2012年05月17日

フランス大統領選挙に関するATTAC フランスの二つの声明(概要)

サルコジの敗北を受け:ヨーロッパ規模の1936年6月に向けて(5月7日)
原文

・超緊縮派の最初の敗北であり、民衆の抵抗を示すもの。ギリシャでの抵抗派左翼の躍進ともども、希望の芽となる。

・とはいえ今後、オランドに対して財政協定を批准するようにとの圧力が高まり、あいまいな宣言を付け加えるだけで「再協議」したことにするという展開が予想される。それではヨーロッパは不況に突き進むだけ。

・フランスやヨーロッパの社民勢力は、局面転換のためにどれほどの政策転換が必要かまだわかっていないが、もしフランスが失敗を犯せば、それに失望した人々は右翼勢力に取り込まれることになるだろう。

・それを防ぐ方法はただ一つ、1936年6月(註:ブルム人民戦線内閣の成立)のような社会的動員を、ヨーロッパ規模で実現することだ。労組や市民団体、進歩派政党を強化しよう。広場や公共の場を占拠しよう。政策をめぐる民主的な議論を迫り、財政協定についての民衆投票をヨーロッパ規模で実現しよう。18日と19日に我々は欧州中銀のあるフランクフルトに結集する。

 + + + + +

メルケル・オランド会談:成長というが、その目的は?(5月16日)
原文

・財政支出や需要に依拠するにせよ、賃金カットによる競争力と「構造改革」に依拠するにせよ、成長それ自体は社会政策・環境政策の前進の保証にはならない。

・とるべきオルタナティブは、第一に大規模な税制改革を行うこと。第二に国家が金融市場への従属状態から抜け出して、欧州中銀から低利で直接融資を受けられるようにすること。

・ヨーロッパ各国経済間の不均衡に歯止めをかけるには、政策の上方平準化を図るべきだし、もっと野心的なEU予算が必要だ。オランドの提案の一部は(構造調整基金の改革、金融取引税の設置)その方向に沿ってはいる。

・あっちもこっちも緊縮という状況では、期待したような成長は実現されず、財政協定にのっとって、さらなる緊縮措置が取られるようになるおそれがあるだろう。

・18日と19日に欧州中銀を包囲して、緊縮はごめんだ!とはっきり示そう。
posted by attaction at 14:16 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

郵政民営化を監視する市民ネットワーク総会&参考人質疑

5月18日に郵政民営化を監視する市民ネットワークの総会&集会を開催します。

郵政民営化および公共サービスの問題について、今後の運動をともにつくるための取り組みへの参加を!民営化法改正案の成立をうけた市民ネットのニュースおよび郵政ユニオンの談話もあわせて紹介しておきます。

依然課題山積、行き詰まりは必至(Ubin Watch news No.47)
郵政民営化法改正法案可決成立にあたっての談話(郵政労働者ユニオン)

以下、5・18の案内です。

◆郵政民営化を監視する市民ネットワーク
5・18 特別委員会 参考人質疑
日時:5月18日(金)18:00〜21:00
会場:角筈地域センター (8階会議室)
案内:http://ubin-watch.ubin-net.jp/uwnews/uwns_47.htm#0518

◎何が変わるの? 

 郵政民営化法改正案が国会で審議されるにあたり、衆参両院ではその特別委員会で参考人質疑が行われました。大学教授や生保、金融業界や過疎地の村長や、労働組合などから参考人が選ばれ、今法案に対する意見聴取や各党議員からの質問がなされました。
 その様子は衆参のホームページから閲覧することが可能ですが、全部観ようとすると一日がかりになってしまいます。
 これをよりコンパクトに再現し、さらに会場からの様々な質問に答えることで、今郵政改革法の具体的な中身とその問題点などを浮き彫りにしていきたいと思っています。
 いったい郵便局は変わるのかそれともあまり変わらないのか。郵便局を利用するもの、働くものにとって何かいいことがあるのか。社会に及ぼす影響は何かあるのか。みなさんと共に考えてみたいと思います。

◎監視ネット第8回総会(最初に簡単な総会を開催します)

◎特別委員会参考人質疑
参考人(予定)
・改革法案から民営化法改正で何がどうなった?
 下見徳章 (監視ネット)
・金融業界は民営化法改正をどうみたか
 稲垣 豊 (ATTAC Japan首都圏)
・過疎の公共サービスはどうなる?桧原村から
 棣棠 浄 (郵政ユニオン)
・郵便屋さんは泣いている
 池田 実 (伝送便)
・郵便屋さんは怒っている
 土屋純一 (郵政ユニオン)
・議長:日野正美 (電通労組)
・会場からの質疑
posted by attaction at 14:11 | 公共サービス、反民営化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月10日

【アタック・カフェ】TPP学習会

私たちの生活に様々な影響を及ぼす可能性のあるTPPについて、学習会を計画しました。
ATTACの会員でもあり、「TPPに反対する人々の運動」で活躍されている市村忠文さんを講師に、
ハワイAPECの報告、TPPへの参加がもたらす問題点を提起してもらい、みなさんで討論をしたいと思います。多くの皆様の参加呼びかけます。


・ 日時:2月13日(月)18:30〜20:30
・ 講師:市村忠文さん(TPPに反対する人々の運動)
・ 場所:ATTACジャパン事務所
  千代田区神田淡路町1-21-7静和ビル1階A、Tel/Fax:03-3255-5910
(JR御茶ノ水から歩7分、地下鉄新御茶ノ水、小川町から3分)
posted by attaction at 00:48 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月06日

内容は貧弱〜サルコジの金融取引税に関するATTACオーストリアのコメント

2012年1月30日:サルコジの金融取引税
象徴としては妥当――内容は貧弱
金融取引税は課税対象や税率に抜け穴があってはならない


原文はこちら 

 「金融取引税のフランスへの導入計画は金融市場安定化のための小さな――ただし象徴性のまさった――第一歩である」とattacオーストリアのダーフィト・ヴァルヒは、フラン大統領ニコラス・サルコジの金融取引税に関する予告を論評する。「フランスが金融取引税で先駆けの役割を果たそうとしていること、またそれによってユーロ圏導入への政治的圧力が高まることは是とされる。とはいえ、具体的な提案を見ると、興ざめにしかならない――かなり隙間だらけのできそこないでしかないからだ」

 フランスの金融取引税は、株の取引に対してのみ、ただしクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引にも、0.1パーセントの税をかけるというものである。それに対して、債権や外貨やデリバティブの取引は完全に課税対象からはずされるという。したがって予想される税収はおよそ10億ユーロと非常にわずかなものにとどまる。ヴァルヒによれば、「サルコジ案は、欧州委員会のどのみち不完全な提案(※1)にもはるかに及ばない。今後明白な修正がなされるように、政治的圧力をかけ続ける必要がある」

 サルコジの予告の背後には選挙対策も隠れている。「サルコジはこのできそこないの金融取引税によって、とりわけ働く人びとの負担になる消費税の大幅な引き上げと130億ユーロ規模の雇用者側の負担軽減(※2)から注意をそらしたいと思っている」とヴァルヒは解説する。また、この金融取引税が、attacのような多くのNGOが何年も前から要求しているように、世界の貧困や気候変動の問題を解決するためにも使われるというようなことについては、残念ながら何一つ言及されていないのである。

 attacは、第一歩として、ユーロ圏における実効性のある金融取引税を要求する。この金融取引税は、課税対象に抜け穴があったり、税率がまちまちであったりしてはならない。そのような取引税であって初めて、当該金融分野を縮小させ、金融産業に危機克服のための本質的な貢献をなさしめることができるのだ。しかし、金融取引税は、金融市場を有効に規制するために必要な手段ではあるが、そのための十分な手段からはほど遠いものである。システム上重要な金融機関(SIFIs)(※3)の分割やタックスヘイブンの実質的閉鎖やあらゆる金融商品、とりわけデリバティブへの許可制の導入が不可欠なのだ。


※1 こちらを参照

※2 サルコジ大統領は、付加価値税の税率を10月から、現行の19.6%から21.2%に引き上げることにより増加が見込まれる130億ユーロの財源を、仏企業の社会保障負担を軽減のために支出することで国際競争力の強化と雇用促進が可能であると主張する。とんでもない企業優遇税だ。

※3 金融安定理事会(FSB)が2011年11月4日に公表した国際金融システム上重要な金融機関(G-SIFIs)は29行(こちら)。
バンク・オブ・アメリカ、中国銀行、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、バンク・ポピュラーレ、バークレイズ、BNPパリバ、シティグループ、コメルツ銀行、クレディ・スイス、ドイツ銀行、デクシア、ゴールドマン・サックス、クレディ・アグリコル、HSBC、ING銀行、JPモルガン・チェース、ロイズ・バンキング・グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、モルガン・スタンレー、ノルデア、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、サンタンデール銀行、ソシエテ・ジェネラル、ステート・ストリート、三井住友フィナンシャルグループ、UBS、ウニクレディト・グループ、ウェルズ・ファーゴ。
このリストは毎年11月に見直しが行われる。G-SIFIsに該当する金融機関は、バーゼル銀行監督委員会が新銀行規制「バーゼル3」で求められる自己資本比率に対し、保有するリスクに応じ、1.0〜2.5%の自己資本比率を上乗せして確保するよう求められる。attacは自己資本比率規制ではなく、規模そのものの縮小や民主的な公的管理を主張している。

posted by attaction at 11:43 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月16日

フランス式トービン税:下劣なハッタリ 2012年1月6日 アタック・フランス声明



原文


 1月6日(金)朝、ゲノ大統領特別補佐官がテレビ局BFMに出演し、フランスはトービン税を2012年末までに導入すると発表した。この政府発表でコケにされたのは、ルルーシュ貿易担当大臣だ。フランスが「単独で法制化するのは無理」、そんなことは「非建設的」で「パリ金融取引市場にとって有害」だとして、上院によるトービン税の採決に同大臣が反対してから、まだ1か月も経っていない。

 サルコジが思い入れたっぷりにトービン税を語り始めて、かれこれ2年になる。カンヌG20での躍進を予告したが、結果は大失敗だった。大統領選の第1回投票を3か月後に控えたいま、彼は(場合によってドイツと協調しつつの)単独決定を主張しているが、御都合主義もいいところだ。なぜならそれは、貧困層を直撃する「福祉目的」付加価値税の発表による支持率低下を緩和することを唯一の目的としているからである。現実性も乏しい。新税の導入にあたっては、普通は財務省が実行可能性調査をまじめに行うものだが、今回トービン税のフランスでの実施に向けて、そのような調査がなされた形跡はない。

 税制改革も、年金改革も、見返りなしの銀行救済も、公共サービスの破壊も、サルコジのやることなすことはみな、彼の統治が金融界のものであることを示している。パリ取引所での株式取引に課せられていた0.3%の証券取引税を、彼は2008年には廃止したではないか。要は、金持ちどもの大統領というイメージを変えようとして、トービン税というシンボルを下劣にももてあそんでいるだけだ。あきれ果てた政治工作だ。市民たちはだまされはしない。

 0.1%の税率のトービン税が、年内にヨーロッパで、デリバティブ商品と(欧州委員会の計画と違って)外貨取引も対象として、導入される可能性はある。目的は、資本流通と投機に強力な歯止めをかけ、貧困問題や気候問題への対策をはじめとする世界的公共財の資金を調達することだ。もちろんフランスが先陣を切ったっていい。だが、それには、メディア受けするハッタリではなく、政治的な意欲が必要だ。

posted by attaction at 21:59 | 通貨取引税(トービン税)、金融 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月09日

ジェーン・ケルシー:米国の反中国戦略の要としてのTPP

米国のオバマ政権が中国に対する新たな冷戦の戦略を打ち出し、その下で日米同盟に新たな意味付与がされつつあります。

ニュージーランド・オークランド大学教授のジェーン・ケルシーさんはAPEC、WTO、TPPなど一連の通商協定の交渉プロセスをウォッチし続け、常に最新の情報と分析を発信してきました。日本にも何度か来られています。

ジェーン・ケルシーさんの最新のレポートは、昨年11月のホノルルAPEC首脳会合とその前後のTPPをめぐる動きを詳しく報告しており、米国の対中国戦略に焦点を当ててTPPの矛盾を明快に分析し、TPPの破綻を「予言」しています。

長文ですので冒頭部と結論部のみ以下に抜粋しています。

日本語訳全文はこちら→TPP As Lynchpin of US Anti-China Strategy Scoop News_jp.pdfからダウンロードできます。(PDF、467kb)

ぜひ活用してください。


+ + + + +


米国の反中国戦略の要としてのTPP
TPPにとってのホノルルAPEC首脳会談の意味についての考察(抜粋)

ジェーン・ケルシー(オークランド大学法学部教授)
2011年11月21日


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パート1:戦略

提案されているTPPの背後にある本当の狙いが、今月ホノルルで開催されたAPECの会合であからさまになった。私たちは常に、TPPを推進する動機が商業上の利益とはほとんど関係なく、中国の台頭に対抗するためにアジア地域における米国の地政学的・戦略的影響を回復することに深くかかわっていると考えてきた。米国は中国を孤立させ、服従させるための1つの手段として、米国と米国企業の利益に奉仕し、米国と米国企業によって強制される地域規模の法的な体制-TPPの脈絡の中では、結局のところ米国が望むことが受け
入れられるような体制-を確立することを狙っている。

・・・


パート2:戦略の実施

2011年11月にホノルルで開催されたAPEC会合における進展に関連して、私はパート1で、提案されているTPPは米国のヒラリー・クリントン国務長官が「アメリカの太平洋の世紀」と呼ぶものを確保するための戦略の1つの柱であると述べてきた。中国の台頭に米国の「経済的・軍事的能力」によって対抗することが明白に目標として設定されている。TPPはアジア太平洋地域において米国と米国企業の利益に奉仕し、米国と米国企業によって強制される地域規模の法的な体制を確立することによって米国の軍事力の再強化を補完することを意図している-APECの大半の国が「黄金の基準」を確立するこの協定に署名するようになれば、中国はますます孤立し、最終的にはTPPの、米国によって設計された「国際基準」に屈伏するかもしれない。

パート2では、この戦略の実施に関する3つの中心的な問題を取り上げる。現在交渉に参加している米国以外の8カ国は、交渉をまとめるために十分に深く米国の地政学的および商業上の目標を共有しているのだろうか?米国とAPECのそれほど重要でない経済地域との間での「黄金の基準」を確立する協定についての交渉は、他のアジア諸国にとって、中国との対抗関係の可能性を覚悟してでも進めるほど魅力的だろうか?この壮大な計画は2012年(に合意)という目標を達成する可能性があるのだろうか、むしろWTOドーハ・ラウンドや米州FTA、多国間投資協定(MAI)や米国が進めようとしてきた数多くのFTAと同じ道に行き着く可能性の方が大きいのではないか?

・・・このようなさまざまな緊張の中で、TPP交渉が自らの重さで自滅する可能性が高まっている。こうして、交渉に時間をかければかけるほど、困難が軽減されるのではなく、ますます困難になるというグローサーの観察が重みを増している。交渉を密室で大急ぎで行うことによって、最大限のごまかしと最小限の精査で協定を成立させることができる。TPP交渉を取り巻く極端な秘密主義は、WTO、FTAA(米州自由貿易協定)、MAI(多国間投資協定)、ACTA(模造品・海賊版拡散防止条約)をめぐる運動の中で徐々に、困難な闘いを通じて実現されてきた条約文書および背景文書の公開からの後退である。実際、TPPは秘密主義を前代未聞のレベルまで引き上げてきた。参加国の間では、交渉が終結または決裂してから4年を経過するまで、いかなる交渉文書も公開しないという覚書が交わされている。われわれが要求しているにもかかわらず、その覚書すら公開されていない。

論争がより活発に行われ、各国政府およびTPP参加国全体に対して情報公開の要求が一層強まり、より多くの情報が漏えいされ、TPPの意味について、より豊富な情報に基づく分析が行われ、国境を超えた協力が一層強化され、政党に対して態度の明確化を迫る圧力が強まり、影響を受ける多様な社会セクターや地域コミュニティーがますます大規模に運動に参加するようになれば、それに応じてTPPがドーハラウンドやFTAAやMAIや米国の多くのFTAと同じ運命をたどる可能性がますます高まるだろう。バトルロイヤルの舞台は整っている。

posted by attaction at 16:44 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月02日

フクシマ・シンドローム:真実か暴力か

フクシマ・シンドローム:真実か暴力か
原題 "THE FUKUSHIMA SYNDROME - A choice between truth and violence"

エリザベス・ぺレード・ベルトラン
Elizabeth Peredo Beltrán*


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地球という惑星は“不自然な”やり方で劇的に変化している。地球はもはや20〜30年前と同じではなく、地球が私たちを育み守る力も変化してきた。人間の介入が地球の変化 - そして人間の安全に生きる能力における変化 - をあまりにも大きな規模で誘発してしまったため、それは自然の本来の力によって引き起こされるいかなる自然災害をも上回る影響をもたらしていると科学者たちは断言する。地球圏-生物圏国際協同研究計画(IGBP)が2004年に発表した研究報告によると、「今や人間の活動は、いくつかの生物地球化学的循環において、自然と同等あるいは自然以上の要因となっている。その影響の空間的広がりは、地球の循環の流れを通じて、あるいはそれぞれの状態変化の蓄積を通して、地球規模に達している。これらの変化の速度は数十年から数何百年の単位であり、これに対して地球システムの自然な力学の中で同等の変化が起こるのは何百年から何千年の単位である」(El Cambio Global y el Sistema de la Tierra(Un Planeta bajo Presi’on)(IGBP, 2004)

地球の変動、荒廃の兆候

私たちが“人間の介入”について語るとき、すべての人間が地球に同等の影響を及ぼすことが暗黙の前提とされているかも知れない。しかし、そのような前提は、危機の原因を人口増加の問題という枠組みで捉え、生産と消費のモデル、資源の不公平かつ不公正な配分、そして北と南の両側のエリートたちが私たちの地球にもたらしている顕著な荒廃といった構造的原因について語ろうとしない新マルサス主義に近いものである。

それはまた、このような略奪的な考え方と対立し、生物・生態系の多様性を尊重する持続可能な生活習慣を維持し、地球上での人類と自然の間の必要なバランスを回復する潜在的可能性を持っている全世界の多くの文化、民族、慣習の存在を無視している。

科学的根拠だけでなく経験的データからも、この60年間は“人間と自然界との関係が人類史上もっとも急激に変化した時代“だった。これを最も良く象徴している危機のひとつが気候変動である。なぜなら、それは地球と人類を死滅の危機へと導いてきたすべての構造的原因に関係しているからである。

ショッキングなことに、この危機について国際社会に警告を発している科学者を“テロリスト”だと非難するような懐疑主義者が存在する。米国の超保守的なティー・パーティー運動が気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国連経済社会理事会への拠出金の削減を要求しただけでなく、「人類は危機に瀕している」という認識を広めてきた科学者たちに対する審問を要求してきたことは偶然ではない。

反啓蒙主義はまた、このような地球の変動の時代の一部を成しており、緊急の変革の必要性を強く主張する私たちに刃向ってくる。

地球の危機は多面的であり、私たちの経済モデル、生産システム、人間関係における不平等、そして特にエネルギー・システム - それは市場と過剰消費の論理によって設計・確立されているために人間の真の必要にはほとんど対応していない - に直接に関係している。石炭などの化石燃料、あるいは「代替エネルギー」と称される農作物燃料や核エネルギーの使用は、人類が簡単に囚われてしまう“ブラック・ホール”になっている。

この危機は資本主義の結果であると同時に20世紀に資本主義社会と社会主義社会の両方で採用された「開発主義」の結果でもある。しかし、そのルーツは500年前にさかのぼるヨーロッパの植民地主義にあり、その考え方こそが領土の占領、自然の搾取、人間の知恵の系統的な簒奪を正当化し、非人間的な、消費に明け暮れる生活様式に奉仕するような堕落をもたらした。

このようなシステムは構造的、経済的で、生産を基礎としたものであるだけでなく、人間の主観や文化に根付いた価値観の中にも存在する。それらは強固な文化的なルーツを持つ支配のシステムなのだ。おそらくはそれこそが、私たちに“自然の声”がほとんど聞こえない、それどころか自分たちの身体を通じて受け取っている自然からの警告さえ聞こえない理由だろう。“人間の中の自然”と私たちが呼ぶ仕組みが、私たちの集合的記憶の中で“異質な何か”に変化してしまった。地球に対する裏切りを構成する行為は何百、いや何千とさえある。それらは全て私たちに影響を及ぼし、私たちを揺さぶり、私たちの芯にまでとどき、私たちを泣かせさえする。だが、私たちはそれらを忘れ、集合的忘却の域へと追いやり、暴力や不正義や死や荒廃と共存できるようになってしまう。

他人を犠牲にしてでもより良い生活をしたいという過剰消費と貪欲を支えているだけでなく、この荒廃をどんどん許容していくような文化的寛容にもその根を持つ支配的なパラダイムを変えるにはどうしたらよいのだろうか。

フクシマ・シンドローム:我々の時代にとっての暗喩

日本を襲った悲劇の中で、地震と津波によって多数の人命が失われ、市全体が消失し、さらに福島原子力発電所の爆発は恐ろしい結果を引き起こした。600万人余の人々へのエネルギー供給が停止し、切迫しているにもかかわらず隠されている放射能汚染による深刻な影響の危険が住民の健康を脅かしてきた。東京電力は「後進国」への原子力エネルギーの販売と輸出を継続するために、高い効率というイメージと、起こっている事態が制御下にあるというイメージを維持しようとしたが、繰り返される虚偽の情報や健康被害に関する矛盾に満ちた情報のために日本の人々が経験した悲劇によって、その試みは粉砕された。この悲劇のもっとも衝撃的な例として、冷却水のあふれ出しを“制御する”という不条理な作業に身を投じ、最後には命を差し出すことになってしまった作業員たちがいた。

福島は、多くの理由で私たちを震撼させた出来事の1つである。

第1に、それは「何事も金と科学と技術でなんとかできる」し、「何事も制御可能だ」という新自由主義的かつ開発主義的資本主義を支える原理総体に疑問を投げかけた。フクシマは技術も、控え目な投資(なぜなら、常に投資よりも経費節約が優先されるから)も、技術者や労働者の英雄的努力も、悲劇を回避するのに十分ではなかったことを衝撃的な形で示した。

第2に、フクシマは原発と核エネルギーに反対する闘いの中で、日本の活動家たちと全世界が30年余にわたって私たちに対して発してきた無数の警告を確証してしまった。これらの人たちが、原子力エネルギーをクリーンな代替エネルギーあるいは持続可能な技術として売り込み、このエネルギーの輸出とこのエネルギーへの依存を促進してきた大企業や「先進国」を非難したのは正しかった。フクシマはまた、1979年のペンシルベニア州スリー・マイル島や1986年のチェルノブイリをはじめとする多くの重大な原発事故のことを思い起こさせる。グリーンピースは福島におけるセシウム137の放出が30年以上にわたって食物連鎖に影響を及ぼす可能性があると警告している。このような技術が間違った解決策であり、地球に住む人間にとっての危険 - しかも地球の変化の中で、危険に対する脆弱性が100倍に高まっている - をますます強めるだけであることは一層明確になっている。

第3に、それは多くの悲しみを伴いながら、エネルギーの問題を再び、より広い文脈の中で議論の俎上にのせた。エネルギーへのアクセスを確保し需要に応えるために何をするべきかを見据えながらである。言い換えれば、エネルギー・モデルをより持続可能で、自然と人間への悪影響が少ないシステムへと変えるにはどうしたら良いのかということである。これは“良く生きる”ことや“母なる地球”を大事にすることを提唱している「南」からの要求 - これまでは控えめに、どちらかと言えばイデオロギー的あるいはレトリック的なレベルでしか表現されてこなかった - への言及を含んでいなければならない。これらの要求は、私たちの生産と消費の仕組みが自然との釣り合いの原則と、人間間の互恵的で、より民主主義的で持続可能な財の配分に基づいたものでなければならないことを示唆している。

第4に、フクシマは新自由主義的支配に典型的な - あるいは、あらゆる経済的権力に見られる‐パターンを露見させた。つまり、真実を隠し、事実を操作し、目を閉じたままでも簡単に消費できる製品を販売するというパターンである。これはもっとも重要な問題の1つであるかも知れない。なぜなら、それは主観性と日常生活の文化を基盤に確立されている新自由主義システムの力に直接に関係しているからである。

日本の人々は一連の相互に矛盾する、時期遅れの、虚偽の情報に晒されてきた。編み込まれた2本の糸のように真実と虚偽が錯綜する状況の中に人々が囚われてしまっているかのような印象を受ける。最後には、放射能汚染とよく似た状況に行き着く。放射能汚染も同じようなやり方で作用するのである。専門家たちは、原子炉の炉心の中にはウラニウム融合の結果として生成される50種類以上の放射性汚染物質があると言っている(放射能の寿命が短いものもあるが、数百年という非常に長い期間にわたるものもある)。それらの物質の構造は人間の生物学的構造と非常によく似ているため、人体に蓄積される可能性がある。私たちの身体にとって、例えばストロンチウムは、非常に有害であるにもかかわらず、私たちの身体に同化されていくヨウ素やカルシウムと“似ている”。身体はそれらを自分の一部と“信じて”吸収していくのである。

この例は、私たちが「開発」や「福祉」として売り込まれたものを“信じる”過程とよく似ている。また、開発や福祉の背後にあるもの、その起源、仕組み、そして開発の名の下に行われる不公正や危害に目を向けることなく生きることに慣れていく過程ともよく似ている。

フクシマの悲劇と全く同じように、企業、大国、そして権力者たちは、自分たちが原子力エネルギー利用によってだけでなく、温暖化ガスの放出、農作物燃料の生産、農業用化学製品の無制限の使用を通して何を引き起こしているのかを知っている。彼らはいわゆる“自由貿易”や、遺伝子組み換え作物による生物の改造を伴う“グリーン・エコノミー”なるものを推進するとき、自分たちが何を引き起こすのかを知っている。彼らは自分たちが「南」とそこに住む人々にもたらしている危害を知っている。彼らは自分たちの行動の事実と結果を知っているが、その真実を民衆には明かさない。

この意味で、フクシマの悲劇は、気候と環境の危機のリアルな隠喩である。全人類がある種のフクシマ・シンドロームを生きている。それは私たちが生命の価値を忘却することにおいて、どこまで来てしまったのかを明らかにしている。権力者たちは何が起きているのかを知っているが、自分たちの業務と、自分たちの権力を維持するための同盟関係を気遣うことを優先する。彼らは危険を承知しながら、労働者を死に追いやる。彼らは死が私たちを脅かしているということを知っていながら、現実を粉飾し、制御手段を作動させているだけである。彼らは生きる権利など尊重しない。

「最も重要な闘いは真実のための闘いだ」と言ったマハトマ・ガンジーの思想にもう一度立ち返るならば、現代社会が提示する選択は、真実と暴力とを闘わせるものだ。私たちは、真実と非暴力を同時に追求するという原則に加えて、私たちを圧倒してしまうようなシステムの危険に立ち向かい、私たちの未来を築くための決定的な基盤として、記憶を取り戻し、忘れないでいることの必要性を強調するべきである。

自然や“最も弱いもの”よりも資本、技術、権力を信頼するということは、この地球上に生き続けるための鍵とはならない。記憶 - および免責に対する闘い - は、真実、非暴力と共に、回復力に満ちた社会への移行のための戦闘の旗印だ。回復力に満ちた社会は、今まさにその実現のための闘いが行われており、その支持者たちはこれまでに十分に権力と嘘と恥辱の犠牲になってきた。

これらの原則は、日々重ねていく変革のために欠かせない土台になるに違いない。なぜならば、苦痛や、強欲のもたらす死や、私たちにあらゆるもの(「真実」さえ)を売り付けようとする絶望的な試みにも関わらず、がれきの中を突き抜け出てくる緑の草の葉のように、希望が殻を破って前進することは可能だと、これらの原則は教えているからだ。
(2011年7月14日付)

*エリザベス・ペレード・ベルトラン:ボリビアの社会心理学者、作家、水・文化・反人種主義などの問題の活動家。経済変革を目指す女性たちのラテンアメリカ・ネットワーク(REMTE)のメンバー。米国ワシントンの「フード・アンド・ウォーター・ウオッチ」の理事。80年代に女性の歴史ワークショップを設立。2003年まで家事労働者の権利全国委員会の議長。「ボリビアのブルー・オクトーバーのための全国運動」のコーディネーター。現在ソロン財団の理事長。

原文(スペイン語)
http://agendaglobal.redtercermundo.org.uy/2011/07/14/el-sindrome-de-fukushima/

[この日本語版は英語版より訳出しました]
英語版:http://www.funsolon.org/index.php?option=com_content&view=article&id=288:the-fukushima-syndrome-a-choice-between-truth-or-violence&catid=29:cambio-climatico&Itemid=43

posted by attaction at 15:29 | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月20日

パシフィックリム社による金採掘をめぐって

mineria.jpg
「採掘NO!生活を守ろう!」を掲げ抗議のデモをする住民たち

【ATTAC Japanも署名しました】

エルサルバドル・カバーニャス県でパシフィックリム社(カナダの鉱業会社)が進めようとしている金採掘プロジェクトに関連して、環境問題や住民の健康に対する重大な影響が予想されることから、地元の住民や環境団体の反対運動が広がり(この中で活動家4人が殺害されています)、エルサルバドル政府も採掘許可を拒否してきました。これに対してパシフィックリム社はドミニカ共和国・中央アメリカFTAのISD(投資家国家間紛争)条項を使って、世界銀行の国際投資紛争解決センター(ICSID)にエルサルバドル政府に対して賠償請求を求める訴訟を起こしました。
以下はこの問題に関連して米国のInstitute for Policy Studies(ポリシー・スタディーズ研究所)が呼びかけた署名(公開状)です。ATTAC Japanも署名しました。TPPで問題になっているISD条項の教科書のような事例なので、広く宣伝し、エルサルバドルの人たちと連帯して、この無謀な計画を中止させましょう。

公開状
(宛先)
Robert Zoellick, President, World Bank
Meg Kinnear, Secretary-General, ICSID
V.V. Veeder, Tribunal president
Brigitte Stern, Tribunal member??
Guido Santiago Tawil, Tribunal member

この請願書に署名した私たちは、 ___ 団体以上の市民社会団体を代表しています。私たちは、計画されているシアン化合物の浸出を伴う金採掘プロジェクトを阻止するために民主主義的手続きを通じて活動しているエルサルバドルのコミュニティーに連帯してこれを書いています。このプロジェクトが地域の環境やこの国の重要な河川と水源を毒で汚染する危険は、根拠のある恐れです。

パシフィックリム社は、エルサルバドルの環境許認可手続きに従うのではなく、ドミニカ共和国・中央アメリカ自由貿易協定(DR-CAFTA、米国と中米5カ国とドミニカ共和国が加盟)の下で攻撃をかけてきました。同社はエルサルバドル政府に対して賠償を要求しており、賠償額は数億ドルに上ります。同社はDR-CAFTAの下の裁定を求めるために定められた手続きを悪用し、その子会社をケイマン諸島から米国ネバダ州に移転しました。この係争は世界銀行の国際投資紛争解決センター(ICSID)によって裁定されます。

パシフィックリム社はICSIDと自由貿易協定のISD(投資家国家間紛争)ルールを利用してエルサルバドル国内における採掘と持続可能性な環境をめぐる民主主義的な論争の結果を覆そうとしています。これらの問題はICSIDの仲裁法廷で決定されるべきではありません。パシフィックリム社によるエルサルバドルの内政への干渉の中で、採掘に反対する活動家4人が、このプロジェクトの予定地の中で殺害されています。

私たちは、国内の統治手続きと国家の主権が尊重されるべきであり、この提訴は却下されるべきであるという地元コミュニティーとエルサルバドル政府の要求を支持します。私たちは民主主義の側に立ちます。

原文および署名団体のリスト
12月15日の世界銀行本部前での抗議行動の映像


参考

IPS、12月15日付記事より

12月15日、ワシントンDCの世界銀行本部前で、ICSIDの仲裁法廷に対してパシフィックリム社によるエルサルバドル政府への提訴の却下を求める行動が行われた。
パシフィックリム社はエルサルバドル政府が同社の金鉱山開発許可申請に同意しないことを理由に、7700万ドル以上の賠償を請求している。
全米鉱山労組、FoE、AFT(全米教員連盟)、などが参加。
2002年にパシフィックリム社による探査が開始され、有望であると判明したとき、当時の国民共和連合(ARENA)政権が同社に採掘許可を申請するよう勧めた。
農民や活動家が、環境破壊の危険があると主張し、大きな全国的論争になった。
パシフィックリム社は、環境や健康に被害が内容に最新技術を採用すると主張し、DR-CAFTA(2005年調印)のISD条項に基づいてエルサルバドル政府を提訴した。
Institute for Policy StudiesのJohn Cavanaghさんは「ISD条項は不当で、民主主義に対する攻撃である」と非難した。
行動には約100人が参加、243団体(労組、環境団体など)が署名する公開状を世銀職員やICSIDのメンバーに配布した。
カナダはDR-CAFTAに加盟していないため、同社は2009年に子会社をケイマン諸島から米国ネバダ州に移転。
2009年に政権交代、FMLNが政権。


エルサルバドル:命は金銀よりも重し
JanJanニュース、2008/02/10

エルサルバドル・カバーニャス県でカナダの鉱業会社が進められている金銀鉱石の採掘プロジェクトが住民に健康被害を与える疑いが指摘されている。各方面から反対の声が上がり、政府が出した採掘許可は効力停止になった。
【サンイシドロ(エルサルバドル)IPS=ラウル・グティエレス、2月1日】
エルサルバドル・カバーニャス県で進められている「エルドラド採掘プロジェクト」が住民への健康被害を与えるものだとの疑いが出ている。
エルドラドは面積144平方キロメートルをカバーし、2006年に行われた試掘によると、少なくとも金が120万オンス、銀が740万オンス眠っていることが判明した。このプロジェクトは、カナダの鉱業会社「パシフィック・リム」が首都サンサルバドルから65kmのところにあるサンイシドロ近くで展開しているもので、採掘場として可能性のある国内25ヶ所のうちのひとつである。
しかし、この採掘のために、住民がわずか週に1回しか利用できない水源から1日3万リットルもの水が消費されることがわかった。
さらに、採掘のために必要なシアン化物が住民に健康被害を与える可能性が強く指摘されている。「パシフィック・リム」社自身が行った環境影響評価書を2005年10月に検討した米国の水文地質学者ロバート・モラン氏は、影響を測定するためのデータが不十分だとして評価書を批判している。
パ社は昨年、ラジオや街宣車などを用いた「エコ採掘」(green mining)キャンペーンを鉱山の近隣で展開した。学校の備品や肥料などを配布してまで住民の支持を得ようとしている。パ社の環境アドバイザーであるルイス・トレホ氏は、シアン化物が危険物質であることを認めつつ、体に「同化する」から心配ないとの説を披露している。
しかし、エルドラド・プロジェクトには各方面から反対の声が上がった。昨年5月には、「エルサルバドル司教会議」が反対声明を発した。
こうした活動のために、経済省と環境天然資源省がいったん与えた採掘許可は現在のところ効力停止になっている。
これに対してパ社は、右派の国民和解党(PCN)と謀って、鉱業活動を規制する独立委員会を設置する法案を議会に提出させようとしている。これによって、既存省庁の規制権限を剥奪することが実質的な狙いだ。
カバーニャス県の環境保護活動家であるイレーネ・カスティージョさんとネルソン・ベンチュラさんは「人間の命をわずかな見返りと引き換えにすることはできない」と話す。そんな2人の前には、「命は金(きん)よりも重し」と書かれたポスターが掲げられていた。
翻訳/サマリー=山口響(IPS Japan)

エルサルバドルで採掘反対活動家2人殺害される
Democracy Now!
2009年12月29日(火)

エルサルバドルでまた著名な採掘反対活動家が暗殺されました。1週間で2度目の暗殺です。12月26日、32歳のドラ“アリシア”レシノス・ソルトが自宅近くで射殺され、彼女の子供の一人も負傷しました。ソルトは、カバニャス環境委員会(Cabañas Environment Committee)の主要メンバーで、バンクーバーを拠点とするパシフィック・リム・マイニング・カンパニーが所有する金鉱再開への反対運動を行っていました。
posted by attaction at 10:22 | 貿易、債務、貧困 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月13日

2011年COP17は気候アパルトヘイトに屈した!(クライメート・ジャスティス・ナウ!の声明)

20111126_cop17.JPG

2011年COP17は気候アパルトヘイトに屈した!
解毒剤はコチャバンバ会議の合意文書だ!

CJN!(クライメート・ジャスティス・ナウ!)プレスリリース
12月10日、南アフリカ・ダーバン

原文はこちら

広範な社会運動と市民社会の連合体であるクライメート・ジャスティス・ナウ!(CJN!、「今すぐ公正な気候変動対策を!」)は、ダーバンで開催された国連COP17気候変動サミットの決定が「人道に対する罪」であると考えます。世界がこの国の多数民族である黒人の解放闘争に鼓吹されたこの南アフリカで、世界の最も金持ちの諸国は皮肉なことに、「気候アパルトヘイト」という新しい体制を作り出しました。

「地球の友インターナショナル」のニンモ・バッセイさんは次のように述べています。「実効性のある行動を2020年まで遅らせるというのは地球規模の犯罪です。この計画の下では世界の気温が4度上昇することが容認されていますが、それはアフリカや小さな島嶼諸国、そして世界の貧困層と弱者にとっては死刑宣告です。このサミットは気候アパルトヘイトを強化し、世界の最も裕福な1%が99%を犠牲にしても仕方ないと決定しました」。

ボリビア多民族国家の元交渉代表のパブロ・ソロンさんは次のように述べています。「京都議定書の第二約束期間がダーバンで確認されたというのは嘘です。実際の決定は次のCOPに延期されだけであり、金持ちの国からは排出削減について何の約束もありません。つまり京都議定書は、一層微力なものになると予想される新しい合意に置き換えられるまでの間、生命維持装置につながれるということです」。

世界を汚染してきた人たちは実効性のある行動を妨害し、再び投資家や金融機関を救済することを選択し、すでに崩壊しつつある炭素市場を拡大しようとしています。これは最近のすべての金融市場の活動と同様に、主に選ばれた少数の者をさらに富裕にするやり方です。

ワシントンの「ポリシー・スタディーズ研究所」のジャネット・レッドマンさんは次のように述べています。「”何もしないこと”は、実際には私たちの現在の経済システムが経済、社会または環境の危機に対処できないことを証明するものです。金融危機を引き起こした銀行は現在、私たちの惑星の未来を投機の対象にすることによって大儲けをしています。窮地に追い込まれた金融セクターは、破綻したシステムを支えるためにさらに新しい商品を開発することに活路を見い出そうとしています」。

EUによって提案された「ロードマップ」についての交渉にもかかわらず、ダーバンでの失敗はそれが袋小路であり、どこにも通じていない道であることを示しています。「クライメート・ジャスティス・ナウ!」の代表者たちは、科学者たちによって示された地球環境保全のための必要条件に基づき、また民衆運動からの信認を受けた真の気候変動対策プログラムが、2010年にボリビアで開催された「気候変動とマザーアース(母なる大地)に関する世界民衆サミット」で提起された[注記]ということを、世界のすべての地域の人々が想起するよう訴えます。コチャバンバの合意文書は国連に提案されましたが、交渉文書から抹消されています。この文書は前進するために絶対不可欠な、公正で効果的な方法を提起しています。

注記:「開発と権利のための行動センター」のブログに全文(日本語訳)が掲載されています:http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/04/post-c4fb.html


背景についての補足

技術をめぐって

持続可能な発展と技術に関する国際的な組織であるETCグループのシルビア・リベイロさんは次のように述べています。「技術をめぐる議論は、自国の多国籍企業の利益を代表して発言する工業先進国に乗っ取られてきました。特許による技術の独占への批判や、技術の環境、社会、文化の観点からの評価は、ダーバンの結論からは除外されています。これらの根本的な問題をめぐる懸念に対処しなければ、技術に関わる新しいメカニズムは単に多国籍企業の利益を増大させる - ナノテクノロジー、合成生物学、ジオエンジニアリングなどの危険な技術を「南」の諸国に売りつけることによって - ためのグローバルなマーケティング手段となるでしょう」。

農業をめぐって

世界最大の小作農・小規模農民の運動体であるビア・カンペシナ(「農民の道」)の北米コーディネーターのアルベルト・ゴメスさんは次のように述べています。「農業が向かうべき唯一の道は、アグロ・エコロジカルな(生態系と調和した農業を目指す)解決策を支援し、農業を炭素市場から隔離しつづけることです。企業によるアグリビジネスは、その生産の社会的、経済的、文化的モデルを通じて、気候変動と飢餓の増大の主要な原因の1つとなっています。したがって、私たちは自由貿易協定や経済連携協定を拒否し、生命に知的財産権を適用しようとするすべての試みや、現在提案されている技術パッケージ(農薬、遺伝子組換え)、および現在の危機を悪化させるだけの偽りの解決策を提供する技術パッケージ(バイオ燃料、ナノテクノロジー、気候変動対応型農業)を拒否します」。

REDD +と森林炭素プロジェクトをめぐって

「REDDに反対し、生命の尊重を求める先住民族と地域社会のグローバル連合」はCOP17の第1週に発表した宣言の中で、次のように述べています。「REDD +は先住民族と森林に依存する地域社会の生存を脅かしています。REDD +に沿ったプログラムや政策の実施の結果として先住民族が権利の侵害にさらされていることが、ますます多くの証拠によって明らかにされています。・・・REDD +とクリーン開発メカニズム(CDM)は、炭素市場と、森林、土壌、農業、さらには海洋からのオフセットを通じて、森林、樹木、空気の私有化と商品化を促進しています。私たちは炭素市場を、地球温暖化の抑制につながらない偽善として非難します」。

世界銀行とグローバル気候基金をめぐって

米国の「草の根のグローバル・ジャスティス連合」のテレサ・アルマゲルさんは次のように述べています。「世界銀行は失敗した新自由主義経済の悪役です。私たちは世界の気候破滅と貧困の多くに責任を負っている反民主的な機関によってではなく、参加型の統治機構によって管理される気候基金を必要としています」。

ジュビリーサウスのリディー・ナクピルさんは次のように述べています。「グリーン気候基金はグリーディー(貪欲)企業基金に変質してしまいました。基金は金持ち国によってハイジャックされ、その指示に従って、民間部門により多くの利益を提供するように構成されました」。

グリーン・エコノミーをめぐって

ジュビリーサウスのリディー・ナクピルさんは次のように述べています。「私たちは発展途上諸国の人々のために、世界銀行のような非民主的な機関から完全に独立した資金を提供する気候基金を必要としています。銀行は気候の破滅と貧困を悪化させるようなプロジェクトに資金を供給してきた長い歴史を持っています。・・・基金は基金は金持ち国によってハイジャックされつつあり、世界銀行が暫定的な受託者として指定され、発展途上国のために集められた資金に民間部門が直接にアクセスできるように編成されようとしています。これはグリーディー企業基金と呼ばれるべきです」。

気候政策はいわゆる「グリーン・エコノミー」に向けた急激な転換をもたらしており、それは費用対効果や貿易と投資の機会に関する経済的計算における倫理的責任や歴史的責任を危険なほど希薄にさせています。気候変動の影響の緩和と変動への適応はビジネスとして扱われるべきではなく、また、それに関わる融資が民間部門や利益追求の論理によって条件づけられるべきではありません。生命は売り物ではありません。

気候債務をめぐって

「ポリシー・スタディーズ研究所」の「持続可能なエネルギーおよび経済ネットワーク」の共同ディレクターであるジャネット・レッドマンさんは次のように述べています。「”北”の先進工業国は気候債務を返済するモラル的および法律的義務を負っています。 先進工業国は安価な石炭や石油を利用することによって、地球とすべての人々の未来を犠牲にして豊かに成長しました。これらの諸国は、その結果として発生した損失や損害を賠償し、現在の排出量を大幅に削減し、発展途上国がクリーン・エネルギーの道に転換するのを資金的に支援しなければなりません」。

先進工業国は、その歴史的責任を引き受ける際に、公正で、効果的で、科学的な解決策の基礎として、自分たちの気候債務をすべての面にわたって弁済しなければなりません。これは金銭的な保証に限定されるべきではなく、公正性の回復、すなわち私たちのマザーアースとそのすべての生き物のバランスの回復にも焦点を当てるべきです。私たちは先進工業国に対して、責任を持って行動することを要請します。おそらくそのことによってのみ、壊されてきた信頼関係を再確立し、プロセスを前進させることができるでしょう。

真の解決策をめぐって

エクアドルのアクシオン・エコロヒカのイボンヌ・ヤネスさんは次のように述べています。「気候変動への唯一の真の解決策は、石油と石炭とタールサンドを土の下に埋まったままにしておくことです」。

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Keep the oil in the soil
This image, by the fantastic Vanessa and we’re using everywhere. Please distribute through your lists. Feel free to reproduce, but please credit the artist.
‘Keep the oil in the soil and the coal in the hole’. this message supporting supply side mitigation and against new and old frontiers in fossil fuel extraction is one all climate activists can get behind.
posted by attaction at 16:58 | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月24日

市場か民主主義か〜仏カンヌG20サミットを振り返る

市場か民主主義か〜仏カンヌG20サミットを振り返る

attac首都圏 通貨取引税(CTT)部会学習会のご案内

12月18日(日)13:30〜 江東区産業会館 第一会議室
主催 ATTAC Japan(首都圏)通貨取引税部会

11月3〜4日、仏・カンヌでG20サミットが行われました。2008年9月15日のリーマン・ショック以降、日米欧の政府・中央銀行は、さまざまな対策を講じてきました。しかし危機は解決に向かうどころか拡大の一途をたどり、G20サミット直前にはギリシャ危機に右往左往する欧州の混乱が世界経済をさらに不安の淵に投げ込みました。

しかし危機を引き起こした金融資本への規制は不十分で、責任者は誰一人として社会的な制裁を受けていません。一方、危機に何の責任もない人々は、失業や社会保障の切り捨て、食糧や資源の投機的暴騰など、生存の危機に直面しています。G20サミットで話し合われた金融規制の内容、attac等が提唱してきた金融取引税(トービン税)の現状、ギリシャ債務問題などについて話し合います。

◎G20カンヌサミットで話し合われた金融規制
 合田寛さん(政治経済研究所主任研究員)
◎金融取引税の現状
 山本和男(ATTAC Japan首都圏CTT部会)
◎金融危機というより金融詐欺〜ギリシャ債務危機
 稲垣豊(ATTAC Japan首都圏CTT部会)

日 時 12月18日(日)13:30〜16:30
場 所 江東区産業会館 第一会議室
交 通 東西線「東陽町」駅 4番出口すぐ(みずほ銀行2F)
    地図 
会場代 500円

【参考】
カンヌG20:後ずさりサミット(ATTACフランス声明)
ギリシャ 財政破綻への処方箋〜監査に立ち上がる市民たち〜(NHK-BS世界のドキュメント)
 〔12月14日までウェブで一般公開、必見!〕
 

posted by attaction at 10:16 | G8/G20 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする