2003年06月23日

Q22:保険基金は金融取引税よりも優れているのでしょうか?

・銀行税によって回収した資金は、国家予算に入れるのではなく、保険基金に積み立てるというのが、IMF の考えです。この基金は、次の金融危機の際に銀行を救済するのに用いられます。

・しかし、保険制度の場合にはリスクは共同負担とされ、民間部門から公的部門に移転されます。つまりリスクは縮小しません。

・保険制度を実施するにはリスクの価格設定をしなければなりませんが、そのためには、保険契約者(銀行)のリスクを合理的な費用で正しく評価するために必要なすべての情報を、保険会社や規制当局が持っている必要があります。しかしG20 諸国の規制機関には、とてもそれほどの力はありません[1]。

・収入の面について言えば、保険というものは資金があらかじめ準備されていることを必要とします。保険料は、国際公共財に用いられるかわりに、金融市場に投資されます。

・保険は受け身の手段です。この方式では、市場の急激な動きを防ぐことはできず、その繰り返しを助長するだけです。保険制度には、モラル・ハザードの面があるからです。将来の暴落に対する保険
があるという考えから、銀行はさらにリスクを取るようになるかもしれません。規制当局は、次の投
機バブルが弾けるまで手をこまねいて、バブルが弾けてはじめて火消しに努めることになるでしょう。

[1] FSB & IMF, ≪ The Financial Crisis and Information Gaps ≫, 2009
Q21:〔オバマの〕銀行税は取引税の代わりになりうるでしょうか?

・銀行税によって回収できる金額は、救済につぎ込まれた資金額(4000億ドルを超すと推定されるファニー・メイとフレディ・マックの救済を含む)から程遠いものでしかありません。しかも、TARPでつぎ込まれた資金は、今までに貪欲な銀行のせいで米国が被った損失全体のごく一部しかないのです。米国の損失総額は、景気後退によって4兆ドルに達し、今後10年間の銀行税による税収見込みの40倍以上に達するのですから。

・銀行のやり方が、銀行税によって変わることはないでしょう。銀行税で回収が見込まれる年間90億ドルという金額は、銀行の毎年の収益とボーナスの5%でしかありません 。この程度の金額で銀行のやり方が目に見えて変わるほどのインパクトをもたらすとはあまり考えられません。銀行は相変わらず超短期的な利益の追求を続けるでしょうから、そうしたふるまいを変えさせるために金融取引税が不可欠であることに変わりはありません[1] 。

・リスクを基準とした銀行税が効果を上げるかどうかは、銀行がリスクを取ろうとするのを監督当局がどれほど抑えられるかにかかることになります。複雑な組み合わせで構成されたデリバティブは未だに規制されず、相変わらず不透明ですから、リスク評価は依然として困難です。

・ですから銀行税だけでは銀行および他の投機家が大きく行動様式を変えることはなく、金融の不安定性は持続するでしょう。つまり金融取引税の議論を今後も続ける意義は大いにあるということです。

[1] Dean Baker, Making the Banks Pay, The Guardian Unlimited, January 18, 2010.


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posted by attaction at 23:46 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする