2010年05月13日

中国:外貨取引税でホットマネーの切り札を見極める

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外貨取引税でホットマネーの切り札を見極める
中国銀行業監督管理委員会の沈聯濤主席顧問

原文

第一財経日報 2010年3月18日
記者 周静雅


行く先が不明で規模の算定が難しい「ホットマネー」は、これまで監督部門にとって敏感かつ頭の痛い難題であった。昨日、中国銀行業監督管理委員会(以下、銀監会)の沈聯濤・主席顧問は、中国が外貨取引の監督コントロールを強化し、さらにはホットマネーを抑制するという目的のために、外貨取引税を徴収することを検討すべきだ、という考えを示した。

沈主席顧問は、昨日中国社会科学院で行われた講演の中でこのような考えを明らかにした。彼によると、国内における現在の外貨規制政策および膨大な外貨準備高という現状を鑑みると、中国は外貨取引税を実施する条件が最も揃っており、またふさわしい国のひとつであるという。税率については、具体的な税率は重要ではなく、「ゼロ徴税でも構わない」、重要なことは「特別な状況の際に」外貨取引税を大々的に徴収するためのメカニズムを確立することであるという。

香港証券・先物取引監察委員会の委員長と香港金融管理局の副総裁をつとめた経験のある沈主席顧問は、アジア通貨危機の経験を比喩的にを用いて、外貨取引税を徴収する必要性を説明した。

彼によると、ホットマネーの問題は、レバレッジ効果のもとでの裁定取引の問題であるという。「まるでカジノです。胴元はカネを貸さず、投機筋はカネを借りてきて賭けまくる。借りたカネが多ければ多いほど儲けも多くなる」。世界的に非難の対象となっている「投機筋」の多くはヘッジファンドであるが、ヘッジファンドの資金の一部は銀行の自己勘定取引が出所なので資金源が豊富だという。だから「投機筋」の行為を抑制するためには、レバレッジ比率を引き下げる必要がある。

沈主席顧問によると、管理監督者からみた効果的な方法は「切り札」を見極めることであるという。すなわち外貨を取引している(買い手と売り手の)双方を明らかにし「誰が投機しているのかを見極めること」であり、外貨取引税の徴収はこの問題をはっきりさせる上でぴったりの方法だという。

沈主席顧問のこの提起は、国際的に有名な「トービン税」(外貨の直物取引に対して世界統一の取引税を課す)と似ている。

昨日の報告会の席上、業界の関係者からは、中国における実際の外貨取引の現状から考えると徴税の難度は比較的高く、運用する上で可能かどうかは不確定だ、という意見が出た。

沈主席顧問は、外貨取引税の目的は「徴税」にあるのではなく「徴税メカニズム」にあると語る。つまり、外貨取引税の税率は固定化する必要はなく、実施当初は「ゼロ徴税」でもいい。しかしこういった政策を実施したこと、そして「現在はゼロ徴税だが、ある状況下においては徴税の力を強めることができる」ということを全世界にアナウンスする必要がある。この措置の目的は外貨取引のコストを増加させることではなく、国際資本の流れを監視・コントロールするモニタリングシステムを構築することにある。

実際、ホットマネーの強大な破壊的作用は、これまで新興国にとって警戒の対象であった。今年1月末、ブラジル政府はホットマネーによる過度な投機に対応するために、ブラジルの株式市場および政府公債の固定金利証券に流れる外国資本に対して、2%の金融取引税を徴収すると宣言した(昨年9月?:訳注)。我が国では、高まる人民元切り上げへの期待や、積み上がる金融機関の外国為替資金残高(外匯占款Funds outstanding for foreign exchange)などによって、2010年には再び「ホットマネー」の来襲があると市場関係者は予測している。

沈主席顧問は、我が国が外貨取引税を導入するさらに重要な目的は、アジアの他の国々がこのような措置を採るよう提唱することであり、さらに進んで、アジア債券市場と貨幣市場の連盟に向けて全世界に向けてアジアの声を発し、同時に全世界の貨幣市場を安定させることが必要だと考えている。
posted by attaction at 10:48 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする