※2021年10月23日にattac首都圏の総会が行われ、総会講演として、都立病院の看護師さんらでつくる労働組合、都庁職病院支部の大利英昭さんにお話しいただきました。
コロナパンデミックと公共サービス民営化
都庁職病院支部書記長 大利英昭さん
都庁職病院支部書記長 大利英昭さん

東京の5波のピークはおおよそ8月10日頃にありました。感染者数は2週間前の人流を反映します。8月10日の2週間前、東京では五輪が強行されていました。小池都知事は五輪が感染拡大に影響していないと強弁しましたが、データからは五輪が5波に強い影響を与えたことがわかります。
日本で多くのコロナ患者を受け入れてきたのは公立・公的病院です。ところが日本の医療は中小民間病院が多く公立・公的病院は2割ほどしかありません。5波の経験を踏まえたら、この公立・公的病院を拡充するべきなのですが、現政権はこれらの病院を削減するという真逆の政策をとっています。小池都政による、東京のコロナ病床の3割、2,000床を支えた都立・公社病院の地方独立行政法人化は、この政府の動きと一体のものです。
公共サービス基本法第3条基本理念には、公共サービスは基本的人権保障という考えが欠落しています。公共サービスは商品ではなく権利です。この考えが基本にないと、効率化など新自由主義の攻撃に対抗できません。
気候危機が進行する中、今までの社会の在り方を見直す必要があります。医療や教育といったケア産業を中心の社会を展望する必要があります。

※講演はINTERNET ARCHIVEで公開しています。
こちらから視聴ください。
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【attac首都圏2021年度総会】
※記念講演の前にコロナで延期されていた総会を開催しました。
2021.10.23(土) 13時半〜15時、ピープルズ・プラン研究所
参加者合計:18人(リアル参加11人、リモート参加7人)
◆総会議案から
〇 東京オリパラ (京極紀子)
「オリンピック災害おことわり連絡会」の一翼を担って、ここ数年間精力的に活動をしてきたが、強行開催されてしまった。パリやロスの活動家との連携は今後とも継続していきたい。テロ対策を口実にした新たな警備システムの導入や秘密保護法・共謀罪等の法的整備といった負の遺産に対しても、引き続き注意を払っていきたい。
〇 金融(飛鳥山昇)
気候変更を金儲けのチャンスととらえ、日本が前のめりに取り組んでいるのが、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)である。TCFDは、G20の要請を受けて金融安定理事会(FSB)が2015年に設立。第1回目のTCFDサミットは、2019年に東京で開か、経済産業省や日経が旗振り役をつとめた。金融支配を強化する仕掛けの一つであり、注目していきたい。
〇 CTT部会(金融カフェ)(砂押克至)
ここのところほぼ休業状態だったが、年末からは再開したい。気候危機関連、10月初めに公表されたパンドラ文書などのタックスヘイブン、あるいは中期的なものとしては、2023年のG7日本開催なども視野に入れて学習していく。
〇 公共サービス研究会(京極紀子)
一年半以上にわたって続くコロナ禍で、公共サービスの重要性を改めて実感。「非効率だから集約化」として削減してきたそのつけを、市民が自分の命で払わされるという理不尽なことが起こった。今こそ、公共サービスの重要性を考え直し、公共を取り戻さなければならない。
〇 中国研究会(桑原巽)
2〜3か月に1度のペースでの開催、参加者の議論や希望を踏まえて以降の内容を検討して進行。2020年8月に開始し、これまでに6回実施している。次回は、12月か年明けの1月に、『中国農漁村の歴史を歩く』(太田出、京都大学学術出版会)を取り上げる。
〇 監視社会問題(小倉利丸)メッセージ
今年に入って、政府の監視社会対策が急展開。デジタル庁は、マイナンバーを軸に官民一体となった個人情報の収集と活用による監視社会化の新たな基盤になる可能性がある。コロナ対策では、接触者アプリからワクチン・パスポートまで、人々の行動や人間関係を追跡把握する仕組みの普及を狙った。オリンピックでは、GPSによる来日外国人監視、生体認証による入場者管理等。来年は、警察の中に「サイバー局」が設置される。危機意識を広く共有しなくてはならない。
〇 会員・運営委員会、その他(小塚太)
・会員数130(128個人、2団体)・・・2021.9.30現在、今年度入会は2名
・2020年度総会は、8/2。運営委員の改選で、稲垣・京極・小塚・砂押が改選された。運営委員会、団体賛同・参加、活動報告、次年度への課題・とりくみ、attac japan 首都圏ホームページブログ更新等が報告された。
〇 会費納入のお願い 〜 会計報告(京極紀子)
・いつもながら厳しい状況が報告された。何とか事務所家賃に足りる程度。
◆会員から
〇 福岡(やまなみくまたろう)
九州電力本社ビル前に、福島原発事故直後の2011年4月から現在まで、10年以上もテントを張って、脱原発を主張してきている青柳信行さん。彼の10年間の活動記録が書籍になった。その活動は、国内だけでなく、韓国やドイツの国際会議で講演を依頼されるほど。福岡のシンボルとして、活動家に大いに勇気を与えている。
〇 宮城県(日野正美)
女川原発の再稼働差し止め裁判の報告。2019年11月、石巻市民17名とともに、宮城県知事・石巻市長を相手取り、「実効性のない避難計画のもとで再稼働に同意するな」と同意差止仮処分申立てを行うも、仙台地裁では退けられ。仙台高裁では棄却(2020年10月)。その理由が、「住民らに危険を及ぼすのは東北電力の再稼働であり、知事・市長らの同意ではない」だったため、現在は、東北電力を相手取り、差止訴訟を仙台地裁に提訴して、裁判闘争中。(数分では説明しきれない内容だったので,別途機会を設けては、という意見あり)
〇 格差社会のなかでの反資本主義とフェミニズム(堀江有里)
ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)。従業員一人ひとりの個性を尊重するという掛け声のもと、実際は、企業利益の追求のために、女性や性的マイノリティは利用され、犠牲にされている。アルッザらの『99%のためのフェミニズム宣言』は、日本のフェミニズムが欠いていた視点を明確に分析し、抵抗への視点を提供している。※今後、オンラインで、フェミニズム関連の学習会を実施していきたい、と提案。
〇 尾澤さんの早期釈放を勝ち取ろう(国富建治)
尾澤さんは、今年5月10日、韓国地労委の話し合い勧告を本社(埼玉県新座市)に求めたところ、サンケン電気と埼玉県警によって、でっち上げ逮捕され、「暴行」と「威力業務妨害」で起訴された。いまだに拘留はつづいており、保釈請求は却下された(9/7)。週2回程度、本社前スタンディングなどの抗議行動を続けていて。早期釈放を求める署名活動も始めたので、是非ご協力ください。
〇 このほか、リモート参加者からは、沖縄(辺野古の近況や、沖縄主要選挙区の情勢など)や栃木(政治情勢等)の報告が寄せられた。
◆ 今年度の、今後の取り組み(稲垣豊)
来年4月の総会までの年度内取り組みとして、以下のような案が提示された。
・COP26が11月上旬に開催こともあり、気候危機に関する学習会を年内に実施。
・月1回程度のペースで、素材は、新聞記事の切り抜きや週刊誌の記事などでもよく、さほど準備しなくても参加できるような、30分〜1時間程度の集まりを持ちたい。
・中国研究会は、1月か2月に実施したい。
・『ポピュリズムとファシズム』(トラヴェルソ著、湯川順夫訳、作品社)に関しては、湯川さんの体調が回復するまで延期としたい。
・堀江さん提案のフェミニズム学習会は、1〜2回程度、実施したい。
・小倉さん講座は、「監視社会&反資本主義」的な内容で、年度内に1回は実施したい。
● その後、決算・予算が承認され、総会は無事終了しました。