設立から10年を迎えて、今後に向けた声明を発表しました。
この声明は、最初ATTACフランスが作成し、ヨーロッパおよび各国のATTACに意見や修正など、内容的なチェックを求めて、推敲を重ねた上で、完成しました。正訳版を掲載します。
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ATTACの最初の10年 1998〜2008年
ATTACの10周年を祝い、未来を展望するにあたって、将来の世代が私たちの情熱と希望、献身と闘いに対していかなる判断を下すのかはわからない。しかし、国際的なATTAC運動に参加してきた私たち全員にとって、1つの歴史観、過去の時代には想像もできなかった目標、失望、そして勝利を伴った、まったく独創的な事業に身を投じているという感覚から逃れることは難しい。
過去10年間に私たちが達成したこと
おそらく、ATTACの最初の10年から導かれる最大の教訓は、新自由主義的グローバリゼーションを信用しなかった私たちは正しかった、ということだ。金融市場の規制緩和によって、社会的および環境上の惨禍がもたらされ、民主主義が損なわれたことは明らかである。私たちの敵対者は総じて、この10年を拒絶と目を背けることに費やしてきた。明らかな危機を回避する努力を怠り、可能な場合はいつでもそこから利益をむさぼりさえした。それに対して、私たちは迫り来る危機を見すえ、それらを回避する道を提案した。
ATTACが設立された当時、グローバリゼーションの諸問題に取り組んでいた組織はごくわずかであり、新自由主義のプロジェクトは一般に広くは知られていなかった。私たちは社会的・経済的公正を求めてただちに活動を開始した。私たちの提案が意味のある形で取り上げられるには非常に長い時間がかかるように見えるかもしれないが、私たちは重要な成果を経験してきた。私たちはいくつかの分野で、新自由主義の攻勢をくじくことができた。新自由主義は多くの人びとの間で信用を失い、増殖する危機への解答を何ら持ち合わせていない。新自由主義の主な国際的機関は混乱に陥っている(国際通貨基金 [IMF]、世界貿易機関 [WTO]、世界銀行)。貿易・投資の自由化に反対して活動する他の多くのグループと協力して、私たちはWTOドーハ・ラウンド交渉を行き詰まりに追い込むことに貢献した。欧州では、フランス、オランダ、アイルランドにおいて、新自由主義的なEU憲法と、それに続く類似した企てである「リスボン条約」を阻止することができた。各国・各地方のATTACグループは、国際キャンペーンと全国レベル・ローカルレベルの闘いを結び付けることに努め、私たちのつながりを広げた。各地のローカルなATTACグループは、数多くの公共サービスを民営化から救った。
これらの成功と並んで、私たちは経済のオルタナティブを提案してきた。そして、この最初の10年間に、設立当初からの3つの要求の実現に向かって初めの数歩を踏み出した。金融取引への課税がきわめて強力な利権のために依然として妨げられているとはいえ、国際課税は今や国連の議題にのぼり、最初の措置が法制化された。いくらかの債務帳消しが実施されたが、公的債務の不当性を考えると、まだまったく不十分である。タックス・ヘイブンは、以前はほとんど知られていなかったが、白日のもとにさらされて当局の面目をつぶし、一般市民の怒りを買っている。
オルタグローバリゼーション運動は、国内政治の根本的変化に寄与してきた。ボリビア、ノルウェー、ベネズエラ、エクアドル、ブラジルといった諸国では、新自由主義や民営化と決別するプログラムに基づいて政府が選ばれた。ATTACは、市民の自由が保障されていない国々で困難な状況下にある人びとの権利を防衛してきた。同時に、私たちの活動の大きな部分は、豊かな国々に向けられている。それら諸国の攻撃的な新自由主義政策は、国内では将来の世代を脅かし、海外では貧しい人びとの人権を侵害している。
私たちは平和を擁護し、すべての新たな戦争に反対している。国際的な連帯の中で活動している。私たちは、北と南の格差を越え、窮地にある地球そのものの問題にも取り組んでいる。これらは私たちの資源であり、私たちの財産である。全世界のATTACは、世界社会フォーラムで重要な役割を果たし、またあらゆる場所で何百万もの人びとを奮い立たせた無数の社会フォーラムに大きく貢献してきた。社会フォーラムや活動力を増した市民社会および社会運動の中から、個別課題に取り組む何十もの行動的なネットワークが国境を越えて成長している。私たちは組織化の新しい方法を試みてきた。これはある意味で脱組織化―ただし、創造的な―と言えるかもしれない。私たちは、敵対者を襲わせようとするいかなる挑発にも乗らず、非暴力の立場を貫いている。
およそ人間の集まるところ誤りは付きものであり、私たちもその一端を担っている。ATTACはどこでも、あまりに多くのことに取り組もうとしてきた。「すべての物事がすべての物事につながっている」ため、私たちは「あらゆる問題をすべての人びとに」提起しようとする誘惑に屈服することがあまりに多かった。数多くの国際キャンペーンをコーディネートすることは、私たちの草の根運動にとって多大な努力が必要だった。
今後数年の私たちの課題
今日、私たちは、グローバルな危機が増殖する未曾有の事態に直面している。金融危機は拡大している。投機は、新たに土地、原材料、食糧といった死活的な部門を攻撃している。野放しの金融パワーの爆発、大半の国家と国際機関(WTO、IMF、世界銀行など)によるその他の新自由主義政策は、食糧価格が高騰するとともに、すでにひどい状況にあった世界の飢餓のさらなる悪化を招いている。
そのうえ、人類は今や深刻な生態系の危機――気候変動、かつてない生物多様性の喪失、そして天然資源の劣化に脅かされている。これらは、新自由主義的グローバリゼーションと密接につながっている。そこでは、グローバルな公共財が保護されず、金融の覇権的な利潤の論理に従属させられるのだ。
資本主義的グローバリゼーションの同じ論理が、国際的にも国内的にも不平等を大きく深化させてきた。金融危機と食糧危機は、すでにある格差を劇的に拡大させている。新しい格差は、少数の資本所有者グループの利益の増大を表し、また何十億もの人びととこの地球が被っている損害を表している。生態系の危機によって、その帰結から自らを守れる者と守れない者との不平等が増大することは明らかである。これらの危機の解決策は、系統的かつグローバルなものでなければならない。それらは、新自由主義政策との根本的な決別によって、またグローバル経済を導く真に民主的な制度の確立によってのみ解決できる。
新自由主義的グローバリゼーションが深刻な危機にある今日、ATTACは、オルタナティブを組織化し、推進するために、次の段階に移らねばならない。私たちは、新自由主義的グローバリゼーションの危機に対して、常に「民衆教育から行動へ」という方針で対処してきた。社会変革のための知識を生み出し、できるかぎり多くの仲間とともに共同行動を進めることは、今後も私たちの活動と戦略の要となる。金融市場および貿易の民主的統制と武装解除を求める私たちのキャンペーンの勝利のために、国際連携の緊密化が一層重要になる。次の10年の主要課題の1つは、各地方および各国レベルで活動する個々のすべてのグループからその強さを引き出すようなオルタグローバリゼーション運動をグローバル化することである。
グローバリゼーションの帰結は、金融と貿易をはるかに超えることが明らかになっている。有限の地球上で人びとの幸福を実現するには、私たちの消費と生産の様式を根本的に変える必要がある。経済は、人びとの実際の必要に応じて組織され、規制されなければならない。私たちは、経済のオルタナティブを求め、すべてのものの社会的・環境的な権利に基づく経済を求めて活動し、断固としてその実現を目指す。もう1つの経済が必要だ!もう1つの世界は可能だ!
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