を主張することで、民衆は医療を提供されず、子供たちは学校に通うことができません。国際金融機関のマクロ経済政策は、過去25年もの間、緊縮財政、高金利、一方的な貿易自由化、生活必需品の民営化を課し、1960〜80年の20年間で生じたよりも、成長率が低いままで、社会指標がほとんど改善されないという結果を引き起こしてきました。

 国際金融機関は、その政策が公的サービスに被害を及ぼした諸国に対して、多くの社会的負債を抱えています。債権者は、南の国の女性です。彼女たちは、IMFの政策によって入手できなくなった、医療、食料、教育、水、その他の基本財とサービスの提供を手助けしなくてはなりませんでした。世銀とIMFは、その政策が引き起こした損害の保障と賠償として、無料の基礎教育と医療を提供すべきでしょう。

 9月14-20日に、シンガポールや世界中の街頭や広場に出て、IMF、世銀、その他の多国間銀行、それらを統制する諸国による南の破壊を、終わらせるよう団結して求めていきましょう。

原文はこちら 
posted by attaction at 13:43 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする