2010年02月01日

WSFポルトアルグレ

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世界社会フォーラム・ポルトアレグレ
公式サイト

2010年1月25 〜 29日
「10年を経て――もう一つの世界への課題と提案」
39カ国から3万5000人が参加
915のカンファレンス、セミナー、ワークショップ

関連イベント
ポルトアレグレ市内の各所で1月22〜29日に
サンタマリアとカノアスで「第1回社会フォーラム/第1回連帯経済フォーラム」
サンレオポルドで「テクノロジーと自由に関する世界フォーラム」

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ブラジルの社会フォーラムで左翼が資本主義を非難
「ニューヨークタイムズ」1月25日付

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(ポルトアレグレ発AP)25日、数万人の左翼が、自由放任の資本主義に反対して5日間にわたって開催される世界社会フォーラムを開始した。サウンド・トラックから流れる大音響のドラムビートとサンバと共に、警察発表で2万5千人の威勢のいい活動家の群衆が、共産主義の旗を振り、社会主義のスローガンを叫びながらポルトアレグレ市内を行進した。活動家たちは企業の強欲が世界を経済不況に陥れたと非難し、石油国有化から動物の権利に至る広範な要求を掲げた。

対照的に、27日からダボスで開催される世界経済フォーラムに参加するリーダーの数はこれまでより少なくなりそうで、スイスへ向かっている金持ちや権力者にとっては、オバマ大統領の銀行への規制が頭を離れないことだろう。
ブラジルの人権活動家のセルジオ・ベルナルドさんは、「ブルジョアジーは腐っている!」と書かれた真っ赤なシャツを着て「彼らは資本主義システムを混乱へと追いやった。われわれは彼らに、搾取のない、貧しい人々を助ける世界を作れることを教えてやっているのだ」と語った。

ローマ・カトリックの活動家で世界社会フォーラムの発起人の1人であるフランシスコ・ウィテーカーさんは、「金融危機の後遺症が続いていることは、世界経済が大企業のためではなく人民のために再構築されなければならないことを証明している。・・・昨年のダボス会議はお通夜のようだったが、今年の参加者の少なさは、資本主義が没落しており、限界に達したという印象を与えている。左翼は、企業の行き過ぎた活動を規制し、富を貧しい人々に分配するように政府を説得する可能性に、ますます活気づいている。われわれはまさに熱気の真っ只中にいる。世界を完全に変えたり、一気に変えることはできないかもしれないが、変革を下から実現し拡大していくことは可能だ。それは勢いを強め、臨界点に向かっている」と語った。

インドのアクシャラ・センター(女性の権利を擁護している団体)の共同代表のナンディタ・シャーさんは、「経済危機は左翼の運動を前進させるための完璧な基盤を作ったが、多くの左翼は最悪の不況の時期にチャンスをつかむことに失敗した。私は左翼の中に危機があると思う。この5日間のフォーラムが私たちをこの無展望のトンネルからの出口に導いてくれることを期待する」と語った。


オープニング・セミナー「世界社会フォーラムの10年間」(第1日目)
「インタープレスサービス」(IPS)1月25日付

ジョアオ・アントニオ・フェリシコ(ブラジル、中央統一労働組合=CUT)
フォーラムが合意に基づく宣言を採択するなら(たとえば、帝国主義への反対、金融の優位に対する反対、コペンハーゲン会議の失敗への非難等)、一歩前進となるだろう。
それは、より強力な大衆運動を促進するだろうし、それこそがラテンアメリカにおける政治的後退(たとえば、チリの選挙での右派の勝利)を食い止めるための社会運動を強化するために必要だ。それは、共通の最小限の要求に合意するという意味ではなく、大衆運動の強化に役立つ、合意に基づく宣言である。

ジョアオ・ペドロ・ステディレ(ブラジル、土地なき農業労働者組合=MST、ビアカンペシナ=「農民の道」)
世界を変えるためには大衆運動が決定的に重要だ。大衆運動こそが、社会運動が政府や他の権力機構(多国籍企業など)に圧力をかけることを通じて現実を変革できる唯一の手段だ。

オデ・グラジュー(ブラジル、企業経営者、WSF発起人の一人)
WSFはすでに大衆運動を強化しつつある。WSFはファシリテーター(調整役)として、世界の広範な組織や運動を結びつけ、共通の課題に関する共通の行動を促進してきた。行動を呼びかけるのは自由であり、誰も止めないが、行動を強制することはできない。

チコ・ウィテーカー(ブラジル、カトリック正義と平和委員会、WSF発起人の一人)WSFは誰でも討論に参加できるフォーラムであり続けるべき。どんな決議も、たとえほぼ全員の合意であっても、結局はだれかを排除することになる。

カンディド・グルジボウスキ(ブラジル社会経済分析研究所=IBASE)
合意文書を作成するのは不可能だ(試みるのはかまわないが)。結集の場、構想を生み出す場としての性格から、制約があることは避けられない。具体的な行動は、フォーラムができる範囲を超えている。
若者がWSFを引き継ぐことを期待する。09年のWSFは参加者の34%が24歳以下だった。

リリアン・セリベルティ(ウルグアイ、フェミニスト・グループ)
第1回のWSFでは、古い文化と新しい文化の衝突に驚かされた。驚くほどの多様性。闘争課題に優先順序が付けられることがあるが(例、帝国主義に反対する課題を優先する)、性差別や人種差別や家父長制に反対する闘争などの課題もある。共通の課題についての合意を形成するというのは、多様性を排除することになる。しかしWSFは、一緒に集まって、希望を再構築する場だ。


2日目

4つのパネル(環境、経済、政治、社会)

グローバル・エコノミーに関するパネル

デービッド・ハーヴェイ(ニューヨーク市立大学)
スーザン・ジョージ(ATTACフランス)
ジョアオ・アントニオ・フェリシコ(ブラジルCUT)
パウル・シンガー(ブラジル連帯経済省)

デービッド・ハーヴェイ
「成長」を前提とした考え方への批判。「3%成長」が「健全な経済」の前提とされているが、それは巨大な問題をもたらす。すでに多くの剰余価値が虚構(商品先物への投資を含む)へ回っている。永久に成長を続けることは不可能。
新しい経済パラダイムに移行する上で必要な7つの変革(自然との関係、技術、社会的関係、考え方、生産システム、日常生活、政治的構造・機関・システム)

スーザン・ジョージ
複合的で加速的に拡大する危機。虚構の金融市場が実体経済よりも優先され、経済が人間のニーズよりも優先され、人間が自然のニーズよりも優先されるという関係を全面的に逆転させる必要がある。食糧への投機によって、2008年に新たに1億人が飢餓状態に。

地球は人間なしでも存在できる。人間は自然に勝てない。愛や幸福や知識はいつまでも成長できるが、経済はそうではない。必要なことは、銀行を管理下に置くこと、民主主義を経済および働く場に拡大すること、グリーン・ニューディールに投資すること。世界にはお金があふれている。政治的意志の問題だ。ゴールドマンサックスの利益は1日に1億ドル。タックスヘイブンには12-13兆ドルのお金がある。金融取引税と多国籍企業への課税、債務を帳消しして森林保護へ。
スーザン・ジョージさんの発言のテキストの日本語訳

パウル・シンガー
成長に限界はない。ブラジル経済は当分5-6%の成長を続けるだろう。成長と環境破壊を同一視するのは間違いだ。成長を測る方法と、どのような成長かが問題だ。BRIC経済は危機には陥っておらず、小生産者、農民、とくに連帯経済の担い手たちを支援することが重要。連帯経済とその原理が、人々の福祉のために効果的。教育が重要。

デービッド・ハーヴェイ
もっとも革新的なアイデアでさえ、新資本主義に取り込まれる危険がある

スーザン・ジョージ
パウル・シンガーはもっと悲観的になった方がいい。成長には限界がある。われわれには必要なのは知的で、魅力的で、創造的で、非暴力的な行動だ。


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ルラ大統領が社会フォーラムで喝采を受ける
「ニューヨークタイムズ」1月27日付

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ブラジルで最初の労働者出身の大統領が、世界社会フォーラムでヒーローとして歓迎された。ルラ大統領は26日(フォーラムの第2日目)の夜に、会場のスポーツ競技場に集まった活動家たちからロック歌手のような喝さいを受けた。活動家たちは「ルラ、ルラ、ブラジル人民の勇士」と唱和した。

彼が「世界経済フォーラムに行って世界のリーダーたちや銀行家たちを叱りつけ、彼らがこの数十年にわたって採用してきた自由市場政策が世界金融危機をもたらした原因であることを教えてやる」と約束したとき、一層大きな歓声が上がった。[注:ルラは社会フォーラムに出席した後、世界経済フォーラムに出席する予定にしており、同フォーラムでのルラの発言が注目されていたが、急病で入院し、出席を取りやめた]

彼は、世界経済フォーラムはもはや彼が2003年に初めて出席した当時ほどの注目を集めておらず、最近まで二流国として見られていたブラジルのような国が、今では新しい世界経済秩序の形成に大きな影響力を持つようになっていると述べた。

ルラは政権に就いてから中道寄りに転換し、フォーラムに参加している左翼が嫌悪する市場経済政策を容認してきたが、彼は同時に社会的プログラムに膨大な支出を行い、数百万人の貧困層を貧困から脱出させてきた[注:IPEA(応用経済研究所)の公式統計によると、2003-2008年に1950万人が貧困を脱した。所得が下位10%の層の人々の所得の増加率は、上位10%の人々を上回り、格差が縮小している。但し、まだ1500万人が十分な食糧を買えない。また土地所有における格差は依然として深刻である-「インタープレスサービス」(IPS)より]。また、ブラジルは現在、空前の好況にある。

ルラは2005年の社会フォーラムでは、彼が左翼としてのルーツを裏切ったと感じた活動家たちからのブーイングを受けた。この活動家たちは、ベネズエラのチャベス大統領に共感した。しかし、今年のフォーラムにはチャベス大統領は出席しなかった。フォーラムに参加しているブラジルの活動家たちは、ブラジルの国際的地位の向上と経済的発展に寄与したルラの功績を評価するべきだと言っている。

ルラの発言より
トランスナショナル・インスティテュート(TNI)のウェブより

(ルラの到着が遅れたが、到着を待つ間、約8000人の参加者はウェーブを繰り返した)

・・・われわれはコペンハーゲンに行くとき、世界のどの国よりも真剣で一貫した目標を決定した。
われわれは2020年にCO2排出を36-39%削減すること、アマゾンの森林伐採を80%削減することを提案した。
米国の削減目標は全く不十分だった。われわれは共通だが差異のある責任を望んでいる。ある国が200年間にわたって世界を汚染してきたのに、わずか2年間しか汚染していない国が同じ責任を負うというのは公正でない。
・・・われわれは目標達成のために160億ドルを投資しなければならないだろう。
これは米国やEUが約束している金額よりも多い。これは慈善ではなく温室効果ガスの排出を止めるためだ。今年、メキシコでこの問題を解決しなければならない。気候変動の問題に取り組む政治的意志あるいは技術がない国は、ブラジルを見本にするべきだ。今週、世界で初めてのエタノールによる発電工場が完成した。化石燃料を使うのをやめ、炭素を最大限隔離し、新しいエネルギーや燃料源を開発しようとするなら、ブラジルを見本にすることができる。

社会運動総会(1月29日)
1月29日の社会運動総会に500人が参加した。報道(ポルトガル語)

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posted by attaction at 16:07 | 世界社会フォーラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする