★12・10「中国iPhone工場の農民工に尊厳を」AppleStore(新宿)スタンディングアピール2022年
12月
10日(土)19時半〜20時半
AppleStore新宿 新宿3丁目の新宿マルイ本館1階
https://www.apple.com/jp/retail/shinjuku/ 呼びかけ:ATTAC Japan首都圏
メアド attac-jp@jca.apc.org ブログ
http://attaction.seesaa.net/※attacはグローバリゼーションがもたらす社会的被害をグローバルな連帯で解決しようと考え行動するネットワークです。
※国旗や差別、国家主義、パターナリズムにつながる主張、表象、団体・個人の参加はお断りしてます。
★事件究明と補償をもとめる国際ウェブ署名(中・英文)はこちらからhttps://bit.ly/3hmJDPz ※日本語訳は↓この文章の一番最後にあります。
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◎強権的なゼロコロナ政策に反発して「白紙運動」が全国に拡大中国では強権的なゼロコロナ政策と政権への批判が高まっています。11月24日夜にウルムチ市で発生した火災で10人以上が亡くなりましたが、居住区の移動制限が消火活動の遅れをもたらしたとして、上海をはじめ全国各地の大都市で犠牲者の追悼とともに、非人道的なゼロコロナ政策、そして政権批判や習近平批判が街頭で公然と叫ばれる事態になりました。
中国の市民らはほんのわずかの政権批判さえも許容できない現体制からの弾圧を避けるために、何も書いていない白紙を掲げました。「言いたいことはあなたの考えていることと同じ」という意味が込められています。「白紙運動」「白紙革命」「#A4Revolution」と呼ばれるこの動きは全国207の大学・専門学校に広がりました。
◎民主・自由・民族自決・家父長制廃止など多様な訴え「白紙運動」といっても訴える内容は白紙ではなく、経済や生活に大きな影響を与えてきた人権無視のゼロコロナ政策からの転換という最大公約数の訴えにならんで、習近平体制の個人独裁や中国共産党の一党独裁の廃止や自由と民主主義の実現なども叫ばれました。それは、盤石の体制を築いたとされる10月末の党大会の一週間前の10月13日に首都北京市内「四通橋」の高架に突如掲げられたコロナ対策と習近平体制を批判する巨大な横断幕に書かれた次のようなスローガンと同じでした。
「(強制)PCR検査ではなく生活保障を/ロックダウンではなく自由を/文革ではなく改革を/指導者ではなく選挙権を/奴隷ではなく主権者になろう」「労働者と学生のストライキで独裁者国賊の習近平を罷免しよう」
中国の人々は、この横断幕を掲げて政権に拘束された彭載舟さんとともにこのスローガンを忘れることなく、習近平一強体制が確立したとみられた党大会から僅か一か月後に遂に街頭で声を上げたのです。日本をはじめ世界中の中国人、香港人、台湾人、そして政権の民族抑圧政策に抗うエスニック組織などが「白紙運動」を支援する集会やデモ取り組むなど支援が広がっています。そこには「家父長制なくして独裁制は死なず」というフェミニストたちのスローガンが見られるなど、厳しい監視体制のなかで続けられてきた中国#MeToo運動の息吹も感じられます。
◎iPhone製造の工場からも悲痛な叫び中国政府のコロナ対策への批判の声は街頭やコミュニティだけでなく、日本や世界と直結するグローバルサプライチェーンの過酷な労働現場でも上がっていました。全世界のiPhoneの半分を製造するといわれる中国内陸部にあるiPhone製造拠点、鄭州フォックスコン(ホンハイ)工場の農民工らの悲痛な叫び声です。
(※)iPhone組み立てを請け負う台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の中国国内の製造工場の名称は「富士康」(英語名Foxconn)ですが、以下では英語名の発音に従って「フォックスコン」としています。約20万人が働くこの工場では10月中旬からコロナ感染が拡大し、隔離措置をとりつつapple社からへの納品スケジュールが停滞しないように生産が続けられてきました。「人命ファースト」といいながらも多数の感染者への対応の遅れ、そして従来の労働者軽視が加わり、10月末には多数の農民工が工場から数十キロも離れた故郷への逃避行を敢行するという事件がSNSを通じて中国全土に広がりました。
◎日本はiPhoneの消費と製造の一大集積地この事態に対して、中国国内の労働人権問題に取り組んできた在外中国・香港人らの複数のグループがバイヤーであるApple社に対して、国際的な労働組合などが関与した第三者委員会による真相究明や適切な補償を求めるウェブ署名が、在外中国人や香港人らでつくる労働NGOなどを中心とした11グループの連名で呼びかけられました。そしてこの呼びかけに答えて、iPhoneの一大消費地でもある日本でも国際署名に協力し、日本の消費者らに訴えるスタンディングを企画しました。
日本はiPhone部品のサプライヤーも集中しています。iPhoneやMacなどのApple製品は、世界402社、614拠点(2020年時点)のサプライヤーが部品製造し、主に中国で製品を組み立ていますが、日本国内にもAppleサプライヤーが96拠点を構えており、パナソニック、日立製作所、ルネサス、キオクシア、ソニー、京セラ、TDK、日本航空電子工業、村田製作所といった電子部品メーカーもまた、Apple製品のバリューチェーンに参加しています。iPhone製品にかかるコストの内訳のうち、Apple社への利益が59%占めますが、組み立てなどに従事する中国労働者の支払いにはわずか1.8%しかコストをかけていないという、超搾取的構造は一貫しています。
◎11月以降も激しい衝突が続いた中国のiPhone工場その後、11月に入り、年末商戦に投入するiPhoneの生産を続けるフォックスコン鄭州工場では、農民工らのコロナ感染や逃避行による手不足の解消のために、党と政府の支援を受けながら、各地から農民工や政府職員、退役軍人、党員らを急遽10万人集めました。しかし党と資本の上意下達の指令による労働力確保によって、労働者たちにそのしわ寄せがいくことは容易に想像がつきます。
11月22日には河南省トップの楼陽生・河南省共産党委員会書記がフォックスコン工場を視察し「コロナ対策は99%ではダメで100%でなければならない」と強調し、ゼロコロナの徹底を通じた生産活動の継続と秩序の維持を指示したその日の夜、「約束と違う!」として労働者らによる抗議が発生し、警察の鎮圧部隊との衝突が翌23日まで続きました。この様子もSNSなどを通じて全国に拡散されました。
その後、会社側は「技術的なエラーがあった」として、離職を希望する労働者らに「精神的補償」として当初の約束通りの11月皆勤賞与1万元を支払って大きな衝突は鎮静化しました。しかし皆勤賞与を受け取って故郷に戻った労働者らが警察との衝突の罪を問われて拘束されるという情報も流れています。
◎「燎原の炎」は白紙に点火して燃え広がる国際署名やApple社への要望は11月中旬に呼びかけられたもので、それ以降の事態は反映していませんが、現在の白紙運動の広がりと無縁ではありません。3年にわたる厳しいゼロコロナ政策と政権に対して正面から批判した10月13日の北京「四通橋」の横断幕、10月末のiPhone工場の農民工の逃避行とその後の工場での警官隊との衝突、そして11月24日夜のウルムチ火災による悲惨な犠牲という、中国全土を包んだ怒りと悲しみの燎原の炎がついに「白紙運動」に点火し燃え広がったのです。
大きく動こうとしている中国社会。いまこそ、日本、台湾、韓国、アメリカなど世界の労働者や労働組合、民主的な社会のために奮闘する世界中の市民が中国の労働者の境遇に関心を寄せるべきではないでしょうか。
中国の建国以来、人民のたたかいを見つめてきた天安門にはつぎの標語が大きく掲げられています。
「世界人民大団結万歳」
「Appleが中国から撤退か」という報道も流れています。やり逃げを許さないためにも、日本と世界からの連帯の声をぜひみなさんのiPhoneをつかって、中国と世界に私たちの団結を拡散しましょう。
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事件究明と補償をもとめる国際ウェブ署名はこちらから(中・英文)→
https://bit.ly/3hmJDPz以下、日本語訳
Apple社は社会的責任を果たし
鄭州フォックスコン(富士康)事件の調査を実施してください10月末以来、ソーシャルメディア上に中国河南省からの多くの動画が出現し、国内外メディアもそれらを報道、現地のフォックスコンの労働者に降り掛かっている残酷かつ出鱈目な状況を明らかにした。
問題の河南省鄭州市にあるフォックスコンの工場は二十万人にも達する労働者を抱え、これはApple社が中国に持つ最大のサプライヤー工場だ──全世界の半数のアップル製携帯電話(iPhone)がここで生産されている。
フォックスコンは納品期限の順守を売りにしており、Apple社の最新製品の納品のため、10月以来、人道を顧みぬ「バブル方式」(バブル=泡の内と外を分けるように、関係者の移動や滞在を一定の空間に限定して、外側との接触を極力避ける方式)を実施して労働者が工場から離れることを禁止していた。
しかし、この工場では最近新型コロナウイルス感染症が流行している。
このような状況でも工場はバブルと生産ノルマの達成に専念し、労働者の基本的人権と労働権は無視されている。
ある労働者は動画の中で不満を訴えた。
感染した労働者は宿舎内に監禁され、薬品もなく医療も受けられず、さらには食事も与えられなかった。
出勤しなければ、終業後の食糧の配給を受けられない。
周辺の飲食店が全て閉鎖したため、労働者が食糧を得るためには(感染リスクがあったとしても)勤務に就かざるを得ない。
労働者が感染症から身を守るための防護用品は常に不足しており、工場は一部の労働者へ生活物資のない作業場で眠ることも要求した。
工場を離れようと試みた労働者は暴力的に阻止された。
無数の労働者が感染症、飢え、暴力から逃れるため厳寒の中、(故郷に戻るために)数十キロの踏破を試みなければならいことを多くの動画が示している。
新型コロナウイルス感染症に関する報道では、鄭州フォックスコン労働者の大多数が派遣労働者であることも述べられ、フォックスコンが法律で定められた派遣労働者の法定比率をはるかに超える多数の派遣労働者を雇用しており、労働者に適法な労働契約と社会保障を提供せず、中国労働法の重大な違反となっていることも明らかになった。
10月30日、フォックスコンの親会社である鴻海グループは改善を行うとの声明を発表したが、依然として「バブル方式」を継続する意思も示していた──これは間違いなく一種の強制労働である。政府の要求は強制労働を正当化する理由にはならない。
フォックスコンは依然として労働者の健康と人権よりも利潤を優先させることを選択している。
また、中国国営メディアの報道は、未だにソーシャルメディアで拡散された問題について十分に説明されていない。
主流メディアが政権党に完全に制御されている中国において、独立した第三者の調査が世界に真相を伝える必要がある。
フォックスコンの最も重要なバイヤーであり、世界中の消費者が使用しているブランドであるApple社は、アメリカの労働組合や国際労働組合総連合ITUCを含む国際的な労働組合組織の参加のもと、本件の調査をする責任がある。
私たちはApple社へ、独立調査を通じて以下の問題へ回答するよう求める。
1 工場エリア内で感染症は10月中旬には既に拡大しており、非感染者でさえ食糧不足に苦しむこととなったが、なぜフォックスコンは10月30日まで事件を認める声明を発出しなかったのか?フォックスコン社は何を隠したのか?なぜそれを隠したのか?
2 10月中に総勢何名のフォックスコン労働者が新型コロナウイルス感染症に感染したのか?
3 10月中、フォックスコンで何名の労働者が死亡したのか?それらの死者の正確な死因は何か?
4 10月中、労働者が工場を離れることを禁止,制限したフォックスコンの命令は何に拠るものか?理由は何か?
5 感染者が治療のため病院へ搬送されなかったのはなぜか?
6 工場エリア内で大規模な物資供給の混乱が起きたのはなぜか?
7 フォックスコンが労働者にバブル方式を要求する基準は何か?10月中に隔離された人は総勢何名か?
8 なぜ物質供給が十分な隔離エリアを設置をしなかったのか?
9 現時点で鄭州フォックスコンは何名の派遣労働者を使用しているのか?なぜ正規雇用しないのか?
10 バブル方式生産の期間中、強制労働がおこなわれたのではないか?
11 バブル方式生産の期間中、暴力によって個人の自由を制限された労働者はいたか? 暴力を振るった者はどのような立場であったか?
さらに、Apple社とフォックスコン社へ次のことを求める。
・労働者の人権は企業の利潤に優先させ、労働者の自由と健康もまた雇用主の生産計画に優先するものとすること
・労働者の個人の自由を侵害することは即刻停止すること
・暴力的に労働者の個人の自由を侵害した者の責任を追求すること
・全ての労働者の生命と健康を保障すること
・バブル方式生産の期間中に負傷した労働者へ公正な補償を行うこと
・工場に勤務する全ての労働者へ充分な飲食物と防護用品を提供すること
・感染状況が深刻な場合には、労働者の健康を優先し、生産ラインの一部を停止すること
・自発的に帰郷をする労働者へは交通費を補助し、賃金と約束されたボーナスを即座に支払うこと
支援呼びかけ組織 / Supporting organizations:
Students For Hong Kong
Labour Movement Solidarity with Hong Kong (英国)
Borderless Movement / 无国界社运 (香港)
China Labor Watch / 中国劳工观察 (米国)
Sedane Labour Resource Centre / Lembaga Informasi Perburuhan Sedane (インドネシア)
Dove and Crane Collective (米国)
Forum Arbeitswelten / 劳工世界 (ドイツ)
Lausan 流伞 Collective
Citizens Daily CN / 公民日报
Befria Hong Kong (スウェーデン)
Hong Kong Labour Rights Monitor / 香港劳权监察 (英国)
署名はこちらから
https://bit.ly/3hmJDPz