2017年08月17日

共謀罪とグローバル化する刑事司法 ──対テロ戦争と対峙する社会運動の課題──

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共謀罪とグローバル化する刑事司法
──対テロ戦争と対峙する社会運動の課題──


★お話し 小倉利丸さん(批評家)

★日時 2017年9月21日(木)午後6時半〜
★会場 文京区男女平等センター(本郷三丁目下車徒歩5分)
    アクセス
★参加費 500円
★主催 ATTAC Japan(首都圏)※申込不要

日本は米国の同盟国としてまぎれもなく対テロ戦争の当事国です。戦場は、ネット空間も含めて地理的な限定がなく、軍事諜報機関は国の内外を問わずをスパイし、警察は軍隊さながらの装備で国境を越えて活動し、軍隊は自国の民衆に銃口を向ける存在になっています。そして、IT産業は、グローバル資本主義の基幹産業であるとともに、こうした対テロ戦争を支える軍事産業になっています。

共謀罪は治安維持法の再来と言われる一方で、このような全く新しい戦争の時代、グローバル資本主義の時代に人々のコミュニケーションを犯罪化するものとして導入されました。本集会では、この新たな戦争とグローバル化の時代に焦点をあてて、対テロ戦争と対峙する社会運動の課題を考えます。

小倉さんには10月から新著『絶望のユートピア』を使った連続講座をお願いしています。9月21日の集会は「絶望」から「ユートピア」に向けたスタートラインです
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2017年08月16日

中国の一帯一路がグローバル化2.0なのか? それは自然環境にどのような影響をあたえるのか

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中国の一帯一路がグローバル化2.0なのか? 
それは自然環境にどのような影響をあたえるのか


ロビン・リー
中文 英文

 中国が2013年末に初めて「一帯一路」発展戦略を提起して以来、より多くの国際的注目を受け、ますます多くの国々が中国とのあいだで関連する連携協定を締結している(原注1)。「グローバリゼーション2.0」と称されるこの提起の趣旨は「シルクロード経済ベルト」(一帯)と「海のシルクロード」(一路)の建設を通じて、アジア、アフリカ、ヨーロッパのあいだで連携、貿易、インフラ建設のネットワークを発展させるというものである。これによって世界経済に大きな影響を及ぼすとともに、中国の国際的な政治と経済の利益をさらに拡大するものになるだろう。多くの政府と企業がこの政策を歓迎しているようにみうけられる。というのも彼ら自身にもチャンスをもたらすと考えられているからだ。彼らは、政治エリートと資本が最大限の利益を獲得できように、それに対応する戦略を策定した。だがこの政策が民衆と我々の生活世界に対して与える影響については、より厳しい分析と判断が必要である。なかでも中国が「一帯一路」を通じて推進するグローバリゼーションが自然環境にとってどのような意味を持つのかは、極めて注目すべき分野の一つである。

「一帯一路」に関する政府文書や声明は、いずれも気候変動対策と環境保護の必要性が指摘されており、この戦略を実施する際にはエコ建築と投資が環境の及ぼす影響に配慮することを約束している。さらに中国は「一帯一路」を通じて、他の途上国の持続可能な発展の実施能力の向上支援も可能になると論じる評論家もいる。いずれにしても、政府の声明において、いかに環境の持続性を確保しながら投資プロジェクトを実施するのかという明確な政策指導は基本的には示されていない。実際には、現有のプロジェクトの実施状況および今後発生する可能性のある影響を詳細に分析すれば、「一帯一路」が自然環境に対して深刻な影響を構成し、自然環境の後退、汚染、自然資源の枯渇をもたらす可能性があり、さらには「一帯一路」の沿線諸国の人口構成に不利な影響を与えることになるかもしれない。

中国国家発展・改革委員会が2015年に公表した「シルクロード経済ベルトと21世紀の海のシルクロードの共同建設の展望と行動を推進する」のなかで、風力エネルギーと太陽光エネルギーなどのクリーンで再生可能なエネルギーへの投資と協力を推進することを約束しているが、同時に「石炭、石油、天然ガス、金属鉱物、その他の従来のエネルギー資源の調査と開発」の協力についても強化する、とされている(原注2)。

石炭投資についていえば、中国はすでに多くの海外投資プロジェクトに参加している。地球環境研究所(Global Environment Institute)の統計によると、2001年から2016年までに、中国は「一帯一路」諸国域内の240の石炭火力発電プロジェクトに参加しており、そのうちインド、インドネシア、モンゴル、ベトナム、トルコの五カ国のプロジェクトへの参加が最も多くなっている(原注3)。パキスタンの石炭火力発電への投資はさらに注目するに値する別のケースである。それは中国−パキスタン経済回廊の一部であり、中国はこの投資に数十億ドルを投じており、そのうちガシム港電力発電所は中国が海外で行う石炭火力発電投資のうちでも最大の投資額である。つまり、世界中が気候災害に直面し、炭素密集型エネルギーの使用をただちに減少させなければならないにもかかわらず、「一帯一路」は海外での化石燃料の使用を引き続き拡大させるのである。それゆえこの戦略は環境の持続可能な発展という約束と相反することになる。

また、中国のクリーンエネルギーと再生可能エネルギーにかんする約束も、いま以上に原子力発電――このエネルギーは環境と人類の安全にとってのリスクとなっている――を使用することを含んだものである。原子力発電を拡大させている中国は、安全基準の低さに批判が集まっている。中国の水力発電投資においても環境リスクをもたらす。大規模ダムは自然環境を破壊し、生物多様性に大きな影響を及ぼす。また巨大ダム建設によってその地を追われる住民への社会的影響については言うに及ばずである。中国は国内外ですでに多くのダムプロジェクトに参加している。2010年までに49カ国の200余りのプロジェクトにかかわっており、その多くが世界でも最大規模の水力発電所である(原注4)。そのうちのいくつかのプロジェクトについては、多くの懸念が示されている。三峡ダムプロジェクトを例にとれば、このプロジェクトでは2300万人の住民が移転し、環境や住民の生活用水にも悪影響を与えた。国外では、カンボジアのメコン流域の大型ダムプロジェクトにおいても、人類と自然環境にとって脅威を与えており、十分な環境評価が行われることなく、プロジェクトが開始された(原注5)。

新シルクロード経済帯と海のシルクロードが通過する地域の多くは、自然環境が脆弱であり、資源も非常に希少であることから、気候変動と人類の活動にとってもさらに悪化が懸念される。一部の地域では住民の移転が問題になっているが、新しいプロジェクトによって沿線の多くの地区に人口が集中することで、さらなる自然環境の破壊が懸念されている。このような脆弱性は、一帯一路戦略がもたらす懸念の一因となっており、環境の持続可能性にもとづいて「一帯一路」投資を行うのであれば、この種の脆弱性にたいする厳しい分析と評価が必要となろう(原注6)。たとえばタンザニアのバガモヨでは、アフリカ最大の港湾建設の計画があるが、周辺地域では絶滅に瀕するマングローブと地元住民の漁場があり、住民の生計への影響や敏感な環境条件が存在している(原注7)。またロシアでは、環境団体が中国資本によるザバイカエリでの潜在的な影響を指摘している。この投資プロジェクトはアマジャル林−パルプ一体化プロジェクト(原注8)とポクロフカ−ログノフ港湾プロジェクトと関連しており、どちらも黒竜江省の「一帯一路」の重要な構成部分とされている。正確な環境影響評価を欠いたまま、プロジェクトに関連して伐採とダム建設が始まっているが、これは資源の枯渇と現地の豊富な生物多様性を破壊する可能性がある(原注9)。

実際、環境の汚染と破壊の問題は中国資本による海外投資プロジェクトに対する信頼を喪失させているのかもしれない。中国が「世界の工場」となるにつれて、アフリカは自然資源の原産地として中国にとってますます重要になっている。というのも中国国内だけでは石油、天然ガス、鉱物、木材などの資源を十分に提供することができないからである。中国企業はときには現地の腐敗役人と結託し、環境破壊を行い、現地の環境法に違反しているという指摘もなされている。たとえば中国石油化工工業が2005年にガボンで石油埋蔵調査をした際にガボンの国定自然公園と熱帯雨林を広範囲に汚染した事件は、多くの非難を巻き起こした(原注10)。

注目すべきは、中国政府は中国海外企業が海外投資プロジェクトの多くで真剣な環境影響評価を行っておらず不評であることを受けて対策に乗り出したことである。しかし中国商務部と環境保護部が2013年に共同で公表した「対外投資協力における環境保護ガイダンス」は法的強制力がなく、海外経営をおこなう中国企業に対する拘束力に乏しい。これは投資受け入れ国側に環境基準を制定させて(多くの諸国で環境基準は緩い)、企業それぞれに各自の企業の社会的責任(CSR)、もしくはアジア開発銀行などの融資機関(原注11)の基準を順守させることを期待している、ということを意味する(しかしこれらの基準では環境は守れないだろう)。

さらに注目すべきは、「一帯一路」の目標のひとつ、鉄鋼やセメントなど、中国の高汚染産業の過剰生産能力を国外に吸収させるという目標である。しかしこれは国内の過剰生産力をさらに激化させることになるかもしれない。なぜなら海外市場の開拓によって、これらの業界では生産量を削減しなくなるかもしれないからだ。中国の地方政府も、国内の汚染を減少させる代わりに地方政府の収入も減少することになるので、生産を減少させたくないと考えている。中国は国内の過剰生産能力を吸収するために、海外で鳴り物入りの箱物インフラ・プロジェクトへの投資をおこなうことで、さらなる環境リスクを作り出すかもしれない。中国国家発展銀行と中国の商業銀行は、すでに「一帯一路」関連諸国のプロジェクトに対して数十億ドルの融資を行っている。しかしこれらの銀行は資源配分の効率化と過剰投資に関する記録においては不評を重ねている。中国国家発展・改革委員会の研究レポートによると、1997年以来、これらの金融機関の非効率投資の累計は66.9兆人民元に達しており、計画に従って実現した投資プロジェクトは60%に満たないという(原注12)。それゆえ、もしこの状況が進展すれば、「一帯一路」の投資プロジェクトの一部では、投資プロジェクトは不必要あるいは十分に活用されない可能性があり、それは世界の資源とエネルギーを浪費することになるだろう。

中国は過去において海外での環境保護にかんして不名誉な実績を記録してきたが、「一帯一路」においても明確な約束と執行メカニズムを欠いており、加えて投資と発展戦略の一部において本質的に環境に対して有害なものもある。それゆえ「一帯一路」が環境に及ぼす影響に懸念を表明することには十分な理由があるのである。中国は環境保護ではなく経済成長を優先して考慮してきたことから、自らも深刻な環境的後退に直面している。そして今また、途上国を利用して自然資源に対するみずからの需要を満たしはじめつつあるが、実際のところそれは自国の問題と環境コストの一部を他国に移転することに他ならない。このような発展経路を歩んだのは中国が最初ではないが(北米と欧州はこの歩みの長い歴史を持っている)、いかなる国家にあってもこの種の搾取的な方法を継続する理由も口実もない。我々の世界は気候の危機に直面しており、人類のある種の活動はすでに地球環境に破壊的な影響を与えており、それは人類の未来にとっても脅威となっている。われわれは公然たる透明性の努力を通じて、生態系を修復・保護し、未来の世代に居住可能な地球を残さなければならない。これは世界各国の政府と民衆が早急に取り組まなければならないことである。だが「一帯一路」はこの取り組みと相反する戦略なのである。


原注1 2017年5月現在、68の国と国際機関が関連する協定を締結している。

原注2 《願景与行動》http://www.ndrc.gov.cn/gzdt/201503/t20150328_669091.html

原注3 China’s Belt and Road Initiative Still Pushing Coal, Feng Hao, 12th May 2017, https://www.chinadialogue.net/article/show/single/en/9785-China-s-Belt-and-Road-Initiative-still-pushing-coal.

原注4 Hydropower: Environmental Disaster or Climate Saver? China Water Risk, 6th July 2010, http://chinawaterrisk.org/resources/analysis-reviews/hydropower-environmental-disaster-or-climate-saver/.

原注5 China Dams the World: The Environmental and Social Impact of Chinese Dams, Frauke Urban and Johan Nordensvard. 30th January 2014. E-International Relations.

原注6 一部の研究者は、プロジェクト実施前であっても、ベースラインを測定し、モニタリングを行う必要があるとしている。詳細はBuilding a new and sustainable ‘Silk Road Economic Belt’, Li, Qian, Howard and Wu. 2015.
を参照。

原注7 http://thediplomat.com/2015/12/the-port-of-bagamoyo-a-test-for-chinas-new-maritime-silk-road-in-africa/.

原注8 このプロジェクトの中国語資料はこちら。
https://www.banktrack.org/download/summary_chinese_and_english_of_the_dodgy_deal_information/170428_amazar_chineseenglish_summary.pdf。(中国語訳者注)

原注9 Environmentalists warn Shenzhen stock exchange about risks of Amazar “Belt and Road” project in Russia. 12th May 2017, http://www.transrivers.org/2017/1922/

原注10 China’s environmental footprint in Africa, Ian Taylor, February 2007, China Dialogue, https://www.chinadialogue.net/article/show/single/en/741-China-s-environmental-footprint-in-Africa

原注11 《商務部環境保護部関於印発“対外投資合作環境保護指南”的通知》。 2013年2月28日,中華人民共和国商務部。

原注12 ‘One Belt’ infrastructure investments seen as helping to use up some industrial over-capacity, Eric Ng, 2nd November 2015, South China Morning Post. http://www.scmp.com/business/article/1874895/one-belt-infrastructure-investments-seen-helping-use-some-industrial-over

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2017年04月26日

アジア民衆の訴え:アジア開発銀行(ADB)の免責に異議あり

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アジア民衆の訴え:アジア開発銀行(ADB)の免責に異議あり
ASIAN PEOPLES CALL: CHALLENGING ADBS IMMUNITY

原文(英語):https://www.forum-adb.org/registration

2017年4月20日

はじめに

アジア開発銀行(ADB)は1966年の設立以来、この地域から貧困をなくすために貢献する機関であるという幻想を流布してきた。同行は半世紀にわたるアジア太平洋地域における活動の中で、インフラ、研究、技術移転のために2500億ドル以上の融資を行ってきたと言っている。 ADBは恥知らずにも、その加盟国に不当な債務を押し付け続けている - 融資したプロジェクトや政策が破滅的な結果をもたらした場合でもである。ADBの50年にわたる活動は、人々を居住地から追い出し、貧困と栄養不良と空腹に追いやった実績を残してきた。森林、川、海、耕作地など環境のあらゆる面に破壊的な影響を及ぼし、そこを生息地とする多くの動物種や植物種の生存を脅かし、絶滅の危機に追いやってきた。ADBはまた、環境を汚染するエネルギー・プロジェクトに融資することを通じて地球温暖化に寄与したという点でも有罪である。

2017年4月19-20日にフィリピン大学SOLAIR(労働・労働関係学部)に集まった地域コミュニティー、青年組織、学生、市民団体の代表は、以下のことを宣言する。

●ADBは搾取的な開発モデルである – ADB のビジネス・モデルは国家を経済成長の基本的な推進機関とみなす偏狭な開発観である。ADBはこの考え方に基づいて、国別戦略的パートナーシップ戦略(CPS)や改革政策(構造調整計画、政策・金融・統治改革に関する技術支援)を通じて搾取するべき部門や資源を選び出し、民間部門の輸出指向型の利益追求に供してきた。ADBは貸し手の力を悪用して政府に対して慣習法に基づいて管理されている自然資源を取得するよう強制し、政府はADBに依存しているという虚偽の物語を作ってきた。それらはすべて融資を押し付け、民間部門の事業機会を開放することを目的としている。

●ADBは圧政を支持している - ADBは良い統治と民主主義について語っている。しかし独裁的で抑圧的な政権や、不安定な紛争地域 - ミャンマー、サモア、パプアニューギニア、インド北東部、アフガニスタン、パキスタンなどの - への融資を続けている。ADBはそのような融資を通して圧政を支援し、国家機関を利用して資源を強奪し、人権を抑圧し、市民社会やすべての反対意見を圧殺することを助長している。

●ADBは偽りの解決策を提供している – 思い上がったADBは、自らをアジアにおける知識供給者であるとみなしており、この十年間はいわゆるクリーン・エネルギー投資と社会投資(保健、教育、農業)の組み合わせを通じて偽りの解決策を提供してきた。これらの投資はすべて民間資本に社会開発部門を開放するものであり、利用者にとっては料金の値上げ、格差と債務の拡大をもたらすものである。ADBはアジア・インフラ投資銀行(AIIB)との競争に脅威を感じ、国境を越えたインフラ・プロジェクトへのより無謀な融資に突き進んでおり、地球温暖化の真っ只中で環境を汚染する化石燃料への投資を続けている。ADBは人権問題への冷淡な姿勢を維持し、一貫して人権問題を否認しており、どの事業方針やガイドラインにも人権という用語を使用していない。ADBは設立50周年を迎えるが、いまだにアジア全域におけるどのプロジェクトや事業にも、中核的な労働基準を適用することを頑強に拒んでいる。われわれは長年にわたってADBの内部統治メカニズムに批判的に関与し、その中で、ADBがその方針や手続きを遵守しているか否かの最終判断がすべてADB理事会に委ねられていることを現認してきた。つまりADBは自身の行為についての調査官、裁判官、陪審員を兼任しているのであり、外部に向けた、あるいは公的な説明責任に関するいかなる義務も負っていない。ADBの免責は、国際機関としてのADBに奔放な自由を許容しているが、50年にわたって破壊的な事業実績が継続していることを考えれば、この免責に異議を唱えることが決定的に重要である。

われわれはADBの免責が各分野に及ぼしている破壊的な影響を検討した結果、次の結論に達した。

1) ダム建設への融資、住民の追い出し、環境破壊

●ADBのダム建設への融資は、現地の地域社会に多くの災禍をもたらしてきた。バングラデシュ、ネパール、キルギス共和国、カンボジア、ラオスで共通に見られることは、ADBの約束と、地上で起こった現実の差である。ラオス、バングラデシュ、キルギスタンではADBのプロジェクトは環境の破壊をもたらし、住民の生活に影響を及ぼした。

●特に、ラオスのセバンファイ川下流では、水質の劣化のために流域のコミュニティーの住民が皮膚病に罹った。環境破壊の問題だけではなく、コミュニティーの住民への補償が支払われなかったか、遅延したか、あるいは住民の苦境に対応していなかった。ADBによる地域コミュニティーとの協議は行われなかった。これらの地域におけるADBのプロジェクトは、コミュニティの利益を増進する政策を実施するのではなく、環境の悪化、生計の喪失、病気、非自発的移転をもたらした。このことはさらに、人権侵害をもたらしている。

●ラオスの事例にみられるように、影響を受けた人々は、政治的および社会的な状況のために、説明責任を求める手段にアクセスできなかった。バングラデシュとカンボジアでは苦情申し立てが行われたが、ADBの苦情処理メカニズムが迅速でないため、いまだに問題への対処は行われていない。経済成長が環境や人々の生命、生活に優先すると考えられていることは明らかだった。

2)不平等、負債、民間部門への富の移転

●ADBが融資したプロジェクトは社会・環境への負の影響に責任を負っている一方で、民間部門債務の救済や人権侵害にも責任を負っている。それは公的債務の増加、プロジェクトの遅延、目標の未達成、企業の不当なやり方からの当事者の保護の欠落、環境および健康の保全の欠落をもたらす。退去を強制された家族の移転が生活条件の回復をもたらすことはなかった。それは開発の恩恵よりも大きな被害をもたらした果たされない約束を物語っている。

●債務監査を通じてADBの免責に異議を申し立てるべきである。不当な債務を宣言する際の原則は、現在では国際的な原則とみなされている。したがって、われわれは債務返済の停止を要求し、最終的にはすべての不当な債務の帳消しを要求する。

3)気候変動と、設立50年にあたってのADBの脱炭素化

●ADBが継続的に石炭部門を支援していることは、アジアの人々を気候変動や健康および環境への危害に対してますます脆弱な立場に追いやっている。それは人々を居住地から追い出し、気候に起因する移民/気候難民になることを強制する。これは人権 - 健康的で清浄な環境への権利を含む – への重大な違反である。

●したがって、われわれはADBに対して、石炭部門への融資を中止し、アジアの脱炭素化を開始することを要求する。われわれはまた、ADBが地域社会に根ざした持続可能なエネルギーのためのプロジェクトを優先することを要求する。さらに、ADBが気候変動および気候に起因する移民/難民の対策に貢献することに全責任を負うことを求める。

4)透明性の欠如、抑圧、市民社会団体のためのスペースの縮小

●ADBは融資条件(コンディショナリティー)を課すことによって免責と不処罰の機構を拡大してきた。融資条件には民間部門との利益分配を可能にするための法律改正が含まれる。ADBは自らの政策や、国内法・政策の遵守すら保証していない。われわれはすべての政府が、企業に便益を図り、民間部門の利益に叶うために法律を改定する権限を行使するのをやめるよう求める

●ADBは人権に関わる法律や原則に違反するプロジェクトを支援するべきではない。ADBは政府と結託して軍事化と腐敗を伴うプロジェクトを推進するべきではない。ADBはそのような体制を容認、支持、支援するのではなく、抑圧的な体制による人権侵害や強制的行方不明などの重要な問題について発言するべきである。

●ADBの免責は不処罰につながり、プロジェクト開発者や国家が人々の権利を無視すること、また、企業が国内法に違反して環境を破壊することを許容することになる。ADBはそのような違反に無関係を装い、免責の背後に隠れることはできない。

5) ADBによる労働の搾取

●われわれはADBがプロジェクトの全期間を通じて労働基準違反を許容しているために民間企業が労働者の権利を尊重していないことを目撃してきた。これは特にフィリピンの例に見られる。そこでは地区の水道管理機関が、当該地区の職員や組合労働者や住民との協議なしに民営化または閉鎖された。そのため、われわれはADBが公共サービスを公共部門に戻し、公共財や公共施設の提供において公共機関間、または公共機関・住民間のパートナーシップのための、より革新的な措置を導入するよう要求する。

●ADBはいまだに中核的労働基準を導入しておらず、それが基本的な権利侵害につながっている。ADBの免責のために、これらの違反行為を現地の裁判制度の下で告発できない。したがってわれわれはADBに対して、すべての事業においてILOの中核的労働基準を尊重すること、また、労働権の侵害に対する告発から逃れるために免責を利用するのをやめることを要求する。

6) 社会的包摂と、脆弱な立場のグループに対するADBの影響

●ADBの事業には脆弱な立場のコミュニティの真の参画がない。ADBは協議に女性、障害者、先住民族などの脆弱な立場の人々を含めるための真剣な努力を払っていない。特に、障害者について、ADBはエンパワメントとアクセス可能性を強化するメカニズムをほとんど導入していない。

●移住を伴うプロジェクトのために、女性は一層貧困に陥りやすい状況にある。先住民族も、特に先祖伝来の土地において福祉の向上よりも権利の侵害を経験している。特に懸念されるのは、地域コミュニティーとの協議が強制(軍事化)を伴っているケースがあることである。いくつかの事例においては市民社会団体に対して共産主義者、テロリスト、過激派という決めつけが行われ、批判的主張をターゲットとすることで民主主義的スペースを縮小させている。

●したがって、われわれはこの問題をADBの「2030年までの道筋」戦略の検討の中で取り上げ、全範囲にわたる人権を追求することと、対話のための民主主義的スペースを広げることにより強い強調を置くことを要求する。

アジア民衆はADBの免責に異議を唱えることを呼びかける

われわれはまた、これまで述べてきた闘争および証拠は、ADBがアジアの人々に対する責任を全く果たしておらず、免責を主張し続ける根拠がないことを証明していると宣言する。今やアジアのあらゆる地域でADBの偽りの免責の主張に異議を唱える時である。ADBは借り入れ国およびその国民の開発パートナーとしての信頼を裏切っており、自らのすべての行動と影響に対して完全な責任を負うべきである。

したがって、われわれアジア民衆はわれわれの政府と国民の代表に対して、ADBの免責を剥奪し、ADBにわれわれの尊厳、権利、主権、そしてマザーアース(母なる大地)に対して行ってきたすべての行為の責任を負わせることを要求する。

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2017年04月24日

アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム

アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム

 アジア開発銀行(ADB)は「貧困のないアジア」を目指すとして、主に「開発途上国」における開発プロジェクトへの融資や技術支援等を行ってきました。しかし、「支援を受ける側」の諸国の多くの住民団体やNGO、社会運動団体は、開発プロジェクトがもたらす住民立ち退き、環境破壊、債務の拡大などの問題を告発し、もっと現地の声を聞くよう訴え続けてきました。

 5月4日から横浜で第50回アジア開発銀行(ADB)年次総会が開催されます。また、TPPの頓挫の後、注目が集まっているRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の会合が3月神戸に続き、5月上旬にフィリピン・マニラで開催されます。

 この機会に、これまでのアジアにおける「開発援助」のあり方や金融機関の活動、通商協定のあり方がアジアにおける人々の生活、人権、環境に何をもたらしてきたのかを国際シンポジウムで検証します。また、ジャスティス(社会的公正)という観点から、これからのアジア、人々の間の関係をどのように構想するのか、そしてADBや日本政府の支援のあるべき姿をアジア各国のNGOや活動家、日本の皆さんと共に考えます。5月2日には全体会を、5月3日には分科会を行い、水や食べ物の問題から気候変動、債務、労働の問題などの分野に分かれ、議論をおこないます。

 ADB総会が始まる5月4日には、各国の活動家といっしょに、会場近くでのアクションを予定しています。

<1日目>
5月2日(火)18:30-21:00(18:00開場)
[場所] 文京シビック4Fホール
[内容]
−「アジアの公正な貿易を目指して-RCEPを中心に」アフサール・ジャファリ(Focus
on the Global Southインド)
−「気候変動とクライメート・ジャスティス」ヘマンサ・ウィサネージ(FOEスリランカ)
−「壊れる村と人−グローバリゼーション下の日本の村から」大野和興(TPP
に反対する人々の運動)
−「ADBと食料主権」アルゼ・グリポ(Asia-Pacific Network for Food Sovereignty
(APNFS)、フィリピン)
[参加費] 1,000円(事前申込不要)、英日通訳付き
[定員]100人

<2日目>
5月3日(水・祝)15:00-21:00 ワークショップ(WSによって時間帯が異なります)
[場所] 文京シビック3F会議室A、B
[スケジュール]
A: 気候変動と石炭発電(ヘマンサ・ウィサネージ、CEEバンクウォッチ他)
B: 開発金融・債務(CADTMインド、PSI-APRO他)
C: 食料主権(アルゼ・グリポ他)
D: 貿易(アフサール・ジャフリ他)
[参加費] 500円(1日通しです)
[定員] 各30人
*詳細および更新情報は、以下のブログでお知らせします。
http://int.attac.jp/2017_01_01_archive.html

[主催]「アジアの開発と環境・人権・平和を考えるシンポジウム」実行委員会
(参加・協力団体: ATTAC Japan国際ネットワーク委員会、Focus on the Global South、Asia-Pacific Network for Food Sovereignty (APNFS)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、FoEジャパン、国際公務労連アジア太平洋地域事務所(PSI-APRO)、TPPに反対する人々の運動)
[連絡先]:peopleadb50@gmail.com(担当:秋本090-9824-9081)
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2017年03月21日

attac cafe「サパティスタの夢」はみたび夜ひらく〜太田昌国さんに聞く〜

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Arte Zapatistaより

【attac cafe-20170416】
「サパティスタの」はみたび夜ひらく
 〜 太田昌国さんに聞く 〜


・4月16日(日)14:30〜16:30
・文京シビックセンター 4階B会議室
・500円(会員は無料)

※会員以外の方は下記より申し込みください。

NAFTA(北米自由貿易協定)が発効した1994年1月1日、メキシコ・チアパスの森林深くサパティスタ民族解放軍が抗議の蜂起を行いました。それは、その後に続くオルタグローバリゼーション運動の最初の烽火の一つになり、人々の希望は「サパティスタの夢」に向けて進むかに見えました。

しかし、それから二十余年がたったいま、世界は「サパティスタの夢」が語られるすこし前、80年代から90年代初めにかけての厳しい状況(マルコス副司令官いわく「最悪だった」)を再演するかのような状況になっています。

トランプ大統領はNAFTAの見直しとTPPからの撤退、メキシコとの国境の壁を強化することなどを公約にかかげ当選しました。

主要メディアではいっせいに「世界に反グローバリズムの幽霊が徘徊している」といわんばかりに、自由貿易に背を向けるかのようなトランプ政権の保護主義を批判しました。

安倍政権をはじめとするアジアの大国も「モノやカネが国境を自由に越える自由貿易こそが唯一の道」と叫びつつ、国境(領土・領海)警備という軍事力による壁をたかく築きながら、緊張をつくりだしています。

金融危機の前からその直後にかけて世界を席巻したかに見えた「進歩的ポピュリズム」のうねりは、排外主義的ポピュリズムにとって代わられ、世界は十重二十重の壁によって分断されているかのようになっています。

サパティスタのマルコス副司令官は、厳しい80年代の終わりの状況をこう語っています。

「しかし最悪だったのはその後でした。変革への動きが廃墟になってしまったあとに、世界資本主義が新しい壁をつくってしまったことです。一極集中のグローバル化した世界。国境は、資本家と商品にとってはないも同然ですが、人間にとっては逆に十重二十重に取り囲む壁になっています。」(『サパティスタの夢』より)

わたしたちを取り囲む十重二十重の壁を打ち壊す、みたびの「サパティスタの夢」は、正夢になるのか。

サパティスタ蜂起の当初から出版や言論を通じて日本に紹介を続けてきた太田昌国さんに聞きます。

★太田昌国さん
編集者として人文書の企画・編集・販売に従事。同時に、帝国主義と民族・植民地問題を軸に据えて、世界と日本の歴史と現状についての発言を続けてきている。主な著書――『鏡としての帝国』『〈異世界・同時代〉乱反射』『日本ナショナリズム解体新書』『ペルー人質事件解読のための21章』『「拉致」異論』『チェ・ゲバラ プレイバック』『〈極私的〉60年代追憶』『〈脱・国家〉状況論』などがある。
「太田昌国のみたび夢は夜ひらく」のサイトはこちらです。
http://www.jca.apc.org/gendai_blog/wordpress/


★ATTAC Japan(首都圏)
千代田区神田淡路町1-21-7静和ビル1階A
attac-jp@jca.apc.org
http://attaction.seesaa.net/

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2017年02月22日

東京五輪おことわリンクのIOC(国際おことわりコンベンション)企画

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東京オリンピックおことわリンクの
IOC(国際おことわりコンベンション)企画


◆2・25 韓国からイ・ギョンリョルさんをお招きして

ゲスト
イ・ギョンリョルさん(スポーツ平和研究所)
谷口源太郎さん(スポーツ・ジャーナリスト)


韓国ピョンチャンの2018冬季五輪のあり方に疑問をもつスポーツ平和研究所のイ・ギョンリョルさんをお招きし、2018ピョンチャン冬季オリンピック災害の実態を聞く。1200億ウォンもの大金をかけ環境を破壊して建設されるスライディングセンターは毎年20億ウォンもの赤字が懸念されている。五輪・政治・ビジネス優先ではないスポーツの多様性へのチャレンジなどについて話を聞く。

日時 2月25日(土) 13時〜
場所 ピープルズ・プラン研究所 地図 
交通 江戸川橋駅1-b出口10分
参加費 500円


◆3・3 ブラジル・リオからジゼレ・タナカさんをお招きして

ゲスト
ジセレ・タナカさん(建築家、都市研究者、リオ大学都市計画研究所)


ブラジル・リオでComite Popularという住宅の権利運動の団体で活動し、2016年リオ五輪の際には対抗イベントJOGOS DA EXCLUSAO(排除のゲーム)を企画したジセレ・タナカさん(リオデシャネイロ大学都市計画研究所所員、建築家、都市研究者)を招き、リオ五輪災害による「排除のゲーム」、それに抵抗する共助と連帯のゲームの試みを聞く。

日時 3月3日(金) 18時半〜
場所 千駄ヶ谷区民会館
交通 JR原宿駅10分 
http://gmap.jp/shop-1684.html
資料代 500円


【お詫び】
本当に申し訳ないのですが、両日とも会場はバリアフリーではありません。インターネット配信などを検討しています。詳細は主催にお問い合わせください。今後は、誰もが参加しやすい場所を出来るだけ選ぶ、会場などのバリア状況について事前に告知する、バリアが障害になる方の参加に際しては、最善の方法をともに考えるようにする、という方針で運営していきます。詳しくは「おことわリンク」公式ブログ掲載の「【お詫びとお知らせ】1月22日集会における車イス利用者へのお詫び、及び、今後の対応」(https://goo.gl/ty2Ayc)をご覧ください。

◆「2020オリンピック災害」おことわり連絡会(東京オリンピックおことわリンク)
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に対して様々な観点から疑問や問題を感じる人々が2017年1月22日に新しい運動を立ち上げた。「おことわりンク」は東京オリンピックが私たちにもたらすものを私たちの日常に対する「災害」であると捉えた。3年半をかけて様々な場面や位相で「オリンピック災害おことわり」が交差するしなやかでかろやかな運動を展開することで「おもてなし」を凌駕する「おことわり」を目指す。「おことわりンク」は世界中で展開されてきた開催地市民による「オリンピック開催反対」の運動と手を取り合っていく。そして最終的に東京開催返上を目指し、近代オリンピックの歴史に終止符を打っていきたい。


◆主催
「2020オリンピック災害」おことわり連絡会(東京オリンピックおことわリンク)
 千代田区神田淡路町1-21-7静和ビル1階A(ATTAC首都圏気付) 
 info@2020okotowa.link  http://www.2020okotowa.link/ facebook
 郵便振替 00120 −7−324492
      「オリンピック災害」おことわり連絡会
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2017年01月19日

ウォルデン・ベロー:ドゥテルテ大統領はオリジナル版のファシストだ

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ドゥテルテ大統領はオリジナル版のファシストだ
ウォルデン・ベロ
2017年1月6日

Walden Bello : Rodrigo Duterte: A Fascist Original
Foreign Policy in Focus http://fpif.org/rodrigo-duterte-fascist-original/


 2016年にロドリゴ・ドゥテルテ大統領のフィリピンはしばしば世界中の注目を浴びた – 一部の人々にとっては注目されすぎだった。フィリピンから麻薬の常習者と密売人を根絶する作戦は、超法規的な処刑を手段としていることから、もっとも冷酷な傍観者の間でもショックを引き起こした。また、今では伝説となった彼のオバマ大統領への暴言、長年にわたる米国との同盟への怒りを込めた決別宣言と中国の抱擁はアジアの地政学を真っ逆さまにした。彼の血なまぐさい統治にもかかわらず、ドゥテルテは依然として高い人気を保っており、最新の世論調査でも非常に高い信任レベルが示されている。何がドゥテルテを駆り立てているのか? 何が彼の多くの信奉者に「彼のために死んでもよい」とまで言わせているのか?

 ファシズムは異なる社会的条件の中では異なる形で登場するので、ファシズムが古典的なやり方で進行すると思い込んでいる人たちはしばしば、それがすでに迫っている時でもそれを認識できない。2016年にファシズムはフィリピンにドゥテルテという形でやってきたが、大部分の市民はそのことに気づいていない – ある人々は大統領に絶大な忠誠を示しているために、また、他の人々はむき出しの暴力が今やフィリピン政治の支配原理になりつつあることを認めるのが怖いために。

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2017年01月10日

【ウォルデン・ベローさん 横浜講演会】資本と軍事のグローバリゼーションに対抗する人々がつくるもうひとつのアジア

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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

資本と軍事のグローバリゼーションに対抗する
人々がつくるもうひとつのアジア

ウォルデン・ベローさん 横浜講演会(2月4〜5日)

https://altasianpeople.wordpress.com/

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

資本のグローバル化がもたらしてきた貧困と紛争、環境破壊が人々を引き裂いています。不寛容と時刻最優先の絶望的のオルタナティブが人々をとらえています。希望と連帯のグローバル化を訴えてきたオルタ・グローバリゼーション運動は、この深刻な状況に対して何を訴えどう行動できるのか。国境を越えた民衆運動のオピニオン・リーダーの一人、ウォルデン・ベローさんをゲストに招いて講演会やフィールドワークなどを企画しました。

◆2月4日(土)

【午前】フィールドワーク 在日米海軍ノースドック(横浜瑞穂港)
 ナビゲーター:木元茂夫さん(すべての基地にNO!を・ファイト神奈川)

【午後】13:00〜17:00 ウォルデン・ベローさん講演会&パネル討論
    会場:神奈川近代文学館  参加費:800円

◎ドゥテルテ・ショックとトランプ・ショック
 いま世界で起きている事の意味
 激変する東アジアの経済・軍事そして民衆運動
ウォルデン・ベローさん
 元フィリピン下院議員、フィリピン大学社会学・公共政策教授
 フォーカス・オン・ザ・グローバルサウス代表理事

◎なぜフィリピンの人々はドゥテルテを選んだのか?
 日下渉さん(名古屋大学大学院 国際開発研究科)

◎パネル討論
・ウォルデン・ベローさん(フォーカス・オン・ザ・グローバルサウス代表理事)
・日下渉さん(名古屋大学大学院 国際開発研究科)
・木元茂夫さん(すべての基地にNO!を・ファイト神奈川)
・原民樹さん(一橋大学大学院社会学研究科博士課程)


◆2月5日(日)

【午前】フィールドワーク 寿町〜横浜のもうひとつのアジア
 ナビゲーター:近藤昇さん(寿日雇労働者組合)

【午後】ワークショップ アジア開発銀行 開発援助のタテマエとホンネ
    会場 神奈川近代文学館

※ベローさんは2月4日のみの参加です。
※フィールドワークの詳細はお問い合わせください


◆ウォルデン・ベローさん講演会実行委員会
東京都千代田区神田淡路町1-21-7静和ビル(ATTAC首都圏気付)
070-5553-5495(小倉)
最新情報はブログへ https://altasianpeople.wordpress.com/


◆会場アクセス
神奈川近代文学館(港の見える丘公園内)
住所 神奈川県横浜市中区山手町110
交通 みなとみらい線「元町・中華街駅」徒歩10分/JR「石川町駅」徒歩20分
地図 http://www.kanabun.or.jp/guidance/access/

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2016年10月14日

企業をコントロールする−−多国籍企業と人権に関する国連条約を支持する理由

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企業をコントロールする
多国籍企業と人権に関する国連条約を支持する理由

原題“Controlling Corporations - The case for a UN Treaty on Transnational Corporations and Human Rights”
http://www.globaljustice.org.uk/sites/default/files/files/resources/controlling_corporations_briefing.pdf

2016年9月

[以下は英国の「グローバル・ジャスティス・ナウ」(ATTAC UK)のウェブに掲載されているレポートの全訳である(原注は割愛)。TPPを始めとする国際通商協定で企業が国家を訴えるISDS条項が大きな焦点となっているが、これに対抗して、人々が企業を訴える国際的な仕組みを作ろうという動きが広がっている。このレポートで紹介されているように、石油大手のシェブロン(旧称テキサコ)による環境破壊への賠償を求め、シェブロン側の悪辣な逆訴訟と闘っているエクアドル政府や、ISDSによって巨額の賠償金を請求されてきた「南」の諸国を中心に、ISDS条項の廃止、企業による人権侵害の訴追、タックスヘイブンの廃止等のための国連条約の制定に向けた動きが始まっており、それと連動しながらグローバルな社会運動の側でも、「企業の権力を解体するためのキャンペーン」、「条約連合」、「民衆法廷」などの運動が展開されている。注目を!]

企業の権力という問題

世界には40,000以上の多国籍企業(TNC)が存在する。この数十年の間にこれらのTNCはあまりにも大きく成長し、今では国家よりも金持ちになっている。現在、国と企業を金持ちの順に並べると、上位100のうち69が企業であり、国は31である。

これらの企業は経済のさまざまなセクターに関わっており、その活動や報告の方法はさまざまであるが、1つだけ共通する点がある。つまり、利益をすべてに優先するという責務である。

企業の権力はわれわれの政治経済の中であまりにも巨大であるため、民主主義制度や公共セクターを掘り崩す力を保持してきた。企業の投資を誘致することが政府の最優先の仕事となった。「企業の投資が失われる」あるいは「大企業がどこかへ移転する」という脅しが、増税や労働者保護の充実あるいは金融規制を導入しようとする政府の手を縛ってきた。

実際、グローバル経済は企業の利益を中心として設計されてきた – 金がいつでも、どこへでも自由に移動でき、政府が公共の利益に反する投資を規制できないようにする。WTOやIMFなどの国際経済を統括する機関はこのような企業の関心によって深く影響され、これらの機関の政策や活動は人々の権利、ニーズや環境よりも大企業の「権利」に大きな配慮を示してきた。企業は、社会を組織するためには別の方法があるという考え方そのものを無力化してきた。

企業が何をしても責任を問われないという問題は、多国籍企業が国境を超えて活動している一方で法律およびその執行が依然として基本的には国家をベースにしているという事実によって増幅される。企業は「投資裁判所」のようないかなる民主主義的責任も負わない機関による特別の「正義」を享受できるが、企業の横暴の犠牲となった人々のためには救済のための国際的なメカニズムは存在しない。国際的なレベルで企業の責任を追及する試みの大部分は、市民による自発的な活動であり、したがって現実には強制力を伴わない。

企業の権力に対して何ができるのか

企業の権力を押し返すことは容易ではない。それは長期にわたる運動である。しかし、それはわれわれが現在直面している問題を解決しようとするならば、避けられない課題である。それは不可避的に、企業がそのような権力を保持することを可能にしている構造を変革することと、既存のシステムの中で企業による権力の乱用と免責を是正することの両方を含む。

この作業の1つは、われわれが必要とする物やサービスを生産・分配するための代替の方法を開発すること、つまり大企業だけが経済を「まわす」ことができるという考え方を掘り崩すことである。食料主権とエネルギー民主主義は企業抜きで経済を確立できることの2つの例である。しかし、同時に、企業がわれわれの経済の中で一定の役割を果たす限りにおいて、われわれは企業の活動をコントロールし、企業の横暴を防止する方法を見つける必要がある。この点において国際法は非常に重要な役割を果たすことができるだろう。

企業の権力のコントロールの長い歴史

企業の権力を規制するための闘争は長期にわたる闘争であり、その途上でいくつかの重要な成果を実現してきた。

世界史上の最大の多国籍企業の1つであった東インド会社は、18世紀に英国政府の代理人としてインドを搾取し、支配したが、大衆的な非難の高まりの中でその活動を禁止された。

20世紀には、米国における独占禁止法や銀行分割から、ラテンアメリカにおける民主的に管理された産業や協同組合の形成、インドにおける難病治療のためのジェネリック医薬品の生産まで、企業の行動を規制するいくつかの成功した試みがあった。

1970年代以降には、非同盟運動に参加した「第三世界」諸国からの圧力によって国際的レベルで企業を規制するための国連条約を起草する試みがあった。そのような試みは米国やヨーロッパ諸国の政府と手を組んだ企業グループによって撃退された。彼らは拘束力のある条約や法律を避けるため、「国連・ビジネスと人権に関する指導原則」のような自主的メカニズムを提案した。

多国籍企業に関する国連条約

しかし、2013年にわれわれは新たなチャンスを与えられた。エクアドルが、85の加盟国(大部分が「南」の諸国)を代表して、国連に多国籍企業の活動を規制するための国際法の制定を求める声明を提出した。そのような国際法は、多国籍企業による人権侵害の犠牲にされようとする人々を保護し、すべての政府がそれぞれの国の企業に人々や地球環境への影響に責任を負わせるよう義務付けるだろう。

2014年6月に国連人権理事会(UNHRC)が採択した決議26/092は、「国際人権法の下で、多国籍企業およびその他の企業の活動を規制する国際的な、法的拘束力を有する法律文書」が必要であることを明記している 。そのような法律文書(国際法または条約)の概要を検討する作業グループが設立された。この作業グループは、エクアドルが主宰し、1915年7月に第1回会合を開き、2016年10月に第2回会合が開かれる。このような国連条約は企業に対する実質的かつ拘束力のあるコントロールを確立するための稀なチャンスとなるだろう。

誰が国連条約を支持しているのか

この国連人権理事会の決議は、20カ国(主に「南」の諸国)の賛成によって採択された。アフリカのアルジェリア、ブルキナファソ、アジアのパキスタン、インドネシア、南米のキューバ、ベネズエラなどである。さらに、5つの主要な「新興国」のうち4つ –ロシア、インド、中国、南アフリカ-も賛成した。残念なことに、反対した国は米国、英国、ヨーロッパの大半の国など、世界の多国籍企業の多くが本社を置いている国である。特に米国と英国は大企業をコントロールすることを目的とする国際法の制定に一貫して反対し、拒否してきた。われわれはこの立場に異議を唱える運動を緊急に起こす必要がある。

また、広範なグローバルな市民社会団体から成る条約連合(Treaty Alliance)は国連条約の制定を支持し、条約の内容が有益かつ有効なものになることを目指している。

国連条約による企業のコントロール

国連条約は大きな可能性がある。なぜなら、それは企業がこの数十年間に手に入れてきた特権を取り消し、彼らに国際人権法、国際労働法、国際環境基準の遵守を強制できるからである。国際条約は各国政府が企業の権力の問題を真剣に取り上げ、彼らが行使している権力に関わる責任を問うことを義務付けることができる。それは各国政府が多国籍企業に対処する方法の基準を確立し、多国籍企業が各国を相互に対立させて底辺に向けての競走を強いることを許さず、最小限の基準を課すことを可能にするだろう。

これは非常にラディカルな変革を意味するだろうし、人々の生活に有益な影響をもたらすだろう。条約の範囲には、市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利など広範な権利を含めることができる。条約は企業の以下のような有害な活動を効果的に中止させることができる。

・ 鉱山開発を通じて地域社会に退去を強制したり、地域の環境を荒廃させる。
・ 水道事業を私営化し、水道料金を最も貧しい人々の支払い能力を上回るように引き上げることによって人々の水へのアクセスを制限する。
・ 労働者を健康に有害な環境で働かせ、尊厳のある生活ができないような低賃金で働かせる。
・ 国家と結託してインターネットを検閲し、抵抗運動を弾圧し、言論の自由やプライバシーの基準を侵すような治安的手法を導入する。
・ 知的財産権を利用して命を守る医薬品を一般の人々の手に届かない価格に維持する。

国連条約はどんな内容を含むのか

条約というものは本当に意欲的である場合にだけその目標を実現できる。だからグローバル・ジャスティス・ナウは、政府が画期的な条約を締結するように圧力をかけようとする国際的な運動の連合に参加している。合意される条約は以下の内容を含むべきである。

a) 条約は企業(とその出資者)とその子会社、請負業者、供給チェーンに人権侵害に関する責任を負わせる実効性のある法律を導入しなければならない。

b) 条約は各国が多国籍企業を規制し、自国で活動しているまたは自国に本社を置いている多国籍企業が国際人権法、労働法、環境基準をはじめとするすべての人権基準を遵守していることを保証するよう求めなければならない。

c) 条約は人権が通商協定や投資条約よりも優先されることを再確認しなければならない。それは通商および投資協定が拘束力を持つ人権優先条項を含まなければならないことを意味する。

d) 条約は多国籍企業の法的責任を規定しなければならず、それには企業の経営者、執行役員、取締役の個人的責任も含まなければならない。

e) 条約は企業による条約の遵守を監視し、企業による不正行為に関する調査を実施するための国際機関を設立しなければならない。また、多国籍企業によって人権を侵害された市民やコミュニティーが参加できる国際裁判所を設立する必要がある。人権を侵害した企業の本社が外国にあるという理由で公正な裁判に訴える権利を妨げられることがないようにするためである。

f) 条約は各国が人権擁護に関わっている人々や不正を告発した人々の活動を尊重し、保護し、奨励するよう求める規定を含まなければならない。

g) 条約に関する交渉は企業の影響から隔離されていなければならず、多国籍企業が自分たちに有利なルールを作ることは許されない。

h) 条約は企業に対して賠償を求めようとする個人が、自分が居住する国だけでなく、当該企業に対して司法管轄権限を持ついかなる国においてでも裁判に訴えることを可能にしなければならない。

民衆法廷の運動

多国籍企業に責任を負わせる国際的な法的機構が存在しないため、いくつかの象徴的な「民衆法廷」が開催されてきた。市民社会の諸団体がここに結集して、企業に責任を負わせるための実現可能な方法を示してきた。

1つの例として、ローマに本部を置く常設民衆法廷(Permanent People’s Tribunal、PPT)は、企業によって権利を侵害されたが、国内の法制度を通じて救済を求めることができない人々からの訴えを審理している。PPTは70年代以来、約40件のケースを扱い、法律専門家が既存の国際法に基づいて審理を行っている。もちろん判決は拘束力がなく、基本的には象徴的なものであるが、証人が証言できる重要な機会となっている。

たとえば、2010年5月にはマドリードでヨーロッパの多国籍企業のラテンアメリカにおける犯罪に関する審理が行われた。 この民衆法廷はヨーロッパの多国籍企業のこの地域における活動の非常に典型的な例として27のケースを取り上げている。それにはブラジル・アマゾンの人々がサンタンデール[スペインの銀行]およびGDFスエズ[フランスの電力・水道企業]による水力発電所の建設が環境被害と水汚染をもたらしたことに対する提訴が含まれる。この事業はデング熱、黄熱病、マラリアの感染拡大などの健康への影響をもたらした。

2016年10月にはモンサントに対して同様の民衆法廷が開かれる。全世界から収集された証拠は、モンサントによる環境破壊の犯罪や、モンサントの製品や生産方法が農民に及ぼしてきた影響に焦点を当てている。裁判官は法的枠組みとして 「国連・ビジネスと人権に関する指導原則」を適用してそれらの証拠を検討する。

★関連情報(英語)
The campaign to dismantle corporate power (企業の権力を解体するためのキャンペーン): www.stopcorporateimpunity.org
The treaty alliance (条約連合): www.treatymovement.com

企業による犯罪のケース・スタディー
世界では多国籍企業による人権侵害が告発されているケースが何千件にも及んでいる。国連条約の下で審理が可能になる典型的なケースの例を以下に示す。
[以下はいずれも英国に本社を置く多国籍企業が関係するケースである]

1)トラフィグラ社がコートジボワールでの有害廃棄物の不法投棄に関与(2006年)
トラフィグラ社は英国に本社を置く多国籍の石油販売企業である。同社は2006年にコートジボワールで有害廃棄物の不法投棄に関与した。これは地域コミュニティーに甚大な影響をもたらした。少なくとも15人が死亡し、10万人が治療を必要とした。10年にわたってトラフィグラ社に対する訴訟が追求された。アムネスティー・インターナショナルは5000ページに及ぶ証拠を収集し、英国の当局に対してトラフィグラ社がこの不法投棄の中で果たした役割を立証した。10年間にわたって、国内の裁判所への提訴の試みが繰り返されたが、犠牲者に対するいかなる公正な補償も行われていない。

2)ボーダフォン・グループがエジプトの反独裁運動に対して通信サービスを拒否(2011年)
通信企業ボーダフォン・グループはエジプト民衆の表現の自由・集会の権利を阻害したことで告発されている。2011年のムバラク独裁政権に対する民衆蜂起の中で、多くのデモ参加者たちはソーシャル・メディアを使って人々を組織したが、ボーダフォンは政権と協力して通信サービスを停止し、人々がモバイル通信を利用できないようにした。その結果、政治的な組織化が制限されただけでなく、救急治療へのアクセスも妨げられた。エジプト住居権センターは通信の停止による損害の賠償を求める訴訟を起こしたが成功しなかった。

3)BHPビリトン社のボルネオでの石炭開発に関連する土地強奪と水危機
英国・オーストラリア資本の鉱業企業BHPビリトン社が出資するインドネシア・ボルネオのインドメット・コール・プロジェクトは、10年間にわたる土地強奪のプロセスの中心となった。この採掘プロジェクトを進めるために地元住民の土地が強奪され、また、多くの住民がこのプロジェクトによって水の供給に重大な影響がもたらされ、十分な水を得られなくなったと訴えている。住民たちは現在、自分たちの土地所有権の法律上の承認を求めている。

4)GCMリソーシズ社のバングラデシュでの石炭開発に反対する住民が殺害される(2006年)
英国の鉱業企業GCMリソーシズ社は、バングラデシュのフルバリ石炭開発プロジェクトの調査と採掘のために設立された。2006年に鉱山開発に反対する平和的デモに民間警備隊が発砲し、3人が死亡、多数が負傷した。住民たちは計画されていた50平方キロの露天掘りの炭鉱が数千人の立ち退きと、バングラデシュで最も肥沃な農地の1つであるこの地域の農地の破壊をもたらすことを懸念していた。国連の7人の人権専門家によると、このプロジェクトはこの地域の住民の水、食料、適切な住宅へのアクセスの権利など多くの権利を脅かすものだった。2012年に2つのNGOがこの問題について、企業の不法行為に関する英国代表部に提訴した。英国NCP(連絡窓口)は2年間の調査の結果、GCMリソーシズ社に企業行動基準に対する部分的な違反があったことを認めたが、プロジェクトが将来にもたらす可能性がある影響については無視した。

5)多国籍民間警備会社G4Sがイスラエルの占領政策に協力
多国籍民間警備会社G4Sはイスラエルの子会社を通じてパレスチナの占領地におけるチェックポイント(尋問所)や監獄に警備サービスおよび警備用の機器を供給しており、パレスチナ人の人権を侵害しているとして告発されている。パレスチナ人の人権を擁護する弁護士の会(LPHR)による苦情申し立ては、同社がパレスチナの子どものイスラエルの監獄への収監を助長するなどの人権侵害に関与していると主張している。


タグ:多国籍企業
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2016年09月26日

ATTAC/CADTMモロッコの声明(2016年9月15日)

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ATTAC/CADTMモロッコの声明(2016年9月15日)
COP22 マラケシュ(モロッコ)に向けて
気候変動に対する社会運動の戦略は何か?


原文(英語): http://www.cadtm.org/COP22-in-Marrakech-Morocco-What

モロッコは11月7-18日、マラケシュで開催されるCOP22を主宰するための準備を進めている。COP22はエコロジーの危機の深刻化 ? それは資本主義システムが直面している文明の危機の1つの側面である - という背景の中で開催される。今回のCOP会合はまた、これまでの会合が温室効果ガス排出削減と工業大国に対する拘束力を伴う措置の導入に失敗してきたという背景の中で開催される。工業大国は依然として石炭、天然ガス、石油、鉱物および種々のエネルギー源の採取や、工業的農業、土壌・海・大気の中に存在する天然資源から利益を上げる多国籍企業のニーズに従っている。

世界の有力者たちは「グリーンな投資」をベースとした解決策を提案しているが、それは生産力主義、消費主義の論理の破滅的影響をさらに悪化させるものである。この論理は、少数の支配的な人たちが地球上の大多数の人々−−現在の世代と将来の世代を含む−−の犠牲の上に自らを富裕化させるものである。

モロッコでは国際金融機関や企業によって押し付けられている政策は同じ目的を持っている。すなわち、外国および国内の企業がわれわれの国の豊かな資源を強奪し、都市および農村の大衆、貧困階級を困窮化させることである。政策を決定する者たちは人間と環境を破壊する政策を遂行する上で、自分たちの責任を逃れようとする。その代わりに彼らは気候変動について語り、「グリーン開発」のプロジェクトを打ち上げる。それは公的な投資を通じて民間資本のための新しい分野を創出し、その一方で公的債務を悪化させ、緊縮政策をもたらす。さらに悪いことには、それはいかなる経済的、社会的、環境的な実現性調査なしで進められている。

COP22を主宰することによってこれらの政治家たちはまた、この国の政治的安定性を強調することで「グリーンな投資」を持続させようとしている。一方、国際機関や主要大国はモロッコをこの地域における「例外」として描き出すことによって彼らの新植民地的政策を維持しようとしている。

これらの政治家たちは自分たちの政策に箔を付けるために、COP22の国内運営委員会(2016年に国王が指名)に「市民社会代表」の枠を設けることによって市民社会団体を取り込もうとしている。この「市民社会代表」はCOP22の準備のためのロードマップを作成した。その中には国内の12の地域における活動(市民社会、種々の国家機関、民間セクターが参加する)や、アフリカ大陸ツアーが含まれる。このツアーはアフリカの12の国においてNGOやネットワークや連合組織の間での、COP22の課題とモロッコの役割についての関心を高めることを目的としている。

この政府公認の動きにモロッコ・クライメートジャスティス(公正な気候)連合(CMJC)が参加している。CMJCはこのロードマップに従いつつ、独自にモロッコのいくつかの地域で「COP22プレ企画」と称する集まりを計画している。これはCOPのイメージに沿って企画されている。つまり、気候変動に関する知識の普及から専門知識の提供まで、そして政府機関や民間セクターによって進められてきた気候変動対策についての展示、種々の「パートナー」の間の対話などである。このすべてが国家やそのパートナーに対する一切の批判や、それらからの独立性なしに進められている。しかもこのCMJCは今年5月にチュニジアのハンマメットで開催された「社会的公正とクラーメート・ジャスティスのためのマグレブ・フォーラム」など、国外での市民社会の動員に関与している。そしてこれらのすべての準備が、9月23〜25日にマラケシュで開催されるCMJC呼びかけの国際会議に集約されようとしている。

このように公認の市民社会団体とCMJCは、COP22の期間中の祝祭的雰囲気の醸成に寄与している。そのような雰囲気は、クラーメート・ジャスティスをめぐる論争、不平等を永続化させる政治的、経済的、社会的な選択をめぐる広範な論争を回避して、「グリーンなプロジェクト」の推進とそのための資金の調達にお墨付きを与えることに通じるだろう。

ATTAC/CADTMモロッコは気候変動の問題が専門家だけの問題ではなく、また、政府間の交渉に限定されるような問題ではないと考える。私たちにとって、気候変動は市民の日常生活の中心にある問題であり、市民たちは社会・環境の条件の劣化を引き起こしている自由主義的政策との決別を求めている。市民たちはまた、真の民主主義の中で解決策をめぐる決定に関与および参加することを求めており、そのような解決策は社会的公正と富の分配における平等をベースとしたものでなければならない。そのためには社会的不公正の犠牲者である大衆の諸階級を結集する闘争を先導することが必要である。

ATTAC/CADTMモロッコはまた、モロッコ国家が自らの目的に奉仕させるためにCMJCを取り込もうとすることを容認できない。この点がCMJC内での運営委員会の多数派のアプローチと私たちとの中心的な対立点であり、私たちが今年前半にCMJCから脱退した主要な理由である。それだけではなく、私たちは民主主義の欠如と決定手続きの不透明性にも重大な懸念を抱いていた。

CMJCによって主導されているこの半官製の動きと並行して、ATTAC/CADTMモロッコは「COP22を監視するための民主主義的ネットワーク」(REDACOP22)の中でいくつかの市民団体、人権団体、労働組合と連携してきた。このネットワークはこの国で政治的・経済的権力を行使している勢力や国際的な債権者、援助国から独立した民主主義的な環境運動の確立を目指している。私たちはこれを環境の破壊と劣化の実際の被害者、つまり労働者階級、貧農、小規模漁民、遊牧民、先住民族等の動員をベースとして実現しようと計画している。REDACOP22は現在、大衆の環境をめぐる闘争の経験に依拠したローカル組織の設立を進めている。私たちはこの戦略的枠組みの中でCOP22をめぐる動員のために尽力している。社会的公正と環境問題における公正の実現を目指す抵抗闘争の形態に焦点を当てるためである。

ATTAC/CADTMモロッコは11月4-5日に、モロッコで最も気候変動の影響を受けている都市の1つであるサフィにおいてクライメートジャスティスに関する国際会議を開催する。同6日にはREDACOP22がマラケシュで開催する国際会議に参加する。

ATTAC/CADTMモロッコは、マラケシュでのCOP22開催の全期間を通じて、真のクライメートジャスティスのためのあらゆるイニシアチブや動員に参加する用意がある。私たちのアクションはCOP22で公式に検討されるまやかしの、市場ベースの提案や解決策を非難することに焦点を当てる。エコロジーの危機が資本主義システムの危機の最も危険な側面であるという事実は、私たちがラディカルなオルタナティブの発展に尽力することを促している。


ATTAC/CADTMモロッコ


posted by attaction at 09:48 | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする