2015年03月24日

★attacカフェ@ラバンデリア[2015-03-28]

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チュニスであいましょう
〜 世界社会フォーラム2015から


 日時 3月28日(土)18:30〜20:30
 場所 カフェ・ラバンデリア(地図
 ※入場無料ですがワンドリンク以上のオーダをお願いします。

 3月24日から28日の日程でチュニジアの首都チュニスで世界社会フォーラムが開催されます。日本から参加されているみなさんとインターネットでつなぐ予定。アラブの春と世界をつなぐオルタモンデリストたちの活躍にこうご期待。がんばれチュニジア!

 今回は「横浜でTICADを考える会」と共催。TICADを考える会は2008年と2013年に横浜で開催されたTICAD(アフリカ開発会議)に対する対抗アクションを取り組んだ市民運動のグループです。前回2013年のWSFもチュニジアで開催され、横浜で現地とつなぐイベントを開催しました。

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水の私物化・民営化に抗議するアイルランド全国デモ



みなさま

昨日、アイルランドの首都ダブリンで政府の水道政策に反対する大規模デモが行われました。

NHKのアイルランド版、RTEは3-4万人と報じていますが、主催者発表で「一説に8万人」、航空写真を見た人は「こりゃ10万越えた」という人もいます。

メディアではよく「水料金反対運動」のように紹介されますが、別に水道はこれまでもタダだったわけではありません。

自動車税その他の税金から賄われ、水の管理は各州自治体の仕事でした。

債務危機勃発後(まあ、それ以前からも)政府はアイルランドの資源や公共事業を多国籍企業に切り売りしてきたのですが、水に関しては各州の管理下にある限りそれができない、ということで、全国で一括して水を管理するアイリッシュウォーターという会社を設立したわけです。

このアイリッシュウォーターは純然たる私企業なのに、行政機関を装い、国民にはアイリッシュウォーターと契約する義務がある(この「契約」なのに「義務」という手法はNHKもとってますね)と国民をだまそうとしてきました(契約書には詳細な個人情報を書く項目があります)。

そういう法律があるわけでもないのに、契約しないと刑事罰がある、とか、給料や福祉手当から天引きされる、借家の場合は大家に支払い義務が生じ、借家人は追い出される可能性がある、という根拠のない情報を流して人々を不安に陥れる作戦を取ってきました。

一方で大手メディアは、「予定されてる水料金は欧州一安いのに」「運動は過激化・暴力化している」と政府べったり。

「運動は縮小、減速している」と見せたかったわけですが、昨日の集会で見事にその目論見は覆されたわけです。

欧州金融危機以後、緊縮政策が導入されたギリシャ、スペイン、イタリアなどで大規模街頭抗議行動が起こる中、アイルランドだけはじーーーーーーっと静かで、このまま静かに耐えて終わるんじゃない?と欧州でも見られてたみたいです。

だからここに来て全国で大規模な抗議行動が突然起こって、欧州人の友達からも「アイルランド人、なに考えてんの?」と言われます。

これまでも学校・病院閉鎖、公務員削減などへの抗議行動は起こってきましたが、全国民規模へは広まりませんでした。

それはひとつには、金融危機の直前までバブルで、多くの人は懐には貯金があったこと、どんどん削られてるとはいえ、まだまだ福祉の保護が手厚いことが理由に挙げられます。

それでも仕事がなく、若者はどんどん海外に出て行くといって社会の閉塞感が増しているところに、この水問題、誰にでも関係する抗議行動が起こったわけです。

抗議運動参加者は、これが別に「料金」の問題でないことをよくわかっています。

これまで金融危機以降明らかになってきた不正の総決算であり、自分たちの子どもたちのために水への権利を勝ち取る闘いであることを。

下の記事、英語のままで申し訳ないですが、たくさんビデオや写真があって、見るだけで楽しいのでぜひクリックしてください。

今のギリシャの闘いが成功するように、連帯の気持ちをこめて、たくさんギリシャの旗も掲げられています。

◎ Water charge protest: Tens of thousands attend Dublin rally

(記事の中に約100万世帯(全国世帯の約2分の1)がアイリッシュウォーターに登録したと書かれていますが、アイリッシュウォーターは「契約拒否」と書かれて返送された分も「詳細不明」のまま契約したことにしていて、その数も含まれています。)

おおくらじゅんこ

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2015年03月23日

【Attac France】我々は皆チュニジア人だ!、すべてはWSFに結集せよ!

Tous Tunisiens, tous au FSM !
vendredi 20 mars 2015, par Attac France

原文

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我々は皆チュニジア人だ!、すべてはWSFに結集せよ!
Attac France 2015年3月20日


 チュニジ アを襲ったテロは、憤激と怒りを引き起こした。アタック・フランスは、犠牲者たちと近親者に心からの同情と哀悼を表明する。見たところ、 様々な国籍の観光客、というテロの標的は、9・11以降の『文明の衝突』という 新しい耐え難いロジックを見せつけている。

 不平等と 社会的略奪と生態系の破壊によるこの世界は、狂信を養い、盲目的な暴力の信徒たちにすべての口実を与える。これらの出来事は、チュニジア の市民社会と民主的運動によって準備されたチュニスの世界社会フォーラムが数日 内に開催されるまさにそのときに発生した。われわれは、 チュニジア民衆に、 今即、私たちの連帯と、このオルター世界主義の大きな出会いのときにチュニジ アの友たちと再会するという私たちのさら に強化された決意を、表明する。

われわれは すべてチュニジア人だ!、われわれはみなWSFに結集するだろう!
 
 
タグ:チュニジア
posted by attaction at 10:25 | 世界社会フォーラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チュニスから(チュニジア世界社会フォーラム)(1)

2015/3/22, Sun 16:50


FMS Tunisより

小倉です。現地時間(日本より7時間くらい遅い)で午後にチュニジアに到着しました。ドバイ経由でチュニスまで行きましたが、飛行機は満席、中国からの観光客もおり、特に目立って変ったことはなく、空港は前回同様かなり賑やかでした。WSFのボランティアスタッフたちが空港ロビーでミーティングしている現場に遭遇しました。通常通り現地の携帯電話のSIMを調達し、カフェで一服してから市内に移動しました。

空港から市内にタクシーで移動しましたが、市内は各所で警備が強化されていて、放送局など主要な建物の付近は車の通行ができず、宿泊場所までは迂回しました。

ぼくは、ホテルではなく、最近流行りの(?)個人のアパートを旅行者に貸すというタイプのところを借りました。一週間の滞在なのでキッチンがあるのがよかった。値段は、リーズナブルで通常のビジネスホテル並。一泊6000円弱。デモの出発点になるブルギバ(チュニジアの第一代大統領の名前)通りまで徒歩で20分あまり。通りはとくに目立った変化もなく、二年前同様の賑いでしたが、シナゴーグ(チュニジアにも大きなユダヤ教の寺院があります)の前は駐車禁止で警察官が警備していましたが、日本の警察の警備を見慣れた目には、とても緩い感じではあります。

ブルギバ通りは、真ん中がグルーンベルトになっていて前回もここにWSFのテントが設置されましたが、今日までは独立記念日のイベントのテントなどが設置されていて、要所が鉄条網で阻止線がはられていました。こうした阻止線は、2年前もあり、これが今回のテロ対策によるものなのによる強化策なのかかどうかは不明です。そもそもベン・アリ政権下では反政府デモなどほとんどできなかった国ですから、警察が突然民主的になるわけでもないのですが、しかし、にもかかわらず、二年前のWSFのデモは、野党の左派の指導者が殺害された直後という緊張のなかでしたが、驚くほど開放的で、もちろん日本のデモのような過剰警備はなかった。今回はどうなるかはわかりませんが。旧市街のメディナ付近もいつものように観光客への客引きのお兄さんが声をかけてくるなど、日常の風景にテロの面影を感じることはありませんでした。

日本のニュース報道関係者が大挙してチュニジア入りしているということを聞きました。ニュースは、どうしても事件だけを報じて日常の風景をとらえることが苦手です。だから、過剰な雰囲気だけが報じられて、現地にいない人々のパニックをもたらす効果はあっても、現地の人々がこうした出来事のなかで、どのように日常を暮しているのかということへの想像力を得にくくさせているのではないかと思います。結果として、報道関係者や進出企業や政府の外交官たちが情報をコントロールし、かれらとは異なる情報を発信しようとする者たちを余計者として近づけさせないことになり、私たちのが「自己規制」するような恐怖心を煽り、心理的な抑圧効果をもたらすのではと思います。もちろん様々な「不安」はありうるのですが、そのことが、現地の人々の孤立を生み出し、この孤立のなかに、世界社会フォーラムも欧米や日本の覇権に反対する世俗的なオルタナティブを目指す地の人々をも孤立させてしまう。それがまた、テロリズムにとっても、「テロとの戦争」にとっても効果的な暴力の継続をもたらしてしまう。「地元」とか「現地」という言い方はかなりあいまいなのですが、人々のなかには大きな対立や分断があることも事実で、それが「テロリズム」や「宗教的な信条」などをめぐる対立としても、また、世俗主義が左右を問わず陥いった「腐敗」や「縁故主義」による搾取にも象徴されていますが、こうした問題を解決することが暴力(テロリズムであれ正規軍であれ民間軍事会社の傭兵であれ)によって解決できるはずのないものです。そのことを議論し実現するひとつの重要なアクションが世界社会フォーラムだと思います。

世界社会フォーラムの主催者はかなり頑張っていると思います。是非日本からの連帯のメッセージを寄せてほしいと思います。それが世界社会フォーラムに参加する人たちだけでなくチュニジアの人たちの政治的社会的経済的な変革を支援することになると思います。

小倉利丸
 
 
posted by attaction at 10:16 | 世界社会フォーラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月19日

2015チュニスWSF組織委員会のコミュニケ

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2015年3月18日、チュニス

本日、国会近くのバルド博物館で発生した卑劣なテロリストの攻撃を受けて、2015世界社会フォーラム組織委員会は、世界社会フォーラムおよびすべての活動が、予定通り開催されることを宣言する。

この攻撃によるテロリストグループの狙いは、チュニジアおよび同地域が現在経験している民主的移行を頓挫させて、自由、民主主義、および民主主義の確立への平和的参加を希求する市民たちの中に恐怖の状態を作り出すことである。

チュニジアの社会運動、市民運動およびすべての政治機関は、直ちにテロリズムに反対し、テロリズムと闘うために団結を呼び掛けた。これは、チュニジア人が最近の民主的経験をいかに大切に考えているかを示すものである。チュニジアおよび同地域の社会および市民運動は、暴力とテロリズムに反対するために、世界中の民主的勢力のグローバルな支援に期待する。

WSF(2015年3月24〜28日チュニス)へのかつてないほどの大規模な参加こそが、より良い世界、公正かつ自由な世界、および平和的共存の世界のためにオルタグローバリゼーション運動のまっただ中で行動するすべての平和および民主的勢力からの適切な回答であろう。

WSF組織委員会は、民主主義、自由および寛容を危険にさらすテロリズムと宗教的狂信に対して、市民のおよび平和的な闘いを勝利させるために、すべてのWSF構成団体と参加者に、動員およびこの節目を成功させるためにに努力を強化することを呼び掛ける。

2015チュニスWSF組織委員会
コーディネーター
Abderrahmane Hedhili

最新情報はこちら
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2015年03月16日

★attacカフェ@ラバンデリア2015-03-12

猫でもわかるマルクス主義〜『100語で分かるマルクス主義』出版記念イベント

無事終了しました〜。風邪お大事に〜。

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 日時 3月12日(木)18:30〜20:30
 場所 カフェ・ラバンデリア(地図

attac首都圏の会員でもある斎藤かぐみさん、井形和正さんが翻訳された『100語で分かるマルクス主義』の勝手に出版イベントです。訳者のお二人からお話を伺います。入場料は無料ですが、ドリンクオーダをお願いします。
 
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2015年03月10日

気候変動 - 昨年12月のCOP20(ペルー・リマ)についての論評(2)

米中合意がリマ会合(COP20)を座礁させた

ワルデン・ベロ


テルスール英語版2014年12月29日付け

How the US-China Deal Subverted the Lima Climate Talks
By Walden Bello
Source: teleSUR English

国連気候変動枠組み条約第20回締約国会合(COP 20)が気候破滅に向かう勢いを反転するような結果をもたらすという希望は、各国の代表団がリマに集まる3週間前に発表された合意、つまり米中気候合意によって打ち砕かれてしまった。

画期的な合意?

温室効果ガスの累積に最も大きく寄与してきた国と、現在の炭素排出量が世界で最大の国の間の、9カ月間にわたる秘密会談の結果であると言われている合意は、各方面から「画期的」と称賛されている。

徹底的な気候変動懐疑論者である米国の共和党は、予想されていた通り、この合意が米国の雇用を犠牲にし、中国に一方的に有利であると非難した。しかし、この合意は古くからの環境オブザーバーたちからも相当な批判を受けている。

困惑を招いた主要な項目は、中国の排出量が減りはじめるのが2030年以降となるという合意内容である。米国の約束について言えば、排出量を2005年と比較して26-28%減らすというものであり、それ自体は重要だが、21世紀末までに2℃以上の気温上昇へと向かっている軌道を修正するためには十分でない。米国の削減量が実質的に効果を示すには、基準を世界的に合意されている基準である1990年レベルに置かなければならない。

さらに、この合意が法的強制力を持っていないことも批判されている。これは決定的に重要なことである。なぜなら、単なる行政的措置では米国の交渉代表が約束した削減を実現するために十分でなく、共和党が支配する新しい議会が民主党の大統領に、中国との約束を守るために必要な権限を与えるような法律を制定するとは考えられないからである。

リマ会合に向けたオバマと習のメッセージ

しかし、これがこの合意が12月の最初の2週間にリマに集まった190カ国以上の交渉代表に伝えたもっとも困惑させるメッセージだった。

基本的に、オバマと習近平が交渉代表たちに告げたのは以下のことだった。「われわれはわれわれの間で合意したことを多国間のプロセスに従属させるつもりはない。また、われわれが示す排出量削減量は、何をしなければならないかについての客観的な評価によって決定され、公平と『共通だが差異のある責任』の原則によって導かれるのではなく、われわれが議題に上らせると決定したことがらによって決定される。さらに、約束の順守は自主的(任意)であり、法律的な強制力を持つ義務的なものではない」。

米中合意はもちろん、リマでの交渉の結果に影響を及ぼした要素の1つにすぎない。しかし、それは決定的な要素だった。その理由の1つとして、この合意が義務性のない排出削減目標を設定する一方的で不透明なプロセスの先例となったことにより、2015年12月のパリでのCOP会合で、排出削減義務をベースとした、より厳格な気候変動抑止の体制を確立するという希望が打ち砕かれたということがある。さらに、先進国側の非妥協的姿勢を前にして、米中の合意は発展途上国に、金持ちの先進国こそが「共通だが差異のある責任」の原則に従って排出量削減の負担を負うべきであるという確固とした立場から名誉ある撤退を行うための言い訳を提供した。この議論でのデッドロックを打ち破った文言は、この原則を「共通だが差異のある責任と、各国の異なる状況に照らしたそれぞれの能力」という文言で置き換えた米中合意の引き写しだった。金持ちの先進国(および新興経済大国)にとって、このような表現で先進国と途上国の間の区別をぼかすことは大きな勝利だった。なぜなら、それは大部分が自分たちの生産と消費によって蓄積されてきた温室効果ガスの扱いが、すべての国の責任になったことを意味するからである。先進国の好意的な反応は理解できる。なぜなら、「みんなの責任だ」と言うことは「誰の責任でもない」ことを意味するからである。

中国が利己主義的な動機によって「共通だが差異のある責任」の原則の再定義を推進したことによって、多くの発展途上国は「気候に関する行動のためのリマ宣言」に署名する以外の選択肢がない状況に置かれた。ある交渉代表がこれを「中国の気候問題での“旋回”(ピボット)」と呼んだが、そのような旋回の結果多くの国が絶望的な状況に取り残されたと感じても不思議ではない。

気候変動問題に取り組んできたジュビリーサウスのリディ・ナクピルによると、リマ会合の結果は、「京都議定書からの撤退の新たな、そして致命的な一歩」だった – 京都議定書は先進国を義務的な排出量削減で拘束してきた。ナクピルや他の気候変動問題の活動家たちはリマ宣言が、2015年12月のパリ会合で開始されると想定されている新たな気候変動対策の体制の脆弱な土台を確立したと見ている。この新しい体制の中心となるのは、「目標とされる国ごとに決定される寄与("intended nationally-determined contributions")」(INDC)、あるいは義務的な約束の代わりに各国が実施する自主的な排出削減の目標である。

リマ宣言の欠陥

リマ会合の結果についてのおそらく最も包括的な分析が「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」の代表のパブロ・ソロン(元ボリビア国連大使)によって提供されている。彼によると、リマ合意の主要な欠陥は下記の点にある。

*合意の序文では「損失と損害」について言及しているが、気候を汚染している諸国による排出で現在被害を被っている国や地域に対してどのような補償が支払われるのかについて、明確なことは何も言っていない。

*テキストは現在の生産と消費のパターンを変更する必要性について何も述べていない。「種々の提案はそれぞれの国で生み出される排出量を削減することに焦点を当てていて、消費される排出量については取り上げていない」と彼は指摘している。彼によると、先進国で消費される製品やサービスに関連する二酸化炭素排出の3分の1が自国の外で排出されており、その大半は途上国で排出されている。「先進国が自国の外で二酸化炭素を排出する製品を消費するのを減らそうとしない限り、先進国の排出を減らすだけでは不十分である」。

*テキストは化石燃料の既知の埋蔵量の75-80%を採掘しないでおく必要があることについて沈黙している。これは地球の温度上昇を1.5℃あるいは2℃以内に抑制できるように二酸化炭素排出量を削減しようとするなら不可欠の条件である。「実際、1892行にわたるテキストの中に、『化石燃料』について言及されているのは『化石燃料への補助』の段階的削減について述べている1カ所だけであり、ほかには『高炭素消費の投資の削減』についての一般的な言及があるだけである」と彼は指摘している。

*宣言は「南」の諸国の適応を支援するためとされるグリーン気候基金1000億ドルの調達方法を明確にするのを避けている。

彼は緩和あるいは排出削減に関連する記述に対して最も強く批判している。新しいシステムの柱となるのは「目標とされる国ごとに決定される寄与」(INDC)と呼ばれる排出削減に関する自主的な約束である。各国が自国のINDCを守ることを保証するための強力な順守メカニズムについて、いかなる提案もなされていないと彼は指摘する。「大きな汚染国が期限に従って排出を削減できず、気候変動の影響を受けやすい国に損害を及ぼした場合にどうするのかがテキストでは全く検討されていない。政府や企業に対して約束の履行を要求し、怠慢に対して制裁を課すメカニズムについて何も言及されていない。テキストで述べられているすべてのオプションは、検討または評価のプロセスのみを考慮している。強力な順守メカニズムを欠く気候に関する合意は政治的宣言に過ぎない」と彼は述べている。

ソロンの憂慮は発展途上国にとって非常に重要である。なぜなら、この数年間にカナダ、ロシア、ニュージーランドが京都議定書から離脱し、オーストラリアと日本は議定書の下での法的拘束力を持つ目標に到達できなかったからである。しかし、これらの諸国は制裁を課されていない。

しかし、ソロンにとって最も重大な問題は、「共通だが差異のある責任」の原則が、「共通だが差異のある責任と、各国の異なる状況に照らしたそれぞれの能力」に引き下げられたことである。これは米国の中国のそれぞれの交渉代表、トッド・スターンと解振华(Xie Zhen Hua)が連携して、米中合意におけるこの原則の再定義をCOP会合が採用するようにロビー活動を行った結果である。近年、多くの貧困国と市民社会団体は、歴史的に温室効果ガスの蓄積に最も寄与してきた先進諸国と、現在最大の排出国となりつつある新興大国が排出削減の負担を引き受ける主要な責任を負うべきであると主張してきた。新たに定式化された原則は、ソロンによると、「先進国と新興国の温室効果ガス排出の責任を希薄化する」。大きな敗者になるのは貧しい発展途上国であり、大きな勝者は中国と米国である。この両国は、ソロンによると、「彼らが作り出した気候のカオスに対する責任を消去する合意を取り付けた」。

ワシントン・北京気候枢軸

これまで米国と中国は互いに相手側の非妥協的な態度を、自国の炭素排出量削減を回避する口実として利用してきた。世界はこのゲームにうんざりするようになったので、両国は相互に対立しているという見せかけをやめて、協調姿勢を示すようになった。両国の気候に関する合意とリマ宣言 –両国がその作成に中心的な役割を演じた- によってこの2つの大国は世界の気候変動対策のパラメーターを設定した。これらのパラメーターは世界が4-6℃の気温上昇に向かうこと、そしてわれわれの世代が破滅させた世界の遺産を将来の世代に残すことを確実にするものにほかならない。

[筆者はフィリピン下院議員、長年にわたって環境問題に関わってきた]


タグ:気候変動 COP
posted by attaction at 13:23 | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

気候変動 - 昨年12月のCOP20(ペルー・リマ)についての論評(1)

昨年12月にリマで開催されたCOP20は、注目度も低く、当初から「COP21(2015年パリ)での合意に向けた予備的な合意」という位置づけだったこともあり「成果らしいもの」も乏しかったようです。(参考:外務省の発表 )。COP20の概要と特徴、背景そして社会運動の側の取り組みと今年のパリでのCOPに向けた動きなどについて、いくつかのレポートを順次紹介します。


COP20リマ:地球灼熱化へのロードマップ

パブロ・ソロン


(「ハフィントンポスト」紙のブログ「ジェネレーション・チェンジ」、1月9日投稿)
Pablo Solon“From Bad to Worse: Lima's Roadmap for Global Burning”

昨年12月の国連気候変動会合[COP20]で採択された「気候に関する行動のためのリマ宣言」("Lima call for climate action")は、2020年以降に関する合意のためのロードマップを示しているが、それは[2010年(COP16)の]カンクン合意よりも弱められた内容であり、2015年のパリ[COP21]でもっとひどい合意に至るための基礎をつくった。

カンクン合意は京都議定書の解体に道を開き、義務的な排出削減目標に代えて自発的約束を前面に押し出した。このアプローチは失敗だった。カンクン合意から4年を経た今、2020年時点での二酸化炭素排出削減量に約12ギガ・トンの不足が明らかになっている。「今まで通りのやり方(business-as-usual)」のシナリオでは、2020年時点での地球上の二酸化炭素排出量は57ギガ・トンになる。カンクン合意では、この値が1-2ギガ・トン減るだけだが、国連環境計画(UNEP)の排出量ギャップ報告書によると、全地球的な気温上昇を2℃以内に抑制するためには2020年までに二酸化炭素排出量を44ギガトン以下にする必要がある。

2010年代における排出量ギャップはリマ会合では全く縮小されなかった。これは2020年代に「2℃以内」への道に近づくことを不可能にする。なぜなら、そのためには世界の排出量は2020年までにピークを越えていなければならないからである。しかも、中国は2030年までにようやく排出量のピークに到達するだろうと発表している。

リマ宣言のテキストは、[2015年の]パリ合意の結果が、排出量削減に関してはカンクン合意における自由放任的なやり方を基礎とすることをあらかじめ想定している。「約束(“Pledges”)」という語が、「目標とされる国ごとに決定される寄与("intended nationally-determined contributions")」に置き換えられ、各国はそれを2015年の3月までに、但し、準備できた場合にのみ、報告するよう求められる。しかもその基になる基準は各国の選択に任される。リマにおける決定は、目標の報告に関する「2トラック方式」(先進国と途上国で異なる方式を採用する)、緩和・適応・損失と損害・資金・技術移転・能力確立を含む対象範囲の明確化という途上国からの提案を露骨に排除している。

最終段階で「共通だが差異のある責任と、各国の異なる状況に照らしたそれぞれの能力」という文言が付け加えられたが、これは米中合意のコピペであり、リマにおける合意にいかなる具体的な影響も残していない。パリ合意は先進国と新興国の温室効果ガス排出に対する歴史的責任を一層希薄化させるだろう。

リマにおける決定は先進国に対して、途上国への「より強力な資金支援を提供および動員する」ことを促している。ここで「動員する」とは、資金支援に公的セクターからだけではなく、民間セクターや、炭素市場、融資からの支援を含めてもよいことを意味する。

あらゆる美辞麗句にもかかわらず、採択された決定には損失と損害についての何の言及もなく、適応、資金、技術移転、能力確立については一般的な言及があるだけである。

決定への追加として、パリ合意に組み込む要素のテキストが採択された。いくつかの国は自分たちの提案がリマの決定のテキストの中のオプションとして十分には取り入れられていないと考えている。その中の最良の提案も、実際には気候変動に取り組むために必要な目標から大きく遅れている。以下に10の例を挙げる。

1) 排出量削減への寄与は任意であり、2020年以降の時期の新しい排出量ギャップがわかるのは、排出量が多い国が自分たちの目標を提出した場合でも、2015年3月以降になる。パリ会合では主要な問題は取り上げられないだろう。つまり、排出量削減の規模と、それが地球全体の気温上昇を1.5-2℃に要請するという目標にどの程度適合しているかということである。このテキストは世界の二酸化炭素排出量を2025年までに40ギガトン以下に抑制する必要があることについて何も言っていない。最も先進的な提案は「グローバルな排出収支」について言及しているが、具体的な数値やタイムラインを示していない。

2) テキストには、既知の化石燃料の埋蔵量の75-80%はそのまま地中に残しておくという提案がないが、これは気温上昇を1.5-2℃に抑制するレベルまで二酸化酸素排出量を制限するためには不可欠である。

3) われわれの現在の生産と消費のパターンを変える必要について、何の言及もない。提案は国内での排出の削減に焦点を当てており、国が消費する排出量を取り上げていないが、実際には先進国で消費される製品やサービスに関連する排出の約3分の1は海外で起こっている。

4) 気候変動緩和のための約束の履行を確保するための強力なメカニズムについて何の提案もない。気候問題についての、強力な順守メカニズムがない合意は単なる政治的宣言に過ぎない。

5) 2010年のカンクンでは、「マザーアース(母なる大地)の権利」を認識するという提案があった。これは人間が自然との関係を変え、自然を対象として扱うのをやめるべきであるという認識を反映していた。今回のテキストでは、この提案は検討すらされていない。「マザーアースの全体性の保護」は一度だけ触れられており、人権は「開発の権利」と同列に置かれている。

6) 各国が「排出権」(炭素オフセット)を買うことによってではなく、本当に排出量削減の約束を守ることを確保するために、パリ合意には炭素市場メカニズムを含めるべきではないという提案はどこにもない。代わりにテキストは炭素市場や炭素価格設定の種々の方法に言及している。

7) 資金に関連して、もっともラディカルな提案は、先進国が2020年以降、毎年GDPの1%を提供するというものである(合計で年に約4500億ドル)。別の提案は、年に500-1000億ドルという数字を挙げており、さらに別の提案は単に「具体的な数値は掲げるべきでない」と述べている。資金の出所については、民間や「代替の財源」(炭素市場など)を通じて資金を「動員」する(「提供する」ではない)という傾向が顕著である。

8) 「要素」に関するテキストは、民間投資を促進するものであるが、気候災害から利益を得たり、それを利用しようとすることを回避するために民間投資への規制が必要であるという提案はどこにもない。

9) パリ合意の法的な扱いについては依然として論争中であるが、おそらく米国は批准することを迫られないだろう。

10) 最後に、どの提案もジオエンジニアリングを回避あるいは禁止しようとしていない。これは非常に危険である。なぜなら、化石燃料の埋蔵量の80%をそのまま地中に残しておく必要性に言及することなく「2050年までに排出量を差し引き0にする、あるいは脱炭素化を実現する」ことを提案することは、パリ会合でこのような技術に門戸を開くことになりかねないからである。

結論として、2010年代における排出量ギャップを埋めることなく、「自発的寄与」という枠組を継続し、次の10年間のための明確な目標がなく、強力な実施メカニズムがなく、詐欺的な炭素市場メカニズムを強化するような「合意」は、人間と地球上の生命の未来を重大な危機に陥れるものである。
 
 
タグ:気候変動 COP
posted by attaction at 13:14 | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする