2003年06月24日

Q3:金融取引税を導入するための技術的論拠は?

・短期的な投機が中心となった現代の金融市場では、取引が増大し資金の流動性が高まっています。

・最も差し迫った問題は資産価格の長期的なボラティリティ[*]にあります。短期的な取引のせいで資産価格は長期的に大きく変動するようになりました[1]。そうした長期変動ゆえにバブルが発生し、1987年の暴落〔ニューヨーク株式市場でのブラックマンデー〕以降繰り返し見られるように、実体経済はとんでもない悪影響を被ってきたのです。

・均一的な金融取引税を導入すれば短期的な投機から得られる利益は大幅に減少しますから、資産価格を安定させ、新たな危機の防止に寄与します。
・金融取引税の導入により国家は多額の税収を確保できます。これは社会福祉や環境問題の資金源として、特に超国家レベルで活用できます[2]。

・また、金融危機により生み出され、今後何年も続くことになる大幅な財政赤字の縮小が期待できます。

・国際金融に対する金融規制当局の監督機能の喪失に歯止めをかけることもできるでしょう。金融取引税は規制当局がリスクの代償を正確に評価できなくても、有効に働く監督手段となるからです。

・金融取引税を導入すれば、銀行は実体経済への資金提供という本来の機能を取り戻すようになるでしょう。

・金融部門には現在、十分な税金が課されていません。例えば、付加価値税〔消費税〕の納付義務がありません。金融部門は過去数十年の間に著しく拡大し、支配的な経済[アクター] の担い手となりましたが、納税額はごくわずかなままです。金融取引税を導入すれば、金融危機を引き起こした張本人である金融部門に対して、それによる財政負担を負わせることができます。

・金融取引税は〔導入のための〕費用があまりかからない解決法です。この税を証券取引所で徴収するのは容易です。

・銀行による破綻処理・預金保険 への基金拠出(IMF税)、大銀行に対する課税(オバマ税)など、投機の抑制と新たな税収の確保のために現在検討されている他のいかなる手段と比べても、金融取引税は優れています。

[1] Rodney Schmidt, ≪ Notes on the feasibility and impact of a general Financial Transaction Tax ≫, Civil society consultation with the IMF on financial sector taxation, Jan 28, 2010, p. 4.
[2] Stephan Schulmeister, ≪ A General Financial Transaction Tax : A Short Cut of the Pros, the Cons and a Proposal ≫, ≪ A General Financial Transaction Tax : A Short Cut of the Pros, the Cons and a Proposal ≫, WIFO Working Papers, 344/2009 , 20 Seiten, p. 3.以下のウェブサイトに掲載。
http://www.wifo.ac.at/wwa/jsp/index.jsp?fid=23923&id=37001&typeid=8&display_mode=2

[*] 編者補注:ボラティリティ(不安定変動性)とは、価格が変動する幅に対する比率であり、確率偏微分方程式で価格の変動を決定する「ブラック=ショールズ方程式」の基本的なパラメータ(媒介変数)である。


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posted by attaction at 14:49 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする