2017年04月26日

アジア民衆の訴え:アジア開発銀行(ADB)の免責に異議あり

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アジア民衆の訴え:アジア開発銀行(ADB)の免責に異議あり
ASIAN PEOPLES CALL: CHALLENGING ADBS IMMUNITY

原文(英語):https://www.forum-adb.org/registration

2017年4月20日

はじめに

アジア開発銀行(ADB)は1966年の設立以来、この地域から貧困をなくすために貢献する機関であるという幻想を流布してきた。同行は半世紀にわたるアジア太平洋地域における活動の中で、インフラ、研究、技術移転のために2500億ドル以上の融資を行ってきたと言っている。 ADBは恥知らずにも、その加盟国に不当な債務を押し付け続けている - 融資したプロジェクトや政策が破滅的な結果をもたらした場合でもである。ADBの50年にわたる活動は、人々を居住地から追い出し、貧困と栄養不良と空腹に追いやった実績を残してきた。森林、川、海、耕作地など環境のあらゆる面に破壊的な影響を及ぼし、そこを生息地とする多くの動物種や植物種の生存を脅かし、絶滅の危機に追いやってきた。ADBはまた、環境を汚染するエネルギー・プロジェクトに融資することを通じて地球温暖化に寄与したという点でも有罪である。

2017年4月19-20日にフィリピン大学SOLAIR(労働・労働関係学部)に集まった地域コミュニティー、青年組織、学生、市民団体の代表は、以下のことを宣言する。

●ADBは搾取的な開発モデルである – ADB のビジネス・モデルは国家を経済成長の基本的な推進機関とみなす偏狭な開発観である。ADBはこの考え方に基づいて、国別戦略的パートナーシップ戦略(CPS)や改革政策(構造調整計画、政策・金融・統治改革に関する技術支援)を通じて搾取するべき部門や資源を選び出し、民間部門の輸出指向型の利益追求に供してきた。ADBは貸し手の力を悪用して政府に対して慣習法に基づいて管理されている自然資源を取得するよう強制し、政府はADBに依存しているという虚偽の物語を作ってきた。それらはすべて融資を押し付け、民間部門の事業機会を開放することを目的としている。

●ADBは圧政を支持している - ADBは良い統治と民主主義について語っている。しかし独裁的で抑圧的な政権や、不安定な紛争地域 - ミャンマー、サモア、パプアニューギニア、インド北東部、アフガニスタン、パキスタンなどの - への融資を続けている。ADBはそのような融資を通して圧政を支援し、国家機関を利用して資源を強奪し、人権を抑圧し、市民社会やすべての反対意見を圧殺することを助長している。

●ADBは偽りの解決策を提供している – 思い上がったADBは、自らをアジアにおける知識供給者であるとみなしており、この十年間はいわゆるクリーン・エネルギー投資と社会投資(保健、教育、農業)の組み合わせを通じて偽りの解決策を提供してきた。これらの投資はすべて民間資本に社会開発部門を開放するものであり、利用者にとっては料金の値上げ、格差と債務の拡大をもたらすものである。ADBはアジア・インフラ投資銀行(AIIB)との競争に脅威を感じ、国境を越えたインフラ・プロジェクトへのより無謀な融資に突き進んでおり、地球温暖化の真っ只中で環境を汚染する化石燃料への投資を続けている。ADBは人権問題への冷淡な姿勢を維持し、一貫して人権問題を否認しており、どの事業方針やガイドラインにも人権という用語を使用していない。ADBは設立50周年を迎えるが、いまだにアジア全域におけるどのプロジェクトや事業にも、中核的な労働基準を適用することを頑強に拒んでいる。われわれは長年にわたってADBの内部統治メカニズムに批判的に関与し、その中で、ADBがその方針や手続きを遵守しているか否かの最終判断がすべてADB理事会に委ねられていることを現認してきた。つまりADBは自身の行為についての調査官、裁判官、陪審員を兼任しているのであり、外部に向けた、あるいは公的な説明責任に関するいかなる義務も負っていない。ADBの免責は、国際機関としてのADBに奔放な自由を許容しているが、50年にわたって破壊的な事業実績が継続していることを考えれば、この免責に異議を唱えることが決定的に重要である。

われわれはADBの免責が各分野に及ぼしている破壊的な影響を検討した結果、次の結論に達した。

1) ダム建設への融資、住民の追い出し、環境破壊

●ADBのダム建設への融資は、現地の地域社会に多くの災禍をもたらしてきた。バングラデシュ、ネパール、キルギス共和国、カンボジア、ラオスで共通に見られることは、ADBの約束と、地上で起こった現実の差である。ラオス、バングラデシュ、キルギスタンではADBのプロジェクトは環境の破壊をもたらし、住民の生活に影響を及ぼした。

●特に、ラオスのセバンファイ川下流では、水質の劣化のために流域のコミュニティーの住民が皮膚病に罹った。環境破壊の問題だけではなく、コミュニティーの住民への補償が支払われなかったか、遅延したか、あるいは住民の苦境に対応していなかった。ADBによる地域コミュニティーとの協議は行われなかった。これらの地域におけるADBのプロジェクトは、コミュニティの利益を増進する政策を実施するのではなく、環境の悪化、生計の喪失、病気、非自発的移転をもたらした。このことはさらに、人権侵害をもたらしている。

●ラオスの事例にみられるように、影響を受けた人々は、政治的および社会的な状況のために、説明責任を求める手段にアクセスできなかった。バングラデシュとカンボジアでは苦情申し立てが行われたが、ADBの苦情処理メカニズムが迅速でないため、いまだに問題への対処は行われていない。経済成長が環境や人々の生命、生活に優先すると考えられていることは明らかだった。

2)不平等、負債、民間部門への富の移転

●ADBが融資したプロジェクトは社会・環境への負の影響に責任を負っている一方で、民間部門債務の救済や人権侵害にも責任を負っている。それは公的債務の増加、プロジェクトの遅延、目標の未達成、企業の不当なやり方からの当事者の保護の欠落、環境および健康の保全の欠落をもたらす。退去を強制された家族の移転が生活条件の回復をもたらすことはなかった。それは開発の恩恵よりも大きな被害をもたらした果たされない約束を物語っている。

●債務監査を通じてADBの免責に異議を申し立てるべきである。不当な債務を宣言する際の原則は、現在では国際的な原則とみなされている。したがって、われわれは債務返済の停止を要求し、最終的にはすべての不当な債務の帳消しを要求する。

3)気候変動と、設立50年にあたってのADBの脱炭素化

●ADBが継続的に石炭部門を支援していることは、アジアの人々を気候変動や健康および環境への危害に対してますます脆弱な立場に追いやっている。それは人々を居住地から追い出し、気候に起因する移民/気候難民になることを強制する。これは人権 - 健康的で清浄な環境への権利を含む – への重大な違反である。

●したがって、われわれはADBに対して、石炭部門への融資を中止し、アジアの脱炭素化を開始することを要求する。われわれはまた、ADBが地域社会に根ざした持続可能なエネルギーのためのプロジェクトを優先することを要求する。さらに、ADBが気候変動および気候に起因する移民/難民の対策に貢献することに全責任を負うことを求める。

4)透明性の欠如、抑圧、市民社会団体のためのスペースの縮小

●ADBは融資条件(コンディショナリティー)を課すことによって免責と不処罰の機構を拡大してきた。融資条件には民間部門との利益分配を可能にするための法律改正が含まれる。ADBは自らの政策や、国内法・政策の遵守すら保証していない。われわれはすべての政府が、企業に便益を図り、民間部門の利益に叶うために法律を改定する権限を行使するのをやめるよう求める

●ADBは人権に関わる法律や原則に違反するプロジェクトを支援するべきではない。ADBは政府と結託して軍事化と腐敗を伴うプロジェクトを推進するべきではない。ADBはそのような体制を容認、支持、支援するのではなく、抑圧的な体制による人権侵害や強制的行方不明などの重要な問題について発言するべきである。

●ADBの免責は不処罰につながり、プロジェクト開発者や国家が人々の権利を無視すること、また、企業が国内法に違反して環境を破壊することを許容することになる。ADBはそのような違反に無関係を装い、免責の背後に隠れることはできない。

5) ADBによる労働の搾取

●われわれはADBがプロジェクトの全期間を通じて労働基準違反を許容しているために民間企業が労働者の権利を尊重していないことを目撃してきた。これは特にフィリピンの例に見られる。そこでは地区の水道管理機関が、当該地区の職員や組合労働者や住民との協議なしに民営化または閉鎖された。そのため、われわれはADBが公共サービスを公共部門に戻し、公共財や公共施設の提供において公共機関間、または公共機関・住民間のパートナーシップのための、より革新的な措置を導入するよう要求する。

●ADBはいまだに中核的労働基準を導入しておらず、それが基本的な権利侵害につながっている。ADBの免責のために、これらの違反行為を現地の裁判制度の下で告発できない。したがってわれわれはADBに対して、すべての事業においてILOの中核的労働基準を尊重すること、また、労働権の侵害に対する告発から逃れるために免責を利用するのをやめることを要求する。

6) 社会的包摂と、脆弱な立場のグループに対するADBの影響

●ADBの事業には脆弱な立場のコミュニティの真の参画がない。ADBは協議に女性、障害者、先住民族などの脆弱な立場の人々を含めるための真剣な努力を払っていない。特に、障害者について、ADBはエンパワメントとアクセス可能性を強化するメカニズムをほとんど導入していない。

●移住を伴うプロジェクトのために、女性は一層貧困に陥りやすい状況にある。先住民族も、特に先祖伝来の土地において福祉の向上よりも権利の侵害を経験している。特に懸念されるのは、地域コミュニティーとの協議が強制(軍事化)を伴っているケースがあることである。いくつかの事例においては市民社会団体に対して共産主義者、テロリスト、過激派という決めつけが行われ、批判的主張をターゲットとすることで民主主義的スペースを縮小させている。

●したがって、われわれはこの問題をADBの「2030年までの道筋」戦略の検討の中で取り上げ、全範囲にわたる人権を追求することと、対話のための民主主義的スペースを広げることにより強い強調を置くことを要求する。

アジア民衆はADBの免責に異議を唱えることを呼びかける

われわれはまた、これまで述べてきた闘争および証拠は、ADBがアジアの人々に対する責任を全く果たしておらず、免責を主張し続ける根拠がないことを証明していると宣言する。今やアジアのあらゆる地域でADBの偽りの免責の主張に異議を唱える時である。ADBは借り入れ国およびその国民の開発パートナーとしての信頼を裏切っており、自らのすべての行動と影響に対して完全な責任を負うべきである。

したがって、われわれアジア民衆はわれわれの政府と国民の代表に対して、ADBの免責を剥奪し、ADBにわれわれの尊厳、権利、主権、そしてマザーアース(母なる大地)に対して行ってきたすべての行為の責任を負わせることを要求する。

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2017年04月24日

アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム

アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム

 アジア開発銀行(ADB)は「貧困のないアジア」を目指すとして、主に「開発途上国」における開発プロジェクトへの融資や技術支援等を行ってきました。しかし、「支援を受ける側」の諸国の多くの住民団体やNGO、社会運動団体は、開発プロジェクトがもたらす住民立ち退き、環境破壊、債務の拡大などの問題を告発し、もっと現地の声を聞くよう訴え続けてきました。

 5月4日から横浜で第50回アジア開発銀行(ADB)年次総会が開催されます。また、TPPの頓挫の後、注目が集まっているRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の会合が3月神戸に続き、5月上旬にフィリピン・マニラで開催されます。

 この機会に、これまでのアジアにおける「開発援助」のあり方や金融機関の活動、通商協定のあり方がアジアにおける人々の生活、人権、環境に何をもたらしてきたのかを国際シンポジウムで検証します。また、ジャスティス(社会的公正)という観点から、これからのアジア、人々の間の関係をどのように構想するのか、そしてADBや日本政府の支援のあるべき姿をアジア各国のNGOや活動家、日本の皆さんと共に考えます。5月2日には全体会を、5月3日には分科会を行い、水や食べ物の問題から気候変動、債務、労働の問題などの分野に分かれ、議論をおこないます。

 ADB総会が始まる5月4日には、各国の活動家といっしょに、会場近くでのアクションを予定しています。

<1日目>
5月2日(火)18:30-21:00(18:00開場)
[場所] 文京シビック4Fホール
[内容]
−「アジアの公正な貿易を目指して-RCEPを中心に」アフサール・ジャファリ(Focus
on the Global Southインド)
−「気候変動とクライメート・ジャスティス」ヘマンサ・ウィサネージ(FOEスリランカ)
−「壊れる村と人−グローバリゼーション下の日本の村から」大野和興(TPP
に反対する人々の運動)
−「ADBと食料主権」アルゼ・グリポ(Asia-Pacific Network for Food Sovereignty
(APNFS)、フィリピン)
[参加費] 1,000円(事前申込不要)、英日通訳付き
[定員]100人

<2日目>
5月3日(水・祝)15:00-21:00 ワークショップ(WSによって時間帯が異なります)
[場所] 文京シビック3F会議室A、B
[スケジュール]
A: 気候変動と石炭発電(ヘマンサ・ウィサネージ、CEEバンクウォッチ他)
B: 開発金融・債務(CADTMインド、PSI-APRO他)
C: 食料主権(アルゼ・グリポ他)
D: 貿易(アフサール・ジャフリ他)
[参加費] 500円(1日通しです)
[定員] 各30人
*詳細および更新情報は、以下のブログでお知らせします。
http://int.attac.jp/2017_01_01_archive.html

[主催]「アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム」実行委員会
(参加・協力団体: ATTAC Japan国際ネットワーク委員会、Focus on the Global South、Asia-Pacific Network for Food Sovereignty (APNFS)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、FoEジャパン、国際公務労連アジア太平洋地域事務所(PSI-APRO)、TPPに反対する人々の運動)
[連絡先]:peopleadb50@gmail.com(担当:秋本090-9824-9081)
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